March 9, 2010
[ウォルマート] プロジェクトインパクトの成否は?
複数のメディアがウォルマートの苦戦についての記事を掲載しています。
一つ目はアソートメントを絞り込みすぎたため客が離れてしまい、SKUを少しずつ戻し始めているという話。
二つ目は価格競争力を失いつつあるのではないかという話。ターゲット、バリューディスカウントストア、スーパーマーケットが狙い撃ちしていて、お客の認識も変わりつつあるんじゃないかというストーリーです。
昨年度の業績については先月すでにエントリーしましたが、既存店成長率がマイナス成長でした。上場以来初めてなんじゃないかと書いたのですが、どうも社史上初めてということのようですね。
このマイナスの理由が、絞り込みすぎと、価格戦略、の2つにあるというわけです。
業界のいろいろな人に感想を聞いているのですが、プロジェクトインパクトについてはやはり賛否がありまして、そして否定意見については同社幹部はちゃんと認識してはいます。
でもとにかくやらねば、ということなんですね。
私自身がよく日本の方から「これどうなんですか?」とよく聞かれるのですが、「分かりません」としか答えようがない。ただ、商品があふれてくるような賑やかさがなくなってしまったことは事実で、それをアメリカの消費者がどう受け止めるのだろうかというのが、私が個人的に知りたいところではあるんです。
これもすでに書いたことなのですが、既存店の売り上げは落ち気味なんだけど、経営数値のベンチマーク数値は極めていい。
つまり、これからの時代売上は落ちる、だから落ちてもいいようなリーンなモデルにしようとしている、ということなのかもしれないなと。
まあこのあたりは私がなんとなく感じていることに過ぎないので、あまり信用はしないでください。
ウォルマートの業績はしばらくウォッチしなければいけません。
《追記》
東洋経済3/13号(3/8発売)に拙文が掲載されています。
特集「百貨店・スーパー大閉鎖時代!」の中の「海外百貨店事情」、です。
いつも業界誌での執筆なので宣伝しないのですが、今回は皆さんが手に取ることができる一般誌なので、書かせていただきました。
ぜひお読みください。
投稿者: 鈴木敏仁 日時: 2:13 PM | | トラックバック (0)
March 8, 2010
[ウォルマート] マーケットサイドのPBブランド化
ウォルマートがマーケットサイドのホームページを先週リニューアルして再オープンさせたのですが、店舗情報が消えてなくなりました。
実は実験店舗としてオープンしてしばらくしてホームページから店舗情報がなくなり、これはひょっとすると店舗はもうだめなのかなと思っていたのですが、今回のリニューアルで再び店舗情報が欠落していると言うことは、現時点における同社のスタンスはもう明らかです。
先週サステナビリティ・コンソーシアムの責任者と面談しにフェニックに行きました。このとき2店舗に立ち寄ったのですが、1店舗目には店内になんとお客がゼロで閑散としてました。平日とは言うものの、午後の4時ですからこれはちょっと問題かなと。
ネットの状況とリアルな店舗を見るに、やはり現状ではうまく行っていないんだろうなと思います。
ウォルマートはこの"マーケットサイド"という名称を、フレッシュ(生鮮青果や総菜)分野のPBで使っていこうとしています。そろそろ全米展開し始めているかもしれませんが、私の知っている限りではダラスやフェニックスなど一部の地域から販売をスタートしています。
おそらく本当は、店舗とブランドを平行して進化させたかったんでしょうね。
そういえば、セイフウェイの小型フォーマット、ザ・マーケットも増えてません。
大型店舗の運営ノウハウと小型店舗の運営ノウハウはかなり違うということを感じます。
投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:15 PM | | トラックバック (0)
March 1, 2010
[ウォルマート] 温室効果ガス2,000万トンを2015年までに削減
今日は先週発表があったウォルマートによるエコイニシアチブについて。
すでにあちこちで書かれていることなので詳細は省きますが、2015年末までに温室効果ガスを2,000万トン削減するという目標を掲げました。この発表に合わせてベントンビルで環境カンファレンスを開催、その模様はウェッブでライブ中継されて、現在はホームページのGreenhouse Gas Commitmentにアーカイブされて閲覧可能となっています。
この2,000万トンという温室効果ガスの削減量は、今後5年間にウォルマートが排出するであろう二酸化炭素の1.5倍に相当し、また380万台分の車の年間排出量に匹敵するそう。
さて、この発表を米メディア各社が報道しているわけですが、サプライヤーに温室効果ガス削減を「プッシュ」や、「強制」、というタイトルが目につきました。
日本語のニュースを検索すると、ほとんどがウォルマートが削減するというタイトルになっているのと好対照です。
今回のイニシアチブはサプライチェーン全体をカバーするものですから、ウォルマートはあくまでも音頭を取っているに過ぎないわけで、ちょっと視点を変えるとサプライヤーに押しつけている、となるわけです。
アメリカのメディアのほとんどはそんな視点で書いてます。
良くも悪くも、アメリカはもはやウォルマートが引っ張らないと環境イニシアチブは動かなくなってしまっているような印象を持ってます。
ちなみに明日、ちょっと目的がありましてサステナビリティ・コンソーシアムの責任者と面談してきます。場所はフェニックス。テーマは環境、ということで現在エコで頭がいっぱいとなっています。
なので、明日はエントリーお休みとなると思います。
もし時間があればどこかでアップしますね。
投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:23 PM | | トラックバック (0)
February 24, 2010
[ウォルマート] Vudu買収にみる戦略性
ウォルマートがVuduを買収するそうです。買収額などは不明、両社ともに多くを語っていません。
この買収、実に興味深い。
Vuduは創業3年目の若い企業です。
テレビにつなぐと映画が見れるというデバイスを開発して売っていたのですがまったく売れず、ネットのストリーミングに方針転換、映画1万6000本のライセンスを取得する一方、サムスンやシャープといった家電メーカーとも契約して彼らの商品にサービスを提供するビジネスを開始して、俄然注目を浴び始めた。
ウォルマートによる買収は先月から業界では話題になっていたようです。
ウォルマートは世界で最大のDVD販売ボリュームを持つ企業です。
ただここ数年売上が落ち続けている。理由は映画を"買う"から"借りる"にシフトしてしていることにあるわけなのですが、この借りるに自動販売機(キオスク)のような格安タイプが生まれたり、ケーブルオンデマンドやデジタルオンデマンドといったより便利なタイプが伸びてきていて、どんどん変化している。
同社はこのうちのデジタルオンデマンドを押さえようと数年前かえら実はいろいろトライアルしてきているんだけど、うまくいかなかった。
そして、自前ではうまくいかかないので、この分野で成功への道筋を付け始めた企業を買収してしまった、というわけです。
テレビを買ってネットにつなぐ。
Vuduがプレインストールしてあって、オンデマンドでストリーミングして映画が見れる。
これをウォルマート傘下の企業が取り扱う。
店頭の売上はこれから減るけれど、ネットで補ってしまう。
これがウォルマートの長期戦略と言うことになります。
日本の大手小売企業とはまったく異質の発想じゃないでしょうか。
今朝のWSJ誌は、ビデオレンタルのブロックバスターの苦戦をトップに持ってきていたのですが、ウォルマートのこの動きと見比べるとと非常におもしろい。
本来ならばならばこの買収、ブロックバスターがやらなければならない案件というような気がしますね。
投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:34 PM | | トラックバック (0)
February 23, 2010
[ウォルマート] 昨年の業績を発表、既存店成長率がマイナスへ
出張中の2/18にウォルマートが09年度の決算を発表しました。もうあちこちで目にしている方も多いと思うのですが、ここでもまとめておきます。
【米ウォルマート】
売上高2,582億2,900万ドル(前年比1.1%増)、営業利益高195億2,200万ドル(前年比5.2%増、既存店成長率0.2%減
【海外事業】
売上高1,001億700万ドル(前年比1.3%増)、営業利益高50億3,300万ドル(前年比1.9%増、
【サムズクラブ】
売上高476億1,000万ドル(前年比-0.4%減)、営業利益高15億1,200万ドル(前年比8.1%減)、既存店成長率0.8%減
【トータル】
売上高4,050億4,600万ドル(前年比1.0%増)、最終利益高143億3,500万ドル(前年比7.0%増)、既存店成長率0.3%減
トータルでは今年も増収増益で、しかも最終利益は7%増ですから、好調な決算と言うことができます。ただ懸念材料は既存店、マイナス成長となりました。ひょっとするとこの企業、通年で既存店の成長率が前年を割り込むというのは初めてのことなのではないでしょうか。
これが何を意味しているのか。
第4四半期も既存店成長率がマイナスだったのですが、食品と家電のデフレが影響したとしています。また通年のマイナスについては、一昨年の既存店が良すぎたと指摘。
つまりとりあえず経済環境を理由としているわけです。
でも、ひょっとすると在庫を減らしたリモデルストアも影響しているんじゃないかと。
在庫は減らすと売上も落ちます。
ちなみに期末の在庫は3.9%も減っています。
このリモデルの影響はさておき、経営数値の指標はどんどん良くなっているんですね。棚卸資産の回転日数、回転差資金、キャッシュサイクル、等々、数値はみんな良くなってます。
ざっくりと表現するならば、経済の不安定で収益が悪化しそうな中、財務体質は逆に強化されている、とでもなりましょうかね。
恐るべし、ウォルマート。
懸念材料は販売管理費率、とうとう19.5%となって20%目前となりました。
これはそろそろ下げる方向に持って行かないと、まずいんじゃないかなあ・・・と感じてます。
投稿者: 鈴木敏仁 日時: 12:00 PM | | トラックバック (0)
February 4, 2010
[ウォルマート] 本社人員300人をレイオフ
ウォルマートが本社人員300人をレイオフすることを発表しました。
数日前にエントリーしましたがいまウォルマートは全社的な組織再編に取り組んでまして、本社人員の削減もその一環のようです。
リリースされたCEOマイケル・デュークのコメント。
"If we ask our operations to be leaner and more customer-focused, we must ask the same of our support teams at the home office."
- オペレーションをいっそうリーンとし、さらに消費者フォーカスとするためには、本社のサポートチームにも同じことを要求しなくてはならない(ほぼ直訳)。
実はこの300人程度の本社人員のレイオフは、ウォルマートにとっては今に始まったことではなくて、定期的に実施していることなんですね。
本社スタッフ700~800人を削減
これは去年ですが、数年前にも実施していた記憶があります。
官僚体制になってしまうことを未然に防ぐ。
現場の痛みを本社も共有しろ。
そんな意図やメッセージを感じます。
日本は高度経済成長時代にできあがったレイオフしない社会文化を今も引きずっていて、我が国の大手小売企業は肥大化したままです。
アメリカがすべて正しいわけではない。異常なほどの高給を取る経営陣を鑑みるとなおさらです。
ただ赤字を出したわけでもない世界最大の企業がスリム化に熱心な姿を見ると、日本の大手小売企業の未来を考え暗澹とした気分となってしまうのです。
投稿者: 鈴木敏仁 日時: 6:14 PM | | トラックバック (0)
January 29, 2010
[ウォルマート] メジャーな組織の再編成を実施
ウォルマートが国内外の組織の再編成を発表しました。細かい組織変更はちょくちょくやっているのですが、大きな部門の再編なので発表したのでしょう。
◇ウォルマート事業部門では店舗オペレーション、ロジスティクス、不動産をCOO直下におく。ロジスティックスと不動産はウォルマート事業とは離れた独立した部門だったのですが、これを一つにまとめることになります。
◇店舗オペレーションの地域分類を、ウェスト、サウス、ノースの3つとする。これはもともと5つでした。
◇独立事業体だったネット販売のウォルマート・コムをマーチャンダイジング部門に統合する。
主要なものだけ抜粋しましたが、これに加えてかなりの職位の役割の変更があったようです。また海外事業についても変更があって、西友の人事異動がちょうど発表されてましたがこの本体の動きに連動しているようです。
この企業はもともと人の異動や組織変更を頻繁に行うことで知られてますが、今回のものはここ数年取り組んでいる新イニシアチブと、景気の悪化による環境の変化の2つが背景となっているように思います。
また先日はサムズでも組織変更がありましたが、つまり全社ベースでガンガン変えているわけです。
これほど大きく揺り動かしている競合他社が見あたらないことを考えると、やはりウォルマートはいろいろな意味で突出しているなと感じます。
ちなみにこういうのを英語でリストラクチャリング、またはりアライン(Realign)と表現します。日本ではリストラ=レイオフとなってますが、本来は組織構造を再編すること意味している単語ですね。
本当はエントリーのタイトルをリストラとしたかったのですが、日本の皆さんに勘違いされてしまうことを避けるために再編成を使用しました。
投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:40 PM | | トラックバック (0)
January 24, 2010
[ウォルマート] サムズが1万1,200人をレイオフ
サムズクラブが1万1,200人をレイオフする予定であることを発表しました。トータル社員数が11万だそうなので、約1割にあたります。
そのうちの約1万人が店頭でサンプルするデモ販売をやっているパートタイマーで、残りの1,200人がおなじく店頭で新規会員を獲得する仕事をしているパートとなっています。
レイオフの理由は、デモ販は外部の専門会社にアウトソースするため、新規会員の獲得には別の有効な手法上がるから、となっています。先日10店舗の撤退を発表したばかりで、業績も競合のコストコと比べると良くないのですが、業容縮小のためのレイオフというわけではないようです。
デモ販は業界慣行としてもともと外部委託する領域でして、自前でやっていること自体が珍しいとも言える。ウォルマート本体はアウトソースしてますし、スーパーマーケット業界全体がそうです。
ですから今回の外部委託化そのものは驚くことではない。
またレイオフされたデモ販要員の多くはアウトソーサーに雇われる可能性が高そうなので、社内不安が起きるようなものでもなさそうです。
ただ、こういうリストラをどんどん進めていくアメリカの大手小売企業と、ほとんど進まない日本の大手小売企業を見比べると、暗澹とした気分に少々なります。組織編成の大胆な改革に取り組む大手企業って、あまり聞きませんものね、日本では。
もちろん、人をぽんぽん切ってしまうアメリカのやり方も決してほめられたものではないのですが。
さて話は変わりますが、先週末広島へ行ってきました。目的は写真の店舗を見るため。
この企業、作業に対する思想が根本から異なっています。簡単に言うと、日本の小売業が文系と体育会系で占められているのに対して、この企業は理系なんです。
流通業界って、アメリカもそうなのですが、ユニークな企業は田舎から生まれるのだという真理を再確認しました。
投稿者: 鈴木敏仁 日時: 4:18 PM | | トラックバック (0)
January 19, 2010
[ウォルマート] サムズが組織の再編成を実施
先週、サムズが不採算店舗10ヶ所を閉鎖する事を発表しています。サムズは600店舗を展開していますので、規模を考慮すると10店舗程度の撤退は普通のスクラップ&ビルドの範疇なのですが、今まで年間に二桁を閉鎖したことがなかったのでメディアがこぞって取り上げていました。
さて一週間後の昨日、今度はカテゴリー分類の再編に伴う人事の変更が実施されました。"食品&ビバレッジ"、"ヘルス&ウェルネス"、"テクノロジー&エンターテイメント"、"ホーム&アパレル"、"フューエル(ガソリン)、オート、タバコ、キャンディ"、の5つです。
もともとは、"雑貨"、"食品"、"ハードグッズ"、"ソフトグッズ"、"フューエル(ガソリン)を含むサービスビジネス"の5つでした。
よくある言葉を使うと、生活者視点でのカテゴリーの再編成、とでもなりましょうか。または、ライフスタイル分類、という表現が好きな方も多いかもしれません。
要は消費者ニーズに従って部門のくくりを変えたということです。
日本の小売企業はこれがなかなかできませんね。いまだに、衣食住、ですから、旧態依然としています。
ところでこのサムズの一連の変化は、本体ウォルマートのプロジェクトインパクトに連動しています。つまり同じ文脈でビジネスを変えようとしているんです。マーチャンダイジングを大きく変えていて、これが部門の再編成に影響してます。またプロジェクトポートフォリオと呼ぶ新しいプロトタイプも導入するなど、店舗オペレーションも変革のまっただ中です。
ということで、ウォルマートは本体だけではなくてサムズも変わりつつあるという話でした。
<追記>
来週講演があるため本日より日本に出張します。エントリーのリズムが崩れますが、ご容赦いただければ幸いです。
投稿者: 鈴木敏仁 日時: 9:18 AM | | トラックバック (0)
January 4, 2010
[ウォルマート] グローバルソーシングの効率化イニシアチブ
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
今年もこのRetailwebをどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて年明け最初のニュースはウォルマートです。サプライチェーンの効率化イニシアチブを立ち上げることを明らかにしました。ファイナンシャルタイムズ紙が報じています。
取り組みの核とる分野はグローバルソーシングで、簡単に言うと中間業者を可能な限り排除してダイレクトソーシングし、流れを集約しなおして効率化はかる、ということとなります。
CEOのカストロライトのコメントは、「今後数年間にレバレッジがかけられる主要な領域となるだろう」。最近のウォルマートはレバレッジという表現をよく使うのですが、特定領域をてこ入れすることで全体に影響を及ぼす、というような意味合いです。
このために、衣料と非食品をメインに扱うグローバルマーチャンダイジングセンターと呼ぶ配送センターを4ヶ所を設立。また青果もグローバルベースでダイレクトソーシングに転換、その後は鮮魚、冷食、加工食品にもこのイニシアチブを波及させて行く。
ダイレクトソーシングにすることで今後5年間に5~15%のコスト削減を実現、長期目標として掲げている全体の80%をダイレクトにすることができれば40~12億ドルの節約になるだろうとしています。
同社はプロジェクトインパクトで店舗段階の業務改革を現在進行形で進めているわけですが、流れがほぼできあがったので、次はサプライチェーン、とくにソーシングの効率化に取り組む、ということなんでしょうね。
ウォルマートに停滞の二文字は無縁、です。
投稿者: 鈴木敏仁 日時: 12:45 PM | | トラックバック (0)





