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August 15, 2011

「デパートメントストア業態に復調の兆しか?」Vol.15,No.33

アメリカ流通eニュース

 業態としてのピークを越えて10年以上に長きにわたってシェアを下げ続けてきたデパートメントストア業態に、どうやら復調の兆しが見えてきたようだ。8月初旬に発表された第2四半期の決算によると大手各社ともに好調な数値が並んでいる。資料によると小売業界全体に占めるDept業界のシェア低下が底を打った気配があり、短期的な復調というわけでもなさそうなのである。

*****

 米商務省発表の数値を元にしたシンクタンクの資料によると、1970年代後半に9%を超えていたシェアが毎年右肩下がりでコンスタントに落ち、1990年代後半に6%以下へ、2000年代後半には3%を切ったのだが、2009年の2.9%を底として、2010年は2.5%、そして今年の予測は2.6%と、わずかではあるのだが上向き始めているのである。数値が上向くのは実におよそ30年ぶりということになる。
 この資料でひょっとすると何かが起きているのかもしれないと気づき、各社の決算数値を拾ってみた。
【メイシーズ】売上高59億3,900ドル(前年比7.3%増)、最終利益高2億4,100万ドル(前年比63.9%増)既存店成長率6.4%(半期5.9%)
【コールズ】売上高42億4,800万ドル(前年比3.6%増)、最終利益高3億300万ドル(前年比16.5%)、既存店成長率1.9%(半期1.6%)
【JCペニー】
売上高39億600万ドル(前年比-0.6%)、最終利益高1,400万ドル(前年比0%)、既存店成長率1.5%(半期2.7%)
【ノードストロム】売上高27億1,600万ドル(前年比12.4%)、最終利益高1億7,500万ドル(前年比19.9%)、既存店成長率7.3%
【ディラーズ】
売上高14億4,170万ドル(3.8%増)、最終利益高1,760万ドル(158.8%)、既存店成長率6.0%
 五社ともに増収増益なのだが、加えて既存店成長率がおしなべて良い数値である点が目につく。JCペニーのみ売上高が前年比でマイナスなのだがこれはカタログ販売からの撤退によるものである。すべてネット販売に移行するためでありネガティブな要素ではない。
 Dept業界の数値は常時追っておらず詳しい数値を検証するのは久しぶりのことなのだが、考えてみるとこの一年ぐらい各社供に既存店成長率が高めで推移している記憶がある。シンクタンクの調査数値でトレンドに突然気づいたというのが正直なところだ。

◇変わりつつあるデパートメントストア業態◇
 なぜ復調しはじめたのだろうか。
 SPAと呼ばれる垂直統合型のビジネスモデルではなくサプライヤーに頼る点と、チェーンストアと言いながら各店舗に大きな裁量が与えられてマーチャンダイジングがバラバラであった点など、仕組みの複雑さが衰退の原因だと言われてきたものなのだが、実はいまはこれが強みになっていると指摘されている。
 つまり全店舗のマーチャンダイジングを統一しない分、失敗が修正しやすく柔軟に対応できるというのである。
 他では買えない限定コレクションの開発と成功も大きい。メイシーズのマドンナ、JCペニーのメリー・ケイトとアシュリー・オルセン、コールズのローレン・コンラッドなど、芸能人を利用したブランドが客足に貢献していると言われる。
 このセレブリティ戦略がティーン層へのアピールに成功、いままさに現在進行形で商戦真っ盛りの新学期セールではDSに次いで行きたい業態としてDptが挙げられてもいるのである。Dpt業態の顧客層の高齢化はながらく問題視されてきたのだが、改善しつつあるというわけだ。
 荒利ミックスできる他部門の存在も指摘されている。例えばキッチン用品を値下げして客数を上げて衣料は定番価格を維持する、逆も可能、というわけである。衣料しかないだけではなくラインも絞られているアパレル専門店ではこれができない。
 個人的には顧客層のシフトが大きく寄与しているように思っている。マーケティング、あるいはブランディング戦略が成功してティーン層のイメージを変えたというわけなのだが、これはもっとも難しい取組課題の一つであり、もし本当にそうだとしたらDptの復調は本物だろうと考えて良いかもしれない。
 まだしばらく数値を追う必要はあるのだが、Dpt業態が変わりつつあることは確実なようだ。

投稿者: 鈴木敏仁 日時: 12:55 PM |

August 8, 2011

「デイリーディールでロイヤルなお客を獲得できるのか?」Vol.15,No.32

アメリカ流通eニュース

 フラッシュマーケティングという言葉がある。定義についてウィキから引用してみる。
「商品やサービスの提供にあたり、割引価格や特典がついたクーポンを期間限定でインターネット上で販売する手法。一般に24時間から72時間程度の短時間(フラッシュ)に、集客と販売および見込み顧客の情報収集が行われるという特徴を持つ」。
 詳細はウィキをさらにご参照いただくとして、要は短期間の値下げプロモーションをネットで提供する仕組みのことである。ネット販売企業は昔からこの類の企画は実施してきているのだが、グルーポンがシステマチックに広範囲に提供する仕組みを構築し、その手法が一躍注目を浴びるようになった。
 グルーポンは2008年の創業からわずか3年目の今年に上場して250億ドルを調達している。仕組みに対する期待から買われているのだろうが少々過熱気味で、個人的にはバブっているのではないかと少々懸念している。

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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:53 PM |

August 1, 2011

「シアーズのネットビジネス強化」Vol.15,No.31 08/01

アメリカ流通eニュース

 シアーズのマーケティング担当責任者(CMO)にネット販売企業の元役員が就任することが分かった。食品のネット販売で著名なフレッシュダイレクトのマーケティング&企業戦略担当だった人物だ。フレッシュダイレクト以前もネット販売企業やネット系サービスでの経歴を持つ女性で、つまりネットビジネスのスペシャリストである。
 今年初頭、同社がCEOとして据えたのがネットワーク機器メーカーのアバイアの元役員であった。3年間空白だったCEOポジションがようやく埋まることになったわけなのだが、テクノロジーをキャリアパスとして持つ人材によるリテール経営能力に疑問の声が上がったものである。
 今回の人事とつなげてみると、シアーズ(と言うよりもエディ・ランパート)がこれから何をしようとしているのか透けて見えてくる。

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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:51 PM |

July 25, 2011

「フレッシュ&イージー、オペレーションのオーバーホールに着手」Vol.15,No.30 7/25

アメリカ流通eニュース

 フレッシュ&イージーがオペレーション全体の改革に取り組んでいる。英ファイナンシャルタイムズ紙が報じたもので、同社についての情報はイギリス発の方が早く正確だ。英テスコとのコネクションが強いからなのだろうが、アメリカの業界誌よりもスピードと精度が高い。
 ポイントは2つ、店内の改装とFSPの導入である。来年度の黒字化に向けてフレッシュ&イージーの動きが活発化している。

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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:49 PM |

July 18, 2011

「ボーダーズ、再建を断念して清算へ」Vol.15,No.29 7/18

アメリカ流通eニュース

 経営破綻し裁判所の管理下にあるボーダーズが再建を断念、企業清算の決定を発表した。連邦破産法11条を申請したのが2月だったので、破綻から半年弱で消滅が決まったというわけだ。
 この清算が持つ意味は小さくないだろう。アメリカの書籍ビジネスがこれからどうなるのか。立ち読みで買うという選択肢が圧倒的に少なくなってしまったアメリカの消費者はこれからどうするのか。日本も同じような道筋をたどって行くのか。
 いろいろ考えさせられる事例である。

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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:24 PM |

July 11, 2011

「セルフレジと決別するアルバートソンズ、その意味を考える」Vol.15,No.28 7/11

アメリカ流通eニュース

 アルバートソンズは企業が売却されて以来、スーパーバリュ傘下と投資企業傘下(名称はアルバートソンズLLC)と2つの事業体に分化しているのだが、今回は後者が始めた新たな戦略の話である。
 セルフレジを全217店舗から撤去するという。昨年のリモデル店舗から順次撤去を開始していて、現在残っているのが100店舗で来月中にすべてを撤去する。
「お客と会話ができるレジの方が我々にとってはベターなアプローチだと感じている」(コミュニケーション担当部長)
 キャッシャーという専門職を必要としないセルフレジはもはや必要不可欠な機能で、アメリカの流通業界では一時的な流行などではなく取り入れるのが当たり前となってきている。フレッシュ&イージーのようにすべてセルフにするフォーマットすら生まれている。
 従ってこのアルバートソンズの考え方は一見すると時代に逆行するものである。業界人が意見を書き込むコミュニティサイトでも批判的な意見が多かったのだが、しかし私の見方は異なり、そして私と同じ見方で書き込んでいる人もいて、間違ってはいないと確信したのであった。

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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:22 PM |

July 4, 2011

「常識の呪縛から解放されたホールフーズの組織運営」Vol.15,No.27 7/04

アメリカ流通eニュース

 アメリカの大手小売企業の中で、常識にとらわれないもっともラジカルな組織運営を実行しているのがホールフーズである。おそらく創業CEOのジョン・マッキー以下幹部全員、いわゆるよくあるチェーンストアの運営理論などほとんど無関係でここまできたのではないかとまで思っている。
 それでも、売上高90億ドル(およそ7,000億円)、店舗数300を超え、またフォーチュン誌が選ぶ働きたい企業ランキングで24位にランクインするなど労働環境に対する評価も高く、ウォルマート以上に研究に値する企業だと個人的に思っている。

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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:21 PM |

June 27, 2011

「小売を悩ます組織犯罪、頭痛の種は日米一緒」Vol.15,No.26

アメリカ流通eニュース

 日本から来る研修グループから必ず聞かれる質問の一つが万引きである。外国人を中心とした窃盗団による被害に頭を悩ましている流通人が日本では少なくないのだが、アメリカの売場は日本と比較すると万引き対策が甘く見えるようで、どう対処しているのか疑問が湧くようだ。
 所得によって住み分ける傾向が強いアメリカの場合、低所得層エリアに出店する店舗では対策を十分すぎるほど取っていたりするのだが、そういう危険なエリアに視察で行くことはあまりないから甘く見えるのだろう。
 カナダのトロントで低所得層エリアにあるドラッグストアに行ったのだが、中~高価格帯の化粧品がすべて鍵付きの什器に入っていて驚いた。おそらくあれでは売れ方はがた落ちなのだろうが、万引きされるよりはましということだと推測できて、そういう売場を見れば日本からの人たちも納得するのだろう。

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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:19 PM |

June 20, 2011

「ベストバイによる売場のテナント貸しとビッグボックス時代の終焉」Vol.15,No.25

アメリカ流通eニュース

 ベストバイが売場の一部をサブリースすることを検討していることをローカル紙が報じた。不動産ブローカーに発送されたチラシによると、南カリフォルニア46店舗の4,000~15,000sqf(112~423坪)程度のスペースをテナントに貸し出すという。
 アメリカでは80年代から90年代にかけて店舗の大型が進んだ。牽引したのがディスカウントストアとスーパーマーケット、とりわけディスカウントストアの店舗の形状が大きな箱のようなのでビッグボックスと呼ばれたものである。
 このビッグボックス時代が終わったという論調が大勢を占め始めている。前々回のレポートでとりあげたが自治体の税収が落ちているのも、大きな"ハコモノ"市場が縮小し始めているからに他ならないのである。

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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:17 PM |

June 13, 2011

「アップルストア成功の立役者、ロン・ジョンソンがJCペニーへ」Vol.15,No.24

アメリカ流通eニュース

 アップルの店舗オペレーションの責任者、ロン・ジョンソンがアップルをやめてJCペニーのCEOに就任することが発表された。11月1日からトップに就任する予定である。
 アップルストアを開発段階からてがけ、326店舗、年商98億ドルにまで育てた業界評価の非常に高い人で、そのため発表直後にJCペニーの株価が跳ね上がっている。
 アップルストアの一号店の開店は2001年、2004年には年商10億ドル(およそ1000億円)を突破、2007年には四半期ベースで10億ドルを超え、小売業界で史上最速の成長を続けていると言われている。この成長の基礎を作りオペレーションを支えてきた人の移籍なので注目を浴びているというわけなのである。

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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:15 PM |

June 6, 2011

「ネット販売優遇規制をめぐるアマゾンと自治体の攻防」Vol.15,No.23

アメリカ流通eニュース

 アマゾンがアーカンソー州居住のユーザーに提供しているアフィリエートプログラムを中止とした。理由は州が今年の初頭に法制化した新たな規制だ。
 アメリカでは、ネット販売業者は自らのオフィスが存在しない州においては消費税を徴収する義務を負わない。消費者が税金申告時に自ら申告しなければならないのである。ただしこれをちゃんと実行している消費者は限定されており、実質的には消費税フリーとなっているのだ。
 自らのオフィスとは、本社以外に配送センターも含んでいる。アメリカでネット販売やカタログ販売で買い物をしたことのある人はご存じかもしれないが、トータルを計算するときに~州在住の人は消費財~%加算という項目が必ずあり、加算する州にはその企業のなんらかのオフィスが存在するのである。
 このオフィスにアフィリエートも含ませようとするのがアーカーソン州の新たな規制である。アフィリエートに広告費としてコミッションを支払っていると言うことは彼らもアマゾンのオフィスであることと同等だとしたわけだ。
 アマゾンはこれに対抗するためにプログラムを中止したのである。アフィリエートよりも消費者を選択したと言い換えても良いかもしれない。実は同じ事を数ヶ月前にシカゴでも実行しておりアマゾンはこの規制に対する対決姿勢を示しているのだが、他州でも同じ動きがあるためアフィリエート撤退は今後も続くことだろう。

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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:13 PM |

May 31, 2011

「セイフウェイとビッグYが取り組む新たなFSP作戦」Vol.15,No.22

アメリカ流通eニュース

 大手チェーンストアのセイフウェイと、ローカルチェーンのビッグYが相次いでFSP(またはロイヤルティプログラム)に新たなプログラムを導入した。前回紹介したグーグルウォレットもFSPがらみで、この数ヶ月にアメリカのスーパーマーケットが運営するFSPに突然スポットライトが当たりはじめている。
 グローバルを見渡してFSPをきっちりと活用できている企業はテスコとクローガーのみと言っても過言ではなく、ほとんどが単なるポイントバックのシステムとしてしか動いていなかった。
 お客別の購買データを精密に分析しこれを販促や品揃えに生かす、簡単に言ってしまえばこれがFSPの機能なのだが、言うは易く行うは難し、なかなかこれができない。
 今回導入されたプログラムはこの本来の機能を強化すると言うよりも会員数を利用した新たな販促強化という側面が強いのだが、少々ユニークなので業界の注目を集めている。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 3:11 PM |

May 23, 2011

「グーグルウォレットの可能性」Vol.15,No.21

アメリカ流通eニュース

 グーグルが決済システムに参入することを発表したのが5月26日のことだったが、パイロットテストへの参加を表明したのがデパートメントストアのメイシーズ、アパレル専門店チェーンのアメリカンイーグルアウトフィッターズ、ドラッグストアのウォルグリーン、そして外食のサブウェイであった。ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴ、ワシントンで今夏にも実験が開始されるという。
 アメリカでは非接触型の決済システムがまったく普及していない。昨年、通信キャリア大手3社が共同で開発しようとしてジョイントベンチャーを立ち上げているのだが、うまく進んでいないようだ。決済システムを支配しているクレジット会社を取り込んでいないからだろうと推測しているのだが実際のところはよく分からない。
 ではなぜクレジット会社(具体的にはビザとマスター)が非接触型を導入しないのかというと、独占状態であるため今のシステムを変えてまで新たなことをするモチベーションがないのだろうというのが私の見立てである。
 ここに突然グーグルが参入するというワケなのだが、通信キャリアではなくネット企業が軸足となっている点が日本と異なっている。

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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 4:25 PM |

May 16, 2011

「増えるファーマーズマーケット、その魅力とは?」Vol.15,No.20

アメリカ流通eニュース

 ロサンゼルスのサンタモニカにサンタモニカプレースという大型のショッピングセンター(SC))がある。完全リニューアルしてオープンしたのだが、グルメバザーというセクションを新設したそうだ。面積は約400坪で、肉、青果、パン、アイスクリームショップ、生花、といった売場を集めた。
 コンセプトのベースはファーマーズマーケット、産直市場の雰囲気をモールに取り込んだとしている。実はこれ、ここ数年のアメリカでの流行となりつつあって、取り入れるSCが増えて来ている。

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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 4:23 PM |

May 9, 2011

「店頭で普及が進むモバイル端末」Vol.15,No.19

アメリカ流通eニュース

 ノードストロムがモバイル端末によるレジ精算を7月のセールス時期から開始する。無線LANベースでデバイスを選ばないシステムだそうで、現在同社はiPodのタッチを使って本店で実験中だという。アップルストアで使用されているようにタッチにクレジットカードをスキャンする小さなデバイスを接続して使うのだろう。
 アメリカの小売企業は、発注や在庫確認のためのモバイル端末はかなり前から使用してきている。大きなピストルのようなサイズだったものがこの数年にどんどん小さくなって、例えばフレッシュ&イージーはiPhoneぐらいの形状の端末を使用している。圧倒的多数は大きいサイズをまだ使用しているのだが、これから小型が普及して行くのだろう。
 これが在庫管理用を超えてお客との接点にも浸透し始めたというわけなのだが、導入する企業が急速に増え始めているように感じている。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 4:21 PM |

May 2, 2011

「ギャップのチーフデザイナーが辞任、いまだ続くギャップの苦戦」Vol.15,No.18

アメリカ流通eニュース

 ギャップのチーフデザイナー、パトリック・ロビンソンが辞任した。2007年半ばに移籍、同社のデザイン戦略のオーバーホールという大きな役目を担ってきたのだが残念ながら結果が出なかった。
 今年に入ってから同社の役員級の異動はこれで3人目、全国紙は"回転ドアがスピン中"と大きな見出しを載せて動きの激しさを揶揄した。ミッキー・ドレクスラーが辞任して以来ギャップは長いこと低迷し続けており、光明がなかなか見えてこない。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 4:18 PM |

April 25, 2011

「カナダの小売業界のおもしろさについて」Vol.15,No.17

アメリカ流通eニュース

 先日トロントに店舗取材へ行ってきた。2泊3日、正味で二日間、24店舗を駆け足で見て回ってきたのだが、非常におもしろかった。いつも1泊程度でしか行かず数店舗を見るだけで終わらせているのだが、数十店舗を一気に見ると店舗作りの思想のようなものまで分かったような気がする。
 カナダはアメリカと長い国境を接していて人の往来が激しく、人種的にもアメリカと似通っており、一見するとまるでアメリカのような国である。ところが細かく見てゆくとかなり違うことに気づく。
 これはおそらくカナダという国の成り立ちから来ているのだろう。この違いが店舗にも表現されているのである。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 10:13 AM |

April 18, 2011

「小売企業がリードするアメリカのエコムーブメント」Vol.15,No.16 4/18

アメリカ流通eニュース

 4月は22日にアースデーがあるため環境ネタが増える時期である。例えばスターバックスが22日にマグカップを持参すればコーヒーを無料で提供するサービスを実施したのだが、これは紙のカップの使用を減らすことをお客に促すイニシアチブである。
 小売業界では3つほど興味を引くニュースがあったので、ここで紹介しておこう。

*****

 まずはウォルマートから。同社がエコに取り組み始めたは2005年からなのですでに5年が経過したが、おそらく小売業界をはるかに超えてアメリカ全社会の環境イニシアチブのトレンドセッターになっていると私は感じている。ウォルマートが取り組み始めてから米企業のエコ活動が活発化し始めているように思う。
 2005年に開発されたプログラム名がサステナブル360、そのときに設定された三つの目標が、「使用エネルギーを100%再生可能エネルギーとする」、「廃棄ゼロ」、「資源と環境を再生可能とする商品の販売」であった。
 今回この中間発表という位置づけでレポートがリリースされた。例えば"2012年までに温室効果ガスの排出量を20%削減するという目標は2009年末の時点で10.6%削減まで到達"や、"新店とリモデル店舗の、特に青果、ディスプレー、壁に貼り付けられたサインをハイライトするためのライトをLEDに転換、およそ50%消費電力節約を実現"といった項目が並んでいる。長いレポートなので詳細は省くが、着々と進んでいることが分かる。
 次にホールホーズ、クリーニングカテゴリーの全商品にエコ度をレーティングし表示するエコスケール・レーティング・システムと呼ぶ取り組みを始めている。外部機関に委託して各商品を調査しレートをつけ、お客がわかりやすいように赤、オレンジ、黄色、グリーンに色分けし表示する。ホールフーズとしてはオレンジを最低ラインとし、赤の場合は中身を修正するかさもなければ店頭から引き上げるという。
 ちなみにハウスホールド・クリーニングと表現されているので住居用洗剤関連だと思うのだが、衣料洗剤が含まれているのかどうかは店頭で確認してみようと思っている。
 このプログラムはウォルマート主導で始まったサステナビリティインデックスと考え方は基本的にはまったく同じである。各商品がそれぞれの尺度で主張しているエコ度を第三者機関によるレーティングで客観的に評価し、それを分かりやすい表示の仕方で消費者に示そうというものだ。
 おそらくアメリカの小売企業でこれを公的に開始しているのはホールフーズだけで、しかもスーパーマーケットが非食品分野で始めている点で、ホールフーズという企業のユニークさや価値が分かるというものだ。
 ちなみにサステナビリティインデックスには欧米のほとんどの大手消費財メーカーが参加、また大学などのアカデミックな組織や、マークス&スペンサーやアホールドなどヨーロッパの小売企業も参加しており、欧米主導の産学協同で標準化が進んでいる。日本企業の参加が望まれるところだろう。
 最後にセイフウェイ、環境団体のグリーンピースが毎年発表しているシーフードのエコ度ランキングで一位に選ばれている。二位がターゲットとウェッグマンズ、三位がホールフーズである。
 サステナブルな漁獲という取り組みに対しては興味を持つ企業が増えていて、乱獲が懸念されているクロマグロやチリシーバス(スズキの一種)の販売をやめる企業が出てきたり、シーフードのベンダーとの取引に一定のポリシーを設定したりということをしている。魚をあまり食べない民族だけに取り組みも進みやすいように感じている。
 ちなみに環境テロリストとも言われるグリーンピースの活動には賛同できないという個人的な感情はここではおく。

◇取り組みが加速する米小売企業のエコイニシアチブ◇
 日本の流通企業のエコ活動が部分的なのに対してウォルマートにはまず大きなビジョンがあり、そして極めて包括的かつ広範囲でしかも競合も含めて流通全企業に取り組みを解放しているため、より合理的でしかもハイスピードで進んでいるように思う。一般的なエコ意識については日本の方が高いと思うのだが、企業の取り組みという点ではアメリカの方が先行してしまったようだ。
 ホールフーズのプログラムも先駆けているのだが、一般に普及する日もそう遠くはないのではないか。インデックスが標準化を実現したら普及は加速することだろう。
 アメリカのエコは一般の意識はまだまだ低いのだが、学校でリサイクル運動をするなど教育の現場は変わっており、エコな教育を受けた子供達が大きくなるにつれ社会も変わって行くことだろう。いままさにその転換点にアメリカはいるような気がしている。大量消費文化の代名詞だったアメリカも少しずつ変わりつつあるのだが、アメリカを見ているとエコで小売企業の果たす役割は小さくないということが分かるのである。

投稿者: 鈴木敏仁 日時: 9:53 AM |

April 11, 2011

「新キャンペーンの投入で巻き返しをはかるウォルマート」Vol.15,No.15

アメリカ流通eニュース

 ウォルマートが新たな広告キャンペーンを展開中だ。キャッチフレーズは"Low Prices. Every Day. On Everything(すべての商品が毎日低価格)"、価格を前面に押し出すテーマとなっている。ウォルマートのリリースによると、"プライスリーダーシップというプロミスを再生させる"としており、昔の基本に立ち返るというわけだ。テレビ広告では店員を登場させて低価格と節約について話をさせるというアピールの仕方を取っているようだ。
 プロジェクトインパクトが失敗し、役員二人が更迭されたのが昨年の7月のこと、その後歳末までには既存店を上向かせるとしていたのだが結局ダメで、想定以上に時間がかかっていると苦戦を認めたのが歳末後の今年初頭のことであった。
 今回のキャンペーンは次の一手ということになるのだが、果たしてその成否はどうなのだろうか。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 9:49 AM |

April 4, 2011

「上昇するショッピングセンター空室率」Vol.15,No.14

アメリカ流通eニュース

 半月ほど前に経営破綻して裁判所の管理下にあったブロックバスターの処遇が決まった。買収に名乗りを上げた数社によるオークションが開催され、衛星放送サービスのディッシュネットワークが2億2,800万ドルで競り落とした。
 獲得した店舗を衛星放送サービスの拠点とすること、ブロックバスターが持っているオンデマンドサービスとのシナジー効果を期待していること、の2点が買収の目的だそうで、レンタルビジネスは手じまいとなりそうだ。
 ブロックバスターは全盛期に9,100店舗を全米に展開していたのだが、その後どんどん減って、経営破綻後はさらに減っていまは2,400店舗、さらに700店舗の閉鎖が決まっているので1,700店舗まで減ることになる。
 つまりこの企業一社だけで、7,400ヶ所もの空きスペースを作ったということになる。
 景気が悪化して以来、多くのチェーンストアが破綻して撤退しているのだが、それ以上に体力的に弱い中小企業が影響を被っている。そしてその結果がショッピングセンター(SC)の空室率に表れている。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 9:48 AM |

March 28, 2011

「BtoB企業の買収でアマゾンに勝負を挑むEベイ」Vol.15,No.13

アメリカ流通eニュース

 オークションのEベイがGSIコマースという企業を買収した。買収総額は24億ドル(約2,000億円)と大きな投資で、2006年に26億ドルで買収したスカイプに次ぐ規模である。
 この買収、実はネット販売業界への参入を意味しておりEベイの変革への挑戦を象徴するようなものなのである。最も影響を受けるであろう企業がアマゾンだろうと言われていることからも、この買収の意味が分かるというものなのだ。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 9:46 AM |

March 21, 2011

「ウォルグリーンによるドラッグストア・コムの買収」Vol.15,No.12

アメリカ流通eニュース

 ウォルグリーンがネット専業のリテーラー、ドラッグストア・コムの買収を発表した。買収総額は4億2900万ドル。
 ウォルマートを代表として、この1年ぐらいの間にリアルリテーラーがネット強化について言及することが非常に増えた。すべてスマートフォンの急速な普及が影響しているものと思っている。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 9:35 AM |

March 14, 2011

「"集団の狂気~Collective Madness"だったRFID、総括と現状」Vol.15,No.11

アメリカ流通eニュース

 サプライチェーンダイジェストという、流通業界の物流を中心としたメディアがアメリカにはある。ただマテハン系に限らず、製配販の間のモノの流れを包括的にテーマとしているメディアであるため取り上げる内容は多岐にわたる。
 この雑誌がRFIDについて記事を掲載、過去の総括を中心とした記事なので、いったい何が起きて、なぜダメで、いまはどうなっているのかを理解するに非常に分かりやすい。まとめておきたい。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 9:33 AM |

March 7, 2011

「ウォルマート、新戦略で小型フォーマット開発を明らかに」Vol.15,No.10

アメリカ流通eニュース

 ウォルマートの米国事業責任者、ビル・サイモンが毎年恒例となっているバンカメ主催の投資家向けカンファレンスで講演、新たな戦略を明らかにした。既存店のマイナス成長が続いており、プロジェクト・インパクトの失敗後の戦略については内外の注目が集まっていた。
 期末決算の時点で発表した"4つのプラン(Four-point Plan"についての説明があったのだが、興味を引いたのは小型フォーマットについての言及であった。ネイバーフッド・マーケット、マーケットサイドと、すでに2つ開発しているものの、リソースを投入し拡大するということをしてこなかったのだが、ようやく本腰を入れるようだ。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 9:29 AM |

February 28, 2011

「スプラウツが買収で年商10億ドル超え」Vol.15,No.09

アメリカ流通eニュース

 スプラウツ・ファーマーズ・マーケットがヘンリーズ・ファーマーズ・マーケットを買収した。両社がくっつくことで店舗数は98店舗となり、アメリカの小売チェーンのマイルストーンである年商10億ドルを超える。日本だと1000億円のライン越えと同じだろう。
 5年ほど前にスプラウツを初めて見たときには、そのニッチ性から将来性を感じたものなのだが、わずか5年で10億ドルを超えるとは思ってもみなかった。
 この企業、フォーマットもおもしろいのだが、実はここまで来る経緯も面白いのである。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 9:26 AM |

February 21, 2011

「デジタル化時代の波に乗れなかったボーダーズ」Vol.15,No.08

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 先月初頭に書籍チェーンストアのボーダーズが倒産した。サプライヤー(つまり出版社)への支払いでデフォルトを起こして紙面を賑わせ倒産は時間の問題と言われていたことと、10年近く前からすでに業績を落とし始めていていつこうなってもおかしくなかったので、驚くニュースというわけでもなかった。
 昨年9月にビデオレンタルのブロックバスター、12月にはスーパーマーケットのA&Pと、この半年で大手企業が3社倒産したことになる。ブロックバスターの年商は40億ドル、A&Pは88億ドル、ボーダーズが29億ドル、トータルで157億ドル、日本円換算すると1兆5,000億円レベルが一気に破綻したことになる。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 9:25 AM |

February 14, 2011

「ベストバイによるEDLP化の革新性」Vol.15,No.07

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 ベストバイの12月の業績は、売上高がマイナス1.6%、既存店成長率はマイナス5.0%だった。昨年末の歳末商戦は総体として悪くはなかったので、ベストバイの不振は目立った。
 理由として挙げられていたのは、ゲームソフト、テレビ、ノートブックPCの需要減で、つまり消費そのものの減退を要因としていたのだが、しかしながら実際は価格競争でも負けたようだ。ウォルマートとターゲットが11月末のブラックフライデーから最低価格帯のテレビを値下げしたのに対して、ベストバイは12月に入るまで値下げを待ち、この数週間の差が売上に少なからず響いたと同社上級役員が語っている。
 この価格販促をやめてしまって、ウォルマート型のEDLP戦略に転換することをベストバイが検討していることが分かった。歴史的に極めて積極的なハイロー戦略を取ってきている家電業界としては実に斬新なアイディアなのである。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 9:18 AM |

February 7, 2011

「ホールフーズの地産地消プログラム」Vol.15,No.06

アメリカ流通eニュース

 ホールフーズが地産地消型の小規模農業支援イニシアチブを水平展開しはじめた。
 もともとホールフーズはローカル生産者を支援する政策を持っていて、店頭でも生産者の写真パネルを表示するなどしてアピールしてきている。資金を支援するプログラムも持っているし、また一般のスーパーマーケットに比べるとローカル農産物の比率も高い。
 ただ今回のプログラムは自社の業績に直接関与せず、シンプルに地元のローカル生産者を支援するものなので、おもしろい。ホールフーズならではの取り組みと言うことができるだろう。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 9:15 AM |

January 31, 2011

「JCペニーが双方向型のネット端末を120店舗に導入」Vol.15,No.05

アメリカ流通eニュース

 デジタルサイネージ(またはインストアTV)がアメリカで普及しない理由は昨年書いた。人間がPOPを眺める時間は10秒程度が限界で、この10秒間でメッセージを伝えきれる効果的なコンテンツがいまだ作られていないからである。業界では、まだしばらく時間がかかるだろうと見られている。
 つまり現時点においては、デジタルPOPとしての効果はあまりないとみるのが正しい。
 インストアTVにはもう一つ、広告としての機能もある。新聞や雑誌の広告のようにブランドを販促するメディアとしての役割である。この場合、通りすがりにそのメディアを眺める人の数が重要なのだが、アメリカのように人口が希薄で来店人数もそれほど多くない環境においては店舗内の広告メディアの効果は低く、インフラへの投資コストを勘案すると意味がないのだろう。
 つまりいずれにしてもアメリカにおいてはインストアTVを店内に導入する価値が低いのである。だから普及しないというわけだ。
 一方このデジタル広告としの機能にのみ注目するならば、日本の小売店舗の店内に導入する価値はあるのかもしれない。コンビニで店の外側に向けてテレビを設置したり、買い物が終わったレジまわりにテレビを置くのも、単なる広告メディアとして考えるならば悪くはない。ただしスポンサーがどこまで価値を見出すかにもよるだろうが。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 9:06 AM |

January 24, 2011

「販促効果が薄れたアメリカ市場」Vol.15,No.04

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 1月の大手各社の業績はほとんどが予測を超える数値を残し、歳末から引き続きアメリカの消費はプラスとなって、景気が回復してきたような印象となっている。歳末直後の1月の消費傾向はその後を占うバロメーターとしてあまり機能しないと言われてはいるのだが、明るい材料として紙面を踊った。
 この消費について、一つ面白い調査結果があるのでここで紹介しようと思う。ここ数年続いた値下げ販促に消費者は飽きてしまっていて、効果がかなり薄れているという話である。
 つまりいま消費は、メーカーや小売企業による売上増を狙う意図的な販促とはまったく異なるところで動いているというわけなのである。(調査はSymphonyIRIによる)

*****

 アメリカは値下げクーポンをよく利用する文化を持っていて、これがベンチマークされることが多いのだが、昨年のクーポンの償還額は過去最高を記録したものの、上半期から下半期までの推移を見ると20億ドルから17億ドルへと15%もダウンしており、クーポン効果が明らかに減じているようだ。
 店頭の価格販促については、30%以上の商品がなんらかの価格販促を実施しているカテゴリーが全体の60%から70%へと増えていて、販促は明らかに増えている。しかしながら、一回の販促企画による売上増の効果は57%も減っているのである。販促商品は増えているが、企画毎による売上成長率が減っていると言うことは、価格販促による効果は水のように薄まってきているということを意味している。
 この事実を象徴しているのが、昨年前半のウォルマートによる値下げキャンペーンだろう。プロジェクトインパクトの既存店に対する効果が思うように上がらないため、いわば起死回生の一発として大掛かりな価格販促を実施したのだが、効果はなかった。
 この販促、メーカーの支援を受けず自腹で実施したため、失敗の痛手は大きかった。直後に、米国ウォルマート事業の責任者が更迭、マーチャンダイジングの責任者が辞職したのも、その影響の大きさを物語っている。
 また業態の本質として値下げというものを本来しないのがMWCなのだが、ここ数年クーポンを増やしてきたのがコストコで、ところが情報筋からの話として、このクーポンの効果がどんどん薄れてきているのだという。
 分かりやすいのがP&Gだ。12月に石けんや洗剤といった定番商品の売上が減ったのだが、価格販促企画を減らしたのにもかかわらず1月には売上が戻ってきているそうだ。つまり、販促企画とは別のところで売上が増減しているというわけである。
 考えられることは、消費者が価格販促慣れしてしまったということ、値下げしたところで買いだめする余裕が今のアメリカの消費者にはまだ無いということの2つである。調査は後者を理由として採用している。
 ウォルマートは昨年半ばから基本に立ち返るということで、EDLPへの回帰を宣言している。この原点回帰戦略、消費者が価格販促に反応しないという消費状況を鑑みるにまったく正しいということができる。そういう意味でウォルマートの動きは実に早い。

◇いつか飽きられるプロモーション◇
 この調査はさらに、グルーポンにも言及している。150社への調査では32%が儲けが出ず、とくに外食は42%が無駄に終わっていると回答しているそうだ。クーポン以上に出費しない、一回来店するだけで戻ってこない、といった理由が添えられている。またクーポンの発行当初よりも、時間が経つにつれて効果が薄れて行くという結果もすでに出ている。
 要は飽きられてしまうというわけだ。
 さらに今はメールやソーシャルサイトなど、消費者が価格販促メッセージに触れる機会が以前よりも飛躍的に増え、これも効果を減ずるに一役買っている。
 ハイローは麻薬で一回はじめるとやめられなくなる。景気の悪化という環境の変化によって強い麻薬を打ち始めたのだが、薬慣れしてしまってその強い麻薬も効かなくなってしまったといことだ。
 価格販促とは結局そういうものなのである。とりわけどっぷり浸かっている日本のメーカーと小売企業は、この話をじっくり考える必要があると思っている。

投稿者: 鈴木敏仁 日時: 9:01 AM |

January 17, 2011

「アマゾンが取得した"返品を減らすパテント"とは?」Vol.15,No.03

アメリカ流通eニュース

 1月末に発表されたアマゾンの第4四半期の売上高は129億5000万ドルであった。四半期ベースで初の100億ドル超えを達成し、同社にとってきわめて大きなマイルストーンを超えた年になった。通年の売上高は342億ドルで、昨年対比で40%増、この売上高規模で40%も成長するというのは並大抵ではない。
 これを書いている時点でのアマゾンの株価の市場総額は828億ドル、競合のボーダーズ、バーンズ&ノーブル、ブックスアミリオンの三社合計数値の18億ドルの実に46倍に達している。この数値を見る限り、金融市場の評価という観点ではすでに勝負はついてしまっているとしか言いようがない。
 アマゾンが成長している理由はたくさんあげることができるだろうが、一つはネットを起点としつつ新たな市場と仕組み作りに余念がないということを指摘できる。とにかく新しいイニシアチブがどんどん出てきて追いつくのが大変なほどだ。
 今回はその中からあまり知られていない好例を紹介する。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 8:47 AM |

January 10, 2011

ウォルグリーンが新設する新たな部門の意義

アメリカ流通eニュース

 ウォルグリーンが株主総会を開催し昨年の総括と今後の方針を説明した。
「我々のビジョンとは、すべてのアメリカ人にとってのマイ・ウォルグリーンになることだ」これはCEOのグレッグ・ワッソンのコメントである。店舗数は7,600を超え、全米で処方される調剤枚数の25%を占め、アメリカ人の63%がウォルグリーン店舗から3マイル(4.8キロ)圏内に住んでいるという、大きな規模とネットワークを前提とした発言だ。
 例えば、ショッピングセンター内でスーパーマーケットと共存する旧来のやり方の限界を見通してフリースタンディング型とし、さらにドライブスルーを開発するなど、現在のデファクトスタンダードになってしまったとも言えるタイプで業界に先駆けたのがウォルグリーンだ。大企業にもかかわらず変化が早い。
 ところが一方で、意志決定が遅いなど大企業特有の特徴も兼ね備えていて、この企業が持っている社風は極めて興味深い。
 この大企業が景気の悪化をきっかけとして業革に取り組み、いままさに変革の真っ最中である。古くからいた役員クラスの多くがやめ、その代わり外部からの人材を投入するという、ほとんど総入れ替えに近い組織改革も実施している。
 そのような環境の中で、これまた興味深い新しいポジションが新設された。


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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 8:36 AM |

January 3, 2011

ホールフーズの新イニシアチブ、ヘルシーリビングVol.15,No.01

アメリカ流通eニュース

 スーパーマーケット業界で真っ先に景気悪化の直撃を受けたのが高価格帯のいわゆるグルメスーパーであった。食品は景気の影響をあまり受けないカテゴリーだが、高価格帯はやはりまず最初に敬遠されてしまう。
 大手スーパーマーケット(SM)として業績を真っ先に落としたのがホールフーズだ。もともとオーガニック専門店だったものが高価格帯のグルメ型へと転換、オーガニックをメインに据えた高級SMになってしまった。そのためがくんと業績を落としたのであった。
 奇しくも昨年の最初のこのレポートがホールフーズで、方針の転換をテーマにして書いている。具体的には、ヘルシーリビング、グルメSMから消費者のヘルシーな生活に貢献するというコンセプトへ転換したのであった。

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投稿者: 鈴木敏仁 日時: 11:05 AM |

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