2006年5月19日
アラン・ラフリーと質問力

最近P&Gについて追っています。日本ではあまり知られていないことのように思うのですが、P&Gはここ数年大きな変革に取り組んでいて、成功しつつあります。10年前のP&Gとはまったく違う企業へと変わりつつある。
そしてこの変革を引っ張っているのが、The moments of truthで書いたアラン・ラフリーというCEOです。
もしP&Gがこれからさらに成長を続けたら、名経営者として名前をとどめることになるかもしれない、そういうレベルの人だと思っています。

さて今回はこの人のビジネススタイルについて2つ。

まず大変なリスナーなのだそうです。相手の話をとにかくよく聞く。GEのイメルトをして、「スポンジのようだ」と言わしめるほどの聞き上手なのです。
これはとても重要なリーダーの資質だと思います。部下の話をよく聞くことは、彼らの信頼を勝ち得る重要な要素だと思います。
ちなみに私は最悪のリスナーです(笑)

次に、部下に対してとにかくしつこいくらい質問をし、これによって彼らの決断を助けるのだそうです。私はこの質問魔という彼の資質を知って、これもリーダーの大切な資質の一つだと気づきました。
つまり、自分の考えを押し付けることをせず、質問を繰り返しながら、あたかも部下が自分で決断を下したかのように持っていってしまう。結果として自分の考える方向に持ってゆくのだけれど、押し付けではなく、自発的に決めたように持っていってしまうプロセスが優れている。

このことを考えていて、ふと「質問力」(齋藤孝著)という本があることに気づき、日本で購入し読んだのですが、とても参考になりました。

一つ引用すると、最後のエピローグに、「ソクラテスもおもしろい。彼も質問上手であり、質問することがあたかも仕事のような哲学者だ...中略...自分が心理を説くのではなく、相手に質問を発することで相手自身に気づかせていくのだ」、という文があります。

なるほど、ソクラテスも質問魔だったわけです。
ラフリーの大学時代の専攻は歴史でして、ひょっとするとソクラテスからビジネススタイルを学んだ可能性が非常に高いと私は気づきました。
ラフリーに万が一インタビューする機会があって(あるわけないですが...)、このあたりを質問したら、齋藤さんにほめられるやり取りができるかもしれません(笑)

蛇足ながら、家電メーカーのワールプールも変革に成功しつつあるようです。P&Gなどの優良企業が取り組みを学ぶために訪問団を組んで大挙押し寄せているという記事を読みました。だから凋落したメイタグを買収することができたわけです。

鈴木敏仁 (03:52)
ペプシネックス



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