2006年7月30日
ウォルマートがドイツから撤退

すでに日本でも報道されていると思うので事実については詳しく書きませんが、ドイツからの撤退をウォルマートが決めました。全店舗をメトロに売却しての完全退却です。
韓国からの撤退時に、次は日本ではなくてドイツだろうと予測したばかりで、こういうふうにヨミがあたるとうれしいです(^^)v

資産の評価額よりも安く売ったようで、「ウォルマートは撤退を急いだ」のだそうです。文脈からは叩き売りしたような印象があるのですが、なぜなんでしょうね。マイケル・デュークに課せられた使命はボブ・マーチン時代の清算にあるというのが私の見方で、とすると就任時からドイツ撤退は決定事項だった、叩き売りでも何でもとにかく売ると決めていた、と見るのが妥当なんでしょう。

ウォルマートがメトロを買うと言われたりしていただけに、逆パターンになったのは結構意外でした。

資料によると、ドイツの来年の予測売上高は、イギリス、メキシコ、カナダ、日本、ブラジル、中国に次ぐ7位にまで落ちているんですね。01年に4位だったので売り上げが急速に落ち続けている。これだけ落ちれば、売却を考えるのは妥当というものです。

失敗の理由はいろいろ言われています。アルディ等のハードディスカウンターに勝てなかったのが直接的敗因ですが、遠因はインタースパーの買収にあったと私は思ってます。ウォーコーフの有能な人材がインタースパーを嫌って流出してしまったというのは有名な話です。ちょっと言葉が悪いですが、悪貨が良貨を駆逐してしまった。
立て直せると思って買った企業が重荷になってしまったという意味では、アルバートソンズとアメリカンストアズに似ているかもしれません。

この結果ウォルマートはヨーロッパにアズダのみという状況となりました。東ヨーロッパへの進出機会はかなり低くなったと考えられます。ただこれをもってしてウォルマートはヨーロッパから永久に消えると考えるのは早計です。カジノが売却を考えていて、ウォルマートが交渉を持っているという噂もあり、大きな利益を出している企業だけに再びヨーロッパに投資、ということはありえなことではありません。
このことは、韓国撤退のときにも書きましたね。

さてここで皆さんの興味は日本をどうするかということだと思います。
中国、南アメリカ、そしてインドに力を入れようとしていることは確実なのですが、日本については今ひとつ戦略がクリアでないことは確かです。

少なくとも、日本では投資額を増やしたばかりではあり、まだしばらくは格闘しようという意思は持っていると私は思ってます。私が経営者であれば、お金をつぎ込んですぐに撤退するということはしません。

これも以前書きましたが、日本に進出している米国企業の多くが日本で大きな利益を上げているという事実があります。例えばコカコーラは利益の2割を日本ではじき出しているという話があるのですが、マクドナルドなど日本で利益を稼いでいる米国企業は数多い。

いっぽう例えば、ユニリーバやネスレなどドイツでの商品戦略を大幅に見直している大手企業が多いのですが、どうもドイツという国は他とかなり異なっているようです。逆に言うと、ドイツより日本のほうが米国企業にとっては与しやすいような気がする。
日本特殊論を語る日本人は多いですが、ドイツの方が特殊なようで、そう考えると、ドイツから撤退するのは分かるが、日本から撤退するのは...?と見られて、ウォルマートの海外事業の評価ががくっと落ちてしまう可能性が高い。
従って、そのポテンシャルと、周囲の評価を考えると、日本からはそう簡単に引くことはできないだろうと私は考えているのです。

鈴木敏仁 (06:02)
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