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クチコミをマーケティングの一手法と捉えたとき、いったいいくらぐらいの市場となるのだろうか。調査によると、9億8100万ドルなのだそうだ。
クチコミマーケティング協会(Word of Mouth Marketing Association、略称WOMMA)が今月中旬に開催したカンファレンスにおいてリリースされたレポートでは、01年には7600万ドルに過ぎなかった市場が急成長、今年は対前年比37.6%増の13億5000万ドルと10億ドルを超え、そして2011年には37億ドル市場になるだろうと予測している。
急成長している理由として挙げられているのは、まず新聞やテレビといった伝統的なメディアの使用が減ってきていること、次に伝統的メディアに代わるデジタルメディアへのシフトが起こっていること、そして消費者の伝統的メディアによる束縛感がどんどん薄れていること、の3つである。
いわゆる普通のメディアを目にする人が減ってきていること、その分がデジタルメディアに移行していること、普通のメディアを目にしている人も以前のような影響を受けなくなってきている、ということである。
またクチコミマーケティングのROIがはかりづらく投資しづらかったのが、結果を測定するツールが発達してきたことも、市場が伸び始めている要因だと指摘している。
ちなみに、同協会が‘マーケティングサービス’と呼ぶカテゴリーにクチコミは属し、クチコミがこのカテゴリーに占める比率は0.5%に過ぎない。またこのカテゴリー自体の伸びは7.7%であった。成長率が高い理由は、他と比較するといまだ小さな市場だからだと言うこともできる。
‘確立された業界として認められ始めている’というコメントが目を引いた。実は協会自体が存在していることを今回はじめて知り少々驚いているのだが、これも‘業界’という認識がアメリカで広まり始めているからなのだろう。
さて、英語ではバイラルとかバズとも呼ばれるクチコミだが、組織的戦略的に取り組んでいる流通企業の代表がP&Gだ。ネットを利用して消費者を組織、ティーン向けのトレモアが22万5,000人、既婚女性向けのボーカルポイントが60万人、双方合わせて80万人を超える消費者ネットワークを創出してしまっている。その影響力の強さは、自社商品だけではなく、他社も商品販促で利用していることからも分かる。
オペレーションの詳細は省くが、クチコミを広げるカギは、商品機能に関するマーケティングメッセージを伝えるのではなく、共有できる(Sharable)ネタを提供できるかにあるとしている。
例えばアップルはiPodを販促するときに、ミュージックプレヤーであることをメッセージとするのではなく、最もユニークな機能であるホイールのおもしろさを強調することで、クチコミを広げている。企業が伝えたがる商品機能と、消費者がおもしろがる商品機能には違いあり、これを理解することがクチコミ拡大につながるという主張である。
★マーケティングが変わる★
P&Gのアラン・ラフリーは、マーケティングサイドがコントロールできない、消費者のなすがままにまかせなければならない時代が来ているということを、‘Let it go’と表現している。しかしLet it goと言いながら、実はコントロールしようともしているわけで、P&Gのマーケティング戦略は奥が深い。
こういった技術の発達に従って、クチコミが業界として確立してきたというわけである。
ブログ、SNS、そしてYoutubeなどの情報シェアサービスの普及がこの流れに拍車をかけている。クチコミを利用して商品を販売するだけではなく、消費者自身が発信するクチコミで商品が売れたり売れなくなったりする時代だ。
どう利用するか。メーカーだけではなく、小売企業も取り組む時に来ているのではないだろうか。
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