2008年1月24日
[ウォルマート] リー・スコットの政策スピーチ

ウォルマートは毎年この時期に店長クラス7000人を集めての大規模な会議を開催します。期間は2日、その後の2日間にはサプライヤーも集まります。

ここでのCEOのリー・スコットによる政策スピーチから、二つのテーマ(または戦略)がメディアに掲載されました。


1つ目はサステナビリティ、または環境に対する取り組み。リップサービスではなく長期戦略として真剣に取り組んでいて、企業規模が大きいだけに経済インパクトも少なからずあるということは、何回かリテールウェッブでもエントリーしてきました。

興味深いのは、行政が頼りにならない以上我々がやらなければならない、という趣旨のことをスピーチで言っていることです。アメリカは環境イニシアチブについてはヨーロッパや日本の後塵を拝していて動きが遅いのは衆目の一致するところで、だからウォルマートとしてやらなければならないことがある、というわけです。
その意気やよし。
さらに、いつの日かハイブリッドや電気自動車を販売し、駐車場でチャージできるようなサービスを提供することもあるかもしれない、と言っている。これについてはビジョナリーなコメントとして理解すべきだと思うのですが、ウォルマート流のモノを売っていればいいんだというスタンスから少し違うところからの言葉で、なかなかおもしろいですね。


2つ目は、PBM(Pharmacy Benefit Management)の領域に参入する可能性をほのめかしていることです。アメリカの健康保険や医療システムを知らないと分かりづらい領域なのですが、PBMとは、ごくごく簡単に言うと、調剤薬局、保険会社、被保険者、製薬メーカー、の中間地点に立って調剤に関する様々なニーズを処理するサービスのことです。
現在大手三社に収斂されているのですが、、けっこう利益を上げていて、医療コスト削減の流れとちょっと反していて、批判が少し出始めています。
ウォルマートはここに機会がある、と言っているんですね。

社員数が非常に多いですから、自社の社員の調剤を管理するだけでも大きな規模となります。このサービスに、賛同する他社を加えていければ、たぶんビジネスとして成立してしまうだろうなとは思います。もともと調剤売上高全米4位という企業ですから、それほど難しいことではないように思います。

そしてこれも、社会貢献なのだ、という文脈でスコットは語っている。


最近アンチウォルマート運動が下火になっていて、つい数年前のような批判的なメディア露出がほとんどないのですが、こういった戦略的な取り組みが功を奏していることは間違いないように思います。

鈴木敏仁 (02:12)
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