2008年2月25日
[ウォルマート] 強い低価格イメージが意味するところ

シティグループの投資家向けシンクタンクがおもしろい調査結果を発表しています。

「ウォルマートのEDLPメッセージは強く一環しており、厳しい市場環境において消費者に共鳴を与えている・・・なんと87%の消費者がウォルマートが最低価格を提供していると答えている」
「低価格に加えてワンストップショッピング環境を提供しているというイメージもあるが、ターゲットはベーシックニーズのディスティネーションとして認知されていない。これが、ターゲットの既存店成長率が12月にマイナス5%、1月にマイナス1.1%だったのに対して、ウォルマートが二ヶ月続けてプラスを記録した理由の一つだ」


ウォルマートは戦略転換でわずかに方針がぶれましたが、ロープライスリーダーであることにこだわり続けると昨年末の決算でスコットがコメントしているとおり。再び低価格志向へ戻りました。この低価格志向にこの企業は何年こだわり続けているのか、ということをふと考えてしまいました。
途中若干ぶれるけど、必ず戻る。
一貫したメッセージを長年にわたって発信し続けることが、お客をしてウォルマートは安いという安心感を与える源泉であるわけです。


ところでターゲットの数値の落ち込みは要注目かなと思ってます。
ダラーゼネラルやウォルマートの伸びが鈍化し始めたのは原油の高騰が目立ち始めた06年の頃からでしたが、ウォルマートの業績を見る限り鈍化傾向は止まったように感じます。07年度の決算におけるリー・スコットのコメントも一昨年に比べるとかなり明るいトーンでした。
一方ここに来て、ターゲットの業績に悪化傾向が見えてきている。

このことから、中心顧客が低所得層である企業群に真っ先に影響が出たが、これがひと段落し、いまは中所得層以上を中心顧客としている企業群に影響が出始めた、という仮説が立ちます。


偶然こういう記事を目にしました。
西友売却か超大型買収かウォルマートに迫られる決断

「既存店売上高は2007年度通期でわずか1%の伸びにとどまった。前年度の1.9%の伸び率から約半減した。」とネガティブな書き方をしているのですが、いまや果たしてこの見方が正しいのかどうか。ひょっとするといまだ1%も伸びているという表現の方がいいのかもしれない。
「中流層以上を対象にする競合と比べてもウォルマートの業績の伸びの鈍化は明らかだ」とありますが、ウォルマート以外にも伸びの鈍化傾向が今は出てきてますから、現段階で相対評価するならば、ここまでネガティブなトーンで書くのはどうかなとも思います。半年くらい前ならばこの評価は正しかったので、少々鮮度が悪いかもですね。


なんとなく、景気悪化傾向の中、ウォルマートに追い風が吹いてきているのかもしれないなという気がしてます。
コモディティではいまだに圧倒的な支持を獲得しているわけだから、弱いファッション領域をなんとかできるかどうかが今年の業績のカギなんでしょうね。

鈴木敏仁 (03:30)
ペプシネックス



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