2008年8月11日
「セイフウェイ、PBを競合企業でも販売?」Vol.12,No.33

アメリカ流通eニュース

 セイフウェイがPBで成功している。ブランド名はOオーガニック、05年に投入開始したばかりなのだが、今年に4億ドル(約500億円)の売り上げを予測する超ヒットブランドに育て上げた。さらにいっそうの拡販を目論んで、今年の秋から自社以外でも売り出すことを宣言している。
 PBとはこう開発し育てなければならないという非常に良い参考例で、日本の小売業がベンチマークすべき事例だと考えている。

 投入開始は05年だが、全店での販売が始まったのは06年3月である。にもかかわらず、05年にすでに1億5000万ドルを売り上げているというのだからすごい。当初は150アイテムだったが、現在は30カテゴリーに300アイテムに成長、今年度は4億ドルの売り上げを見込んでいる。
 コンセプトはオーガニック、価格はNB並みか若干下回るレンジ設定、オーガニックはプレミアムに属するので、おおざっぱに高中低の3分類をすると、高価格帯にポジショニングする。
 このブランドに加えて、昨年にはもう一つ新しいブランドを投入している。名称はイーティングライト、例えばプロテインやビタミン増量とか、塩分や脂肪分の減量というような、ヘルシー機能に特化したラインである。現在120アイテムなのだが、今年の売り上げ予測は2億ドルで、こちらもすでにかなり売れている。
 この成功を支えているのがPB担当トップのジェームズ・ホワイトという人物である。コカコーラ→ネスレ→ジレットからセイフウェイに来ており、バックグラウンドはメーカー、つまりこのPBはメーカーのロジックで製造販売されているのである。
 これが成功した本質だろう。彼が持っているブランディング技術と、セイフウェイが持っている販売力がうまくマッチしたのだろうと思っている。
 ホワイトは着任早々、既存PBの整理縮小から始めている。ライフスタイル・ソリューションをテーマとして、消費者データ分析をベースとし、ブランドを10に絞り、これをパワーブランドとし、ここにリソースを集中する戦略を取っている。
 この選択と集中の後に、新しいフィールドとしてOオーガニックとイーティングライトを開発したのだが、これはセイフウェイが03年から開始したリバイバルプランの一環でもあるのだ。ライフスタイルという改装フォーマットをご存知の方も多いと思うが、これは“Healthy Living and Wellness”という包括的戦略コンセプトの一部にすぎず、新たなPB開発もこの戦略の一つの柱としてスタートしたというわけである。
 このコンセプトは、店舗、商品、マーケティングといったすべての小売活動をしばるアンブレラのように存在している。これらすべてをカバーするかのように包括的な戦略コンセプトがあるおかげで、すべてがシナジー効果を出し、矛盾なく螺旋を描くようにうまく流れている、そういう印象を持っている。セイフウェイがV字回復した理由なのである。

★他チャンネルでも販売する成否は?★
 この二つのブランドをまとめてベターリビング・アライアンスという名称をつけて、他チャンネルでも販売していこうというのである。営業ブローカーとしてクロスマーク、広告エージェンシーも別個に雇っており、要はメーカーとして機能させてしまおうというわけである。
 先日マリオット系列のホテルに宿泊したときに、フロント横のコンビニセクションの冷ケースにアイテムがあって、すでに市場には出回っている。アジアのカルフールでも売り始めているという話も聞いている。
 ユニークなのは、国内のリテールチャネルでも売りたいとしている点にある。果たして取り扱う企業が存在するのか、また受け入れ企業が存在したとして、ブランド価値が希釈されないのか。
 いずれにしても、小売企業によるゼロから作るPB開発としては近年まれに見る成功例と言うことができ、今後の動向には注目したいと思っている。

鈴木敏仁 (01:37)
ペプシネックス



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