2010年10月11日
[ジンボリー] バイアウトされる理由

子供服チェーンのジンボリーが金融グループにバイアウトされることが分かりました。買収するのはベインキャピタル、総額は18億ドル、現在の株価に23%のプレミアムを乗っけての売却です。

数週間前から売却先を検討しているというニュースが流れていたので驚きではないのですが、ふと気になって財務状況を見たところ、まったく問題ないんですね。
少なくともこの3年間は増収増益で、総資産も伸びているし、かといって自己資本比率も64%で問題なし、期末のキャッシュフローは潤沢ですし。
何よりも株価が60ドル台で、通常経営が行き詰まると10ドル以下に落ちるものでして、経営状態が逼迫していないということは株価が物語っている。

では何故バイアウトされるのか。
業績が傾いたときにのみ"ハゲタカファンド"がやってくる、ぐらいのイメージしかない日本人には分からないかもしれない。
例えば日本のメディアは資本を他者に売ることを"身売り"としか表現できないのだけれど、このジンボリーのバイアウトを"身売り"と表現したら見間違います。

株価収益率が業界平均よりもかなり低く、一方財務状態は健全であるため、バイアウトのターゲットとしては最適だ、というような説明がされているんですね。
このような健全だけど株価が安い上場企業をバイアウトするということはつまり、いまが買い時だから、市場に流通している株も全部買ってしまって手中に収めてしまう、ということです。

経営側の判断は、かなりのプレミアムを乗っけているので既存の株主にとっての利益ともなる、なのでしょうね。

資本と経営が名実ともに分離していて、バイアウトという金融技術が成熟している(たまに成熟を超えて行きすぎますが)、アメリカならではという気がします。


ちなみに個人的な話ですが、ジンボリーは私が業界誌に書き始めたときに初めて本社取材した企業でして思い出深い企業です。
またその記事をあるコンサルタントにパクられて単行本に書かれ、出版社に電話して抗議したのですが、証拠を持って来いと言われ、年に日本に数回しか出張で行かない私にはフォローできないと悟って、あきらめたという曰くがついてます。

それから私は、コピーするならどんどんしろ、自分は絶えずその先を行くよう頑張ればいいじゃないかと、腹をくくったのでした。

ということで、忘れられない企業なんです、ジンボリー。

鈴木敏仁 (02:38)

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