2012年7月16日
カード大手が小売企業による集団訴訟で和解

ビザとマスターカードに代表されるクレジットカード大手が、手数料が不当に高く独占禁止法に抵触するとして小売企業から訴えられていた集団訴訟で、総額72億5000万ドルの和解金を支払うことで合意しました。
クレジットカード企業側は違法を認めていませんが、しかし多額の和解金の支払いと新たな取引ルールを設定することに合意していますので、実質的には二社による独占があったということになりますね。
この手の訴訟に対する和解額としては過去最大だそうです。

裁判はもともと2005年に中小小売企業が起こしたものなのですが、その後集団訴訟となって大手小売企業や中小の多くが参加するにいたっています。資料では原告グループの総数は700万社(またはひょっとすると店舗総数)となっています。


資料を読むに、ポイントは2つ。

まず小売企業はグループを組んでビザ・マスターと手数料を交渉することが可能となります。おそらく小売協会が代表して交渉するようなことになるのでしょう。たぶんこの恩恵を最も被るのはいままで個別に大クレジットカード企業と交渉しなければならなかった中小小売企業でしょうね。
次に小売は手数料を消費者に明示しなければなりません。例えば現金で支払ったら割り引く、またはカードを使うときは上乗せするというようなプライシングがこれから増えてくるかもしれません。ただしカリフォルニア州など一部の州は上乗せ型を規制で認めていないので、割引型が主流になるのかもしれません。
いずれにしても手数料が透明化することで消費者に選択肢が与えられるわけですね。


アメリカにおいてクレジットカードの決済は80%がビザとマスターが占めているそうです。
インフラを独占していますから小売と消費者に選択肢が限られていて、その上に乗ってかなり儲けてきたわけですね。小売企業側はこれをなんとかしようというわけで、例えばウォルマートが決済ビジネスに進出しようとしているのですが、銀行グループによる強力な反対運動とロビー活動で規制されてしまったりしています。
いまだにアメリカで非接触型の決済システムがまったく普及していないのも、この独占で進化が止まってしまっているからだろうと私は考えています。
今のままで十分に儲かるわけで変える必要がないのですから。

今回の結果が決済システムを進化させる転換点になるのかどうか。
今後に注目ですね。

鈴木敏仁 (03:02)

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