2014年5月 7日
[ウォルマート] 検索エンジン専門企業のAdchemyを買収

ここ数日のアメリカのメディアは、ウォルマートのネット販売売上高の伸び率がアマゾンの伸び率を上回ったという記事で埋まってます。
ウォルマートが30%伸びて100億ドル(2014/1/31末)、アマゾンが21.9%伸びて744億ドル(2013/12/31末)。

Eコマースに特化した業界メディアがリリースしてこれに一般メディアが飛びついたのですが、この数値自体はだいぶ前に分かっていたことで、ただ"伸びが上回った"という見方は私もしていなかったので、なるほどと。
アマゾンは巨大な企業となって伸び率が年々鈍化してますが、ウォルマートはまだこれからですので、この状態はまだ当分続くでしょう。

ただウォルマートが売上をきっちり伸ばしているという点が重要ですね。
アメリカのEコマースへの取り組みでメイシーズが一番だという見方をしている業界人が日本には多いようですが、ほんとうはウォルマートです。

さて今日のお題は伸び率ではなくてウォルマートによる買収。
Adchemyという検索エンジンに特化した企業を買収しました。@WalmartLabsが発足以来これで12社目です。

このAdchemyは、例えば"軽い重さのラップトップ"と検索窓に打ち込んだ場合に、"軽い重さ"という単語に反応するのではなく、重量500グラム以下のラップトップを表示する、という技術を開発している企業だそうです。

この買収は奥が深い。

私は検索推奨エンジンの技術は極めて重要だと考えています。
ネット販売には前方機能(購入ボタンを押すまで)と後方機能(購入ボタンが押されてから商品が届くまで)の2つがあり、双方は等しく重要で、前者はとくに検索推奨エンジンの善し悪しが多くを左右すると私は考えています。
ウォルマートは昨年ポラリスと呼ぶ自前で開発した検索推奨エンジンを投入しており、今回の買収はこれを強化するためですね。
アマゾンやFacebookは自前で開発しつつ弱いところは買収で補っていくということを継続してますが、ウォルマートがやっていることはこれと同じ、ネット企業と同じレベルだと思います。

ちなみに自前の検索エンジンを持っている小売企業は、アマゾンとウォルマートだけじゃないでしょうか。
あとはおそらくアウトソースしているはずです。
ベストバイが強化を発表してますが、自前とするかどうかは現時点では不明。

アマゾンのホームページの1ページ目は、いかにノイズを減らすかということを考え続けて作り込まれているのですが、それでも買うときにはまず最初に検索窓に単語を打ち込んでしまうという購買行動を考えてみれば、検索推奨機能がいかに大事かということが分かると思います。

日本の小売業界はフルフィルメントに偏りすぎてます。
言ってみれば店頭を強化せずにバックルームばかりを強化しているんですね。
それと、Eコマース関連企業買収のニュースを日本の流通業界では寡聞にして聞きません。

もう追いつけないんじゃないかと心配が募るばかりです。

鈴木敏仁 (01:27)

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