こういう記事が出ました。
鈴木敏文氏が語る、GMSの衰退に歯止めがかからない理由
このインタビュー内容には3つほど引っかかるところがあるのですが、そのうちの1つ。
『ダイエーも西友も、そしてヨーカ堂も、GMSは皆、アメリカの流通理論を金科玉条にしてきた。それは本部が強いバイイングパワーをもとに安く商品を仕入れ、それを店舗に流して大量に売る、という供給側主導の理論だ。このビジネスモデルは、流通チェーンにとってはきわめて理にかなった形だと言われた』
ECRやSCMが、供給側から需要側へ、プッシュ型からプル型へ、の転換を目指した取り組みだったことはご存知の通りです。
この引き金を引いたのがウォルマートだったことは知る人ぞ知るですが、ウォルマートはかなり早い段階からプル型のシステムを持っていました。
というよりもプル型の萌芽のようなものを持っていて、これをP&Gとの取り組みで昇華させ、周囲の企業があせって変革を急いだ、というのが本当のところです。
つまり、アメリカのチェーンストアは供給側の理論だ、というのは間違いなのです。
「だった」、が正しいのかもしれないですね。
ここから分かることは、日本の大手チェーンストアはその昔にアメリカのチェーンストアから学んだときに時間が止まり、思考が固定してしまい、一方のアメリカのチェーンストアはどんどん進化し変革し、その結果、日米のチェーンストアは違うものになってしまった、ということです。
わかりやすい例を挙げましょう。
ホールフーズは431店舗を擁するチェーンストアですが、各店舗が持っている権限は非常に大きく、いわば個店の集合体なのです。
創業CEOのジョン・マッキーは、個店を集合させチェーンストアにするのはどうすれば良いのか、ということを徹底的に考えて知恵を絞ってきたと私は思っています。
だから他に例のない非常にユニークなシステムを持っているわけですね。
日本的チェーンストアの観点からはホールフーズはチェーンストアではありません。
でもアメリカではチェーンストアと呼ばれています。
チェーンストアの定義とは、11以上の店舗を運営する手法、であって、それ以上でも以下でもありません。
従って、脱チェーンストア、という標語はそもそもありえません。
鈴木敏文さんの言おうとしていることは、チェーンストアとして供給側主導のシステムへ変革しなければならない、です。
脱チェーンストア、ではありません。
同じことがイオンが言っていることにも当てはまります。
彼らが言っていることは、チェーンストアとしてのローカライゼーションまたはデセントラリゼーション、であって、脱チェーンストアではない。
結局のところ日本のチェーンストアの停滞を招いているのは、えらい方達のチェーンストアに対する古い固定概念なのだということが、このインタビュー記事でよくわかったのでした。
脱チェーンストアなどと本質を見誤ったことを言っている限り、変革はできないのではないかと私は危惧しています。
2016年9月 5日
"脱チェーンストア"という標語の危うさについて
鈴木敏仁 (10:13)
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