アマゾンゴーについてメディアにいろんな記事が載ってますが、勘違いが多いなあと感じていて、大切なことをちょっとだけこっそり書いておきます。
2つあります。
1つめは、レジがないことに焦点を当てている記事ばかりなのですが、このフォーマーットの革新性はゼロレジじゃないということ。
ウォルマートやクローガーはもうやってますし、中国でももうかなり一般化しはじめてます。
スマホでスキャンしアプリで決済すれば良いので、新しい技術ではありますが、とんでもなく難しいことでもありません。
恐ろしいのは実はノースキャンです。
天井に張り巡らされたカメラとセンサーと、棚に取り付けられたセンサーと重量計で、人と商品の動きを正確に追跡する。
これはかなり難しい。
できているのはいまのところアマゾンだけです。
ノースキャン+ゼロレジがアマゾンゴーの革新性なんです。
2つめは、エラーはゼロにはできないということです。
商品を持って出たんだけどカウントされなかったという話をSNSやブログで面白がって書いている人がいます。
一般の人ならいいですが、少なくとも業界人は思考が浅薄だということがバレますからやめておきましょう。
不明ロスは必ず起きます。
ゼロにするのは不可能です。
例えば納品率は96~97%ぐらいが最も効率が良く、日本のコンビニのように100%を求めると、サプライヤーが在庫を積み増さざるを得なくなって廃棄ロスが増大してコストがアップし全体効率は悪化します。
この場合、サプライヤーは取引価格にコストを転嫁しますから、最終的にそのコストを支払っているのは消費者と言うことになりますね。
つまり100%を求めることは必ずしも高効率というわけではないということです。
工業経営的な考えではしごく当たり前のことかなと。
アマゾンはエラー率をモニターしているはずです、絶対に。
単に技術だけを見た場合、このフォーマットのKPIはエラー率ですから。
このエラー率が、業界平均の不明ロス率近くになったか、または何らかの基準値に達したから、店舗を公開したのだろうと私は考えています。
私が責任者ならそうします。
そしてこのエラー率をゼロにしようとは思っていないはず。
非効率だからです。
目標にはするでしょうけど。
万引きをしようとしてこの店に入っても、万引きはできません。
でも、悪意のお客にも、善意のお客にも、等しい比率でエラーが起きて、ただで商品を提供してしまうことがある。
善意のお客はそういう意図がありませんから、偶然女神が降臨してエラーが起きて、ただで商品を手にしてしまうと、こりゃ面白いとなってSNSやブログで書くので目立ってしまう。
ということです。
店舗というものに不明ロスはつきもので、アマゾンゴーの認識技術にもエラーはついているのです。
ここで、「エラーが起きて商品がただで手に入った!」、と面白がっていてはしょうがないわけで、我々が興味を持つべきはエラー率がどのぐらいなのかということなのですが、最重要社外秘でしょうから残念ながらそう簡単に分かるはずがない。
どこからか情報が漏れ出てくるのを待つことにしましょう。
2018年2月 9日
アマゾンゴーについて
鈴木敏仁 (04:36)
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