米国のサプリメントは、カテゴリーの総称としてダイエタリー・サプリメント(以降サプリメント)と呼ばれている。ダイエタリーとはダイエットの形容詞だが、英語のダイエットとは実は食事療法というような意味で、体重を落とす行為の総称となってしまっている日本の使用方法は正確ではない。英語で体重を落とす行為は単純に、ウェイトロス、である。
さてこのカテゴリー、米国でのデータ取り扱い上の位置づけはOTCで、つまり階層を作ると、HBC→OTC→サプリメント、ということになる。我が国の場合'健康食品'という名称にくくられることが多いと思うのだが、米国ではOTCであることに注意したい。
そしてOTCにぶら下がる全カテゴリー中、最も売上高が高いのが実はこのサプリメントなのである。表1のように、米国人の大好きな鎮痛剤やド定番である風邪薬よりも、サプリメントの方が売り上げサイズが大きい。しかも、SMやDS等の食品・日用品業態をあわせた総市場の半分以上をDgsが占めているのである。
このように大きなカテゴリーとなっている最大の理由は、ご存知の通り、健康を自分で管理しようという意識が非常に強いことが上げられる。民間健康保険しか存在せず、ヘルスケアにかかるコストに対する意識が非常に強く、さらに健康保険システムの破綻の可能性が叫ばれる中、健康は自分で維持しないと大変なことになるからである。
個人的な話をすると、病気で医者にかかったときに、ビタミンやミネラルの摂取を勧められたことがある。患者と言うものは医者のアドバイスは素直にそのまま実行するもので、これならサプリメントは売れるなあ、などと思ったものだ。
またひょっとすると、ドリンク剤を飲む習慣がないため、その分がすべてサプリメントに集約されているからなのかもしれない。米国人は活力アップのために、錠剤を飲んでしまい、液体で摂取するという習慣がないのである。
(レッドブルなどカフェイン系飲料がシェアを上げていて、徐々に習慣が浸透しつつはあるが・・・)
手元に正確な資料がないため数値検証はできないのだが、サプリメントは荒利益率が高いことでも知られており、売上高の大きさを勘案すると、米国Dgsにとってはドル箱カテゴリーということができそうだ。
そのため、メジャーなDgsはサプリメントの強化に余年がない。例えばウォルグリーンはファマシーカウンターのフロントにサプリメントを並べているのだが、これはお客からの質問に答えやすいようにするためである。
例えばセブオンは、棚を色分けする、分類名を明記する、といった手法で視認性や分かりやすさをアピールしているのだが、目立たない他の競合DgsやSMの売り場に比較すると意気込みを感じ取ることができるものとなっている。
ちなみに表1で分かるように、このサプリメントカテゴリーにウェイトロスは含まれていない。ウェイトロスには食欲を押さえるサプリメントなどが含まれるが、低カロリーのキャンディバーなども含まれているためサプリメントと切り離されている。もしこのウェイトロス商品の一部をサプリメントカテゴリーに含めるとさらに数値が大きくなるわけである。
肥満解消は米国の大きなトレンドであり、ウェイトロスは年率20%以上の勢いで伸びているようだ。
また表2は売れ筋ブランドのトップ5である。後述するようにこれらのフルラインブランドは機能分類せずに独立して棚の上に並べられている。特に強いブランドは、セントラム(Centrum)である。
<続きは月刊マーチャンダイジング06年1月号をご覧下さい>
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