ウォルマート2009の最近のブログ記事

2009年11月16日
[ウォルマート] サプライヤーへの支払いを短縮して金融支援

ウォルマートが金融収縮を背景として、衣料サプライヤーに対して支払い短縮化のオプションを提供し始めました。通常の支払いサイトは60~90日で、これに対して10~15日間のサイトを提供。目的は商品の安定供給を確保するためですね。

資金繰りがたいへんなこのご時世に、ウォルマートの衣料サプライヤーは一息ついていることでしょう

適用を受けられるサプライヤー数は1,000社以上、他の分野のサプライヤーに拡大する予定は今のところないとしています。

小売業というものはすべからく、支払いを長くすることで回転差資金を出して、無利子のファイナンスをサプライヤーから受ける、というのが通常の商慣行なわけですね。
今回のウォルマートのプログラムはその逆で、支払いを短くしてサプライヤーに対してファイナンスを提供しているというわけです。


ウォルマートのサプライヤーに対する姿勢というものが垣間見れるニュースだと思います。

鈴木敏仁 (01:40)


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2009年10月30日
[ウォルマート] 小型フォーマット強化をコミット

先週のカンファレンスで小型フォーマット強化へコミットしたようです。報じているのはPlanetRetail、CEOのマイケル・デュークのコメントを引いているのですが、それよると'新たな革新的なフォーマットを導入する'となっていて、それが既存のネイバーフッドマーケットやマーケットサイドをバージョンアップしたものなのか、またはまったく別のフォーマットの投入を意味しているのかは、今のところ不明です。

先週、ベントンビルの隣町のロジャーズのネイバーフッドマーケットを見ました。オープンしたばかりの新プロトタイプなのですが、ごく簡単に言えばフレッシュをかなり強化していて、従来のコストコントールを重視したフォーマットと一線を画していました。
正直言うと、なるほどこうするのかと、ちょっと驚いた。

たぶん大都市圏への参入を考えてのことなのでしょう。


別フォーマットとしては、ヒスパニック向けのスーパーメルカドがうまくいっているので増やすプランがあることを、カストロ・ライトが明言してます。

それとデジタルメディアへのコミットもコメントしていて、来週中にFacebookでイニシアチブを立ち上げる模様。'デジタルでの存在はこれからかなり大きくなる'と言ってるのですが、これはこの5年ぐらい継続している家電/エンターテイメント強化と連動しているように思います。


我が国の大手チェーンストアは食品と衣料の呪縛から解き放たれることができないでいるように感じているのですが、一方ウォルマートはここ数年家電が最重要だとしていて、対照的だなとずっと思ってます。


<追記>
本日より再び出張で、いまはカナダのトロントにいます。カナダの流通は人口が少ないので小売企業のバラエティは限定されていますが、アメリカやヨーロッパとはまた違う小売企業が存在して非常におもしろいんです。
ちなみに今回の目的はショッパーズ・ドラッグ・マートです。
これからまたしばらくアップデートのリズムが崩れますがご容赦ください。

鈴木敏仁 (06:05)


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2009年10月27日
[ウォルマート] ウィークリーの値下げ販促プログラムを開始

先週の水曜日、投資家カンファレンスの初日におそらく合わせてのことだと思うのですが、新しいプロモーションを始めました。
ウィークリーで商品を変えて値下げを実施する販促プログラムです。期間は年末まで。

選択商品の数は少なくて、先週公的に発表されていたのは、牛ひき肉(精肉)、バナナ(青果)、ビタミンC(サプリメント)、Bakugan Traps(玩具)、ボードゲーム(玩具)、口紅(ビューティケア)、6つだけです。


こういう作業コストが上がることはやらないのがウォルマートの基本的な企業ポリシーですね。
ですからまあ、哲学の根幹に関わる販促プログラムではあるわけです。

今の時期、お客のアテンションを引くためにはやらざるを得ないというわけですが、これが本当にウォルマートにとって良いことなのかどうかは、結果を見ないと分からないところではあります。


ちなみにカンファレンスでは、来年の設備投資など戦略的な発表はいろいろありましたが、戦術的には言及されなかったようです。例えば小型店舗に対する注力という表現はあるのですが、ネイバーフッドマーケットやマーケットサイドをこれからどうするのかという具体的なところには踏み込んでいませんでした。

鈴木敏仁 (12:19)


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2009年10月20日
[ウォルマート] 小型フォーマットへ注力か?

ウォルマートがこれから小型フォーマットへ注力しはじめるという記事をファイナンシャルタイムズ紙が報じました。
ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスといった人口が密集した大都市圏での展開を視野において、これからの成長エンジンにするとしています。

記事によるとネイバーフッドマーケット専用の組織を作り、店舗運営やバイヤー集め始めているそうです。

ただ新聞が報じたことなので100%確実という話ではありません。今週後半にウォルマートは投資家向けのカンファレンスを開催するそうで、そこでこの件についてのアナウンスがあるかもしれません。


ネイバーフッドマーケットは1998年に開発されたフォーマットですが、10年が経過した現在いまだ150店舗に過ぎません。ラスベガス、フェニックス、ダラス商圏といった限定商圏のみでの展開で、それ以外の地域ではほとんど増加していません。

増やしていない理由はROIの高いスーパーセンターへリソースを集中するためということになっているのですが、繁盛モデルになっていないことも理由の一つでしょう。店舗のアソートやプライシングがスーパーセンターを援用したに過ぎなくてスーパーマーケットとしてのおもしろさをいまだに作れていないのですが、結局リソースをこちらに振り向けていないため進化できないでいるのだと思っています。

ただし売り上げが低そうな店舗では店員が非常に少なく、アソートメントや陳列方法など現場をざっと見る限り、低売上高でも利益が出せるよう作業コストのかからないオペレーション構造を持っているのではないかと私は推測しています。

もともとスーパーセンターの成長の限界を見越して開発されたものなのですが、ようやく頭打ちに現実感が出てきたため、本腰を入れ始めようということなのでしょう。
10年越しで別フォーマットを強化し始めるというのも、ウォルマートならではという感じはしますね。

ちなみにネイバーフッドマーケット1号店のオープニングセレモニーに私は参加しまして、当時の経営陣のデイビッド・グラスやトム・コグリンのスピーチを聞いたものです。あれからもう10年が経ったのかと軽い感慨がこみあげてきました。


本日はそのベントンビルに来ています。
明日はProject Impactのモデル店舗を見に行く予定です。

鈴木敏仁 (02:38)


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2009年10月17日
[ウォルマート] ネットでアマゾンと価格勝負

10/16付けのウォールストリートジャーナル誌が、ウォルマートとアマゾンの価格マッチングについて記事にしています。

10/15にウォルマートが発刊前だけど有名な書籍10冊を予約してくれた人に対して、価格を10ドルに値下げするプロモーションを開始。

これに対してアマゾンがすぐに価格マッチさせ、同じ本を10ドルに値下げ。

ウォルマートはすぐに反応し、翌日の朝までに9ドルに落とすと発表。

これにアマゾンも対応して9ドルに値下げ。

そして10/16の午後の時点では、ウォルマートはすべて8.99ドルとしていて、アマゾンよりも1セント安く売っています。


定価が22~35ドルというハードカバーで、完全に赤字販売、ロスリーダーです。
この新刊本をロスリーダーにすると言う売り方は、流通が再販制度で守られている日本ではあり得ないことです。


ウォルマートはネット販売に本腰を入れてますね。
アマゾンと戦おうとしている。


アマゾンは当初ネット業界のウォルマートになると言っていたのですが、もう越えてしまったように思います。これに対してウォルマートが真剣に勝負を仕掛け始めた。

ウォルマートがネット販売に注力し始めた理由は数日前に書いたとおり、プロジェクトインパクトで店頭アソートメントを絞っている分をネットで補完しようとしているのです。

鈴木敏仁 (05:53)


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2009年10月15日
[ウォルマート] カルフールのアジアと南米事業に買収提案

ウォルマートがカルフールのアジアと南米の事業に対して買収提案をしたが、提案価格が安かったためカルフールが断ったという記事を、フランスの経済誌がブログでエントリーしたようです。両社ともにコメントしていないので確証はありません。

一方、カルフールが中国から撤退するという噂が流れていて、カルフール中国の広報が中国のメディアに否定するコメントをしているようです。店舗数と売上高でウォルマートとRT-Martに抜かれたことが噂に拍車をかけている。


この2つ、ほぼ同時にニュースになっていて、カルフールが海外事業に対して何らかのアクションを起こしていることは確かなような気がしますね。

1月にCEOがネスレから来た経営者にバトンタッチされ、以来かなり大胆な施策を打っているようで上半期は赤字だった模様。こういう場合、早期に結果を出さないとまずいですから、大きな戦略的転換がなされる可能性が高まります。


しかし、もり仮にウォルマートが買収するとなるとグローバル流通の図式がまた大きく変わることになり、そんなわけでこのニュースに目が止まってしまったのでした。

鈴木敏仁 (02:47)


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2009年10月13日
[ウォルマート] ネット販売にヘルス&ビューティケアを投入

ウォルマートがヘルス&ビューティケア商品と消耗雑貨の一部をネット販売に投入しました。

ネットを見ると中分類は、ビューティ、ダイエット&ニュートリション、ホームメディカル(介護用品)、インファント&チャイルドケア(おむつ等のベビー用品)、マッサージ&スパ、メディスン・キャビネット(薬)、パーソナルケア、ファーマシー(調剤)、ビタミン&ハーブ、となっていて、必要とされる分野はほぼすべて網羅されています。

とうとうここまで来たのか、という印象を持ちました。
およそ10年近く前にネット販売に参入、ネット向きとされている家電やスポーツ用品から参入し、一方単価と荒利益が低いHBCやグローサリーは避けてきたのですが、とうとうHBCを扱うまでに至ったというわけです。
ふと気づいたのですが、ベータ版と称してすでに食品も取り扱ってまして、これで主要な部門はすべてカバーしたということになります。ただしこの食品、宅配はしておらず、ネットで注文して店舗で受け取るSite to Store扱いということになるようです。

またすでにエントリーしましたとおり、マーケットプレイスで外部ベンダーの商品も扱い始めてますから、取り扱い範囲は極めて広範囲になりました。


ウォルマートは明らかにネット販売を強化しているのですが、理由の一つは店頭でのアソートメントの削減にあります。リアルで減った分をバーチャルで補完する、という戦略であるわけです。

ところで、先週末から昨日にかけて、東海岸まで足を伸ばして出張し、ウォルマート関係者に取材をしてきました。チェーンストア誌での執筆用でして細かいことは書けませんが、やはり実際に人に会って得る情報は貴重だなとあらためて実感しました。

鈴木敏仁 (12:50)


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2009年10月 9日
[ウォルマート] DVD売場を縮小?

ウォルマートが売れ筋DVDを陳列するディスプレーを撤去する予定であるという記事を、今週初頭ウォールストリートジャーナル誌が報じました。
記事の文面がクリアでないため、どの程度を、そして何を、どう縮小するのか、といったことがよく分かりません。
またウォルマートがコメントしているわけではないので、真偽は定かではなく、実際に売場を確認するまでは100%信じることはできません。

ただDVD市場について考えると、これはありえるだろうなというニュースです。


記事に掲載されている事実をいくつか。

◇ウォルマートは全米DVD売上高の3分の1を占めている。
◇今年の上半期、DVD市場は前年比13.5%減の54億ドルとなった。
◇同じ時期に、DVDレンタルは8.3%伸びて34億ドルとなった。
◇デジタルダウンロード(アマゾンとアップル)は21%伸びて9億6,800万ドルとなった。


単純に、市場の減少に合わせて売場を縮小する、ということなのかもしれませんね。
ただ売場の拡縮って面倒ですからけっこう放置してしまいがちでして、もしそうならば、ウォルマートのアクションの早さは相変わらずということになります。

紙面では現在進行中のプロジェクト・インパクトの一環と書いてあったのですが、それもあるのでしょうが、現在の売上とこれからの予測と、これに合わせてしゅくしゅくと売場を変えているに過ぎないのかな、という気がしています。


アナリストのコメントが印象的でした。

「ウォルマートはもはやDVDとブルーレイが集客要素にならないと見なしていることを示唆している、と我々は考えている。」

目的来店性は確実に少しずつ弱くなってきているんでしょうね。


トゥイッターR2Link

鈴木敏仁 (10:54)


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2009年10月 5日
[ウォルマート] 火蓋を切った歳末商戦、10ドル玩具を拡大

昨年ウォルマートは歳末に、10アイテムに限定して大幅値下げし10ドルで提供するプロモーションを実施しました。
10月に入り今年も同じプロモーションを始めたのですが、今年は100アイテムに拡大しているようです。

競合企業が同じ商品をウォルマート価格よりも安く売っていたら、価格マッチすることも表明しています。

昨年はバービーなどの売れ筋を40%程度値引いていました。こちらがその時の写真です。ウォルマートの玩具10ドル販促


7月から8月にかけての新学期セールでは70シートのノートを破格の一冊15セントで売って目玉にしていた企業ですから。1割や2割ではインパクトがないですから、たぶん今年もたぶん4割程度の値引きはやっていることでしょう。


まだ歳末なんて早いじゃないかと思う方も多いでしょうが、年末までもうすでに3ヶ月を切っています。ウォルマートのロールバックは3ヶ月間継続しますから、10月に始めるというのは特別早いというわけでもなく、彼らの通常の販促プロセスにのっとったものなのです。

ただ、値引率が大きい。


トイザラスがポップアップストアで勝負をかけてます。
シアーズも玩具売場を設置する。

玩具を中心として、歳末商戦の火ぶたが静かに切られました。


<追記>
モバイル用のインターフェースを用意しました。こちらのサイトでMovableTypeの簡単なカスタマイズ方法を見つけ、やったらできたものです。
crema design
黒野さん、ありがとうございました。

URLはこちら。
鈴木敏仁のRetailweb

ぜひご利用ください。

鈴木敏仁 (01:04)


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2009年9月 1日
[ウォルマート] マーケットプレイスでネット販売を拡大

ウォルマートのマーケットプレイスウォルマートがネット販売で新たな取り組みを開始しました。アマゾンやeベイがやっている他のリテーラーの商品を自社サイトを通して販売する手法で、ウォルマートはマーケットプレイスと呼んですでに稼働中。リリースによると100万近い新商品の取り扱いを開始したとなってます。

売るのはウォルマートですが、配送や返品など販売以降の処理はすべて他社が行うので、ウォルマートが関与するのは決済だけ、利ざやを稼ぐ商売ですね。


この手法、著名企業にとっては取扱商品を拡大できるメリットがあり、無名企業にとっては無名という理由で買いづらいハードルを打破できるメリットがあります。

ただゲートウェイとなる企業にとっての課題は、他社のサービスクォリティの管理が難しいという点にあります。アマゾンもこれにはかなり苦労してきていて、かなりのノウハウがあるんですね。例えばお客と他社は直接やりとりできずアマゾンサイトのメッセージ機能を使わなければならないのですが、これはアマゾンが内容をモニターするためにあります。
こういう小さな積み重ねが結構あって、だからうまく行っているわけです。

ということで、表面的には簡単そうに見えるけど、実は奥が深い。まあウォルマートの資本力にすれば、そのくらいのハードルは簡単に乗り越えてしまえそうですけどね。


ビューティ360の4号店<追記>ビューティ360の4号店がオープンしたので週末に見に行ってきました。メンズのパーソナルケアに高級ブランドが並んでいるのは確認できたのですが、ディオールやエスティーローダーのようなプレスティージブランドは確認できませんでした。

鈴木敏仁 (02:16)


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