2007年4月30日
「企業による社員監視はどこまで許されるのか」Vol.11,No.18

アメリカ流通eニュース

 3月初頭、ウォルマートがセキュリティの責任者を解雇したのだが、この人物が自分の仕事の中身をウォールストリートジャーナル紙に語ってしまい、波紋をよんでいる。解雇された理由は、同社の広報担当役員とニューヨークタイムズ紙の編集者の電話での会話の内容を盗聴したことだったのだが、つまり社員の活動をひそかに監視する機能が存在していることが白日にもとにさらされて、彼がいったい誰をどこまで監視していたのかに話題が集中している。
 大企業が社員を監視することはもはや当たり前で驚くにあたらないとする見方もあるのだが、はたしてどこまで許されるのか、いろいろ考えてしまう事例である。

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鈴木敏仁 (01:34)


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2007年4月30日
ホールフーズによる新イニシアチブ、ローカルサプライヤーを育成せよ

23日にリリースされた新プログラムによると、年間に1000万ドルをコミットし、ローカルの農家に有利なローンを提供することで、ローカルサプライヤーの育成をはかっていくとのこと。すでに5つのサプライヤーが選ばれ、これから増やしていくとしています。

このローンプログラムのメリットは、低金利、資格審査の簡素化、低手数料、数ヶ月から10年まで期間の選択肢が多い、といったところで、つまりローカルサプライヤーの育成が主眼であるためこれで儲けることは度外視するということです。

このプログラムはどうやら、ローカルサプライヤーの商品を店頭で増やそうとする戦略の一環のようです。例えばローカル地域で配達を生業としている小さな酪農農家からミルクを仕入れて売る、というようなことを強化しているのですね、すでに。
ローカル仕入れの価値は、長距離輸送にかかる燃料コスト削減、長距離輸送用パッケージの簡素化、といったメリットに加えて、お金がローカルで循環するという効果があります。どれも、ホールフーズのコンセプトに合致するものです。

さらに、おそらくこれが最重要ポイントだと思うのですが、オーガニックを強化している普通のスーパーマーケットやウォルマートに対する新たな差別化にもなる。

バイイングパワーとか、SCMとか、効率化とか、グローサリー業界一般で言われていることとは対極に位置する取り組みで、ホールフーズならではじゃないかと思っています。

蛇足ながら、同社はハワイ進出を決めたようです。日本人が目にする機会もこれから増えることでしょう。

鈴木敏仁 (01:12)


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2007年4月27日
サムズ、店舗の組織を改変

DSCF4687.jpgウォルマート傘下のMWCフォーマット、サムズが26日に、店舗レベルにおけるフルタイムマネジメントの組織を改変する予定であることを明らかにしました。
リリースによると、下位レベルのマネジメント職を5つ減らし、その代わりに高位のマネジメント職を3つ新設するとしています。

現在580店舗ですから、およそ1000人が職にあぶれる、という計算ですね。このうち250人は会社を辞めて、ウォルマートへの異動など他のポジションへ移ることになるとしています。いちおうサービスレベルの改善のためと言っているのですが、明らかに経費削減でしょう。縮小均衡に陥らなければ良いのですが。

さてこのサムズ、大げさな表現を使うといまだ迷走中です。コストコを真似て一般会員向けへの転換を志向し、しかしうまく行かずビジネス会員向けに逆戻りし、いままたMDを'女性向き'に変えるなど一般会員志向に戦略が戻ってます。
この件、一度記事にしました。「サムズが女性にフォーカス」
コストコが強すぎるというのが、サムズにとってのつらさかもしれません。いつも比較されてしまう。コストコは超繁盛フォーマットですから、ある意味比較されるほうがつらい。

再びビジネス会員向けに戦略を戻すかもしれません。サムズが一貫性を保つにはもうしばらく様子を見守る必要があると思っています。ひょっとしたら、売却というオプションもあるかもしれない。

 

鈴木敏仁 (02:24)


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2007年4月26日
テスコ、来年2月までに100店舗!

ラスベガスで開かれたプレスカンファレンスで、米事業部門CEOのティム・ンメイソンがコメントしたものです。ラスベガス14店舗、フェニックス20店舗がすでに確定している数値で、ロサンゼルスとサンディエゴについては今後数週間以内におおまかな数を発表するとしています。

「フレッシュで、ヘルシーな食品を売る」
「ビールとチップスを売るビジネスではない」
と、通常のコンビニとは異なることを強調。

どうも予定しているフォーマットは、日本の大泉学園にオープンしたものと同じような気がしてます。

おそらく1号店のオープンは今年後半でして、つまりおよそ半年程度で100店舗をオープンさせるというわけです。話しによると、テスコ本社から人が大勢やってきて、バスでロケハンをして回っているそうです。
じゅうたん爆撃ですね。資本力の違いを感じます。

勝算があるのでしょう。アメリカ人の家にホームステイまでして調査してますし。日本でもおそらくホームステイしたんでしょうねえ。

でも、甘くはないです。
もう一つの外国資本、日本から来たFamima!は全然ダメで、縮小するという話も出ているらしい。ちと悲しい。今でもほぼオリジナルのままのフォーマットで、何かを変えてみようという意思を店頭でほとんど感じませんからねえ・・・。
他国でビジネスをするということはそう簡単ではなくて、これは同じ言語を話すイギリス人にとってのアメリカも同じです。

鈴木敏仁 (02:43)


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2007年4月25日
リミテッド・ブランズがアパレル事業売却を検討か

業績が良くないエキスプレスとリミテッドの売却を検討していると、衣料専門誌が報じたものです。買収を検討している企業名が2つ挙げられており、加えてアパレル事業の責任者ジェイ・マーゴリスによるマネジメントバイアウトの可能性もあるそう。価格は10億ドル程度となる見込み。

アパレル事業のスピンオフはここ数年言われてきていることなので驚くことではないのですが、もともとアパレル専門店チェーンとして巨大な企業となったリミテッドが、そのアパレルビジネスを売却するという話しが出るところに、この企業の凄さというか価値を感じるのですね。

06年度通年の事業部ごとの細かい結果はまだ資料として出ていないのですが、2月に発表された第4四半期の決算によると、ビクトリアズシークレットが既存店成長率10%増、バス&ボディワークスが既存店成長率9%増、一方のアパレルが1%増で、アパレルの数値の低さが目立ちます。これでも業績は改善しているほうなのですが、いまだに不採算店舗が多く、今年度の増床率はマイナス12%となってます。

新フォーマットを開発(または買収)し、成長させ、スピンオフする、これがリミテッドの歴史です。レーン・ブライアント、ラーナー・ニューヨーク、アバークロンビー&フィッチ、リミテッド・トゥー、ストラクチャー、等々売却したフォーマットの枚挙に暇がありません。

一方、ビクトリアズ・シークレット、バス&ボディワークスに加えて、C.O.ビゲロウ、ラ・センザ、ホワイト・バーン・キャンドル、ヘンリ・ベンデール、ディーバ・ロンドンと、現在もたくさんのフォーマットを抱えています。R0010765.jpg

衣料にこだわらず大きな意味での'ファッション'をベースとして、ギャップのようにフォーマットを固定させず、柔軟に姿を変えてゆく。フラッグシップも売却対象として俎上に上げてしまう。はやりすたりの激しいこの業界では、リミテッドによる変幻自在な成長戦略のほうが優れていると考えています。

ちなみにいま私が注目しているのがC.O.ビゲロウ。高級パーソナルケアの専門店フォーマットという、非常に斬新でユニークなフォーマットです。

鈴木敏仁 (02:24)


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2007年4月24日
靴専門店チェーンによるM&A攻防

シューズ専門のチェーンストア、フットロッカーが同業のジェネスコに対して株式の公開買い付けによる買収オッファーを宣言したのですが、昨日ジェネスコが正式に拒否する意思表示をしました。

フットロッカーは今月初頭にM&Aを提案したのですが、ジェネスコから回答が無かったため先週公開買い付けに踏み切った経緯があります。敵対的というわけではなく、Unsolicitedですから'求められていない'買い付けによる買収です。
一方のジェネスコ側には買収オファーを受ける気がまったくないようで、買収オッファーを黙殺し、痺れを切らしたフットロッカーが公開買い付けに踏み切った、というように見えます。

今後はフットロッカーが買い付け価格を上げるか、またはバイアウト企業が出てくるというシナリオが考えられます。一回の拒否だけでやめるとはかんがえづらい。

ジェネスコはトータル2,000店舗という規模のチェーンストアですが、店舗名はいくつか持っていて、そのうち知られているのはジョンストン&マーフィーでしょう。
一方のフットロッカーは世界中に4000店舗を展開していますが、ナイキ依存度が高いため、業態の多角化をはかることが焦眉の急で、これがジェネスコ買収へ動く動機となってます。

鈴木敏仁 (12:29)


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2007年4月23日
ホームデポが小型実験店舗をオープン

ホームデポが大型と小型の2つのフォーマットを新たに開発して実験すると3/27に記事にしましたが(ホームデポの新たな挑戦)、どうやら小型のほうを先週末にオープンさせたようです。

場所はカリフォルニア州サンフランシスコ近郊のコンコルド、今後この地域周辺の大型店舗がマッチしない立地で小型フォーマットを実験するとしています。

すでに書きましたが、ホームデポはビレジャーズハードウェアで一度小型店は失敗してます。エース、トゥルーバリューと、小型フォーマットには競合がひしめいてますし、楽観はできないんじゃないでしょうか。

鈴木敏仁 (02:35)


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2007年4月23日
「米製薬メーカーによる営業リストラと医薬品業界の旧弊さ」Vol.11,No.17

アメリカ流通eニュース

 年初の1月22日、製薬大手のファイザーが来年までに20億ドルにのぼるコスト削減政策を実施することを発表したのだが、このコスト削減には7800人にのぼるセールスレップのレイオフが含まれていた。このリストラ対象となった米製薬メーカーの営業部隊、その実態は洗練されたものとは程遠い泥臭いものだったようで、薬の世界の古い仕組みは世界共通なのではないかと感じ入ってしまったのである。

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鈴木敏仁 (01:32)


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2007年4月20日
ヘレン・ウォルトン逝去

サム・ウォルトンの未亡人、ヘレン・ウォルトンがベントンビルの自宅で逝去されました。87歳でした。
ヘレン・ウォルトンが田舎の生活を好み、そのためサム・ウォルトンが出店先として田舎を選択し、結果として田舎に大きな市場があることに気づいて、田舎のドミナンスを戦略として成功したのがウォルマートです。
そういう意味では、いまのウォルマートを作ったきっかけはこのヘレンさんにあったと言っても過言ではないわけです...。
ご冥福をお祈りします。

鈴木敏仁 (09:34)


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2007年4月19日
コンビニ業界総利益高を上回るカード手数料

先週、全米コンビニエンスストア協会(National Association of Convenience Stores )が発表したところによると、コンビニエンスストア業界全体によって支払われる総カード手数料が、業界全体の総利益を上回ったのだそうです。金額にすると66億ドルに達したそう。

ほぼ同じときに、食品マーケティング協会(FMI)が現在10の州で提案されている規制案についての概要をリリースしたのですが、カード業界に対するコメントはかなり辛らつで批判的な内容でした。

双方のリリースのタイミングには意図的なものがあるように思います。。
アメリカの小売業界とカード業界の間のテンションは明らかにかなり高くなってきているようです。

鈴木敏仁 (06:14)


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2007年4月18日
意外に高いウォルマートのブランドイメージ

少々古いニュースなのですが、ティーンエージャーのブランド意識の調査がWSJ紙2/15号に載っていました。

『好き'Like'、またはとても好き'Love'だと答えたティーンエージャーの比率』

         2003 2006
ターゲット   60%  76%  +16
ウォルマート  70  69   -1
リーバイス   57  62   +5
トミーフィル  42   46   +4
ノーチカ    24   32   +8
グッチ     21   30   +9
アルマーニ  15   27   +12
ティファニー  17  20    +3

(13縲鰀18歳のティーンエージャー1000人への調査)

結構驚きました。
グッチやティファニーといったプレスティージブランドを抑えて、圧倒的に人気のあるのがターゲットで、その次がウォルマートなんですね。

これを日本に当てはめてみると、グッチやティファニーよりも、イオンやヨーカ堂のイメージの方が良い、ということになるのですが、ありえないのではないでしょうか。
アメリカにおいてディスカウントストアが果たしている役割のようなものが、よく分かる調査結果じゃないかと思っています。

鈴木敏仁 (02:58)


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2007年4月16日
ウォルマート、売上ランク1位に返り咲き

大手企業の売上でランクする有名なフォーチュン500が発表されたのですが、ウォルマートがエクソンモービルをおさえて1位に返り咲いたことが分かりました。売上高は3,511億ドルで前年比11.2%増、エクソンモービルは3,473億ドルでした。
ただし最終利益に関して言うと、エクソンはウォルマートの3倍なのだそうで...小売業は儲からないなあ...。

ウォルマートは過去6年間のうちに5回1位にランクされていると書かれていました。'ウォルマートがとうとう世界最大になった、我々も夢を持とう!'なんてことを言っていたのがもう6年も前のことになったのですね。
ちなみに昨年エクソンが1位になったのは、原油の高騰で売上が急増したことが理由でした。

ウォルマートに対して最近批判が多いのですが、とりあえずは、小売業が世界で一番売っているということを、我々日本の小売業界人は心にいつも留めておいて良いと思います。

鈴木敏仁 (04:04)


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2007年4月16日
「米アマゾンによる自動補充システム」Vol.11,No.16

アメリカ流通eニュース

 米アマゾンがグローサリーの自動補充サービスをはじめた。店頭作業に関わる'自動補充'システムではなくて、消費者の'発注作業'を軽減するサービスである。つまり定期的に必要な商品を、いちいち選ぶ手間を省いて自動でお届けしましょうと言うサービスを開始したのである。
 このシステム、SM業界ではネット販売という売り方が登場した当初から将来の可能性として指摘されてきているものなのだが、本格的に取り組もうとしているSM企業を私はいまだ知らない。

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鈴木敏仁 (01:15)


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2007年4月15日
テスコのフレッシュ&イージー、HPをアップデート

アメリカ進出を決めたテスコは、数ヶ月前にアメリカ向けのサイトをオープンしていたのですが、情報を掲載した本格的なものではなくてあくまでも暫定的なものでした。たぶん13日からじゃないかと思うのですが、これが一新され、一応情報が掲載された普通のサイトにアップデートされました。
http://www.freshandeasy.com/

概要を書いたファクトシートもあったのですが、意訳しながら抜書きしてみると...。
○これから5年間かけて4億ドルを投じる。
○フェニックス、ロサンゼルス、ラスベガス、サンディエゴ市場で、今年の後半から開店を始める。
○店舗面積は1万sqf(280坪)以下とする。コンビニエンスな買い物のために意識的に店舗サイズは小さくしている。
○エルセグンドの本社ですでに150人を雇用している。一号店の開店以降、2500人以上の雇用を提供する。
○現在建築中の配送センターにはソーラーパネルを設置する。
○すべての店舗にはLEDを使用するなどエネルギー効率が10%ほど良いクーラーを使用する。
○小さな地域を商圏とし、店に通う時間を節約する。
○フレッシュで栄養価の高い食品を提供することでヘルシーな食生活を支える。
○プライベートブランドには、トランス脂肪酸や添加物を使用しない。

後半部分は環境を意識したステートメントになっていて、進出する地域をなるべく刺激しないようとしている意図を感じます。

テスコは今まではほとんど具体的に何も出してこなかったので、ようやくカタチが見えてきたような印象を持ちました。

鈴木敏仁 (05:00)


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2007年4月13日
ライトエイドが来月にも買収をファイナライズ

ライトエイドの決算が出たのですが、売上高175億ドル(1.2%増)に対して最終利益が1500万ドル(99%減)で、増収だったものの大幅な減益となりました。減益の理由は大きな減価償却があったためで、営業キャッシュフローは黒字ではあります。
ただ既存店成長率は3.4%増で、CVSの8.2%と比較すると半分以下と振るってません。

さてすでに「ライトエイドの買収プラン、株主が承認」で記事にしたことですが、FTCが来月末には最終承認する予定であることが決算と合わせてリリースされました。結局24店舗を手放すことで決着がついたようで、手に入れる予定の店舗数は1800を超えてますから、とりあえずまずまずの結果じゃないのでしょうか。

そしてこれもすでに書いたことなのですが、ライトエイドが描いているように果たしてスムーズにことが運ぶのでしょうか。課題は一杯あると思います。既存店の活性化すら満足にできてない状況であることは、決算を見る限り明らかですから。
他企業買収はそう簡単ではありません。いまのライトエイドにそんなリソースがあるのかどうか。0.5+0.5=1.0、にすらならず、0.5×0.5になってしまうことを懸念してます。

鈴木敏仁 (01:50)


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2007年4月12日
ターゲット、2011年に2,000店舗を目標

昨日ターゲットがアナリスト向けのカンファレンスを開催し、これからの成長戦略を説明しました。

・現在の1,502店舗から、一年間に100店舗ずつ増やしていって、2011年には2,000店舗となる。
・今まで店舗が無かったアラスカ州とハワイ州に進出する。
・最終的には3,000店舗を目指したいが、実質的には2,500店舗ぐらいが上限だと考えている。従ってあと10年間は今の勢いで成長を持続できる。
・あと10年間は成長できるので海外進出には今のところ関心はない。カナダには買収で進出したいと考えているが、積極的には考えていない。
・中国やインドへの進出は、5縲鰀10年後にもっと中縲恪o鞄セ層が増えてからのほうが、わが社の戦略に合致すると考えている。

昨年末にシンクタンクが予想を出していましたが、ほぼあたりでした。
「ターゲットの売上予測、2010年には950億ドルに」

ちなみに同時に発表された3月の既存成長率は12%増、ウォルマートが4%増でしたから3倍の成長率でした。ターゲットはスィートスポットをヒットしたような感があります。

鈴木敏仁 (01:52)


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2007年4月11日
FBIと小売業界が共同で犯罪者データをネット上で構築

FBIと小売業界が協力して小売業を狙った組織犯罪の情報をデータベース化し、両者が活用するという試みが4/9より始まりました。官民共同で取り組んでいるところが非常におもしろいと思っています。
名称はLaw Enforcement Retail Partnership Network、日本語に訳すと、'法執行機関と小売業のパートナーシップネットワーク、となります。

小売業側はNRF(全米小売業連盟)とRILA(小売業界リーダー協会)が主幹事となり、まず業界からの要請を受けて議会が今年初頭に裏づけとなる法案を可決、これに基づいてネットワークが構築されはじめています。

今のところ参加リテーラーは32社、総店舗数は4,600店舗、16,000件にのぼる窃盗事件がすでに登録されているそうです。参加している小売企業と法執行機関(例えば警察)はこれをネットで参照できます。

従来はそれぞれの地域の警察や、個々の小売企業が、それぞれに犯罪を処理してきたため、規模の比較的大きな組織犯罪に対して包括的に対処するということができないできました。これを解決するための取り組みなんですね。

画期的な仕組みの構築なんじゃないでしょうか。日本も店頭の窃盗は頭痛の種ですから、こういう取り組みはベンチマークしてよいことだと思います。

鈴木敏仁 (02:18)


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2007年4月10日
クローガーがバイアウトの噂を否定

大手バイアウト企業がクローガー買収を考えていると、先週の金曜日にWSJ紙が報じました。日本でも翻訳文がニュースとして掲載されていました。バイアウト企業として名前が出てきた会社は、KKR、ブラックストーン、TPG等で、単独かまたはコンソーシアムを組んで買収をオッファーする可能性がある、としてます。
不採算店舗の清算によって利益を上げられるとバイアウト企業は目論んでいる、という論旨でした。

これに対してクローガーのCEOデイビッド・ディロンが昨日、完全否定するメッセージを社員に対して送りました。

このクローガー、果たして魅力があるのかどうか。この企業、もともとレバレッジ比率の高い企業なのですね。だからここでさらにレバレッジをかけて買収して、おもしろいのかどうか、よく分かりません。
また株価は現在高値圏にありますから、いま買収する価値があるのかどうか。

クローガーは6年前から、ファイナンシャルトリプルプレーと称し、営業キャッシュフローの3分の1を負債の返済、3分の2を株の買い戻しと配当、にあてるというイニシアチブを継続しています。
その分、設備投資が犠牲になっていて、店舗の老朽化が進んでいる。クローガーのリモデルレートは19年で、10年以内、できれば6縲鰀7年と言われている現在、非常に遅いのです。
この古い店舗にバイアウト企業は興味がある、と言うことでしょうかねえ。

ただ最近の大手バイアウト企業の資金量を考えると、あながりありえない話でもない。株価が落ちたら、この噂、再燃するかもしれません。

鈴木敏仁 (05:46)


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2007年4月 9日
大工用品と食品は共存するのか?

メナードが、定番加工食品やチルド/フローズンの一部を店舗で扱い始めたそうです。地元紙が報じました。
いまは一部の店舗での実験段階だが、結果は上々としています。

ホームデポは駐車場の一角にコンビニを作るというこころみをすでに実験してまして、コンビニエンス型の食品をホームセンターが扱うということが、トレンドとなっている感があります。

新聞の取材を受けたメナードの社員は'Man fod'と称しているのですが、男が買う食品に絞ってアソートしているというわけです。

もともとアメリカの小型ハードウェアストアは、とくに田舎の小さな店は、雑貨店のようなところがあって、薬も置いたし食品も置いていた時期がありました。また視察で行くようなところではないのでご存じない方が多いでしょうが、今でもそういう店は結構あるのです。

まあですから、買う側に違和感というものはあまり無いかもしれません。ただもし既存のアソートメントを犠牲にして品揃えしているとすると、ちょっとどうかなと思います。メナードを見ていないので、なんとも言えませんが。

少なくともディスティネーションにはなりえないでしょう。ほんとうに、ついで買い。大工さんが朝晩の仕入れ時にちょこっと買う、という程度なんじゃないでしょうか。

アメリカのホームセンターとは、そういう業態なのです。

鈴木敏仁 (04:00)


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2007年4月 9日
「スーパーバリュの中央集権化が持つハードル」Vol.11,No.15

アメリカ流通eニュース

 ミネアポリスには大きな小売企業が3社本社をおいている。ターゲット、ベストバイ、スーパーバリュである。このうちのベストバイが業容拡大で02年に本社を近郊に移したのだが、このビルをスーパーバリュが借りることが3/12に判明した。アルバートソンズの商品部とマーケティング機能をここに移すのだという。また店舗営業の一部もここに統合するという。
 スーパーバリュは小売企業を傘下にたくさん持って来た企業だが、それぞれ独自運営でミネアポリスにすべてを集約するということをしてこなかった。セブアロットもまったく独立した企業として運営されている。非常にゆるい連携関係であり、言ってみれば卸としての取引先の存在と、これらの傘下小売企業の存在は、スーパーバリュにとっては同じだったのである。
 これを、アルバートソンズの買収をきっかけに、一気に集約しようとしている。予定では3年間、しかし実質的には2年間で終えようとしているのだそうだ。

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鈴木敏仁 (01:11)


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2007年4月 6日
ラルフスが新フォーマットを開発?

業界誌が噂として報じました。フレッシュフェアの名称を冠したアーバン型で、仕事の行き帰りの通勤者を狙って惣菜を拡充した店舗だそう。テスコの進出を意識しているのではないかということです。

「ウォルマートがコンビニに進出?」で書きましたが、ウォルマートも刺激されてこの市場を狙っている可能性があります。

攻撃は最大の防御なり。
保守的なアメリカのスーパーマーケットが先手を打てるのかどうか、注目してよいでしょう。

鈴木敏仁 (12:39)


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2007年4月 5日
明暗分けた二大家電ディスカウントストア

ベストバイとサーキットシティがそろって06年度の業績を発表したのですが、両社の状況をくっきりと反映する対照的な結果でした。

ベストバイは売上高16.5%増、純利益21.1%増の増収増益でしたが、サーキットシティは8%の増収だったものの利益は1180万ドルの赤字に転落しました。
ちなみに既存店成長率は前者が5.9%増、後者がフラットでした。

サーキットシティの赤字の直接的な原因は海外事業の減損処理やリストラコストの計上といった特別損失でして、営業利益はとりあえず黒字を出してはいます。

サーキットシティはこの業績発表に先立って人員整理を行っています。高給を取っているベテラン店員を含む3,400人を解雇し、希望する人は低賃金で採用しなおすという荒療治です。
このレイオフ、証券アナリストには評価がよいのですね。しかしながら小売業界人には受けが悪い。当然のことながら店頭サービスの低下が予測できるわけです。短期で評価する証券アナリストと、長期で評価する業界人、という図式を非常に感じました。

薄型テレビの値崩れが激しく、これが家電リテーラーに影響を及ぼしているそうですが、まあ、これだけというわけでもないでしょう。サーキットシティの苦戦はいまに始まったことではないですから。

家電に関して言うと、強いのがウォルマート、コストコ、ベストバイ、そしてネット。これらに苦戦しているのがサーキットシティ、コンプUSA、ラジオシャック、という図式ができあがってしまってます。

話は飛びますが、ベストバイはSecond LifeにGeek Squad Islandという名称で土地を買って出店するようです。キャラクターが常駐してテクニカルサポートを提供するそう。一歩先を行くベストバイを感じるニュースじゃないでしょうか。

鈴木敏仁 (04:29)


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2007年4月 4日
アマゾンがグローサリーの自動補充サービスを開始

この自動補充とは店頭発注の自動化という意味ではありません。消費者に対する新サービス、言ってみればお客の買い物の自動化、ということになります。

名称はSubscribe & Save、取り扱い可能商品から選択すると、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月というスパンで補充頻度を選ぶことができます。発送前に通知が来るのでいらない場合はキャンセルできる、支払いは発送した段階、といった仕組みや、配送料無料というおまけもついてます。

取り扱い可能商品はグローサリー、つまり加工食品と消耗頻度の高い非食品です。サプリメントやビューティケアの一部の商品も含まれています。

このシステム、おそらくネット販売が登場したころからアメリカのスーパーマーケット業界では言われて来ていることなのですが、どの企業も実現するに至っていません。
アマゾンに先を越されたということになります。

昨年くらいからネット販売でレビューとレーティング機能をつける大手小売企業が増えてきているのですが、これもアマゾンが随分前に始めた仕組みです。

少なくともネット販売の仕組みという観点からは、やはりアマゾンはどんどん先を行っている印象が強いですね。

鈴木敏仁 (02:33)


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2007年4月 3日
高騰するカード手数料に規制の動き

4/02にLAタイムズが報じたところによると、クレジットカードの手数料の高騰に憂慮した議会が、カード企業を呼んで公聴会を開くかもしれないのだそうです。また規制による制限を加える可能性も指摘されています。

紙面によると、買い物一回ごとのトランザクションフィーが10縲鰀25セントに加えて、売上高のおよそ2%(平均値)が手数料として請求されているとのこと。年間に消費者はおよそ300ドル程度を手数料として負担している計算となるそうです。

また01年から昨年にかけて商業組織が手数料として支払う費用は2倍に増加していると業界団体が見積もっています。

増加している理由は手数料自体の値上げに加えて、手数料がもともと高いカードをクレジットカード企業が増やしていることと、さらにカードそのものをもっと使うよう販促しているからだと指摘しています。

団体訴訟を起こしている人のコメントがおもしろい。「現金などのクレジットカード以外で支払っている人たちは、高い手数料を相殺するために設定された高い価格を支払っている」。
つまり、手数料が高騰したため売価が高くなり、現金払いの人はその分損をしているということを言いたいわけですね。
ちょっと表現がおかしいかもしれませんが、消費者としてはカードを使わないと割り勘負けするわけです。
これは目からウロコのロジックでした。

ウォルマートはこの手数料をなんとかしようとして自分で銀行を設立しようとしました。いったんはあきらめましたが、やはり別の方法を考えているようです。

消費者からは見えづらい独占状態なので表面化することがあまりなかった分野なのですが、議会が規制を考え、メディアが報じ始めたことで、これから動きが活発化しそうな気がします。

鈴木敏仁 (05:19)


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2007年4月 2日
ジョン・メンザーの異動

ウォルマートの上級管理職に異動がありました。ジョン・メンザーが国内ウォルマート事業の統括という役割をとかれて、Chief Administrative Officer(最高管理責任者)というタイトルが追加され、商品調達やシステム、人事、不動産、金融など、バックオフィス関係をすべて統括することになりました。

この結果、ウォルマート事業部門の統括責任者であるエデュアルド・カストロ・ライトはCEOリー・スコットの直轄に置かれることになります。

リリースには、「It makes sense that the company's largest operation reports to the CEO directly」、つまりCEOが最大の事業部門の責任者とダイレクトにつながるのは当然だ、と書いてあります。

この人事が何を意味しているのかにつて、いろいろ考えてしまいます。メンザーがどうして異動したのか。現時点においては、はっきりした理由は分かりません。

WSJ誌はスコットの後継としてカストロ・ライトを真っ先に書いており、そのあとにサムズのトップのダグラス・マクミロン、そしてメンザーとクレイグ・ハーカートが続いていました。国際事業部門に移ったマイケル・デュークは抜けていた。

スコットは現在58歳、メンザーは57歳、スコットが引退を考えるときは、メンザーも引退が近い。一方のカストロ・ライトは52歳、マクミロンはたしか30後半か40前半だったと思います。

人事を予想するのは、なかなかおもしろいものがありますね(^^)

鈴木敏仁 (03:40)


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2007年4月 2日
「時代の波に乗らなかった書籍チェーン、ボーダーズの赤字決算」Vol.11,No.14

アメリカ流通eニュース

 アメリカで書籍を専門とするチェーンストアはバーンズ&ノーブルとボーダーズが双璧である。
 両社ともに第4四半期の結果と通年の業績を発表したばかりなのだが、まずボーダーズが増収だったものの赤字を計上、大がかりなリストラプランを同時に発表し、一方のバーンズ&ノーブルは増収増益だったものの予測を下回っていて、さらに今年度の業績予想も下方修正している。
 とりわけボーダーズの業績悪化は、書籍市場の大きな変化を象徴しているようだ。

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鈴木敏仁 (01:09)


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