2007年6月29日
ベストバイの強気な成長プラン

ベストバイが株主総会を前にして新たなプランをリリースしたのですが、非常に強気な姿勢で好調ぶりをデモンストレーションしました。

カナダも含めた北米の目標店舗数を、1,400店舗から1,800店舗へとおよそ40%近くかさ上げするとしています。この1,800店舗のうち国内が1,400店舗としているので、現在の852店舗から500店舗以上も増やす計画を立てているわけです。

またパシフィックセールスの目標店舗数を200としてます。このフォーマットをそろそろ増やすということはアナウンスしていたのですが、具体的な数値が出たのは今回が初めてじゃないでしょうか。

株主満足のための、55億ドルにのぼる株の買い戻しと配当の30%増額、というプランも合わせて発表しました。

ベストバイ絶好調です。

鈴木敏仁 (01:34)


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2007年6月28日
セイフウェイがレストランをオープン

サンフランシスコエリアでオープンさせたそうです。名称はCitrine、Oオーガニックといった自社ブランドを使用したメニューを提案するとのこと。また店内で提供する予定の惣菜をこのレストランでテストするようなことも考えているそう。

ウェッグマンズは店舗内で本格的なイートインを提供してますし、さほど珍しいことではないと思うのですが、ナショナルチェーンが一歩踏み込んだことに価値があるのでしょうね。

カギは相乗効果にあるわけで、成否の行方には注目でしょう。

鈴木敏仁 (04:18)


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2007年6月27日
リミテッドの方向性と革新性

銀行主催のカンファレンスでリミテッド社の執行副社長が、'アパレルビジネスからは完全に軸足をはずし、リミテッド店舗の戦略的オプションを検討している'とコメントしたようです。
そのかわりに、ビクトリアズ・シークレットとバス&ボディワークスに集中するとした。
規定路線だろうとは思ってましたが、リミテッド本体をどうするか考えている、という公式発言ははじめてじゃないでしょうか。たぶんかなり近い将来売却するのではないでしょうか。

デイトンハドソンがターゲットを開発し、子会社のほうが大きくなって、デイトンハドソンを売却したのと同じです。
フォーマットというものは固定したものではなく、消費者ニーズの変化に沿って変幻自在に変わっていかなければならない。この状況下で、他フォーマットを開発し育て、最後には乗り換えてしまうというやり方も一つの手法として存在する。リミテッドを見ているとそういうことを思ってしまいます。

小売市場レベルで言うと、リミテッドブランズによるビューティケア/パーソナルケアの総売上高は全米5位である、というコメントもありました。P&Gが1位、エステーローダーが4位だそうです。
(2位と3位が誰なのかの言及はなかった。現在出張中なので、後日調べてみようかな...)

ビューティケア/パーソナルケア商品を、衣料リテーリングのロジックで売る。これがバス&ボディワークスが持つビジネスモデルの本質的な革新性です。ことこのフォーマットについてのみ言うと、衣料という商材をビューティケア/パーソナルケアという商材に乗り換えただけ、ということもできるのです。

鈴木敏仁 (03:59)


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2007年6月25日
メイシーズ買収の噂で株価高騰

6月20日、買収されるのではないかという噂が飛び交って、メイシーズの株価が10%近く高騰しました。誰が買うという話はまったくなくて、買収される場合の予定株価だけが流れたそうです。メイシーズは噂に対するコメントはないとしてます。

単なる噂に過ぎないのですが、なるほど、そういうこともありなんだろうなと、けっこう一人で合点がいったのですね。
メイを買収し店舗名をメイシーズに一気に変え、会社名もフェデレイテッドからメイシーズに変えて、一つのチェーンストアとして生まれ変わったわけですが、当初の想定よりも業績が上がらず、なにかといろいろ言われ始めています。

バイイングオフィスが依然全米7ヶ所に分散していて、店舗名を統一するにとどまっていることを指摘する声も上がってます。JCペニーはこの10年弱をかけて商品調達を1ヵ所に収斂し、これが成功していることはすでに周知の事実です。ノードストロムも1ヵ所にまとめたし、コールズも1つだけ。

これが、経費率の違いになっているという指摘もある。ノードストロム約27%、コールズとJCペニーが約25%なのに対して、メイシーズは32%。これが価格競争力の弱さにもつながっている。

まあこういう話はおいて、こういう企業はバイアウトのターゲットとなりやすいなということに、今回の株価高騰ニュースで気づいたのでした。

鈴木敏仁 (06:14)


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2007年6月25日
「ホームデポによるHDサプライの売却、投資家が果たした役割とは?」Vol.11,No.26

アメリカ流通eニュース

 ホームデポが傘下に抱えるプロ向けの卸事業、HDサプライの売却が正式に決まった。総額は103億ドル、買うのはバイアウト企業三社によるコンソーシアムである。ナーデリ辞任以来、決定事項となっていた案件ではあったが、会社が進捗状況について一切口をつぐんでいたため、なにかといろいろ噂に上がっていたもので、ようやく決まったかと言う印象が強い。
 相手がバイアウト企業である点がいかにも今のアメリカ市場を象徴しているようでおもしろいのだが、なによりも、事業売却をせっついたのが投資家サイドである点がさらに興味深いと思っている。

鈴木敏仁 (01:02)


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2007年6月22日
ウォルマートによる金融事業、次の一手

ウォルマートが銀行業参入を断念でエントリーした通り、ウォルマートの金融事業参入は業界からの反発により反故になりました。そのとき私はたぶん別の方法を模索していると書きましたが、なるほどそういう方法で入ってきたか、というニュースです。

20日のリリースによると、やろうとしていることは2つあります。チェックの現金化サービスと、プリペイド方式によるビザカードの発行。

前者の名称はマネーセンターで、来年末までに1000店舗に導入する予定。これは日本人にはよく分からないサービスではないかと思いますが、アメリカには銀行口座をあけられない人が一杯いまして、小切手で給料をもらうことになり、これを手数料を取って現金化するビジネスがあるんですね。低所得層のエリアに行くと、あちこちにCheck Cachingと書いた看板を掲げる小さな店が一杯あります。
これをウォルマートが低い手数料でやると言うわけです。また請求書の支払い代行や送金代行なんてことも一緒にやるようです。

後者も対象は同じなのですが、こちらはクレジットカードをもてない人たちに対して、事前にお金を預託させ、これを信用としてクレジットカードと同様の機能を持ったカードを発行すると言うものです。
普通の銀行もおなじようなことをやっているんでが、口座の開設が前提となるので、口座を持てない人にとっては朗報でしょう。

なるほど、こういう切り口から入ってきたのかと、ちょっとうなりました。支持層をちゃんと理解し彼らにソリューションを提供している点がウォルマートらしい。これなら銀行業界も文句の言いようが無い。

ところで最近知ったのですが、クローガーのカード事業は、住宅金融までやってるんですね。アメリカの小売企業、けっこう金融事業に力を入れてます。

クローガーが銀行とのパートナーシップでやっている点が、自分で作ってしまおうとしたウォルマートとの違いといったところでしょうか。
ウォルマートにはこれ以上高い手数料を取られたくないというモチベーションがありましたから、パートナーを組むということはオプションには入っていなかったんでしょうねえ。

>>来週再び一週間の出張となります。今回はボストン→シカゴ→NY。エントリーのペースが乱れるかもしれませんが、ご容赦下さい。先週の出張の模様はR2Linkにアップしてありますので、興味のある方はのぞいてみて下さい。

鈴木敏仁 (12:23)


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2007年6月21日
ホールフーズ対FTC

ホールフーズが、傘下にあるヘンリーズ(29店舗)とサンハーベスト(8店舗)を、ワイルドオーツ買収が成就した場合に売却する準備があることを明らかにしました。
予定している売却相手はアポロマネジメント・・・有名なバイアウト企業ですね。

さてホールフーズのCEOジョン・マッケイは、ブログで今回の買収の正当性をきっちりと説明しています。おそらく小売業界広しと言えども、上場企業のCEO自らがブログで書き、しかもコメントを許しているというのはマッケイだけじゃないでしょうか。
さすが創業者。こういう人だからこそ、ホールフーズと言う極めてユニークなビジネスモデルを作り上げることができたのでしょう。マッケイと言う人がどういう人なのか、垣間見ることができると思ってます。

おもしろいのは、FTCに噛み付いている点です。
どうやらマッケイはワイルドオーツ買収について、取締役や経営陣に「これで競合が永遠に無くなる」的なコメントをしていて、これがFTCになんらかのルートで漏れて、FTCはこのコメントを問題視する書類を法廷に提示している。
これに対してマッケイは、「もし競合をなくすことが本質的に悪い、または間違っていることならば、FTCは永遠に買収を許すべきではない。ほとんどの買収案件は競合を市場からなくすこと目的としているからだ」とブログで反論している。

最近普通のSMがオーガニックを強化してます。我が家でも、毎日食べる乳製品にオーガニックを求めることが多いのですが、わざわざホールフーズに行く必要が無くなってしまっている。
つまり、ワイルドオーツをホールフーズが買収したところで、競合が無くなるということはありえず、長期的に見た場合、おそらくホールフーズは徐々に売上を落としてゆくだろうと私は感じてます。
つまり、FTCの言っていることには無理があり、マッケイは正論を吐いていると私は思うわけです。

そして、このように正面切って噛み付きつつ、一方で買収できたら37店舗を売却する用意があると妥協案を提示している。
実にしたたかな交渉戦略じゃないでしょうか。

鈴木敏仁 (02:30)


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2007年6月20日
ホームデポがプロ向け事業のHDサプライを売却

ナーデリ辞任後に売却を検討していることが明らかにされ、しかしその後ずっと音なしだった案件ですが、ようやく決まりました。

買収するのはバイアウト企業が複数集まってのシンジケートで、買収額は103億ドル、日本円にすると1兆円をかるく超える大型案件となりました。シンジケートを形成するのは、ベインキャピタルやカーライルグループといった錚々たるメンツです。

ホームデポは同時に225億ドルを投じて自社株の買い戻しをするそう。日本円だと2兆円を超えます。アメリカ史上5番目に大きな買戻し投資額だそうです。

HDサプライは97年に立ち上がって以来買収の連続で大きくなってきました。しかしその数多くの買収企業の統合が考えているほどスムーズに行っていないこと、シナジー効果があがっていないこと、ならばこの際売ってしまいリソースを本体に集中したほうがいいのではないかと言われてきたものです。

これを主張してきたのが投資グループであり、アメリカらしいなと感じているのは、投資グループの主張を受け入れるかたちでホームデポが売却を決めたことにあります。日本ではこういうことはまだまだないでしょう。
つまり、HDサプライは黒字事業ですから、あせって売る必要も無いということもできるのです。例えば日本の大手GMSは雑多な事業を多く抱えていますが、リソースを集中するために黒字であっても他事業を売れと投資家が主張し、これをGMS側がすんなり受け入れるかどうか、ということです。

ちなみにCFOのキャロル・トムによると、HDサプライ事業への投資の総和は85億ドルで、売却額が103億ドルなので、とりあえず叩き売りではないことを強調しています。

鈴木敏仁 (03:04)


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2007年6月19日
ケロッグが子供向きの広告を制限

食品大手メーカーのケロッグが14日、子供向けの広告に制限を設けることを発表しました。12歳以下の子供が対象で、一定の成分基準を満たしていない商品については広告しないとしてます。
一定基準とは、200カロリー以下、トランス脂肪酸ゼロ、飽和脂肪2グラム以下、だそう。

要するに、太る、または健康にあまり良くない商品は、子供に積極的に売らない、ということです。
この件、「どうして?」と思う方も多いと思いますが、メーカーによる広告の影響が馬鹿にならないということをアメリカは良く理解していて、とくに子供は素直に広告を信じて刷り込まれてしまう危険性が高く、肥満問題が顕在化している中、一つの解決策として広告を制限することが俎上に上がっており、訴訟問題になるまえに自主規制しよう、というわけですね。

タバコやお酒の子供向けの広告が禁じられているのと同じロジックを、子供向けの食品にも適用するというのは、ある意味アメリカならではじゃないでしょうか。

鈴木敏仁 (03:38)


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2007年6月18日
トゥィーターの倒産

トゥィーターという家電専門チェーンが6月11日に倒産しました。連邦破産法11条を申請して更正手続きを開始、負債の総額は示されていないのですが、6億ドルの債権企業向け融資が決まっており、これをベースとして今後清算するのか再建するのか検討されることになります。

この企業、売上高7753万ドル、店舗数153で、中堅リテーラーといったところでしょうか。専門店チェーンとしてはベストバイ、サーキットシティ、ラジオシャック、がいて、この下あたりに位置する企業でしょう。フルラインチェーンとしてのウォルマートとターゲットの部門としての売上高よりも小さい規模の企業かもしれません。

倒産の直接的な理由は薄型テレビの急速な値崩れにあるようで、この値崩れの引き金を引いた張本人がウォルマートと言われてます。昨年の歳末商戦での、NBの500ドル近い値下げが、他社へ一気に波及し、これで利益を出さなければならなかった企業を直撃したというわけです。

サーキットシティは70店舗の閉鎖と3400人の解雇を発表してますが、この中堅企業の場合は倒産となってしまった。

ただ薄型テレビの値崩れは直接的な理由に過ぎず、本質的な問題は他にありそうです。決算数値を見ると、98年の上場後3年間の黒字を経て、以来ずっと赤字決算なのです。
ネットで社史を眺めたところ、上場以来10店舗程度の小規模チェーンの買収を繰り返していて、これが足を引っ張った可能性が高そうかなと。小さな買収を繰り返して小さく拡大するだけでは、巨大なチェーンストアに対抗することは不可能。それよりも、フォーマットの革新に力を注ぐべきだったのかもしれません。

エンターテイメント+家電市場は急速に変化しています。これほど動いている市場は他にないんじゃないでしょうか。チャンスも大きいけど、ふるい落とされていく可能性も高くなる。トゥィーターはふるい落とされた典型例という気がします。

鈴木敏仁 (03:10)


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2007年6月18日
「トゥィーター倒産、うねりが続く家電市場」Vol.11,No.25

アメリカ流通eニュース

 6月11日、トゥィーター・ホームエンターテインメントという家電専門店チェーンが連邦破産法11条の適用を申請して倒産した。負債の総額は示されていない。6億ドルの債権企業向け融資がすでに決まっており、これを元手にして売却かまたは清算かが今後検討されることになる。
 サーキットシティやコンプUSAが大きなリストラを始めるなど、家電系の小売企業がここにきて一気におかしくなってきているのだが、引き金を引いたのはやはりウォルマートなのである。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (01:01)


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2007年6月16日
UConnect Conferenceからあれこれ

GS1 US主催によるUConnect Conferenceという名称のカンファレンスが6/4-7に開催されました。データ同期に関するトピックで、ウォルマート、コカコーラ、ヒューレットパッカードの流通大手三社の幹部が話をしたのですが、データ同期問題よりも少々違う話題にひっかかりました。

<ウォルマート>
衣料のライフサイクル(デザインから店頭までという意味)を50週から6週に減らすのに2年を費やした。
>>H&Mは6週間でラインを入れ替えるそうですね。今の時代のアパレルには極めて短いサイクルが必要なのですが、ウォルマートの6週間というのは軽い驚きでした。

<コカコーラ>
ボトラーとの共通プラットフォームを持つことの重要性。
>>これはデータ同期を念頭に置いてのことですが、ボトラーの存在がボトルネックとなりつつあるコカコーラにとっては、確かに重要な取り組みでしょう。

<ヒューレット・パッカード>
750あったデータマートを1つのデータウェアハウスに収斂した。
>>これを牽引したのが、前デルのCIO、元ウォルマートのCIOでもあるランディ・モットなのです。ウォルマートでやったことをHPでも実現した。ウォルマートのやってることって、HP等の大メーカーよりも先に行っているという証左です。

鈴木敏仁 (06:01)


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2007年6月14日
ダンハンビーがアトランタにオフィス新設

テスコ傘下のデータ分析会社(とくにロイヤルティマーケティング)、ダンハンビーがアトランタに2つ目のオフィスを開設するそうです。これまではクローガーの仕事を受けてシンシナチにオフィスを持っていました。

どうやらホームデポとコカコーラの仕事を受けるらしい。
ということは、ホームデポがロイヤルティマーケティングを始めるということでしょうか。またコカコーラの仕事とは、小売各社から集まるデータを分析するということでしょうか。
いろいろ考えてしまうニュースです。

ちなみにテスコはLMでもっとも進んだ企業だと評価されていますが、ダンハンビーがその仕事を担っています。テスコがこれからアメリカで店舗を増やそうとしている中、クローガーとダンハンビーの関係がどうなるのか、けっこう興味深いところなのです。
もう一つちなみに、テスコはセイフウェイのネットビジネスにも子会社を通して関与してましたが、こちらはすでに関係が壊れています。

鈴木敏仁 (07:00)


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2007年6月13日
クリスピークリームの赤字決算

今回は日本にも出たクリスピークリームの話を。第1四半期に昨年の600万ドルを上回る、740万ドルの赤字を計上しました。売上高も減収。

去年の7月に書いた記事はこれ。
クリスピークリームが日本上陸

同社の株価は8ドル前後です。一般的にアメリカでは、とりわけ大きな企業については、10ドルを割り込むといろんなことが言われ始めます。買収されたほうがいいんじゃないかとか、倒産するとか。
クリスピークリームはもう数年こんな状態なんです。再建に時間がかかっている。スィーツってほんとうに浮沈が激しくて、ブームが去ると一気にいってしまいます

ちなみにアイスクリームを導入するなんてことも言ってるんですが、ちょっとやることが違うような気もします。

日本で行列している人たちって、本家のこの状況を知っているんでしょうかね。

鈴木敏仁 (04:13)


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2007年6月11日
ベッド・バス&ビヨンドによる低業績予想

6月6日に第1四半期の業績予測を出したのですが、ウォール街の予想を下回り、株価が下がりました。理由の大半は住宅関連需要の減退にあるようで、これはホームデポやウィリアムズソノマといった企業の業績悪化と基本は一緒です。ちなみに決算の公式発表は6月27日です。

BBBは非常に堅固な財務内容を持ってますし、派手なパフォーマンスはないけど手堅いビジネスで有名な企業です。また市場という避けることのできない外部要因によるものが大きいようなので、いますぐどうのというレベルではありません。
ただふと思ったのは、この企業が持つあの有名なプロトタイプって、導入からどのくらいたっているんだろうと。買いやすく、衝動買いしやすいフォーマットだし、プレゼンテーションも素晴らしいし、基本的に言うことはないのですが、そろそろ飽きられてきてはいないかという懸念をちょっと持ちました。

なにかこう、もっとドラマチックな変更を加えたプロトタイプをそろそろ導入してもいいんじゃないかとも思うわけですね。業績が悪くないいま何かをやらないと、もっと業績が落ちてしまってからでは手遅れとなってしまうかもしれない。
杞憂なんでしょうけどねえ...。

鈴木敏仁 (02:17)


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2007年6月11日
「成長スピードを減速、ギアをシフトするウォルマート」Vol.11,No.24

アメリカ流通eニュース

 ウォルマートが株主総会を6月1日に開催した。いつもどおりのフェスティバル型だったようだが、今回からほぼリアルタイムで総会の模様がサイトに公開されたため、派手なパフォーマンスが手に取るように分かるようになった。上級幹部一人一人のスピーチもそれぞれ収録されて、彼らが何をどう語っているのかも仔細に分かるようになった。
 もともとは田舎まで来てくれない投資家をなんとか呼ぼうとし、そして来てくれたらもてなそうとしてサム・ウォルトンが始めたものである。そもそも良いことがあったら騒いで楽しんで、これを社員のモチベーションアップとしていた人だったのだが、株主総会にまで持ち込んだところに彼の常識に縛られない発想の豊かさがあったわけだ。

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鈴木敏仁 (01:00)


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2007年6月10日
現存する全米最古のドラッグストア

IMG_0274.jpg昨日から大手メーカーさんの研修コーディネートでニューヨークに滞在しています。

今日は午前中が私のセミナー、その後に店舗視察で、行った店舗の一つがこれ、C.O.Bigelowです。
現存する全米最古のドラッグストア、創業1838年で、店内の什器や調度品のほとんどが当時のままなのだそうです。なるほど、昔のアメリカのドラッグストアってこんな感じだったのかということがよくわかります。

この店舗の知名度を拝借して、新しいフォーマットを模索しているのがバス&ボディワークスです。C.O.Bigelowという店舗名で現在8店舗をひっそりと実験しています。この実験店については、パーソナルケアのセレクトショップ、をご参照ください。

鈴木敏仁 (06:55)


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2007年6月 8日
フレッシュ&イージーのファザード

昨日書いたテスコのフレッシュ&イージーですが、どういうファザードになるのか、ホームページでラフなデザインが今日から紹介されています。

the fresh&easy store

外光を可能なかぎり取り入れて消費電力を減らすといった環境を意識したデザインにする、トレーダージョーズやウォルグリーンよりも面積は大きい、というようなことが書かれてます。

フリースタンディングモデルなので、日本にオープンしたエキスプレスとは印象が違うようですね。またウォルグリーンよりも大きいということは400坪ぐらいはありそうで、かなり昔アメリカに存在した近隣のグローサリーストアの復活、といったところのような気がしてます。

今日フェニックスのローカル紙では、初期のオープニング店舗数を20店舗から27店舗へと増やし、最終的には50店舗を超えるということを言っているようです。"We want to be in every neighborhood,"、ありとあらゆるところに出たい、というようなことをアメリカベースのマーケティング担当者、Simon Uwinsという人が言ってまして、ものすごい出店意欲を感じます。
ちなみに上記のテスコの記事はこの人が書いてます。

>>明日より9日間の長期出張となります。NY→トロント→シカゴ→ベントンビル→ダラス。時間を見つけてアップデートしようと思っていますが、若干の遅れはご容赦下さい。

鈴木敏仁 (12:40)


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2007年6月 7日
ホールフーズの英国進出

昨日書くのを忘れましたが、ホールフーズはイギリスに1号店をオープンさせてます。
リンクがいつまで有効か分かりませんが、写真をいくつか。

ホールフーズのサイト
クリックすれば写真が見れます。

ワシントンポスト

環境とかロハスとかこの分野では先を行っているヨーロッパに、まったく遅れを取っているアメリカの企業が進出したというところに、おもしろ味みを感じているのは私だけでしょうか。英国小売企業としては片腹痛い、といったところじゃないかな。
今年末にはテスコがアメリカに進出するわけですが(10月から11月にかけてじゃないかと巷間言われはじめている)、こちらも環境とかフレッシュさを前面に出しており、ホールフーズが持っている市場に食い込む可能性が高い。

米英の食品小売バトルという新しいテーマが浮上してきたように思います。

鈴木敏仁 (10:38)


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2007年6月 6日
ホールフーズによるワイルドオーツ買収に暗雲

2/22に発表があったホールフーズによるワイルドオーツの買収ですが、FTC(連邦取引委員会)が認めない方針で、訴訟を起こす予定であることが報じられました。
まずは2/22の記事を参考までに。
ホールフーズがワイルドオーツを買収

FTCにはbureau of competitionという独占を監視する部門があります。直訳すると競争局、企業間の適正な競合を促すことからこういう名称がついているのですが、いかにもアメリカならではですね。
ここの部長がコメントしてます。「もしホールフーズがワイルドオーツを飲みこむことを許すと、価格が高くなり、品質が悪くなり、消費者の選択肢が減る」
競争が阻害され、ホールフーズの思うがままになる、ということですね。

ステープルズによるオフィスデポの買収プランがご破算になったのが98年のことでした。
WSJ紙によると、02年から05年にかけての買収案件ストップ事例は過去20年間最低だったのだそうです。政府が企業活動になるべく関与しない共和党政権の経済ポリシーの影響とされているのですが、昨年のワールプールによるメイタッグ買収を許可してしまったことがターニングポイントになったそう。つまりちょっと甘すぎたので、たがを締めようとポリシー転換をし、これにちょうどホールフーズ案が引っかかってしまったということです。

論点は、果たして独占につながるのかどうかにあります。
証券会社による予測によるとナチュラルフード市場は460億ドルで、両社の売上高を足すと単純に占有率は15%となり、数値は決して高くは無い。それと、ホールフーズもワイルドオーツもすでに半分はスペシャリティ型スーパーマーケットであり、またクローガーやセイフウェイなど普通のスーパーマーケットがオーガニックをどんどん強化しており、両社が一緒になったところで競争がなくなるわけでは無い。

それと、「価格が高くなる」というコメントがありますが、もともとやたら高いのがホールフーズで、それを承知でお客は買い物をしているわけで、これが少しぐらいまた高くなってもあまり影響は無いんじゃないかとも思うんですね(^^)

ホールフーズは法廷で戦うことを公式にリリースしてます。
行方に注目です。

鈴木敏仁 (06:41)


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2007年6月 5日
買収後のアルバートソンズ

ウォルマートが出店スピードの減速を発表して以来、証券会社数社がレーティングを上げ、株価もけっこう上がりました・・・実に現金なものだな、なんてことを思います。
今回の戦略シフトは明らかに株主を意識してますから、まさにその通りなんですが、でもアパレルの売れ残りはまだあって店頭でクリアランスやっている状態ですし、既存店てこ入れの成果はまだはっきり出ていないわけです。
しばらくして、「既存店はどうなんだ?」なんてことをまた言い出すんだろうなあ・・・。

さて、昨日ミネアポリスのローカル紙、Minneapolis Star Tribuneがスーパーバリュとアルバートソンズに関する記事を掲載したようです。
アルバートソンズの買収は非常にうまくいっていて、アルバーートソンズ従業員もハッピーだ、という論旨です。

基本的に、旧アルバートソンズの不採算商圏はすべてバイアウト企業に行きましたから、スーパーバリュには立て直すという課題がない。
加えてこの買収をウォール街が評価してスーパーバリュ株価が上がっていて、アルバートソンズ株を保有していてM&Aによってスーパーバリュ株を手にすることになった旧アルバートソンズ社員がいまのところ喜んでいる、ということもどうやらあるようです。

本部集中化を急ぐスーパーバリュが抱えるリスク、でも書いたように、つまずく可能性はまだ秘めていて、まだしばらくは静観したいというのが私の見方です。

鈴木敏仁 (08:23)


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2007年6月 4日
「ウォルマートで直販をテストするデル」Vol.11,No.23

アメリカ流通eニュース

 かなりマスコミが騒いでいるのでご存知の方も多いと思うが、デルがウォルマートでPCをテスト販売する。お客からの発注を受けてから組み立てて配送するダイレクトモルを構築して一世を風靡、キオスク型のパイロットストアは持っているもののその場で製品を販売しておらず、今まで一度も店頭販売をしたことがないデルだけに、この試売が持つインパクトは決して小さくない。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (12:59)


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2007年6月 3日
ウォルマートが出店をさらに減速

明日は早朝から遅くまで出てしまい記事のアップができないので、速報も兼ねて今日載せてしまいます。

一昨日の金曜日にウォルマートが株主総会を開催しました。いつものことならがお祭り型だったようです。もともと田舎までなかなか来てくれない投資家に喜んでもらうために始めたものだったのですが、今は完全にフェスティバル状態です。
ほぼリアルタイムでホームページ上で閲覧することができるのですが、どうやらジェニファー・ロペスが今回は出たようで。イオンの株主総会に浜崎あゆみが出演するようなものかな(^^)

'出演'する幹部たちのテンションも相当高い。
社員のモチベーションを鼓舞しようとする意図が良く分かるのですが、僕はすばらしい手法であると思ってます。洋の東西を問わず、人間というものはこういう雰囲気の中でやる気が出てくるものだと思います。

さて表題の件です。
昨年10月に出店スピードの減速を投資家カンファレンスで発表した同社ですが、さらに減速するそうです。その時点で、07年に265縲鰀270のスーパーセンターを作るとしていたのですが、これを190縲鰀200とする。また来年から3年間の出店ペースを年間約170とする。

この結果、今年の設備投資額は予算の170億ドルから155億ドルに減じる。この余裕を株の買戻しや配当の増額に当てる。

またファッション強化に急ぎすぎたことを認めて、価格志向に軸足を戻す、とも言っています。

さてこの減速、ウォール街からのプレッシャーに負けたということもあるのだろうし、既存店のてこ入れに本格的にシフトしようと考え直したのかもしれない。ずっと強気で来たいただけに意外ではありますが、こうせざるをえなかったとも言えます。

リー・スコットはCEOへの就任以来、サプライヤーを巻き込んでのオペレーションの効率化という点において大変な功績のあった人だと僕は考えています。今回ロブ・ウォルトンがスコットをバックアップする発言を再びしているようなのですが、当然のことだと思います。

ただ株価だけ低迷していて、投資家からの受けが悪い。数値を見れば明白なのですが、ROIがずっと横ばいで、これが株価低迷の根本的な理由だと思ってます。株の買い戻しや余計な資産の整理など、オペレーションの効率化とはちょっと違うことをこれからしなければならないでしょう。

成長企業が成熟企業になる、その第一歩を踏み出し始めたような印象を僕は持っているのですが、皆さんはどう感じているのでしょうか。

鈴木敏仁 (01:43)


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2007年6月 1日
エースハードウェアのコアコンピタンス

JDパワー&アソシエーツという調査会社があります。消費者調査をベースとした車のランキングが有名ですね。
この会社が、ホームインプルーブメント企業のサービスランキングを発表したのですが、1位はエースハードウェアでした。
対象は、昨年一年間にホームインプルーブメント商品かサービスを購入したことのある16,239人。店員、商品、サービス、施設、価格、販促、レジ、に対する満足度をレーティングしてランキングしたとしてます。

満点は1000点。
エースハードウェア:812
メナード:801
ロウズ:798
コストコ:784
トゥルー・バリュー:776
平均点:773
ホームデポ:757
ターゲット:757
シアーズ:756
ウォルマート:721
Kマート:693

001CB930.jpgエースは日本であまり知られていないかもしれません。小売業主体のコーオペラティブ・チェーンで(卸売業主体がボランタリーチェーン)、調べてみたら昨年度末で4600店舗。それぞれの店舗にオーナーがいて、コアコンピタンスである細やかなサービスでしっかりビジネスを成立させています。ウェアハウス型ばかりにスポットライトが集まりがちですが、こういうフォーマットもしっかりお客の支持を得ているわけです。消費者のニーズというものは、一つですべてを満足させることは不可能だということが良く分かります。

ホームデポのランクの低さとロウズの高さは、ああやはり、という感が否めない。やめたナーデリは結局これをおざなりにしてきたわけです。

ちなみにエースは本社に行ったことがあります。サンスターが受け皿となって日本に出るとき(確か2000年)、チェーンストアエイジの編集長らと一緒に行って社長のお話を伺ったのが懐かしい。そのとき、メーカーが主体となってリテールをやるなんて、うまく行くとは思えないと正直に言ってしまい、場の空気を壊したことを覚えてます。
結局サンスターは失敗しました。

それと、本社訪問のあとに、紹介された郊外の店舗に行ったときのことも鮮明に覚えています。1000坪ぐらいの店内に、HBCが置いてあった。なるほど、田舎のハードウェアストアってこういう役割も担っているんだよね、ホームデポばかり見ててもアメリカの小売業界は完全には理解できないよね、ということが良く分かったのでした。

鈴木敏仁 (02:00)


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