2007年3月30日
4,560万人のデータが漏洩したTJマックス

今年初頭に「TJマックスによるカードデータ漏洩ケースで思うこと」でメルマガにしましたが、TJマックスがSECに提出した書類によって、約4,560万件のクレジットカード、またはデビットカードのデータが流出したことが判明しました。当初は4,000万人分と言われていましたので、500万人ほど増えたことになります。

これは05年に発生したカードシステムソリューションという会社による漏洩数、4000万件を超えて史上最大となるそうです。

また同社はレシートなしで商品を返品に来た人に運転免許証の提示を求めているのですが、提出書類によるとこのデータも45万5000人分が漏れたたとのこと。

同社によると、カードデータの3分の2は流出した時点で期限が切れていたか、磁気ストライプに含まれているセキュリティコードがなかったそうなので、実質的に影響を被る可能性があるのは3分の1だとしてます。

先週にはこのデータを利用して100万ドル近い買い物をしていたグループ10人が逮捕されてます。またTJマックスに対する訴訟も起きてます。

盗まれた手口等現在捜査中なのですが、非常に巧妙のようです。
「どれだけ漏れたのか分からないところがあって捜査が困難を極めている」というTJマックス広報のコメントもあります。つまりトランザクションデータは一定期間を置いて削除されるものであり、漏洩している時点から企業が気づいた時点までのデータが削除されていて、この期間のデータが盗まれたのかどうなのか分からないといわけなんですね。

さてこの話で思うことは、100%安全なセキュリティシステムなど存在しないのではないかということなんです。

例えばロイヤルティカードと指紋認証をくっつけるシステムがすでに登場してますが、情報が漏れることは絶対無いと言い切れるわけがないんですよね。TJマックスは例外です、なんてことはありえない。

指紋データと一緒にクリティカルな情報が漏れたら・・・。
おそらく近所のSMが導入したとしても利用することはないだろうな、なんてことを思ってます。

鈴木敏仁 (02:54)


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2007年3月29日
サンフランシスコ、全米に先駆けてレジ袋を規制

サンフランシスコ市議会が27日に、石油を原料とするビニール製のレジ袋の使用を禁止する条例を可決しました。その代わり、環境負荷の低い生分解性素材を使った袋(つまり土壌の中で微生物に分解されるやつですね)か、再利用可能な袋の利用を義務付けています。

条例は5店舗以上を所有しているか、年間200万ドル以上の年商を上げているリテーラーにのみ適用され、6ヶ月間の猶予を置き、その後違反すると罰金が課されるそうです。

こういう条例を決めたのは全米でもサンフランシスコ市が最初なのですが、これから追随する行政地区が増えるのではないかと予測されています。

ちなみに業界団体は自主規制すべきで、行政による規制には反対のスタンスを取ってます。

地域にもよるのですが、総体としてアメリカは環境問題に少々うとい国でした。しかしウォルマートが本腰を入れたり、アル・ゴアが映画で訴えたりと、少しずつ動き始めている印象ですね。

日本はレジ袋を有料化する動きがありますが、アメリカはサステナブルなレジ袋を使う動きが顕在化してきた。どちらが良いのかは分かりません。消費者にツケが回る、という言い方をアメリカの業界団体はしているのですが、もう仕方のないことで、いずれにしても悪いことではないと私は思っています。

鈴木敏仁 (02:41)


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2007年3月28日
際立つベストバイの買収戦略

ベストバイがスピークイージーという中小企業を買収しました。年商8000万ドル、社員数約300人、買収額は9700万ドルだそうです。ベストバイの規模からすると、手持ちの現金でさっとまかなえる金額です。

この企業、リリースによると、「ブロードバンドによる電話やデータといったITサービスを提供する」というビジネスを運営していて、独立系企業としては全米最大級、となっている。買収後は100%子会社の別企業として営業し、Best Buy for Bisinessユニットを通してサービスを提供して行くのだそうです。

このベストバイのやり方、いかにもこの企業らしい。

例えばマグノリアというシアトルの小さなチェーンストアを買って、これを店舗内店舗の名称として拡大し、相乗効果を上げていることはご存知の通り。Geek Squadという出前ITサービスも同じ、小さな会社を買って、同様に育てました。

今年に入ってからは、数年前に買収したパシフィックセールスを、マグノリアと同じように、店舗を増やしながら店舗内店舗のブランドとする、両面戦略を取るということを経緯幹部が発言してます。

ちなみに自社開発した他フォーマットはほぼすべて失敗に帰していて、やはり小さな会社を買って大きく育てるというやり方にこの企業はノウハウがあるようです。

昨日記事にしたホームデポと比べると余計に、その戦略性とノウハウが際立ってくるのではないでしょうか。

鈴木敏仁 (02:53)


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2007年3月27日
ホームデポの新たな挑戦

何かと話題の多いホームデポです。ホームデポサプライの売却を検討すると2月12日に発表したのですが、現段階ではまったくの白紙だと新CEOのフランク・ブレイクがこの22日にコメントし、方向がまだはっきりと定まっていません。

さてタイトルを『新たな挑戦』としたのは、新フォーマットを開発するようだからです。地元紙で不動産担当責任者がコメントしました。

2つあるようで、1つは22万5000sqfg(6,338坪)という巨大なスーパーストアで、ニュージャージー州ユニオンのエキスポを改装し、エキスポとレギュラーフォーマットを合体させることをテストする。
2つ目は3万5,000縲鰀5万sqf(985縲鰀1,408坪)の小型店舗を実験する。

この2つ目につていは、ビレジャーズ・ハードウェアという店舗名で5年ほど前に実験してやめている経緯があるので、再び挑戦ということになるわけですね。

ホームデポは過去いろんな別フォーマットを作ってきた企業なのですが、ことごとくうまくいっていない、ある意味稀有な企業じゃないかと思ってます。社内で新たなベンチャーをスタートし、育てる、という文化を明らかに持っていない。

ですから正直言って、ああ、またか、という感が否めない。
この実験店、できあがりを見るのが楽しみです。

鈴木敏仁 (03:26)


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2007年3月26日
本部集中化を急ぐスーパーバリュが抱えるリスク

少々旧聞に属しますが、3月12日にスーパーバリュが、以前ベストバイが本社として使用していたエデン・プレイリーのオフィススペースを借りる契約をしたと伝えられました。
両社ともにミネアポリスに本拠を構えていまして、ベストバイは02年に同じミネアポリスのリッチフィールドという町の大きめのビルに引っ越していました。

スーパーバリュによると、主にアルバートソンズのマーチャンダイジングと(つまり商品部)とマーケティング機能をここに集約するようです。

さて同社はもともと傘下のSMはそれぞれ独自に運営させていて、本部で集中管理するということをしてこなかったのですが、アルバートソンズの買収を期に、ミネアポリスにすべてを一気に集約しようとしているのですね。
新設されたCMO(Chief Marketing Officer)というポジションも、ここで全部を統括して管理しようとする試みであるわけです。

当初の予定は3年間なのですが、おそらく2年間くらいで集約を終えるとしているようです。

この2年間と言うタイムフレームなのですが、少々リスキーなのです。
悪い例がセイフウェイ、良い例がクローガー、セイフウェイは1年間で集約して大失敗し、クローガーは今ようやく少しずつ本社に集中させ始めて、業績を大きく落とすと言うことを回避しています。
スーパーバリュがセイフウェイを反面教師として捉えているのならば良いのですが・・・。
この件、ちょっと長くなりそうなのでメルマガにしようかななどと考えてます。

鈴木敏仁 (02:31)


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2007年3月26日
「保守層につぶされたウォルマートによる銀行構想」Vol.11,No.13

アメリカ流通eニュース

 およそ2年越しで銀行業務への参入を目論んでいたウォルマートが、正式に断念するステートメントを今月中旬に発表した。設立申請以来銀行業界から強い反発を受け、こういうテーマでは史上初となる公聴会が議会で開かれるまでエスカレートしていたのだが、つまらないミステークがリークされるにいたってあきらめざるを得ない状況に陥ったようだ。
 一消費者として言うと、ウォルマート銀行がもしできていたら、価格が少し安くなっていたかもしれないと思っている。理由は天井知らずで高騰しているカードの手数料である。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (01:07)


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2007年3月23日
書籍の専門店チェーン、ボーダーズが赤字決算

アメリカにはバーンズ&ノーブルとボーダーズという二大書籍チェーンが存在しますが、このうちの二番目にあたるボーダーズが第4四半期に赤字を計上、06年度の通年でも赤字となることが分かりました。

営業利益は出しているものの、資産を減損処理したため赤字となったんですね。減損したのは国内の店舗に関する有形固定資産と、イギリスは有形と固定の双方の固定資産を減損しています。

既存店成長率は、ボーダーズ2.2%減、グループのワルデンブックスが7.5%減、海外が0.4%減で、すべてマイナスでした。

原因はおおよそ2つ、活字離れと競合が指摘されてます。なかでも競合が大きそう。同業他社のバーンズ&ノーブルに加えてウォルマートやコストコといった他業態が本を結構売っている。
またやはりネットの影響がある。ボーダーズは自社開発をやめてアマゾンと組んでいて、ネット発注の本をボーダーズでピックアップできるというサービスを提供しているのですが、当のアマゾンにシェアを奪われてしまっている。
さらに書籍以外の取り扱いカテゴリーである音楽CDは、ダウンロードの時代となってしまった。

ワルデンブックスも調子が悪い。このフォーマットはRSC出店タイプなのですが、いまどきRSC内の書籍専門店に本を買いに足を伸ばす人がいなくなってしまったわけですね。

ワルデンブックス564店舗を300店舗に減らし、アマゾンとの契約をやめて自社オリジナルを作る、大型店舗の改装する、など再建策を決算と同時に発表しているのですが・・・

実はバーンズ&ノーブルも07年度の見通しを下方修正したりして、アメリカの書籍リテールは大きな曲がり角に来ているような印象なのです。両社の合併、またはバイアウト、といったオプションが現実味を帯びてきました。

鈴木敏仁 (03:43)


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2007年3月22日
クレアーズもバイアウト

ガールズアクセサリーの専門店チェーン(約3,000店舗)で日本にも進出しているクレアーズを、バイアウト企業のアポロが資本買収することを発表しました。
総額はおよそ31億ドル、発表前の株価に対して支払うプレミアムは7.3%です。

クレアーズは非上場化を検討していることを明らかにしていたので、やっと決まったということなのですが、また小売企業がバイアウトか・・・という感想を持たざるを得ません。

クレアーズは基本的には業績は悪くないのですが、昨年半ばごろから既存店成長率がじりじり落ちているんですね。特に年末はフラットで、歳末商戦が良くなかった。
不採算店舗が増えてきたのでこれからスクラップに着手しよう、そのために不動産資産の扱いに長けたバイアウトの手を借りよう、まあ、そんなところじゃないかと推測してます。
ダラーゼネラルと同じような動機ですね。

プライベート・エクイティ・ファンドなどとも呼ばれますが、ほんとうに登場する機会が増えてきました。ビジネスモデルとして完全に定着したということでしょう。230億ドル(1ドル120円換算で2兆7600億円)もの金額をファンドとして持つ最大手のブラックストーンには上場という話も出ているくらい。

小売業はバイアウト案件としてピッタリなので、これからもニュースになる機会が増えるのではないでしょうか。

鈴木敏仁 (02:28)


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2007年3月21日
ペットフードのリコールで露見したシークレット

メニューフードと言うカナダ本社のメーカーが製造したネコと犬のペットフードが、リコールになっていることはご存知の方もいることと思います。

この会社が作った商品を食べた猫が13匹、犬が1匹、腎不全で死亡したのだそう。ただし猫の9匹は、消費者からの苦情を受けて同社がテストした結果によるもので、FDAによると一般からの報告はこれからまだ増えることだろうとしています。

12月3日から3月6日までの間に製造された商品で、およそ6000万個、市場のおよそ1%くらいのボリュームになるそうです。
過去、およそ犬が100匹近く死亡したリコールもあり、事故の規模としてはそれほど大きなものではないのですが、今回のケースがユニークなのはブランド数の多さにあります。

トータルで95ブランド、その多くはリテーラーのPBなのですが、P&Gのアイムスやコルゲートのヒルズなど、NBメーカーによるプレミアムブランドも含まれていたのですね。
特にP&Gはアイムス43、ユーカヌバ25と、リコールSKU数が多かった。

露見したシークレットとは・・・こういったプレミアム商品が、リテーラーが作るPBと同じ工場で作られているのだと言うことです。同等にリコールされると言うことは、同じラインで作られたのかもしれないと消費者は思うでしょう。
プレミアムブランドとバリューブランドの製造者が同じというケースはまあ業界常識と言うか、よくあることなのですが、消費者は普通知りません。高いお金を支払うのですから、それなりの工場で作っているのだろうと思っているわけです。

今回のような多数のブランド名がリコールにからむというのはちょっとまれでして、そのおかげで意外な事実が出てきてしまったのでした。

鈴木敏仁 (01:18)


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2007年3月20日
アルバートソンズLLCが新サイトをオープン

スーパーバリュが買収せず、バイアウト企業が買収したアルバートソンズLLC(業界ではニューアルバートソンズなどと呼ばれる)が新しいホームページをオープンさせました。

企業ロゴが白抜きで、オリジナルと微妙に異なっていることが分かります。またタグラインが'It means a great deal'となり、スーパーバリュ/アルバートソンズの'Crazy about food'と分けています。

ただチラシ用のページでは両者共用のゲートウェイとなっていたりして、消費者に対しては'微妙に違う'という程度の差別化で済ませているように感じます。やはり違う会社だということをあまり出したくないのでしょう。

このアルバートソンズLLCがこれからどうしたいのか、相変わらず見えてきません。バイアウトしたからには必ず出口戦略があるはずで、上場か売却の2つしか選択肢はない(と思う)。
上場はスーパーバリュとバッティングしますのでほぼ不可能(だと思う)、とするといずこかのチェーンストアに売却するのか、とするとどこなのか。そして売却してずっとオリジナルチェーンと共存させるのか。またはどこかの時点で店舗名を変えるのか。

噂すら立っていませんので、現経営陣とバイアウト企業のみぞ知る、という状況なのです。

鈴木敏仁 (03:39)


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2007年3月19日
ウォルマートが銀行業参入を断念

先週末にウォルマートが、銀行業務への参入を取りやめるリリースを出しました。

おととし、ILC(産業金融会社)と呼ばれる金融サービスの設立をFDIC(連邦預金保険公社)に申請していたのですが、銀行業界から反対論が巻き起こり、議会で公聴会が開かれるまで問題が大きくなっていました。

問題とされているのはローカルの地銀がやられてしまうのではと言う懸念で、金融インフラに影響を与えかねないという論旨ですね。ウォルマートは窓口業務は一切しないとしていたのですが、ウォルマート店内に展開しているインストアバンクの新たなリース契約書に、ウォルマートによる銀行業務の可能性を留保する条項があり、これがすっぱ抜かれ、やむなくとうとう公式に断念を発表したという経緯です。

以下今までの私の記事をコピーしておきます。
「ウォルマートが銀行をもちたい理由」
「ウォルマート銀行への反対論と賛成論」
「ウォルマート銀行はロビーに負けるのか?」

実はNYタイムズは社説で支持しています。
本件、私は経済界と議会の保守層につぶされたと見るのが妥当だと思ってます。

ウォルマートは、目的は手数料にあるとしてますが、ビザとマスターの独占で手数料がうなぎのぼりに上がっていて、リテーラーが団体訴訟を起こすレベルにまでなっている。ウォルマートが銀行を持てば、ここに風穴を開けることが可能だったのかもしれない。
でも風穴を開けられたら困る人たちがいる。

もちろん反対論のように、ウォルマートがアメリカの金融システムを壊してしまうという可能性も否定はできない。

個人的には、これはやってみなければ分からないことで、試してみても良かったんじゃないかと思うわけですね、一消費者としては。独占による手数料の高騰が、売価に反映されているわけですから。
ウォルマートが約束を守らなかったら、免許を取り消せば済むことなのですよ。

ウォルマートはたぶん別の方法を模索している思います。

鈴木敏仁 (03:23)


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2007年3月19日
「KKRがダラーゼネラルを資本買収」Vol.11,No.12

アメリカ流通eニュース

 バイアウト業界の老舗、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)がダラーゼネラルを資本買収することを発表した。ディールは現金で支払われるのだが、3/9の株価より31%プレミアムを乗せた一株22ドルで、現金の支払い総額は約69億ドル、これに負債3億8000万ドルを引き受けるのでディールの総額は約73億ドルとなる。
 この買収、事前にまったく噂が立っておらず、寝耳に水であった。
 ダラーゼネラルは01年に会計ミスで過去3年の決算数値を修正すると言うトラブルに陥り、株価が急落して株主による団体訴訟に直面し、経営陣を総入れ替えし、責任を取って創業ファミリーが姿を消すという、大きな壁にぶつかっている。以来業績が若干落ち気味で、そのため株価が低く推移しており、バイアウト向きの状況にあるわけで、ポテンシャルに気づかなかった自分を恥じている。
 なぜバイアウト向きの状況なのか、説明したいと思う

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (12:56)


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2007年3月16日
ケアマーク買収プランを承認、年商750億ドル企業の誕生へ

ケアマークの株主総会が今日開催され、CVSによる買収が承認されました。

この結果、会社名はCVS/ケアマークに変更されます。本社は現CVS本社から変更なし。売上高は750億ドル近くになると言うのですが、05年度ベースの数値を元にするとクローガーの約600億ドルを抜き、ホームデポの815億ドルに次ぐ3位クラスということになります。

もちろんこれにはPBMによるサービスフィーの売上高が含まれるわけですが、例えばウォルグリーンもPBM事業を連結に含んでいますし、ホームデポはサービス事業の売上を含んでいますし、CVSだけ例外とするわけにもいかないでしょうから、次回のランキングではごぼう抜きで上位に顔を出すことでしょう。

さてこのCVSについては、販売革新1月号で書いたばかりなのでご参照いただきたいのですが、このPBM買収がリテールビジネスにどう影響を及ぼすのか、シナジー効果をもたらすのか、現時点では良く見えないところがあります。

ただ製薬メーカーや保険会社に対するネゴシエーションパワーは確実に大きくなるものと思われます。

参考までに、今までの記事へのリンクを抜き出しておきます。
CVSがケアマークを買収
「ケアマーク買収プランから見えて来るCVS変革の方向性」Vol.10,No.46
CVSのケアマーク買収、政治が影響?
CVSによるケアマーク買収プランに暗雲
ケアマーク、敵対的買収オファーを拒否
CVS、株主がケアマーク買収を承認

鈴木敏仁 (01:02)


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2007年3月15日
CVS、株主がケアマーク買収を承認

本日CVSが臨時株主総会を開き、ケアマーク買収が91.8%の賛成で承認されました。残るはケアマーク株主なのですが、明日、臨時株主総会が開催され、是非が問われます。

実はこの買収プラン、ケアマークの競合エキスプレススクリプトが敵対的買収オッファーをかけ、その後ケアマークの株主であるファンド企業がケアマーク経営陣を利益相反で訴えたり、両社がオッファーをつりあげたり、新聞紙上でメリットを両社が訴えたりと、つばぜり合いを繰り広げてきたいきさつがあったのです。

CVS株主が承認するということは予測されていたことでした。問題はケアマーク株主がどう出るのかでして、現在周囲の予測は真っ二つに分かれてます。

ここまでヒートアップした買収案件は近年珍しく、それほどこのM&Aは三社の今後を左右するものと見ることができるわけです。
明日の結果に注目しましょう。

鈴木敏仁 (04:43)


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2007年3月14日
復調の兆しが見えてきた大手スーパーマーケット

クローガーが第4四半期と通年の業績を発表しました。通年で売上高が15%増、純利益高が36%増と、双方ともに二桁成長でして、ここ数年調子が悪かったスーパーマーケット業界としてはかなりの良い数値でした。

コメントによると、主要商圏44ヶ所のうち36ヶ所、ウォルマートスーパーセンターと競合する32商圏のうち26商圏で、シェアが上昇した、とのこと。ウォルマートに負けていないということを強調しています。

今年初頭に「クローガーCEOが好調を強調」という記事を載せましたが、手ごたえを感じていたのでしょうね。

また、昨日に銀行主催でNYで開かれたカンファレンスではセイフウェイのCFOが、ライフスタイルプロトタイプへの改装の結果が好調で、シカゴのドミニックス、テキサスのランドールズとトムサムも調子が上がっている、という趣旨のことを言ってます。また買収も視野に入れていると発言している。

同じカンファレンスでスーパーバリュのCEOノッドルは、アルバートソンズ店舗の改装で3縲鰀5%の既存店の成長を見込んでいると語っています。

三社ともに好調を強調していて、これがほぼ同時に出てきたことにおもしろさを感じてます。ウォルマートの既存店成長率の低下とも重なっている。
底を打った、という表現が良いのでしょうか。一方的にやられてきた感のある米大手スーパーマーケットですが、反撃の糸口を見つけたというような印象を持っています。

鈴木敏仁 (02:31)


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2007年3月13日
KKRがダラーゼネラルを買収

ダラーゼネラルがKKRに買収され非上場となることが発表されました。買収総額は約73億ドルと、金額ベースでは04年のKマートによるシアーズ買収115億ドル、昨年のアルバートソンズ112.6億ドルには及ばないものの、05年のトイザラス66億ドルを上回る大きなバイアウトです。

本件、来週発行のメルマガに書くつもりなので詳細は省きます。

ダラーゼネラルはあまり俎上に上げることのない企業なので簡単に説明すると・・・小売業ランクでは36位、バリューDSという業態では1位、店舗数は現在8000店舗強、というサイズです。
私はバリューDSという言葉を使っていますが、日本ではバラエティストアという表現を使う人もいます。小商圏型のよろずやですね。
価格政策はEDLPなのですが、ロールバックのような期間限定の値下げがなく、しかもチラシも年間数回しか発行しませんので、ウォルマート以上のEDLP企業です。

05年度の年間出店数は734店舗、急成長している企業でして、10%を超える増収増益を続けているのですが、この急成長の反動が出始めているんですね。
つまり成長の大半が新規出店に支えられていて、一方既存店成長率がここ数年落ちてきていて、既存店のてこ入れが急務となっているんです。
在庫マネジメント、レイバー管理など、いろいろなイニシアチブを打ち出してきているんですが、昨年11月に300店舗の店舗改修と400店舗の閉鎖を決め、ようやくスクラップに手をつけ始めたといったところでした。

しかし、KKRの目のつけどころは凄いです。言われて納得、ダラーゼネラルはバイアウトする条件が整っていて、気づかなかった不明を恥じています。
営業キャッシュフローは潤沢で問題なし、不採算店舗の整理を加速し、財務内容を整えれば、再上場は可能でしょう。

KKR、英ブーツにも買収しかけてますし、オーストラリアではコールズ・マイヤーを視野に入れている。目を離せませんね。

鈴木敏仁 (12:42)


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2007年3月12日
ウォルマートのパッケージング・スコアカード

ウォルマートは現在、Sustainable Packaging Expositionという展示会を開催しているのですが、これに合わせてパッケージング・スコアカードが順調に進みつつあると言うリリースを出しました。

パッケージング・スコアカードとは何かと言うと、商品のパッケージがいかにサステナブルかということをチャート化し、スコアカード(または成績表)化する、というこころみです。
SKUとPOSデータをベースとしたベンダースコアカードが有名ですが、これと同じことをパッケージでもやろうと言うこと。サステナビリティ・イニシアチブの一環とされてます。

本件についてはメルマガで書いたので省きますが、項目は9つほどあるようです。

昨年の9月に導入が発表され、2月からテストが始まり、来年からはこのスコアカードを利用しての商談がはじまります。また今回のリリースによると現状では、2,268ベンダーが参加し、117商品が登録されているとのことです。

メーカーで最初に呼応したのがユニリーバで、パッケージを小型化する濃縮液体洗剤の新商品を作り、これをリー・スコットがVPIで取り上げて売るということをして、社内で注目を浴びたことがあります。スコットはおそらく取り組みの象徴として選んだのだと思ってます。

参考までに、Sustainable Packaging Expositionとはパッケージベンダーによるサステナブルな商品の展示会で、今回で2回目、こういうのを自社でホストして実施している点も本気度と表れとみて良いのでしょうね。

鈴木敏仁 (02:16)


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2007年3月12日
「全米で一番売るリテーラー、アップル」Vol.11,No.11

アメリカ流通eニュース

 フォーチュン誌が恒例のMost Admired Companies(最も賞賛される企業)を最新号で掲載しているのだが、上位20社中、ターゲット13位、ノードストロム15位、コストコ18位、ウォルマート19位と、小売企業は4社がランクインしている。
 このランクに付帯し、7位にランクインしたアップルが特集されているのだが、「アメリカのベストリテーラー」というタイトルがつけられている。現在174店舗、アップルはいまや小売企業なのであり、そう見ると20社中に小売企業は5社なのである。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (12:25)


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2007年3月 9日
カルフールにバイアウトの噂再燃

LVMHの会長バーナード・アーノルトとコロニーキャピタルという米国のプライベートエクィティファンドが共同でカルフール株を9.1%取得、13%を保有するプロモデス創業ファリミリーに次ぐ大株主となったことが報じられました。

また一昨日、カルフール会長のバンデベルデが辞任し、後釜に創業ファミリーが座った。どうやら双方に確執があったらしい。噂によると創業ファミリーはカルフールを非上場にしたかったのですが、バンデベルデ自身がバイアウトに興味を示し、ぶつかったのだそうです。

これらの動きから、バイアウトがあるのではと言われ始めたわけです。WSJ紙が報じました。

バイアウト企業大手のKKRがカルフールを狙っているという話はかなり前から聞こえてきてますし、今でもどうやらターゲットとしているのだそうです。

メトロ、アホールド、デレーズ、にもバイアウトの噂があります。

これらバイアウトには、米国資本が必ずからんでいる。
昨日の投稿で欧州企業の米国進出度は高いと書きましたが、米国からは金融資本による進出が盛んなのだということに気づきました。欧州からは小売企業がダイレクトに米国に投資しているが、米国からは金融資本が欧州に投資している。主体が違うだけで、資本が錯綜している点にはあまり違いはない。

欧米の資本の融合度はますます高まってます。
ここに日本が参加するのかどうか。
もし参加するならば、それなりの覚悟が必要でしょう。いまは痛い目にあいながら、その練習をしているところということでしょうかねえ・・・。

鈴木敏仁 (04:23)


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2007年3月 8日
リドルもアメリカ進出か

独ディスカウントストア企業リドルのCEOが、地元紙のインタビューに、「中期戦略としてアメリカ進出の可能性を探っている、大きなポテンシャルがある。」と語ったようです。Planet Retailが報じました。
リドルはヨーロッパ20カ国に進出していますが、そろそろ限界が見えてきていて、ヨーロッパの外へと向かわねばならない時期に来ているようです。

今年後半にはテスコが出て来る予定。一昨日報じたようにパスマークを買収するA&Pはテンゲルマン傘下・・・と実はアメリカには欧州資本の小売企業はたくさん存在するのですが、逆に米国大手小売企業で積極的に海外進出をはかっているのはウォルマートとコストコぐらいなのですね。

カナダや中南米も含めてアメリカ市場が極めて大きいから外に目を向ける必要がないという見方があるのですが、アメリカもオーバーストアが言われて始めてますし、そろそろ米国企業も海外へ目を向けてもいいんじゃないかと思っています。

鈴木敏仁 (02:31)


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2007年3月 7日
シアーズホールディングが増収増益で黒字を計上

シアーズが第4四半期と通年の業績を発表しました。通年で売上高7.9%増、純利益高73.7%増で、増収増益。とくに73.7%の増益が目立ちますが・・・。
既存店成長率はシアーズが3.7%減、Kマートが0.6%減、全体で3.7%減で、まったく良くない。増収増益の理由は、合併後の昨年からシアーズの売上高がすべて組み込まれたからのようです。
この企業は、いまだ再建途上なのです。

ただし利益を出し始めているという点には注目してよいかなと。オーナーのランパートは、売れなければそれなりの経費レベルにすれば良いと考えているフシがあり、その通りに実行しているのだと思います。
これだと最悪のケース、縮小均衡に陥っていくのですが、それでも良い、利益さえ出せれば、ということなのですね、たぶん。

これは決して一般的な商売人の考え方ではなく、金融人のランパートらしいのですが、上場企業は利益を出さなければならないという使命だけは少なくともきっちり果たし始めているという点において、たいしたものだなと思ってます。

シアーズホールディングの今後は、このまま小売業だけで行くのか、または他企業買収でコングロマリット化するのか、に注目です。個人的には後者だと思っているんですが・・・。

鈴木敏仁 (02:02)


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2007年3月 6日
A&Pがパスマークを買収

スーパーマーケット大手のA&Pがパスマークを買収すると発表しました。買収は現金と株の交換方式、総額は負債の引き受けも含めて13億ドルとなる見通しです。
05年度末の時点でA&Pの売上高は約68億ドルで店舗数384店舗、パスマークは同じく42億ドルに141店舗、A&Pは売上ランクで11位という企業で、この買収によってひょっとすると10位以内となってHEバットクラスとなるかもしれません。

ただし重なる商圏が非常に多くて、50縲鰀100店舗を売却しなければならなくなるという見方もあり、さらに利益の出ているロングアイランド商圏に売却プレッシャーがかかる可能性が高いという見方もあり、バラ色ディールとは言えないようです。

A&Pはおととしから戦略的な業務改革に取り組んでいて、一環としてカナダからの撤退、店舗の売却、経営陣の入れ替えなど、立て続けにイニシアチブを打ち出していて、今回の買収もその一つとしています。
しかし立て続けのイニシアチブの割には何も変わっていないという批判も多く、今回の買収プランに対しても冷めた見方が多いように感じます。

ちなみにA&Pの親会社はドイツのテンゲルマンでして、アホールド、デレーズ、そしてテンゲルマンと、ひょっとすると上位10社中3社が欧州勢ということになるかもしれません。

もうひとつちなみに、ホールフーズによるワイルドオーツ買収を演出したユカイパという投資企業(またはロン・バークル)がパスマークの大株主なのですが、今回に限っては満足しておらず、他のプレーヤーが登場してくるのではないかと言う見方もあります。

鈴木敏仁 (02:09)


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2007年3月 5日
「ホールフーズによるワイルドオーツ買収の裏には・・・」Vol.11,No.10

アメリカ流通eニュース

 ホールフーズが競合企業のワイルドオーツを買収する。買収総額は6億7100万ドル、そのうち現金で支払う分が約5億6500万ドル、負債の引き受け額は1億600万ドルである。
 ホールフーズの06年度末の売上高は約56億ドル、店舗数は186店舗(国内は177店舗)、ワイルドオーツの同年度末の売上高は11億2000万ドルで店舗数は113店舗、単純に合わせると売上高67億ドル、店舗数299店舗というサイズとなる。ウォルマートも含めたスーパーマーケット(SM)業界ランクでホールフーズは13位なのだが、12位のマイヤーに肉薄することになるだろう。
 このディール、本レポートでは何回か書いているロン・バークルというSM出身の投資家が裏で糸を引いているのだが、ホールフーズ側から積極的に動いたという形跡があり、またもともとはクローガーが買収するのではと言われていたこともあるし、いまだ強気のホールフーズの成長予測などを考え合わせると、なかなか興味深い買収ケースなのである。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (12:33)


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2007年3月 5日
KFC/タコベルのネズミ報道

ケンタッキーフライドチキンとタコベル(メキシカン)を合わせたコンボ型のファストフード店舗があるのですが、NYの店舗内を走りまわるネズミが報道されて、反響を呼んでます。

タコベルはこれに対して、「この店舗だけに限ったケースに過ぎない、店舗を閉鎖し、衛生上問題がなくなるまで再オープンさせない」という声明を出しました。
しかしこれで問題が収まるわけもなく、クチコミでどんどん広まり、ネットで拡散してしまい、売上に大きな影響を与えるだろうと言われています。

続きは流通小売SNSのR2リンクへ・・・今回は映像もご覧になれます。

鈴木敏仁 (11:49)


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2007年3月 2日
ウォルマートがコンビニに進出?

ウォルマートのNew Business Developmentという部署の上級副社長に、デイビッド・ワイルドという前テスコ幹部が就任しているそうです。'新ビジネス開発'という部門であること、テスコの前幹部であることから、テスコが今年の後半から進出を開始するコンビニ型SMに対抗する小型フォーマットをウォルマートが開発するのではないかという見方を、PlanetRetailという調査会社が報じました。

この件、今のところただの憶測に過ぎませんが、なかなかおもしろい見方だと思ってます。
例えばジャイアント・イーグルが、ジャイアント・イーグル・エキスプレスというコンビニエンスストアフォーマットの開発を決めるなど、ここに来てアメリカでは俄然コンビニに注目が集まっていて、ありえない話ではない。
攻撃は最大の防御、といったところでしょうか。

ただテスコがそう簡単にアメリカで成功するとは思えないという見方も業界には多い。多額の投資プランを発表しているため、出る前から成功するような印象を持たせてしまっていますが、そう甘くはないというわけですね。

テスコの動向に、ウォルマートもからんできました。

鈴木敏仁 (01:28)


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2007年3月 1日
フェデレイテッドが社名変更

買収したメイデパートメントストアの傘下にあったすべての店舗を、メイシーズ名とブルーミングデール名に転換したことは記憶に新しいですが、社名をメイシーズへと変えることを検討していることがわかりました。5月の株主総会で承認を得て変更するそうです。

実はフェデレイテッドという名称の店舗は、1929年の創業以来存在していません。地方のデパートメントストア数社がゆるい連合を組んだのがはじまりで、つまりいわばホールディングカンパニーとして存在してきたのでした。

そういう意味においては、傘下の店舗をメイシーズ名(一部ブルーミングデール)に統一した今、社名をメイシーズに変える事は理に適っていると言えます。

ちなみに同社は山あり谷ありの歴史を持ってます。
キャンポーという企業にバイアウトされ、多額の損失を抱えて倒産し、復活し、同じくバイアウト後に倒産したメイシーズを買取り・・・というわけで、複雑な歴史を背中に負う名称が消えるというわけなのですね。

鈴木敏仁 (02:48)


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