2010年11月30日
[ウォルマート] 南アのマスマートの株過半数取得で合意

9月末に買収を提案していたウォルマートですが、結局51%の株式を取得することで合意に達しました。
当初は全株取得による子会社化を提案していたのですが、過半数以下の取得への変更が伝えられ、最終的には51%となりました。

理由は、労働組合や機関投資家による反対意見が強かった模様。規制当局も子会社化には難色を示していたようです。

買収総額は23億ドルですから、日本円だと2000億程度の投資となります。


しかし以前も書いたけど、海外進出と言ったらアジアしかない日本の小売企業にとって、南アフリカ進出なんてまったくの想定外ですよね。


そう言えばファミマがアメリカへの投資を一端凍結して10店舗で止めるそう。たしか200店舗(または250)構想をぶちあげてたはずです。一号店からダメで、その後も改善があまり見受けられず、どうするんだろうなと思っていたところでした。

まあ進出時に社長が講演にいそしんでいて、売場に立ってないんですから、うまく行くわけないですよね。


ちなみにウォルマートCEOのマイケル・デュークは海外でも店舗回りして、自分の目で改善点を見つけ出して、現地企業に提案して採用されたりすると聞きました。
やっぱり現場型なんです。


日本の小売企業の欧米進出はまだまだ途上です。

鈴木敏仁 (04:05)


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2010年11月29日
歳末商戦がスタート!

先週末の結果の速報が出ました。

◇週末にかけての4日間の売上高は9.2%増の450億ドルだった
◇店舗への訪問者数は8.7%増の2億1200万人だった。
◇ブラックフライデー自体の売上高は前年比で0.3%増だった。
◇ブラックフライデーのネット販売の売上高は15.9%増だった。

加えて、11月前半の売上高の伸びが、第1週に6.1%増、第2週に6.2%増、という結果もあって、つまりどうやらブラックフライデーに買い物を集中せず分散させたのではないかという仮説をアナリストが立てています。

いずれにしても前年比でかなり上がっているので、悪くはないスタートだったという論調です。


実は私自身が金曜日の早朝にアウトレットに行ってきたのですが、以前ほど混んでいなかったんですね。
ですから実感としては、今年もちょっと弱いかな、なんですが、どうなんでしょうね。


アメリカの消費状況を推し量るバロメーターとしての歳末商戦が始まりました。

鈴木敏仁 (04:53)


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2010年11月24日
[ウォルマート] 今週末限定でプライスマッチング

明日は感謝祭の祝日で、その翌日の明後日から年末までをアメリカでは歳末商戦と位置づけています。
この明後日の金曜日がブラックフライデーと呼ばれることは周知の通りです。

この金曜日から日曜日までの期間限定で、もし競合店の方が安かった場合チラシを持ってくれば割り引くプライスマッチングを実施することを明らかにしました。

またネットオンリーの販促150アイテム、店頭でもブラックフライデー・スペシャルを用意するなど、限定プロモーションを提供するそう。


ちょうど数日前に、とあるシンクタンクがウォルマートに関する調査結果を発表していたのですが、来店客数減は来店頻度の減少ではなくお客そのものを失ったからだ、プロジェクトインパクトがネガティブな影響をお客に及ぼしている等々、ウォルマートにとっては頭の痛い項目が並んでいました。


この歳末で巻き返せるのかどうかなのですが、なんとなく、出遅れているような感じを受けているんですね。

数年前、わずかな出遅れに対して猛然と取りかかってあっという間に取り戻したことがあって、そのエクセキューションレベルが話題になったことがありました。
すべてはビル・サイモンの手腕にかかっていると思っているんですが・・・


ということで、アメリカの休日に従って明日より日曜日までお休みとさせていただきます。

Happy Thanksgiving!

鈴木敏仁 (06:35)


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2010年11月23日
[Jクルー] 投資企業が30億ドルでバイアウト

アパレル専門店チェーンのJクルーがバイアウトされることが分かりました。買収するのはTPGキャピタルとレオナルド・グリーン、総額は30億ドル、月曜日の引け値の16%プレミアム株価だそうです。

ただし確定ではなく、1月15日までに提案株価を超えるオファーがなかったらという条件付きです。年末の結果次第で高いオファーが来る可能性があるからとのこと。

TPGはJクルーがまだ規模が大きくなかった時代に大株主となっていて、ギャップを解任されたミラード・ドレクスラーを2003年に招聘することに成功、その後業績がぐんぐん良くなり、2006年に上場したという経緯があります。

これをTPGがまた買うというわけですね。

Jクルーの業績は悪くない。株価も40ドル台でして、10ドルを割り込むような傾いた企業の兆候はまったくない。

どうやら株価収益率が低くて株価的にはいまが買い時で、しかもミラード・ドレクスラーという強力な経営者がいるので安心、ということのようです。
ちなみに株価収益率は11.73、確かに低めです。

つまり純粋な投資の一環としてバイアウトされるというわけでして、以前エントリーしたジンボリーとストーリーはまったく一緒です。
[ジンボリー] バイアウトされる理由


割に合わないのは個人株主ですよね。
これから上がるかも知れないと思って持ってるのに、大手投資ファンドが持って行ってしまう。
まあだから、1月15日まで待つというオプション付きではあるのでしょうが。

ちなみに投資ファンドに投資しているのは個人です。
つまり投資ファンドが買収しても、個人の集合が間接的に株主資本を所有することになるわけで、株の流動性が失われるだけで、本質は何も変わらないんですけどね。


気になってググってみたら、"Jクルーが身売り"と表現されてました。
これだと、Jクルーの業績が悪いんじゃないかと普通は錯覚します。

"身売り"じゃないんだけどね。
業績が傾いて"身売り"するんじゃなくて、投資ゲームの一環としてただ単に株主資本の所有権を移そうとしているだけなんですよ。
メディアの表現、稚拙で安易すぎます。

鈴木敏仁 (03:58)


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2010年11月22日
[ウォルグリーン] 電気自動車向けの充電スタンドの実験

ウォルグリーンがヒューストンエリアの18店舗の駐車場で、電気自動車向けの充電ステーションの実験を来年から実施すると発表しました。
サプライヤー企業とのパートナーシップで、この企業は広範囲な充電ステーションの設置を計画しており、ウォルグリーンとはこの計画の一環ということになっています。

急速充電を使うと30マイル(48キロ)走行分の充電を10分間で完了するそう。

確か他にもEV充電スタンドを実験している小売企業がいたように記憶しています。


あまり詳しく知らないのですが、EV充電ステーションってわりと簡易に設置できるようですね。ガソリンスタンドのような大きな投資やスペースが必要ないような気がする。

買い物ついでに充電という需要を創造することができそう。

新たな息吹を感じます。

鈴木敏仁 (03:59)


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2010年11月19日
[ウォルマート] ジャック・シューメーカー逝去

ウォルマートという企業の成長をサム・ウォルトンの片腕として支えたジャック・シューメーカーが亡くなりました。享年72才。

入社は70年、88年に引退後は取締役としてウォルマートに残っていました。


シューメーカーはデイビッド・グラスとサム・ウォルトンの次を争って、負けた人です。シューメーカーはどちらかというと自信家でパフォーマンスタイプ、グラスはおとなしく控えめな人なのですが、スコット、デュークとソフトな人が続いていて、これがウォルマートの社風なんでしょうね。


なんと言っても、シューメーカーの功績はEDLPにあります。
一説によるとシューメーカーが発案して推進したと言われてますね。
でも私は、EDLPはプライスクラブの影響が大きいと思っていて、これを徹底的に研究し尽くしたサム・ウォルトンが言い出して、シューメーカーが推進し洗練させていったと思ってるんですけどね。

いずれにしましても、アメリカの流通業界に多大な影響と貢献をした著名人が亡くなりました。
ご冥福をお祈り申し上げます。

鈴木敏仁 (02:42)


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2010年11月18日
[ダラーツリー] カナダのワンプライスストアを買収

ダラーツリーがカナダのダラージャイアントという企業を買収することが分かりました。買収総額は約5,200万ドルに加えて若干の債務、となっています。

ダラージャイアントは本社をバンクーバーに置く企業で、店舗数は86店舗、平均店舗面積は9,000sqf(250坪)、売価は1.25カナダドル、だそう。

ダラーゼネラル、ファミリーダラー、などなど、低価格帯の小型フォーマット企業群に海外進出している企業ってあまりないんですね。
ですからこの買収は興味を引きます。

なぜ海外に出ていないかというと、アメリカ国内だけでまだまだ十分に成長余地があるからです。ダラーツリーもまだ米国内に十分に成長余地があるということを言ってます。

でも実は限界が見えてきたのかも知れませんね。

それと、カナダにもワンプライスストアってあるんだなと改めて実感しました。ワンプライスはかなり古くからある価格政策なんですが、どこでも通じるグローバルな手法でもあります。

鈴木敏仁 (03:25)


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2010年11月17日
[サイモン・プロパティーズ] 独禁法抵触でショッピングセンター売却へ

米国最大手の商業デベロッパー、サイモンがプライムアウトレット社から買収したアウトレット22ヶ所のうちの1ヶ所を、FTC(連邦取引委員会)からの勧告を受けて売却することを発表しました。

またシカゴとオーランド商圏のアウトレットに関しては自らが課していたテナント出店規制を撤廃するとしています。
これはおそらく、一定商圏内のアウトレットに出店するテナント間の競合を緩和するために、サイモン自らがテナント出店規制を布いていて、それを撤廃するということでしょう。


この事例、アメリカでは小売企業間競合だけではなく、ショッピングセンター間競合というものも存在しているのだということの良い例です。
また小売企業の寡占だけではなくショッピングセンターの寡占というものがあって、これをFTCが監視しているということも意味している。

日本では某家電チェーンストアのベンダーに対する店頭ヘルプ要請に関して公正取引委員会による調査が入りましたが、この公正取引委員会がショッピングセンターの競争阻害で売却を勧告するという事例は寡聞にして聞かないですよね。


アメリカらしいニュースだなあ、と、日本の流通業界はまだまだ細分化されているなあ、の二つを実感したのでした。

鈴木敏仁 (02:45)


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2010年11月16日
[スマート&ファイナル] 実験店撤退のスピード感

スマート&ファイナルがデンバーで実験していた新フォーマット5店舗の閉鎖を発表したのですが、オープンしたのがこの夏のことなので、わずか数ヶ月間という極めて異例の早さで撤退を決めてしまったことになります。

スマート&ファイナルは業務用スーパーなのですが、この実験フォーマットは一般消費者向けのディスカウント型スーパーマーケットで、ウェアハウス型と、生鮮やデリの強化と、いろんな要素をミックスしたものでした。

ただしデンバーからは撤退するが、カリフォルニアとアリゾナでこれから次の実験店舗をオープンさせるとしています。


撤退の理由は売上が目標に達しなかったからということなのですが、開店からわずか数ヶ月間ですから、このスピードは異常に速い。
何か特殊な理由が裏にあれば話は別なのですが、額面通りに受け取るならば、このスピード感はたいしたものです。

通常ならば1年から2年は様子を見るものですからね。

事業というものは、開始する決断よりも、撤退する決断の方が難しいんです。
小さなニュースなのですが、ちょっと興味を引いたので取り上げてみました。

鈴木敏仁 (03:06)


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2010年11月15日
[バーンズ&ノーブル] 玩具売場の実験を開始

バーンズ&ノーブルが玩具売場の実験を始めました。
同社は店舗面積が大きめの店の書籍売り場の一部にCDやDVDを売るミュージック売場を設置していたのですが、これをやめて、子供用の玩具売場にする試みです。

売場はただ玩具を揃えるだけではなく、電子ブックのヌックを用意したテーブルやレゴなどのブロックを使って遊べるエリアを作り、子供が商品に触れることのできる機会を提供するそう。
実験店舗数は5店舗です。

ミュージックCDも、書籍も、これからデジタル化が進んでいくわけで、とくに前者の方の進行が早く、あの売場をどうするのだろうと思っていました。これを玩具売場にするというのは、とりあえずの実験としては正しいのでしょうね。
が、インパクトはちょっと薄いかな。
起爆剤にはならないように感じます。

とりあえず、バーンズ&ノーブルがようやく店舗の改変に手を付け始めた、という点は評価できるでしょう。

鈴木敏仁 (04:55)


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2010年11月10日
[米国小売業研修] 主通路上にプロモーションが戻ったウォルマート

今日から4日間、小売企業の研修でロサンゼルス市内の店舗を見て回っています。明日は午前中がセミナーで、午後が店舗視察。
ということで、ニュースのアップデートが遅れます。
ちなみに明日は、Veterans Dayでアメリカは祝日ですので、サイトはお休みしようかと思ってます。

さて、今日ウォルマートのスーパーセンターを見てきたのですが、主通路上(ウォルマート用語のアクションアレイ)の島陳列が全部戻ってました。

さらに年末のため全体に在庫が多めで、島陳列とあいまって、店内に商品が溢れているような印象を持ちました。
これがやっぱりウォルマートですね。

前回のアナリストカンファレンスでは第4四半期までには業績が戻ると言っていたのですが、ああいう売場が復活すれば、売上もかなり回復するんじゃなかろうかと感じました。

明日は違う店舗を見る予定なので、この私の受けた感覚を確認してみたいと思ってます。


トゥイッターR2Link

鈴木敏仁 (07:33)


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2010年11月 9日
[アマゾン] おむつのネット販売、クィドシ社を買収

クィドシ社は中軸ビジネスのおむつのダイパー・コムと、石けんのソープ・コム、およびビューティケアのビューティ・コムを所有する企業で、アマゾンがこれを5億4500万ドルで買収することを明らかにしました。

クィドシの創業は2005年、昨年の売上高は1億8000万ドル、今年は3億ドル、2012年には13億ドルに達する見込みで、急成長中の企業。
わずか5年間で5億ドル超の企業価値となったわけで、ネット企業の驚くべき成長パターンはいまだ健在と言うことができるようです。

この企業のユニークさは、おむつという一つのカテゴリーに特化したことと、薄利で儲かるわけないと思われていた分野で成功してしまったという点の二つにあると思います。

なぜおむつだったのかというと、定期的に繰り返し買われるカテゴリーだったからですね。

当然最初は儲かるわけなく、その前にロットが集まりませんからメーカーが売ってくれるわけもなく、自分たちでホールセールクラブのBJ'sに買いに行って発送することを続けた。

その後どんどん成長し、現在は年間に5億枚のおむつを発送しているそうです。
全自動の配送センターを建設したりもしています。


ザッポスに次いで競合を買収したアマゾンですが、業績が良く資金に余裕があるようなので、こういう買収は今後も続くのでしょうね。

鈴木敏仁 (07:00)


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2010年11月 8日
歳末玩具バトルの行方

本日のWSJ誌が、ウォルマート、ターゲット、トイザラス、アマゾンの玩具バトルについての記事を掲載していました。
要約すると、ハロウィーンが終わって歳末商戦の前哨戦が始まり各社玩具の値下げを始めたのだが、ウォルマートの価格が総体として他者を圧倒するような安さを実現していない、という内容です。

ターゲットは昨年の歳末商戦が今ひとつだったため、その反省から今年は早い時期から大幅な値下げをしているのですが、一方のウォルマートは今年初頭の大きな値下げプロモーションの失敗から少々慎重になっているような印象があります。

ウォルマートのロールバックの期間は3ヶ月間なので、本当は10月初頭には値下げを始めなければならず、実際のところ例年10月から値下げが始まっていたんですね。ところが先月の視察研修であちこちのウォルマートを見て回ったのですが、ロールバックのPOPを玩具売場でほとんど見ることができなかった。

記事の内容と店頭の印象はほぼシンクしてます。

歳末商戦はどの企業にとっても極めて重要で、とりわけウォルマートはここで負けるということを許さず、過去は猛烈な戦いを仕掛けています。

これが今年どうなるのか、巻き返すのかどうか、とても興味深いところです。

鈴木敏仁 (02:22)


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2010年11月 5日
[ウォルグリーン] ロゴデザインをめぐる訴訟

ウォルグリーンがウェッグマンズを相手取って訴訟を起こしました。理由はロゴ。似すぎていて消費者に混乱を招いていると主張している。

なんとなく見過ごしてしまうニュースではあるのですが、二つのロゴを並べているメディアがありまして、実際に見てみるとなるほど、似てるなと。

こんな感じです。

ウォルグリーンのロゴ
ウェッグマンズのロゴ
なんとデザインしている企業が同じなんだそうです。

ウェッグマンズのロゴは2年前に導入されているのですが、30年代に使っていたロゴに手を加えたものです。だからひょっとするとウェッグマンズの方がオリジナルというような気がするのですが、でも少しでも手を加えるとダメなんでしょうかね。
このあたりの詳しいことは分かりません。


ロゴや店舗名はブランディングの核ですから非常に大切です。
このことは、スーパーマーケットであろうと、ドラッグストアであろうと、デパートメントストアであろうと、アパレル専門店であろうと、同じ。

極めて重要な戦略なのだと言うことを、この訴訟は物語っています。

鈴木敏仁 (03:17)


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2010年11月 4日
[アバークロンビー&フィッチ] 米国内と海外の売価の差

WSJ誌による報道です。

景気が悪化したにもかかわらず強気でいたが、結局昨年度は既存店19%マイナスという結果に終わり、今年は売価を下げる戦略に転じた。結果、およそ10%売価を下げるに至った。
しかしこれは米国内でのことで、海外は別。ある証券アナリストの調査によると、米国内と比較して東京は50%高く、ロンドンは30%高い。


ネットの普及で情報伝達のスピードが早くなり、こういう情報はあっという間に広がっていきます。
だから、こういう価格の差はもはや成立しないという意見が実はあるのですが、そういうわけでもないように思ってます。

アメリカではとっくにブームが終わって、会社自体が傾いてしまっていたクリスピー・クリームに、進出直後から日本人が行列作っていましたよね。

情報伝達のスピードは速くなったけど、その情報を獲得する受け皿がなければ、情報は遍在してして終わります。


まあそういうことで、50%という大きな価格差があっても、米アバクロのブームはほぼ落ち着いて値下げすら始まっているということを知らない人たちの需要によって、日本でのプレミアム価格はしばらくは維持されることになるのでしょう。

鈴木敏仁 (03:22)


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2010年11月 3日
サンフランシスコ市のハッピーセットおもちゃ禁止条例

小売業界のニュースではないのですが、面白いので取り上げます。
サンフランシスコ市の議会がおまけつきの子供向けメニューの禁止条例を決議しました。市長の拒否権が発動できない票数なので、ほぼ発効されるようです。
発効されるのは来年の12月。

マクドナルドのハッピーセットが俎上に上がっていて、メディアも"マクドナルドのハッピーセットが禁止に"という書き方をしているのですが、これは分かりやすくシンボル化するためで、別にマックの特定メニューだけが禁止になったわけではありません。

子供にアピールするための無料のおもちゃのおまけがついいて、ミールとドリンクの総カロリーが600以上、そのカロリーの35%以上が脂肪分から来ているセットメニューを禁止するというのが、具体的な条件です。


こういう条例が可決されるという点に、アメリカ社会の病巣というものを見出さざるを得ません。
メニューの成分に規制をはめざるを得ないアメリカ、ですね。
日本ではちょっと考えづらい。


よく言えば質素、悪く言えば貧困なアングロサクソンの食生活をアメリカ人は総体として持っている。
これに簡便なファストフードが乗っかってしまった。
もともと食=健康という意識が希薄ですから、決して健康に良くはないファストフードがあっというまに社会を席巻した。
開拓時代に大量食いの文化が根付き、アメリカ人が大好きな高カロリーの炭酸飲料類がこれに拍車をかける。

だから肥満社会ができあがってしまった。
そして肥満が医療コストを押し上げつつある。


本来は親が子供に教えるものですよ。
それがないから、規制を加えざるを得ない。


大きな大きな病巣だと思います。

鈴木敏仁 (04:23)


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2010年11月 2日
[ベストバイ] マグノリア・デザイン・センターを拡大、4ヶ所をオープン

ベストバイが店舗内店舗として展開しているマグノリアのバージョンアップ版を拡大しました。

まずマグノリアについてはこちらをご参照ください。
ベストバイ、マグノリアを拡大

マグノリアは10年前に買収したローカルチェーンで買収当時は13店舗でしたがいまは6店舗、知名度を利用して店舗内店舗として拡大していまは383店舗の中にマグノリアという名称の売場が383ヶ所あります。

マグノリアという売場を理解するカギは、単純に単品を販売するビジネスモデルから、トータルコーディネートされた使い方を提案して複数の商品とサービスを販売するモデルへの転換にあります。
まあ、かっこいい言葉を使うとソリューションということになるんでしょう。

つまらない価格競争からの脱却を目指しています。


このマグノリアのバージョンアップ版をマグノリア・デザイン・センターという名称で2店舗すでに実験していて、今回拡大して4店舗を追加することとなりました。

高級ブランドのショールーム形式である点には変わりないのですが、プレミアムブランドを揃えていること、もともとはリビングルームのホームシアターコンセプトだったものを、ベッドルームやアウトドアでの家電の使い方の提案など範囲を拡大しているようです。


ベストバイと日本の家電チェーンは、とにかくいろんな意味で異なる道を歩んでいるなと、こういうニュースに接するたびに感じます。

鈴木敏仁 (02:55)


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2010年11月 1日
[スーパーバリュ] 傘下のブリストルファームを売却へ

スーパーバリュが傘下のブリストルファームを売却するそうです。買うのは現経営陣と投資企業で、日本で言うところのマネジメント・バイアウト、といったところでしょうか。
経営陣が会社を担保にして原資をすべて調達し株式を所有するのか、経営陣と投資会社が並列で株式を持つのか、細かい金融ディールは不明です。

ちなみにMBOという表現は、アメリカではほとんど使われまれませんね。アメリカのどこかで使われて、分かりやすいので日本が導入して普及したんだけど、オリジナルのアメリカでは普及しなかった、という単語のような気がします。
今回のディールについても、メディアはMBOという表現を使ってないです。


ブリストルファームはロサンゼルスに本社があるローカル高級スーパーマーケットで店舗数は13店舗、アルバートソンズが2004年に買収し、スーパーバリュがアルバートソンズを買収したときにくっついてきたものです。

スーパーバリュが売却する理由は明らかにされていませんが、低価格帯のセブアロットのプライオリティを上げており、高価格帯フォーマットがお荷物になってしまったのでしょうね。


ちなみにアルバートソンズは小型の高級スーパーを増やそうとして手中に収めているのですが、その後すぐアルバートソンズ自体が買収され、そうこうするうちに景気が悪くなって増やすことなどできなくなり、スーパーバリュ自体の業績もふるわず、まったくシナジーを上げることができないままででした。


もう一つちなみに、よく調べると分かるのですがブリストルファームの品揃えは中途半端なんですよね。こだわり方が今ひとつで、魅力があまりない。ホールフーズがオーガニック専門店から高級スーパー化する過程でやられてしまったように思うんですが、アソートを見ればその理由が歴然となると思ってます。

それとオペレーション技術が今ひとつ。とある店のトイレがやたら汚くて、こりゃダメだなと。店員教育の徹底度が低く、作業標準ができてない、のでしょう。幹部もたぶん店舗回りしてチェックしてない。
たった13店舗なんですけどね。


そういうことで、自分の中ではこの企業の評価は最低ラインにあります。
日本からの視察グループが良く行くのですが、その目的が私にはよく分からないところがあります。

鈴木敏仁 (02:03)


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