2007年8月31日
小型店舗ブーム?

ワイルドオーツ買収が決まったホールフーズが、ワイルドオーツ本拠地のコロラド州商圏における戦略を昨日打ち出しました。

ロッキーマウンテン地域23店舗の価格を下げる、2010年をメドに全米最大となる73,000sqf(約2,000坪強)の店舗を開発する、等々、いくつか項目があるのですが、その中に、ホールフーズ・マーケット・エキスプレスという新フォーマットを実験するというのがありました。

面積18,500sqf(約520坪)の現ワイルドオーツ店舗を、HRM系の惣菜やデリ中心の、言ってみればコンビニエンス型にしてみるとのこと。

おそらく一つには、500坪程度の今のホールフーズにとっては小さい面積をワイルドオーツは一杯抱えており、これをどう使うかという目的の中で、こういうアイディアが出てきたのだろうと思っています。

ただテスコのフレッシュ&イージーを視野に入れているのではないかという指摘もある。テスコは進出フォーマットについて健康志向をうたってますから、ホールフーズが小さめの店を作ると、確かにぶつかるのかもしれない。

ウォルマートも小さい店を開発するかもしれませんし。
アメリカはちょっとした小型店舗ブームです。

鈴木敏仁 (12:28)


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2007年8月30日
ターゲットのポップアップストア、英国版

ポップアップストアというのはマーケティング用途でして、短期間だけオープンさせる期間限定店舗のことを言います。
バイラル(またはバズ、日本語ではクチコミ)を意図的に作るために使用しますが、リテーラーでこれを使っているのはターゲットとJCペニーのみです。とくにターゲットはマンハッタンでこれをよく使いますね。

とりわけターゲットはバイラルを作ることが非常に上手な企業として知られていて、その手法の一つとしてポップアップストアを使っている。

JCペニーのポップアップストア

そう言えば、ウォルマートがアナリストカンファレンスに合わせて、環境テーマのポップアップストアをマンハッタンにオープンさせたことがあったような気がします。
ただウォルマートがこれを定期的に使うなんてことは、ありえない。

ターゲットがこれを、イギリスの高級デパートメントストア、Selfridgesの中に短期間オープンさせるというニュースが流れました。伊勢丹や高島屋の中に、ターゲットの売場を短期間だけ作るというような感じでしょうか。


日本でポップアップストアをマーケティング戦略の一環として使っている大手リテーラーはいないですよね。原宿や銀座に1ヶ月だけ限定的に店を出す、というようなやりかたは、あってもいいと思うんですけどね。


さてターゲットです。
その意図がみえてきません。

単なるバイラル用途なのか、英国進出を考えているのか。

海外進出は随分言われてきているのですが、いまは国内成長に力点を置くとして同社は正式に否定しています。

英国のセルフリッジスはカナダのグレン・ウェストンという人が持っていて、この人はカナダのロブロウとホルト・レンフルー(デパートメントストア)のオーナーでもある。とすると、カナダとの接点が見えてきたりもする。

とまあ、こんなことを書く人がたぶんアメリカにも一杯いて、それ自体がバイラルでして、ターゲットはすでに目的の一部は達成しているような気もするんですけどね(^.^)

鈴木敏仁 (12:09)


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2007年8月29日
独メトロが来年からRFIDを本格始動

独メトロが200店舗でのRFIDのテスト段階を終了し、サプライヤー650社に対して来年早々までのコンプライアンスを求めているそうです。
メトロによるこの要求は厳格で、実装できないサプライヤーに対しては追加のハンドリングコストを請求するそうです。

ただしパレットレベルで、アイテムレベルではないようですね。

このフルスケールのRFID化はウォルマートよりもかなり早いのですが、アナリストによるとこのメトロの動きが他の欧州リテーラーに影響を及ぼすのは必至で、来年早々には他企業も動き出すだすのではないかと予測してます。


ヨーロッパの動きが早いのは、アメリカと比べるといろいろな意味でのサイズがコンパクトだからでしょうかね。
ROIが本当に見込めるのかどうか。
大向こうを意識したスタンドプレーという見方もできる。
冷静に進捗をモニターする必要があるでしょうね。

鈴木敏仁 (02:53)


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2007年8月28日
ウォルマートの新フォーマット開発

先週の21日にエントリーしたウォルマートによる新フォーマットの開発プランについて、実際に検討しているということをウォルマートが正式に追認しました。

開発チームを編成するために雇用も開始している模様。

この雇用条件の中に、'M&Aの可能性を査定できる能力'という項目があったため、買収も視野に入れていると経済紙が書き、これをウォルマート広報があわてて否定するといういきさつがありました。


ウォルマートは過去、買収というものをほとんどせずにあの規模となった企業です。きわめて強い企業文化を持っており、そのため買収してもスムーズに統合できないという見方が多い。一方海外では買収を繰り返していて、そろそろ国内でも買収するんじゃないかという見方もある。

たぶん自社開発するんじゃないかというのが、ぼくのヨミですが、根拠はあまりありません。ただの憶測です。
どちらにしても、小型フォーマットを検討していることは確実となったわけです。

物流はたぶん昔傘下だったマクレーンを使用し、店舗網がクラスター化できたら自社物流にする、といったところでしょうか。小口配送用の専用配送センターを作る、なんてことも考えられる。

考え始めるとキリがないですね(笑)

鈴木敏仁 (02:54)


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2007年8月27日
ホームデポサプライの売却決定

懸案となっていたホームデポ傘下のホームデポサプライ(HDサプライ)の売却が決まりました。売却額は85億ドル、買収するのはバイアウト企業グループ(ベインキャピタル、カーライルグループ、クレイトン・デュブリエ・アンド・ライスの三社)です。

売却予定額は103億ドルでしたので、18%近く買収総額が下がったことになります。
本日のWSJ紙が報じている内容を読むに、HDサプライの企業価値が当初の見積よりも下がったというわけではなく、最近日本でも話題となっているサブプライム問題に端を発する信用不安から、金融グループが融資をためらい始めていることに、価格が低下した本質的な理由があるようです。

つまり、バイアウト企業の資本調達先としての銀行グループが、ジャブジャブとお金を貸さなくなってきている、ということですね。お金を貸さなくなってしまったので、必然的に買収額を下げざるを得なくなった。

史上空前ともいえるバイアウトブームがここ数年続いてきたわけですが、債権を証券化して市場で売ってしまうことが以前に比べて簡単ではなくなりつつある、ということも書いてありました。
金融工学の専門家ではないので、技術的な話はここまでとしますが。

おそらく、現在進行中の、ヒルトンやクリアチャネルの買収案件も同じようなことになるだろうというのが、WSJ紙の見方で、つまりホームデポ案件は金融業界でこれから起こるであろうことの先駆けとなる可能性がある。
流通業界にもバイアウトが連発してきましたが、収束へ向かうかもしれませんね。


ホームデポはこれでとりあえず、ナーデリが残した負の遺産を整理できた。あとは、本体の建て直しですね。あの輝かしい時代がまた戻るといいのですが・・・。

鈴木敏仁 (01:32)


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2007年8月27日
「プレミアムPBのトレンド化」Vol.11,No.35

アメリカ流通eニュース

 セイフウェイがOオーガニックというPBラインを投入したのは05年の12月のことであった。150アイテムでの投入だったが、目で確認するにたぶんいまはもっと増えている。全店発売開始は翌06年の3月。これが同社の発表によると、昨年一年間で1億6000万ドルを売上げるまで急成長、さらに今年は3億ドルを見込んでいるというのである。円換算だと4000億円近い。
 価格戦略は、プレミアムPBの成功例として知られるセイフェイセレクトとほぼ同等、また最近増えてきているオーガニックNBよりは若干低価格となっている。
 もちろんプレミアムブランドだけに、ただ店頭に置いただけで売れているわけではない。全米カバーのTVコマーシャルを打ったり、Oオーガニックだけを特集した高品質のチラシ(というよりもパンフレット)を世帯に配布したりと、宣伝広告はNB並みのことをしている。
 ここ数年PBのトレンドが大きく変わりつつあるように感じているのだが、セイフウェイのOオーガニックはその典型例だと思っている。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (01:27)


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2007年8月24日
ホールフーズの買収プラン

連邦控訴裁判所がFTCによる控訴を退けて、ホールフーズの買収プランに再びゴーサインを出しました。

すでにエントリーしましたが、控訴裁判所はFTCによる控訴を認め、FTCとホールフーズ/ワイルドオーツ双方から意見書の提出を求めていました。
このFTCによる意見書の内容に、地方裁判所による決定を覆すに十分な論旨に欠いていた、と控訴裁判所が判断したことになります。

最高裁までもって行くことはないようなので、これで買収は公的にOKとなったわけです。

APが報じたところによると、地方裁判所の93ページにのぼる決定書には、マッケイによるヤフーへの匿名書き込みなどについては一切触れていなかったそうです。
誰が何を言ったではなくて、あくまでも客観的な事実に基づいて判断を下された、と公正取引専門の弁護士がコメントしています。


ということで、ワイルドオーツは買収されることとなりました。
裏で絵を描いたロン・バークルの想定どおりとなったわけです。

鈴木敏仁 (07:28)


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2007年8月22日
目立つホームデポの不調

ホームデポとロウズの第二四半期の決算が出揃ったのですが、ホームデポの不調が目出ってます。

ホームデポは、売上高1.8%ダウン、純利益高14.8%ダウン、既存店成長率5.2%ダウン。
ロウズは、売上高5.8%アップ、純利益高9%アップ、既存店成長率2.6%ダウン。

両社ともに既存店がダウンしており、住宅ブームが下火になったことを理由としてあげているのですが、ホームデポの落ち方はロウズの約2倍です。減収減益というのも、急成長を続けてきたホームデポらしからぬ数値。

ホームデポの建て直しは本当に急務なのだということが、この数値から見えてくると思います。

鈴木敏仁 (05:18)


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2007年8月21日
ウォルマートによる小型フォーマットの実験

8/17付けのWSJ紙が、ウォルマートが小型フォーマットの開発に動いていると報じました。開発チームがサンフランシスコに'潜伏'して、2タイプについての可能性を探っているとのこと。

1つ目は、高所得層を狙ったグローサリーをメインにしたコンビニエンスストア。
2つ目は、ヘルス関連サービスと商品を扱うフォーマット。

来年早々にはテストを開始する、としてます。

2つ目ですが、同紙のニュースソースが、'ウォルマートは5年以内にヘルスケアカンパニーとして1番を目指している'、とコメントしてます。
ドラッグストアをやるという噂もかなり前からあって、これもあながちありえない話ではない。ただ文面を読むに、インストアクリニックのようなサービスをメーンに据えたフォーマット、というような気もします。


ちなみに今年の3月に、こういうエントリーを載せました。
ウォルマートがコンビニに進出?
業界ではすでに俎上に上がっていたことなのですが、WSJ紙が報じたことで、俄然、信憑性が出てきましたね。


>>本日より出張のため、エントリーが若干遅れますが、ご容赦下さい。

鈴木敏仁 (07:09)


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2007年8月20日
ホールフーズの買収案件、FTCが控訴

先週末に地裁から出たワイルドオーツ買収に対する許可に対して、FTCが控訴しました。連邦控訴裁判所はこれを認め、買収に対して猶予を設定、水曜日までにFTCが訴状を提出し、これに対して木曜日までにホールフーズとワイルドオーツ側が回答する、というスケジュールとなっています。

ものすごいスピード感ですね。
早く決めてしまおうという意思を感じますが、この手のビジネス案件はやはりこうあるべきでしょう。
だらだらと長引かせるのは、よくありません。

ということで、本件まだ予断を許しません。

鈴木敏仁 (02:36)


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2007年8月20日
「かかりつけ薬局はアメリカには存在しない」Vol.11,No.34

アメリカ流通eニュース

 とある流通シンクタンクがウォルグリーンに関するレポートでおもしろい記事を載せていたので、今回はこれをテーマとする。
 「ドラッグストア業態においては、特定リテーラーに対する消費者ロイヤルティはほとんど存在しない。(アメリカの消費者は)ドラッグストアを選択するときは車で2縲鰀3マイル程度までなら喜んで行く(つまり2縲鰀3マイルと越えると行かない)。ウォルグリーンによる、お客の2マイル圏内に立地するという戦略は、だから機能している。06年現在で、1億3180万人がウォルグリーン店舗から2マイル圏内に住んでいるのである」。
 お客が特定ドラッグストアにほとんどロイヤルティがないということが業界のリスク要因であり、ウォルグリーンはだからコンビニエンスを前面に押し出す戦略を長く取ってきて、その結果成功している、ということを言おうとしている。
 これを読んで、思うことが多かった。

鈴木敏仁 (01:13)


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2007年8月17日
ホールフーズの買収プランにゴーサイン

ホールフーズによるワイルドオーツ買収プランにゴーサインが出ました。
FTC(連邦取引委員会)が買収プランに異議をとなえ、連邦地裁で争われてきた案件ですが、昨日地裁が問題なしとの裁決を下しました。

FTCには緊急控訴といった手段がまだ残されているようで、来週早々までの猶予期間にアクションを起こす可能性があるようです。これが無かった場合に、M&Aは成立することになります。

裁判官は93ページの意見書を作成しているのですが、ホールフーズの社外秘が含まれており、一般には公開されていません。従って、許可の判断を下された経緯については、現時点では不明となっています。
おそらく、近いうちにメディアに出てくることでしょう。

今回の買収プランに対するFTCの差止請求に関して、私は一貫して根拠が薄いと主張してきましたので、そのとおりの結論が出たということになります。

FTCはここ数年大型M&Aを認めてきてまして、ここでいきなり認めないとすると不公平感が強く残ります。
過去の、M&Aに緩やかなポリシーから一転して政治的な方向転換があって、ちょうどそこにホールフーズがはまってしまった、というようになんとなく感じているんですが、考えすぎかな。

さて興味深いのはこれからです。

とりあえず、ヘンリーズとサンハーベスト35店舗をスマート&ファイナルに売却することはプランとして存在する。またワイルドオーツ30店舗を売却する予定であることがFTC提出の資料から漏れて問題化したりしてますね。

あとは、合併作業なのですが、ホールフーズは過去M&Aで成長してきた歴史があり、ノウハウはありそうなので、スムーズに行くんじゃないでしょうかね。

参考までに、過去のエントリーをまとめておきます。

ホールフーズがワイルドオーツを買収
ホールフーズによるワイルドオーツ買収に暗雲
ホールフーズ対FTC
ジョン・マッケイの匿名投稿
マッケイの謝罪

鈴木敏仁 (01:55)


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2007年8月16日
米マテル社の自主回収

玩具大手メーカーのマテルが、中国製玩具の安全性に問題があるとして自主回収を進めているのはご存知の方も多いと思いますが、対象商品が拡大しつつあります。
14日に発表のあったアイテムは、基準値を超える鉛を含んだ塗料を使ったミニカーで、およそ50万個が対象となるそう。

小型で強力な磁石がついた玩具のリコールをはじめたのが1日のことでした。はずれたものを乳児が誤飲し死亡する事故が05年に発生しているものなのだそうですね。

グローバルレベルで、トータルすると1900万個のリコールになるとしてます。またこれからさらに対象商品が拡大する可能性を否定していません。

ニュースでは、ウォルマートやターゲットの店頭から撤去される商品の模様が放映されています。

現在消費者対象にマテルが打っている手は二つ、一つ目はCEOロバート・エカートがビデオで謝罪、オンラインでリリースされました。二つ目はニューヨークタイムズとウォールストリートジャーナルで一面を買って謝罪広告を載せています。

大きな問題が発生する前にリコールに踏み切ったこと、CEO自らがすぐに出てきて謝罪したこと、このあたりが評価されています。リスク管理はまずまずということですね。
ただ今年の歳末商戦に向けてかなりのダメージを負ったという見方もありますし、ひょっとするとバービーを含むマテルのブランドの転換点になるかもしれないとする識者もいますので、予断は許しません


日本でも同様なのですが、アメリカでも、練りハミガキ、タイヤ、ペットフード、シーフードと、中国からの輸入商品で問題が多発してます。Made in Chinaに対する信頼性が揺らぎ始めている。
我が家も、少なくとも食品に関しては中国製は可能な限り避けるようになってしまった。

この中国製品のアメリカにおける最大の輸入企業が、実はウォルマートです。
じわじわと影響が出てくるのかもしれないと思ってます。

鈴木敏仁 (03:13)


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2007年8月15日
ウォルマートも下方修正

西友が6年連続で赤字を計上する見込みであることを発表しましたが、本体のウォルマートも通年の見込みを下方修正しました。

第二四半期の結果は、売上高8.8%増、純利益高4.1%増と増収増益だったのですが、既存店成長率が1.7%増と低調。リー・スコットは、一見すると良い結果に見えるが、基本的なパフォーマンスは我々の期待に達していない、としてます。

一株利益しか数値が手元にないのですが、通年の予測は、一株あたり3.15縲鰀3.23ドルから、3.05縲鰀3.13ドルへと修正されています。


増収増益率と、既存店成長率の、大きな数値の乖離は、ひょっとすると古い店が相当悪いような感じがしますね。新店効果で全体の数値は強いが、既存店が足をかなり引っ張っている、という印象がある。

ウォルマートのオーバーホールは時間がかかってます。

西友も同様。
いつ孝行息子になるのでしょうね。

鈴木敏仁 (03:26)


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2007年8月14日
ダンキンドーナッツのコーヒー

P&Gがダンキンドーナッツからライセンス供与を受けて、'ダンキンドーナッツ'ブランドのコーヒーを販売するそうです。チャネルは、スーパーマーケット、マスリテーラー(ウォルマートやターゲット)、メンバーシップ・ホールセールクラブ、そしてドラッグストア、つまり日常の商業全体ということですね。8月半ばに販売開始だそうですから、もうどこかで売っているのかもしれません。

これ、売れるんでしょうかね・・・?
ダンキンは、スターバックスの成功を横目で見ながら、最近フォーマットの転換を行いました。ドーナッツにコーヒーを加えたカフェ化なのですが、スタバが上層だとすると、ダンキンは中層以下を狙っている。

ダンキンドーナッツ2.0

今回のニュースは、スタバがリテールチャネルで豆を売っているのを横目で見て、これもコピーする、ということになる。したたかというか、なんというか。


ちなみに本日のAdAgeは、P&Gが来月の9月に、デュラセル(乾電池)、フォルジャーズ(コーヒー)、そしてプリングルス(ポテトチップ)の売却の可能性を検討する、と記事にしていました。クラフトはマックスウェルハウス(コーヒー)、ポスト(シリアル)の売却を検討している可能性があるそう。
ユニリーバによる衣料用洗剤事業の売却プランに典型ですが、儲かっていても成長性を見込めない北米事業の売却をアメリカの大手メーカーは考えているらしい。

とすると、ダンキンコーヒーも導入早々に他社に移ってしまうのかもしれないわけですねえ・・・。

鈴木敏仁 (05:11)


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2007年8月13日
リストラ

本日は人員解雇ネタを二つ。

【マイヤー】
マイヤーが店舗の部門長(デパートメントマネジャー)500人を解雇すると発表しました。過去数ヶ月間、179店舗の4200人と面接した結果だそうです。店頭のパートタイマーと、本社人員は含まれていません。
マイヤーは、ウォルマートとターゲットの間に挟まって苦戦中。両社ともにマイヤーが本拠とする中西部に店舗を増やしていますので、決定的な何かを見出さない限り、この企業はまだしばらくは苦戦し続けることと思います。

【ギャップ】
ギャップが月例の業績報告で、今年に入って1500人の解雇を実施しているとコメントしているようです。400人が解雇され、1100人にこの第2四半期に通告が渡されたとのこと。これには、撤退フォーマットのフォース&タウンがらみの2000人の解雇は含まれていません。
ギャップの縮小均衡モードは、なかなか止まりません。最近も、近所のモールからバナナリパブリックが消えてました。新CEOが来ましたが、仮にポジティブだとしてもすぐには結果は出ませんしね。
こちらもいまだ苦戦中です

鈴木敏仁 (02:18)


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2007年8月13日
「オーガニックグローサリーという限定市場が存在するのか否か?」Vol.11,No.33

アメリカ流通eニュース

 ホールフーズによるワイルドオーツ買収プランにゴーサインが出た。FTC(連邦取引委員会)が異議を唱え差止請求をし、裁判で争われていた案件なのだが、地裁が許可する決定を下した。
 ただしFTCには緊急控訴など差し止めるための複数の手段が残されているようだ。控訴の猶予期間は来週の月曜日までで、どうやらいまのところ控訴する予定であるらしい。従って、まだしばらくはもめそうなのだが、とりあえず地裁レベルにおいては企業側の言い分が認められたということになる。
 本件、ことの本質は、オーガニックグローサリーという限定された市場があるのかどうか、ということにつきるようだ。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (01:12)


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2007年8月10日
クローガーによるオーガニック新ライン

クローガーがプライベートセレクション名でオーガニック商品を65アイテム導入すると発表しました。

ミルク、パスタ、スナック、冷凍ワッフル、ピーナッツバターといったグローサリーで、オーガニックセクションに分離してアソートせず、普通のカテゴリーに入れ込んでいく予定だそうです。

クローガーはすでにナチュラリー・プリファードというラインでオーガニックPB300アイテムを所有していますが、普通のグローサリーセクションでプレミアムブランドのポジションで売るために、新たなブランド名を作ったということのようです。


オーガニックをPBとして展開するスーパーマーケット企業はかなり増えてきてます。競合が激しくなっていて、このおかげでホールフーズの急成長にもブレーキがかかってきたとも言われている。

やはり、ホールフーズによるワイルドオーツ買収にノーサイン出したFTCの見解は、今回に限っては、市場の現状と離れているなと思わざるを得ない。何か、政治的な理由があるのではと疑わざるを得なくなるのです。

鈴木敏仁 (01:33)


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2007年8月 9日
ウォルマートによるSNSプロモーション

ウォルマートがMySpaceに次ぐ米SNS大手のFacebookを使って、新学期セールの販促展開を始めることを明らかにしました。同社は一度オリジナルのSNSを立ち上げたのですが見事に失敗していまして、既存インフラを利用する戦略に変えたようです。

'Roommate Style Match'というグループをFacebook内に作り、参加者は質問に答えてゆくと最後に推奨商品のリストが出てくるという仕組みだそう。自社サイトとリンクさせ、ネットでも買えるし、'Site to Store'つまりネットでオーダーして店舗で受け取る、という選択肢もある。

Facebookは学生向けのSNSで、新学期セールで狙うべき層が集まっています。またティーンエージャーによるウォルマートに対するイメージは、決して悪くありません。
意外に高いウォルマートのブランドイメージ
そういう意味では、この取り組みは悪くない。Second Lifeに仮想店舗を作るよりはよほど効果があると思います。

10月31日までサービスを提供するそう。
結果が楽しみです。

>>SNSをご存じないかた、私が立ち上げた我が国流通業界初のSNS、R2Linkにぜひご参加いただき、体験してみて下さい。今のところオープン登録制です!!

鈴木敏仁 (03:06)


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2007年8月 8日
パブリックス、抗生物質を無料化へ

パブリックスが7種類の抗生物質を無料で調剤するプログラムを開始することをリリースしました。

この7種類は業界用語で言うといわゆるド定番にあたる抗生物質だそうです。14日分の処方に限定。一種類だけ32ドルぐらいと高めだが、あとはおおよそ4縲鰀10.50ドルぐらいの薬だそうです。

これは端的に言って、ウォルマートが先鞭をつけた$4ジェネリックに対抗するものです。$4ジェネリックには多くの企業が追随しましたが、抗生物質を無料にするというのは初のことで、広告効果はかなり期待できるものと思います。

ただし、ウォルマートに追随して同社も導入した$4ジェネリックプログラムをひそかに中止していることを地元紙が報じた模様。知事を同席させてのニュースカンファレンスを開催して無料抗生物質プログラムを発表する一方、$4ジェネリックプログラムのストップには触れていないようです。

パブリックスはこのプログラム中止について公的にまだ認めていないのですが、もし事実だとすると、おそらく、$4ジェネリックと抗生物質をてんびんにかけ、抗生物質のほうがインパクトがあると読んだのでしょうね。

アメリカの店頭ベースでの薬価をめぐる競合は、かなり激しいものがあります。

鈴木敏仁 (02:06)


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2007年8月 7日
ウォルマート、インドの合弁事業で正式調印

昨年11月にインド進出を発表しながら、その後左派政党の反対にあって遅れていたウォルマートとインド企業バーティ・エンタープライゼスが合弁事業で正式調印しました。

小売ではなくて、小売企業に対して商品と供給するキャッシュ&キャリーを展開するとのこと。
外国資本による複数ブランドを販売する小売を同国が禁じており、そのためウォルマートは合弁を選択したわけですが、左派政党による反対にあったため、卸事業でビジネスを開始することを選択したわけです。

JVの比率は50対50。
調子が良いときはいいのですが、どちらかが主導権を握れないので、いったん不調に陥ると、または意見に食い違いが出ると、デッドロックに乗り上げる非常に微妙な比率です。

とりあえずこれでウォルマートは、次の大きな新市場に橋頭堡を作ったということになります。

インドは零細小売業が主体です。
P&Gなどのアメリカの巨大メーカーが、この小さな店舗に力を入れ始めている、という記事を最近どこかで目にしました。

気候も暑いですが、市場も熱くなってきました。

鈴木敏仁 (02:30)


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2007年8月 6日
ユニリーバによる洗剤事業売却の衝撃

この件、日本ではあまり話題になってないかもしれませんが、私にとってはけっこう衝撃的なニュースです。

発表されたのは先週の第二四半期の決算発表時、決算自体は16%の増益で悪くはないのですが、選択と集中、つまり現在伸びている事業(例えばパーソナルケア)に集中するために、将来性が見込めない事業を売却するというわけです。

洗剤市場におけるP&Gとユニリーバの戦いは、40年代にまでさかのぼるそうで、つまり60年間近く火花を散らしてきたわけです。
現在シェアはP&Gが62.5%、ユニリーバが12.9%なので、数値上は決着がついていた。しかし売却するとは夢にも思わなかったので、驚きました。

ただどうも業界では、既定路線ではあったようですね。

ちなみに同社の米国洗剤事業は11億ドルを売り上げています。また売却するブランドは、ALl、Snuggle、Wisk、Surgなどで、買収企業として候補にあがっているのは、Hankel(Dial)、Church&Dwight、そしてプライベートエクイティファンド、です。

下位洗剤メーカーが買う可能性が高いように思うのですが、どうでしょうね。
どの企業が買うのか、注目です。

鈴木敏仁 (05:09)


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2007年8月 6日
「ユニリーバによる衣料用洗剤事業からの撤退」Vol.11,No.32

アメリカ流通eニュース

 ユニリーバが北米の衣料用洗剤事業から撤退する。資料によるとユニリーバ(当時はリーバブラザーズ)とP&Gの洗剤をめぐるつばぜり合いは40年代からなのだそうなので、実に60年間にわたる競争に終止符が打たれるわけである。
 もちろん売却による撤退なので、ブランドは残る。下位メーカーが買収する可能性があり、P&G対その他、という図式になりそうだ。
 この撤退、いろんなことを考えさせられる。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (01:11)


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2007年8月 3日
アマゾン生鮮のテスト開始

アマゾンが生鮮の取り扱いを始めました。名称はアマゾンフレッシュ、アマゾン本社の近隣の小さな商圏でのパイロットテストです。

アマゾンは随分昔から食品をやりたかったのですね。99年にホームグローサーというネットオンリーの企業に4250万ドルを投じ、失敗、これを2001年に買収したウェッブバンも消えてなくなりました。ネットバブル時代です。

でもあきらめなかった。
03年にグルメフードの取り扱いをはじめ、昨年の5月にはグローサリーの扱いを始めた。
アマゾン、グローサリービジネスを開始

少しずつ、自分の手で、ネット販売しやすい領域からはじめ、いわば最後のステップとして一番難しい生鮮の取り扱いに挑む、というわけです。

特徴は、自社トラック(チルド対応)12台を抱えて自社配送体制としていることにあります。

さてこの取り組み、ネット上で意見を読むに、うまくいくかどうかの予測は真っ二つに分かれてます。

DSCF4393.jpg基本的にアメリカは人口密度が希薄なので、食品デリバリーというビジネスモデルが成立しづらいところがあります。唯一専業でうまく行っているのはマンハッタンを商圏とするフレッシュダイレクト。全米でも有数の高人口密度商圏ですね。

だから、一般的に考えると、非常に難しそうだとしか言いようがない。ただ高い技術を持つアマゾンならではの、非常にユニークな機能を提供できれば、おもしろいのかもしれません。
例えば、こういうサービスです。
アマゾンがグローサリーの自動補充サービスを開始

こちらもご参照下さい >> アマゾンの生鮮調達先
鈴木敏仁 (02:19)


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2007年8月 2日
ホームデポがキックバックで社員4人を解雇

Lower level purchasing buyerですから、おそらくタイトルがつかないような下位ランクの仕入れ担当バイヤー4人が、ベンダーからキックバックをもらっていたという理由で解雇されました。

キックバックの総額が100万ドル近くに達していた模様、解雇となった理由はこの金額の大きさにあるようです。またキックバックを支払っていたのはアジアの床材サプライヤーで、見返りは商品を棚に置くことだったそうです。
事件の詳細はここまでで、あとは連邦捜査がはじまっているためノーコメントとなってます。

ホームデポはこの事件を受けて、今後はベンダーから一切何ももらってはならず、もらったら解雇という、情状酌量なしポリシーにするとしてます。
ホームデポはどちらかというと規律がゆるく、だから自由な風土の中で伸びて来れた企業なのですが、一転して厳しいポリシーとなったわけです。


このキックバック、なくらない問題ではあります。お金だけではなくて、ディナー、ランチ、招待旅行、などなど。昔に比べたら減ったけど、アメリカでもやはり存在する、と言われてます。ポイントは額でしょうね。今回のはちょっと大きすぎました。

ロウズのように、もらってもいいというポリシーを持っている企業もあります。ただし、キックバックではなくて、75ドル価値のギフトまで。これは、国によってはギフトをあげるのが習慣となっていて、これを断ることは先方のビジネスマナーに反するからだ、ということなんですね。アジアやヨーロッパでは、普通の習慣ですから。

ウォルマートのように、ガム一枚でももらってはいけない、という企業もあります。


これ、企業サイズによるのでしょうが、やはりたがははめる必要はあります。招待旅行やディナーなど、お金ではないものも制限しなければならない。バイヤー間のリベート競争もやめたほうがいい。
でないと、売れるか売れないかではない尺度で、商品が置かれることになりますから・・・日本の小売企業でこれに陥っている企業って少なからず存在します。

鈴木敏仁 (02:27)


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2007年8月 1日
流通小売業界とウェブ2.0

先週日本で、某大手メーカーさんのセミナーで講演をしてきました。

アウトラインはこんな感じでした。
1、経営変革の必要性を問う
2、ウェブ2.0
3、流通小売業2.0

ナレッジのあり方というか、流れというか、ここ数年爆発的に変わってきているわけです。これをどう管理するか、利用するか、共有するか。ウェブ2.0の本質はこのあたりにあるのだろうと私は考えています。

とりわけ、日本の小売業界はここに疎い。
メーカーはわりと早いけど、でもアメリカと比べると遅いです。

それと、世代によってものすごい温度差がある。
デジタルデバイドという表現がありました。貧富の差による情報量の差を説明した言葉でしたが、世代による差もあると思う。
40台が「SNSって何?」なんて言っているうちに、20縲鰀30台はブログやSNSが当たり前となってしまっている現状を知らなければならない。

グラハム・ベルが電話を発明したとき、「そんなもの作ってどうする。相手と会って話をすればいいではないか」と、多くの人が疑いの目で見たのだそうです。
同じことだと思ったほうがいい。「ブログとかSNSなんていらない。メールでいいじゃないか」・・・。

まだ思考が足りない部分があり、今回は手探りの講演でした。SNSを実際に運営している人間としてこれからもっと思考を深めて行きたいと考えています。

なお私が運営しているR2Linkは自由登録制です。
ぜひご参加下さいませ。

鈴木敏仁 (10:59)


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