2012年10月31日
ハリケーン「サンディ」の小売業への影響

東海岸を襲った大型ハリケーン、サンディによる被害は10/31の時点で死者59人にのぼり、甚大な影響を与えています。
いまも各地では復旧に向けての努力が続けられているという現状のようです。

小売企業はと言うと、閉店による売上の影響は出そうですが、いまのところ多大な損害を被ったというニュースは出てきていません。

例えばウォルグリーンはピーク時で750店舗をクローズ、昨日の時点でクローズしていたのは530店舗で、徐々に減っているとのこと。
ウォルマートは月曜日の夜の時点で267店舗を閉鎖、昨日の午後の時点で80店舗にまで減っていました。

ウォルマートは大きなダメージを受けた施設はゼロで、歳末の売上計画についても修正する必要が無いとコメントしています。

またグローバル・エマージェンシー・マネジメント部門の責任者が、東海岸もこれからはガルフコースとのようなハリケーン対策を考えなければならないかもしれないとコメントしているのですが、気候が変動していて今までにない自然災害が東海岸を襲う可能性があるということですね。

ちなみにグローバル・エマージェンシー・マネジメント、おそらくハリケーン・カトリーナによる被害から開発された部門ではないかと思うのですが、全米に大きな店舗と物流網を持つウォルマートならではという部署ではないかと思います。


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鈴木敏仁 (02:40)


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2012年10月30日
[スーパーバリュ] 買収するのはどの企業か?

先週後半あたりからスーパーバリュに関する記事が増えて来ているのですが、いまのところ三者に絞られたような印象です。
解体せずに丸ごと買収したいサーベラス、セブアロットのみ欲しいKKR、ホールセール事業のみ買いたいC&S。
交渉が進行していることをうかがわせます。

仮にサーベラスが丸ごと買収したとしても、買収後に解体して一部を売却する可能性が高いと思ってまして、けっきょくはバラバラになるんじゃないでしょうかね。

興味を引いたのはウォールストリートジャーナルの記事。
2006年にアルバートソンズが資本を売却したときに、不採算店舗650店舗を買収したのがサーベラスを筆頭とする投資シンジケートでした。
この投資グループが持つアルバートソンズは、業界ではアルバートソンズLLCとしてスーパーバリュのアルバートソンズと区別しているのですが、200店舗まで縮小してどうやら採算に乗っている模様。さらに投資グループはかなりの利益を上げているようなんですね。

こういうのを、サルベージとでも呼べば良いのでしょうか。

ここで再びアルバートソンズを買収して両者をくっつけることができれば、双方別々に運営するよりもよほど効率は良いわけですから、サーベラスには買収する大きな理由があるということになります。

サーベラスがスーパーバリュを買収するとアルバートソンズが再統合されるという話を以前ここでエントリーしたことがありますが、単なる机上の空論ではなく現実的なディールとして進み始めているようです。

鈴木敏仁 (02:53)


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2012年10月29日
[バーンズ&ノーブル] 英アズダと提携してイギリスでヌックの販売を開始

バーンズ&ノーブルがウォルマート傘下の英国事業ユニット、アズダと提携して電子ブックリーダーのヌックをイギリスで販売すると発表しましたた。
将来的には販売店舗を2500店舗まで増やすとしています。

バーンズ&ノーブルはイギリスに店舗を持っていませんので、電子ブックのみによる参入と言うことになりますね。サイト上にイギリス向けの電子書籍を揃えれば済むことですから、英語圏の企業は便利です。
しかしながら極論すると、例えばヌックに日本語を用意し、サイトに日本向けの電子書籍をマーチャンダイジングし、日本人の顧客サービスを用意すれば、日本上陸も可能と言うことになりますよね。
デジタル化で国境線はただの概念上のラインに過ぎなくなるということを考えさせられる事例ではないでしょうか。

鈴木敏仁 (01:21)


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2012年10月26日
[ウォルマート] サステナビリティ・インデックスの拡大を発表

ウォルマートCEOのマイケル・デュークが中国でのイベントで講演、サステナビリティへの新たな取り組みについて言及しました。

*2013年からサステナビリティ・インデックスをPBに適用する。

*2017年の終わりまでに、アメリカで売られている全商品の70%をサステナビリティ・インデックスを使用している商品とする。

*サステナビリティがグローバルソーシングのバイヤーの日常業務の中でさらに重要なものとするために、グローバルソーシングの主要バイヤーの査定方法を変える。

*中国サステナビリティ・コンソーシアム設立のために、ウォルマート基金からサステナビリティ・コンソーシアムに200万ドルを寄付する。


サステナビリティ・インデックスについては極めて複雑な仕組みとなるため難しいのではないかと言われていたのですが、今回の発表でちゃんと研究が進んでいただけではなくて、とうとう実用段階に入ったことが分かって、少々驚きました。
某大手メーカーさんからのリクエストでウォルマートのエコに対する取り組みについてレポートを数年前に作成したことがあり、そのときにサステナビリティ・コンソーシアムの代表にお会いしたことがあります。その縁で、日本のメーカーさんを何社か紹介したこともあります。

このコンソーシアムには食品、日用品、家電等々、ウォルマートで売られているような日常使われる商品群を製造している欧米の多くの大手メーカーが参加しているんですが、日本のメーカーはパナソニックと東芝ぐらいで、あとはまったく無関心です。
ウォルマート主導で勝手に業界標準が作られちゃうかもしれない、その前に参加して意見を言っておいた方が良い、という私の見解を日本のメーカーさん数社には主張したことがあるのですが、ぜんぜん受けませんでした。

遠くの話なんでしょうね。
でも2017年までにウォルマートが全商品の70%に適用するとなると、関係する日本のメーカーはたくさん出てくるでしょう。
気がついたときには、欧米標準を押しつけられることになるかもしれないというわけで、まあ、昔からよくあることなのですが・・・

ちなみにウォルマート主導ではあるのですが、コンソーシアムにはクローガー、ベストバイ、テスコ、アホールド、マークス&スペンサーも参加しています。

鈴木敏仁 (01:20)


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2012年10月25日
[ベストバイ] 経営層のリストラ開始

ベストバイのリストラが始まりました。やめるのは米国事業のナンバーワンとナンバーツー、それとチーフ・アドミニストレイティブ・オフィサー(日本だと総務部長?)の三人、加えて何人かの上層人員を削減して階層を減らすようですね。一般社員の解雇があるのかどうかは定かではありませんが、歳末商戦が終わったら、やるかもしれません。

アメリカでは、外部からCEOが招聘された場合にその人の部下となる経営幹部を入れ替えるのはいわばお約束ごとのようなものでして、驚くには値しないのですが、これが人材の流出につながることがあり、結果として企業文化が失われてしまい、ダメになってしまうケースが往々にしてあるんですよね。
記憶に新しいのはホームデポ、ナーデリが古巣のGEから人をたくさん持ってきたためプロパーがたくさんやめてしまい、外側はホームデポだけど内側はGEだ、なんてことを言われたものでした。

幸いにしてナーデリが解雇された後にトップとなったブレイクが優秀で、創業者に教えてもらいながら経営し、優秀なプロバーを下の方からどんどん抜擢して組織を復活させ、立て直しに成功しました。

ベストバイの新CEOフバート・ジョリーにそれができるのかどうかなんですが・・・

鈴木敏仁 (01:03)


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2012年10月24日
[バーンズ&ノーブル] 63店舗のクレジットカード端末がハックされFBIが捜査中

顧客カード情報の漏洩の可能性が発表されました。
クレジットカードをスライドさせる端末機に問題があることが9月に判明、14日に全700店舗の7,000端末をいったんストップして調査したところ、63個が不正に操作されていることが判明したというものです。
すぐにFBIに報告、公表すると操作の障害が発生する可能性があるので今まで発表を控えていたそうです。

現時点ではまだ捜査段階なので何人のカード情報が盗まれたのかは不明、ハックされた店舗でクレジットカードを使った記憶のある人は明細を確認しPINナンバーを変えるなど早急に対処するよう呼びかけてます。


データベースに侵入したというような目に見えない犯行ではなく端末という具体的なものが狙われたという点に興味が引かれました。
内部犯行でしょうかね。モノを万引きするというレベルではないですから、相当な技術を持った人が犯行に関与しているように思います。
小売業界の犯罪は、向こうが腕を上げ、こちらが対応し、また向こうがバージョンアップし・・・といういたちごっこが繰り返される分野で、終わりがない点が悩ましいところです。

鈴木敏仁 (12:40)


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2012年10月23日
[クローガー] 長期的な成長目標を上方修正

先週の半ばにクローガーのCEO、デイビッド・ディロンが証券アナリスト向けのカンファレンスでスピーチしたのですが、非常にポジティブな内容で、クローガーの好調を反映するものとなっています。

アナリスト向けのスピーチなので数値が金融業界向けとなっているのですが、長期的な一株当たりの利益目標を6~8%から8~11%へと上方修正する、この成長を支えるために毎年の投資額20億ドルにこれから毎年20万ドル上乗せする、としています。
やることは、既存の商圏を強化する、新たな商圏に進出する、Eコマースを強化する、新たなフォーマットを開発する、などですが、例えばどの商圏に進出するのかといった具体的な話は出ていません。

クローガーは既存店成長率で33四半期連続プラスを記録していまして、波があるセイフウェイや、売却を検討しているスーパーバリュといった他の大手企業と比べると突出していると言っても過言ではありません。

では何をやってきたのかというと・・・成功要因の一つは顧客第一戦略(Customer First Strategy)を10年近く前に策定し積極的に投資しコツコツと取り組んできたことだ、と説明をしています。
実はこの戦略の中に大成功しているロイヤルティマーケティングが含まれているようですね。

スーパーマーケット業界でクローガーが一つ抜け出してきたような感じがしています。

鈴木敏仁 (03:17)


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2012年10月22日
ベストバイが業績を落としているワケ

小売視察の研修ツアーから戻りました。
今回はダラスからロサンゼルスと店を見て回ったのですが、車のシガーソケットからUSB給電が可能になるアダプターを視察中に買おうと思い、ちょうど良いので各店舗の品揃えや価格を調べてみました。

もともと一つ持っており今回は追加の購入で同じものを買おうと思っていたのですが、実はこの商品がウォルマートにしかないことを今回初めて知ったことが第一の発見。ブランド名はRayovac、商品名はUSB Car Charger、7ドル弱で買った記憶があったので市中価格もこんなものだろうと思っていたのですが、実はこれが最低価格であることに調べて気づき、これが第二の発見でした。

以下、各店舗の状況。

[ベストバイ]
Roketfish: 29.99
Energizer: 16.49

[ターゲット]
Belkin: 19.99
Just Wireless: 15.99

[ウォルグリーン]
Living Solutions: 7.99

[ウォルマート]
Griffin: 9.88
Rayovac: 6.97

<特記事項>
・ベストバイのRoketfishはプライベートブランド。
・EnergizerとRayovacは電池会社で商品は家電売場ではなくレジまわりの電池売場にある。
・Rayovacは業界第三位で、EnergizerとDuracellしか置かない小売企業が多い中、ウォルマートのみRayovacを取り扱う。


これを見て驚くのは、ベストバイがどこよりも高く、そして最低価格の商品を置いていないということです。
ベストバイの品揃えの貧弱さはかなり前から気づいていました。ネットとの直接競合を回避するためなのかなと思っていたのですが、しかしそれにも限界がありますよね。このアソートだとお客は"ベストバイは高い"という印象しか持たないでしょう。

Rayovacを扱っていないのであるならば、せめてウォルグリーンが持っている商品クラスはアソートする必要があります。
差別化するために高価格のPBを置く目的は分かりますが、高級家電チェーンではないのだから、せめて10ドル以下のアイテムを1skuは持たねばならない。可能であるならば、上(Roketfish)、中(Energizer)、下(Living Solutions)、と三価格帯を揃えるべきでしょうね。


ビジネスウィークがベストバイについての良い記事を掲載しているのですが(The Battle for Best Buy, the Incredible Shrinking Big Box)、品揃えについての言及はありません。たぶんこの点について指摘しているメディアはほとんど無いように思います。


CEOとなったジョリーがこういうマーチャンダイジングの細かいことに気づくかどうか。
小売経験の無い人だから無理かもしれませんね。

ディスカウントストアとしてのベストバイのレゾンデートルが揺らいでいるように思います。

鈴木敏仁 (01:14)


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2012年10月18日
[JCペニー] 店舗デザイン改装後はこんな感じ

JCPenney販促企画を減らして売上が減り、周囲から批判が噴出しているJCペニーですが、店舗デザインも大幅に変えています。
特徴はいくつかありますが、そのうちの一つがこれ。
入り口から、ストンとまっすぐ伸びる主通路を作って視認性と回遊性を高めています。
今まではデパートにありがちな迷路的なレイアウトだったのを、すっきりと変えました。

ごちゃごちゃ感がなくなって私は良いと思うのですが、逆にカオス型の売り場が好きな人には物足りない感があるかもしれませんね。
ロン・ジョンソン、実にダイナミックに大きく変革したなあ、というのが店を見ての感想。
成否はとりあえずおいて、並の経営者ではないことだけは確かです。

鈴木敏仁 (04:56)


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2012年10月17日
[フェースブック] 小売企業と共同でピンタレスト型の機能を実験中

フェースブックがネット販売の実験をしているようです。
小売企業のオフィシャルページにLikeに似たWantとCollectというボタンを追加、クリックすると自分のプロフィールページのタイムラインに商品の画像イメージが追加されるというシステムです。画像を収集するという意味でピンタレストに近い機能を追加したと言えます。

実物を見てないのでここから先は分からないのですが、収集した商品画像の中から、買ったり、誰かに見せて買ってもらったりという買い物につながることを想定しているんでしょうかね。
プログラムの名称はコレクションズ、ニーマンマーカスやビクトリアズシークレットなど数社の協力で実験中です。

ソーシャルはEコマースに向きません。ユーザーの使用目的がまったく異なりますから。チラシやお客様相談センターに近い、お客との新たなコミュニケーションツールとして使用すべきで、物販には向きません。
ただ話によるとピンタレストは販促ツールとしてけっこう有効なのだそうです。ユーザーの使用目的がフェースブックやmixiとは微妙に異なるからでしょうね。

今回のフェースブックの実験はこのピンタレスト型の機能を取り入れて広告以外で少しでもマネタイズしようという試みということになります。

鈴木敏仁 (05:10)


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2012年10月15日
[ベストバイ] ネット競合との価格合わせを開始

ベストバイがネット競合企業との価格合わせを開始、店員に対してケースバイケースで値下げする権限を与えたようです。

ベストバイやウォルマートなど大手小売企業は近隣の競合店舗との価格合わせは昔からやっています。買った商品であっても、もし他で安い商品があったら、チラシなどの証拠品とレシートを持って行けば値引いてくれます。

ただネット企業との価格合わせを公的に始めたのはベストバイが最初じゃないでしょうか。
ネット企業は店舗や店員を持ちませんから、配送料を加えると場合によってはネットの方が高いときもありますが、価格だけを見るとリアル店舗よりも安いケースが多いですから。

リアルとネットの競合が本格化してきましたね。


<追記>
明日より視察研修で時間があまり取れなくなり、エントリーが減るかもしれませんがご容赦ください。

鈴木敏仁 (01:43)


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2012年10月12日
[ホームデポ] 住宅市場の回復はまだ2年先

ホームデポのCEOフランク・ブレイクがメディアにインタビューでコメントしています。
「住宅市場に好転の兆しはあるが本格的な回復にはまだ2年は必要だろう、明るい材料がいろいろ出てくるが大げさに捉えてはいけない」。
底を打った感はあるのですが、まだまだという感じなんですね。

ホームデポもロウズも住宅不況のあおりをまともに受けて、ここ数年業績が良くありません。
逆に言うと、リーマンショック以前はものすごい勢いで成長していたのですが、市場の追い風があったんだなということが分かります。


ブレイクが面白いことを言ってます。
「お客がリフォームを経費として捉えているのか、投資として捉えているのか、を我々の業界は問わなければならない」。

経費として捉えるならば費やしたお金が戻ってくることを期待していないことを意味するが、投資として捉えるならば戻ってくることを期待していることになる。
リフォームした家のバリューが上がらないならば経費とみなすだろうし、上がらるならば投資となる。
経費と考えているならば出費は少なくなるだろうし、投資と考えるならば使う金額も大きくなる。

ということを言おうとしているわけです。


お客がリフォームを投資として見始めると住宅市場もどんどん上向く、ということですね。
分かりやすい良い表現だと思います。

鈴木敏仁 (01:04)


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2012年10月11日
[ウォルマート] Eコマースの目標はグローバルで2014年までに90億ドル

ウォルマートが金融業界向けのカンファレンスを開催しました。ウォルマートは年に何回か証券会社主催のカンファレンスで幹部がスピーチするのですが、10月のみウォルマート主催でベントンビルで毎年開催されます。

今回注目できるのははじめてEコマースの具体的な数値目標について公にしたことですね。タイトルにしたとおり、2014年までにグローバルで90億ドルとするそうです。
今までは何をしているのかについて説明することはあっても、数値について語ることはなかったので、本腰を入れたんだろうなということがこれで分かります。

参考までにウォルマートの連結売上高は4470億ドルに達してますので、90億ドルという数値はそれだけみると大きな額ですが、ウォルマート全体で見るとまだまだ微々たるものです。

また小型フォーマットへの注力が本格化してきました。
ネイバーフッドマーケットの来年度の新店数は95~115店舗で、2016年までに500店舗、年商100億ドル目指すそう。
この小型フォーマットは出店する場所が今までとは異なるので、影響を受けるスーパーマーケット企業が出てきそうですね。

米国事業の業績は、第2四半期の既存店成長率が2.4%増で、これでプラスは4四半期連続。
プロジェクトインパクトに次ぐ新たなイニシアチブ(生産性の輪)が成功して業績は完全に回復したと見ていいようです。
生産性の向上によって低価格化を続けるので仮に景気が悪化しても業績に影響はないとまで言い切ってまして、スタンスはかなり強気になっています。

鈴木敏仁 (02:53)


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2012年10月10日
[CVSケアマーク] 取組中の調剤イニシアチブが引き起こすマイナス作用

ウォルマートが証券アナリストや投資家向けのカンファレンスをやってまして、新しい情報がすでにぼつぼつ出てきているんですが、全部出揃うのを待ってからエントリーします。

今日はCVSケアマークのネタを。LAタイムズがおもしろい記事を掲載していました。
CVSの薬剤師のスーパーバイザーが薬剤師に対して送ったメールが内部告発で記者に届き、これを記事にしたところ読者から反響があったという内容です。

メールの内容を簡単に書くと、「リフィルを忘れている患者に対して4回連絡を取れ、取れなかった場合は木曜日まで待って、返事がなくてもその後にとりあえず調剤せよ」、というもの。
「リフィル数にはノルマがあるぞ、査定の項目の一つであることを忘れるな」という内容もあったみたいですね。

これを読んだ読者が、注文していないのに勝手に調剤されていたという例や、現役または元CVS薬剤師がリフィルに対して大きなプレッシャーがかかっているという話を投稿し、これをまとめてLAタイムズが再び取り上げたというのが今回の記事です。


これはとてもおもしろい。

CVSケアマークがいま力を入れているイニシアチブがまさにこれ、患者のリフィル忘れを薬剤師が防止することなんですね。定期的に服薬することが求められるメインテナンス型の調剤について薬剤師が注意を促すことで、病気が治り、トータル医療費が削減され、調剤の売上も上がって、みんなウィンウィン、という取り組みです。

ただおそらく薬剤師も忙しいですからやってられない、となる。
だから会社としてはノルマを設定してしまう。
その結果、患者にもいらないプレッシャーがかかるケースが起こる。


患者が受け取ったときではなく、調剤したときに保険の請求が発生するので、とりあえず調剤してしまえということになりやすいわけだが、保険会社や保険者はこのことを把握しているのだろうか、と記事は締めくくってます。


CVSはケアマークを買収した結果、取り組みが小売よりも調剤や保険の方に傾いていますね。
最近調剤がらみのネガティブなニュースが増えているのもそのためなんだと思ってます。

鈴木敏仁 (01:17)


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2012年10月 9日
[ウォルマート] ネット販売で当日配送の実験を開始

ウォルマートネタが続きます。ネット販売で当日配送の実験を開始しました。

まず商圏限定、北バージニア州(ワシントンDCの上の方)とフィラデルフィアですでに開始、ミネアポリスで今日からスタート、最後にサンノゼとサンフランシスコで10月末から11月初旬にはじめるそう。

また商品も限定、品揃えはテレビや玩具といった歳末向けの非食品カテゴリーに限られているのと、発送作業は店舗で行うので商品は店頭にあるものとなります。配送料は注文数に限らず定額10ドル、昼までの注文で午後には配達、3つの配達時間帯(4時間フレーム)を用意して選ぶことが可能となっています。

現時点でのアメリカの標準的な配送システムでは今日の注文は最速でも明日の配送となります。
これに当日配送を加えようとしているのがアマゾンで、そのためにとくに大都市のそばに配送センターを増やしているという話を聞いたことがあります。
ウォルマートの実験はこれに対抗しようとしているわけですが、店舗を多く持つウォルマートにはウォルマートのやり方がある、つまり店舗でフルフィルメントをやってしまおうという試みというわけです。

うまくいくのかどうかは分かりませんが、やることが大事ですよね。
おもしろい実験だと思います。


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鈴木敏仁 (01:12)


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2012年10月 8日
[ウォルマート] アメックスと提携してプリペイドカードを発行

ウォルマートがアメックスとパートナーを組んでプリペイドカードを発行します。名称はブルーバード、購入後にお金を入金できるリロードタイプ、アメックスを取り扱っていればウォルマート以外のどこでも使用可、ミニマム残高などの手数料はなし、ただしATMからの引き出しには手数料がかかる、といった特徴です。

機能的には、日本では電子マネー、アメリカではトラベラーズと同じ、ということができますね。
ただし日本の場合は非接触型に進化しているのに対して、アメリカはいまだに接触型という違いがあります。
もう一つ、アメリカの場合は銀行口座やクレジットカードを持てない人たちという対象市場が加わりますが、日本の場合そういう市場は対象としては小さいのではないでしょうか。


そういえば、ウォルマートの幹部が最近モバイル決済システムについて、グーグルウォレットは導入しないと言明していました。
またスクェアやIsisにも興味がなくて、Merchant Customer Exchange(略称はMCX)に注力するとしています。

参加している企業の顔ぶれを見る限りMCXは決済スタンダードになりそうな感じですが、でも足並みが揃わず途中で挫折なんてよくあることなので、予断は許しません。
アメリカの決済システムの進化の道筋はいまだ不透明です。

鈴木敏仁 (01:02)


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2012年10月 5日
[ターゲット] 歳末商戦向けの玩具アイテムにQRコード

ターゲットが歳末商戦用の玩具トップ20アイテムにQRコードを貼り付けて販促するプランを発表しました。
QRコードを携帯端末でスキャンするとネット販売サイトに飛び、配送料無料で購入できるという仕組みです。

ただしサイトを見る限り最低50ドルの購入が必要で、このトップ20アイテムだけ除外で1つからでも無料なのかどうかは不明。


例えば子供と一緒に買い物をしている母親が、プレゼントとして子供達に気づかれないように買うことができる。
また万が一欠品していた時に利用できる。

というシチュエーションを想定しているようです。


QRコードを使った販促はようやくアメリカでも定着してきましたが、効果はまだ今ひとつという気がしますね。
使い方にひねりが必要だと思うのですが、まだこれはというのが出てきていない。
ヒットアイディアがいつ出てくるかと興味深くみているところです。

鈴木敏仁 (01:07)


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2012年10月 4日
[フレッシュ&イージー] 新規出店をストップし既存店強化に専念

親会社の英テスコが出店戦略の変更を明らかにしました。新たな店舗のオープンを止めて、既存店の売り上げ増にリソースを集中させる。
当初は今年度末(2月末)までに230店舗を予定していたのですが、200店舗強にとどめるそうです。
現在このうちの55店舗が黒字、前年度末の30店舗から25店舗増えたのだが、これをもう少し増やす、としています。

物流センターがおそらく少なくとも300店舗ぐらいはカバーしないと全体としての黒字化は無理なはずなので、全体はとりあえず後回しにして店舗レベルをまずは優先ということでしょう。
しかし、黒字店舗数がはじめて公開されたのですが、まだ半分にも達していないというのはやはり問題です。
それでもコミットし続けるのは、大きな投資をして後に引けないのと、あともうちょっとでなんとかなるというヨミと、二つがあるんでしょうねえ。

個人的には価格をもうちょっと下げる必要があると思ってます。
EDLPを主軸に据えたリミテッドアソートメントストアとは、お客にとっては不都合なサービスと言える限定された品揃えと引き替えに、圧倒的な低価格を実現することで集客するコンセプトですからね。

鈴木敏仁 (01:31)


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2012年10月 3日
[スーパーバリュ] 複数の投資企業が買収アプローチか

スーパーバリュに対して、ロン・バークルのユカイパ、KKR、TPG、サーベラスがアプローチしていると、経済誌がディールに近いソースからの情報として掲載しています。

いずれも全社まるごとではなく分割して一部を買うことに興味を持っている模様。
スーパーバリュはもともと丸ごと買ってくれる相手をさがしていたのですが、そういう買い手がいないため売却戦略をやはり変えたようですね。

またミシガンのスパルタンストアも一部の店舗の買収に興味を持っていると伝えてます。


目を引いたのはこのくだり。

まず最も価値が高いだろうと見られているセブアロットの資産価値が19億4000万ドルと見積もられているのに対して、卸は8億ドルと半分以下で、セブアロットの方がかなり高いんですね。
スーパーバリュの卸ビジネスももはやそのレベルなのか、と。

また長期借り入れ金が60億ドルもあって、これが売却のネックになっているようですね。
スーパーバリュの昨年度末の総資本は120億ドルなので約半分に達しているのですが、これはアルバートソンズの買収からずっと引っ張っている重荷です。


分割で売却されるというシナリオが現実味を帯びてきました。

鈴木敏仁 (02:29)


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2012年10月 2日
[ウォルグリーン] iPhoneのパスブックにロイヤルティカードを投入

アップルがiOS 6から導入したパスブックにウォルグリーンが参加を表明、最近開始したばかりのロイヤルティカード(または日本で言うところのFSPカード)が使えるようになりました。
パスブックでウォルグリーンを選択するとロイヤルティカード用のバーコードが表示されてレジでスキャンできるという仕組です。
また設定すると、マイストアに近づくとロックスクリーンにアラートが自動で表示される機能もあるようです。

私の知る限りパスブックに参加表明した最初の小売企業はターゲットで、ウォルグリーンは二社目。
ウォルグリーンはモバイルへの取り組みで先頭を走っている企業の一社ですね。おそらく担当幹部に感度の高い人がいるのでしょう。

ターゲットはクーポンで使用しているのですが、今後はおそらく決済も可能としていくんじゃないかと思ってます。

このパスブック、これから普及するかどうかはどれだけ企業を集められるかにかかってるわけですが、使う側としてはサービスを一つに集約できるわけですから便利ですよね。
いまのところ航空会社数社が参加していて搭乗券で利用できるようになってますが、野球とか映画などの入場券とか、電車の切符とか、事前に予約が必要で現地で何かを見せなければならないサービスはすべて適用できそう。

パスブックは今後に注目できる機能だと思っています。

鈴木敏仁 (03:30)


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2012年10月 1日
[ピーポッド] シカゴでバーチャルストアの拡大を開始

アホールドUSA傘下の食品ネット販売企業、ピーポッドがシカゴで実験していたバーチャルグローサリーストアの拡大を開始しました。
全部で17ヶ所、通勤客が多いバスと電車の駅に設置されます。

このニュースを聞くまで知らなかったのですが、4月にフィラデルフィアですでに実験を開始していて、シカゴでの実験は2ヶ所目なんですね。

どんな感じか、プロモーションビデオがあったのでご覧下さい。

シカゴについては、写真付きでこんな記事も出ています。
A trip to the (virtual) grocery store

実はテスコが韓国で同じようなバーチャルストアを昨年の7月にオープンさせていまして、これが最初というわけではありません。
日本でも近いうちに必ず出てくると思うのですが、どこが最初にやるんでしょうね。

鈴木敏仁 (01:49)


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ペプシネックス



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