ウォルマートがデジタルウォーターマーキング(電子透かし)によるスキャニングの実験をしているとローカル紙が報じています。商品のパッケージに目視できない認証コードを埋め込み、専用デバイスで読み込むことでスキャニングする技術ですね。
例えばシリアル程度の箱だと200近いデジタルマークを埋め込めるそうで、現状の一つのバーコードを箱の四方から探し出してスキャンするという手間が省けるんだそう。スキャニングの時間を50%近く節約できるとしています。
伝統的なバーコードに代わる可能性のある次世代型の技術としてはRFIDが有名ですが、こういう技術もあるんですね。
商品をトンネルの中をくぐらせて自動スキャンする技術をクローガーやマイヤーが実験してますが、どれがこれから普及するのか見極めないと投資が難しいわけで、悩ましいところではないかと思います。
オランダのロイヤル・アホールドとベルギーのデレーズが合併で合意しました。
対等の合併で総額は米ドルベースで290億ドル、統合後の企業名はアホールド・デレーズです。
アホールドは年商328億ユーロで総店舗数は3,206、デレーズは214億ユーロで総店舗数3,402、合算すると売上高542億ユーロで店舗数は6,608店舗となります。
両社ともに売上高の半分以上がアメリカで、アメリカでの売上高はアホールドが295億ドル(推定)、デレーズが184億ドル(推定)、足すと479億ドルとなります。食品売上高ランクだと、ウォルマート、クローガー、コストコ、アルバートソンズ/セイフウェイに次いで5位ですね。パブリックスよりも規模が大きくなることになります。
統合のモチベーションはたぶんアメリカでしょう。
米デレーズはかなり不調、アホールドUSAもあまり良くなくて、アルバートソンズとセイフウェイの合併が背中を押したんじゃないでしょうか。
ただ統合の成果は限定的なんじゃないかという見方が少なくないですね。
対等である点も、「船頭多くして・・・」になりそうな気がします。
ちなみにデレーズは自社物流ですがアホールドUSAはC&Sを使ってまして、ロジスティックスを統合する場合どちらに合わせるのか、興味津々です。
カナダのハドソンズベイがドイツのメトロから傘下のカウホーフを24億2,000万ユーロで買収すると先週発表がありました。
買収対象はドイツ内店舗だけではなくベルギー国内の店舗も含まれています。
また買収にはサイモンが参加していて、カウホーフの不動産の一部をサイモンが買うジョイントディールとなっています。
ハドソンズベイは傘下にサックス・フィフス・アベニューとロード&テイラーを所有しており、このうちのサックスをこれからドイツに持ち込む計画を持っているようです。
このハドソンズベイ、カナダの会社となってますが、株式の過半数を所有するのはアメリカのNRDCというホールディングカンパニーで、この企業のオーナーがリチャード・ベイカーです。ウォルマートをテナントとするショッピングセンター経営で成長、2006年にアポロ等の投資企業と組んでロード&テイラーを買収して小売に進出、2008年に傾いていたハドソンズ・ベイを買収し、2013年にサックスを買収しています。
ハドソンズ・ベイを親会社として傘下にロード&テイラーやサックスがぶらさがる資本編成となっているので、カナダの企業がドイツの企業を買収と表面的にはなっていますが、実質的にはアメリカ資本によるドイツ進出ということになるわけです。
リチャード・ベイカーはロード&テイラーを再生し、この経験をベースとしてハドソンズ・ベイとサックスを立て直しました。
これをテコにとうとうドイツへ進出した。
あまり知られていませんが、ベイカーの経営手腕は相当なものと言えるでしょう。
ターゲットがファマシー部門1,660ヶ所とインストアクリニック80ヶ所をCVSヘルスに19億ドルで売却すると発表しました。
ファーマシーにCVSの名称をつけてそのまま運営するということなので、テナントとして事業は継続されるということになるようですね。
ドラッグストアではなくファーマシーチェーンが中小スーパーマーケット内にテナントとして入るというケースはよくあるのですが、ターゲットクラスの大手企業の店内でCVSクラスの大手ドラッグストアがテナント展開するというのは前例がないと思います。
ターゲットのファーマシー部門は赤字のようでだから売却に踏み込んだ。
CVSにとっては新たな商圏の獲得、既存商圏の強化、につながる。
ただ赤字ですからね。CVSが黒字化できるのかどうか。
ターゲットがファーマシーを開始したときにこれは難しいだろうなあと予測したことがあるんですが、結局全店舗に水平展開して戦略的に強化しはじめて、軌道に乗ったと勝手に解釈していたのですが、実は赤字だったということに少々驚き、そしてなるほどと納得したのでした。
この意外なコラボ、うまくいくのかどうか注目ですね。
Jクルーが第1四半期の業績を発表しました。売上高が前年比2%減、EBITDA(減価償却前営業利益高)が前年比31%減、既存店成長率が10%とトリプルパンチで業績が悪化、対処するために本社人員175人の解雇し、ウィメンズのチーフデザイナーが辞任しました。
トレンドに乗っていないこと、価格を上げてしまってH&Mやザラとの価格競争に負けていること等々が理由として挙げられているのですが、大きな課題はCEOのミラード・ドレクスラーということになっているようです。
ニューヨークタイムズがグレートマン・ジレンマ、偉大なる男のジレンマと表現しているのですが、ギャップを成功させ、Jクルーを成功させたアパレル業界の有名人、ミラード・ドレクスラーが主導して投資企業と組んで数年前にバイアウトして非上場としたのですが、金利負担が重くのしかかっていて、これが財務上の問題となっています。
ドレクスラーだから文句が言いづらい、しかしやっぱり彼に責任がある、ということでジレンマと表現されているわけですね。
ドレクスラーも70となったようで、ファッション業界の第一線ではそろそろきつくなってきたような印象。
ただ後継がいそうにない。
簡単に業績は回復しないという見方が多く、Jクルーも正念場を迎えているようです。
アップルがWWDC 2015で決済システムのアップルペイに、リテーラーによるロイヤルティプログラムのカードを組み込むと発表しました。
この直後に参加発表したのがコールズとウェッグマンズで、この秋から利用可能になるとしています。
資料を読むに、店舗カードを登録しておくと、アップルペイで支払いするのと同時に店舗カードによる割引が適用されるようですね。
そうなるとお客としては店舗カードを見せて、支払ってという、2つの作業を1つに集約できてしまうので、とても便利ということになります。
アップルペイに参加する大手チェーンストがなかなか増えないのですが、ロイヤルティプログラムをからめるとメリットが大きくなります。
MCXによるカレントCがなかなか登場しない状況で、アップルペイが先に普及してしまうんでしょうかね。
ちなみにコールズはMCX参加企業で、他のモバイル決済を導入しないことがMCXの参加条件だったので、コールズがアップルペイ導入を決めたと言うことは、条件が緩んだか抜け道があるのか、なのだろうと思います。
ちょうど良いので先週末に次いでコストコのネタをもう一つ。
同社による昨年の新車の販売台数が40万台で、これは業界1位のオートネイションの53万3,000台に次ぐ数字なのだそうです。
コストコが実際に車を並べて売っているわけではありません。
会員向けのディスカウント価格を提示し、販売し、車は契約しているディーラーで受け取ってもらうという仕組みです。
ディーラーとの価格交渉が必要ない、つまり売価が透明なので、コストコを利用する消費者が増えている、というわけです。
コストコの既存店成長率はたぶん10年以上、ひょっとすると創業以来プラスを続けているのではないかと思っているのですが、巨大な会員数を背景とした強力な調達力を利用して、こういう在庫をもたないビジネスをこつこつ加えていることもその理由の一つなのでしょうね。
ダラーゼネラルが第1四半期の業績を発表したのですが相変わらず好調です。
売上高は8.8%増、最終利益高は13.8%増、既存店成長率は3.7%増、来店数と平均客単価が上がったとのことなので、絶好調ですね。
また12,000店舗目をジョージア州ジュリエットにオープンさせました。
今年の出店予定数は730店舗、リロケーションとリモデルが875店舗で、開発はほぼ予定通りに進んでいるとしています。
ダラーツリー/ファミリーダラー連合がこれからどう動くのか。
これが好調ダラーゼネラルに影響を与えるのかどうか。
このあたりがこれからの焦点になりそうです。
ノードストロムがSMSで店員とやりとりしながら買い物ができるアプリを導入しました。
名称はTextStyle、アメリカではSMSをテキストと呼び、テキスタイルと掛け合わせたアプリ名ですね。
店員のメッセージのやりとりをし、写真で実物を見たりして、決まったらお客に割り当てられるコード番号を送ると注文が完了となる仕組みだそうです。いちいち住所やクレジットカード番号をタイプして知らせる必要がないわけですね。
対面販売が基本となる業態において、こういうアプリによる取り組みは参考になるでしょう。
オムニチャネルとは取り組みテーマを象徴する表現として非常に分かりづらく私は好きじゃないのですが、リアルとデジタルを組み合わせる、をテーマとして知恵を絞るとこういうアイディアも出てくるという良い例だと思います。
デパートメントストア業界ではたぶんECに最初にコミットしたのがノードストロムで、やっていることも最も先進的なんじゃないでしょうか。
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