アメリカ流通eニュース
スティーブ&バリーという非上場のアパレル専門店チェーンがある。創業1985年、店舗数270店舗、売上高は10億ドル弱という企業だ。伸びてきたのがここ5年ぐらいのことで、日本ではほとんど知られていない企業だと思う。
コンセプトはカジュアルウェアだが、上限価格を7.98ドルとして、モールの中でウォルマートやターゲットよりも4割安いという超低価格を売り物とする非常にユニークなモデルを持っている。この企業が現在運転資金不足に陥って倒産寸前であることが報じられた。
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スティーブ&バリーという非上場のアパレル専門店チェーンがある。創業1985年、店舗数270店舗、売上高は10億ドル弱という企業だ。伸びてきたのがここ5年ぐらいのことで、日本ではほとんど知られていない企業だと思う。
コンセプトはカジュアルウェアだが、上限価格を7.98ドルとして、モールの中でウォルマートやターゲットよりも4割安いという超低価格を売り物とする非常にユニークなモデルを持っている。この企業が現在運転資金不足に陥って倒産寸前であることが報じられた。
ウォルマートがこの秋からロゴをリニューアルするようです。現在使っている、"Wal★Mart"、の★を取って一文字とし、白い文字色にオレンジ色のバックグランドで、最後に小さなスターバーストがくっついた意匠となるそう。
店頭ロゴについては全店舗を一気に変えるのではなく、新規店舗から徐々に変えて行きます。
目的はイメージチェンジですね。
昨年9月にブランドマントラを"Always Low Prices"から"Save Money. Live Better."へ変更していますが、このイメージチェンジの一環として、ロゴも変えるわけです。
'Always Low Prices'から'Save Money. Live Better.'へ
もともとウォルマートのロゴは、"Wal-Mart"でした。このハイフンがサム・ウォルトン逝去後、★に変えられた。亡くなったサム・ウォルトンが★になってみんなを見守っているという思いが込められたと言われてます。
でも店頭に関して言うと全店一気に変えたわけじゃないので、いまでも古い店舗は一世代前の"Wal-Mart"となっていて、★型と2種類が混在してます。これに、新しいタイプが徐々に加わって行き、おそらく古い"Wal-Mart"が改装されるたびに新しいロゴに置き換わっていく、ということになるのでしょうね。
セルフサービス・キオスクとは、お客と店舗の間に何らかの機械(または端末)が介在してサービスを提供するシステム、とでも定義しましょうか。セルフレジがこれにあたりますが、空港やホテルのセルフチェックインもこれに含まれます。
たとえば先日訪問したボンズのザ・マーケットでは、サンドウィッチなどのホットデリを端末を使って注文し、出来上がりを待つというシステムを見ました。またドロシー・レーンもこのシステムの実験を始めると公表したばかりです。
これも、セルフサービス・キオスクとなります。
シンクタンクの予測によると、今年のトランザクション総額は6070億ドル、2011年には3倍近い1兆7000億ドルに達する見込みだそうです。このシンクタンクは昨年、今年は5億2500万ドル、2011年には13億ドルと予測していたので、大幅な上方修正となります。
ザ・マーケットで感じたのは、注文するのを待つのと、注文をしてから待つのとでは、お客の心理が違うのかもなあということでした。いずれにしても、混んでいるときは待たねばならないわけですから。
店員とお客の間の人的コミュニケーションの機会がどんどん減ってゆくことになるのですが、これを今の消費者が求めはじめている。
ただ、すっかりすべてなくなるわけではないでしょう。お客にとっては"買い方の選択肢"が増えることに意義があるわけです。店員や担当者と話をしながらゆっくりと注文したい、買いたい、という気分のときも必ずあります。
提供する側としては、"売り方の選択肢"をどう戦略的に選ぶかが、これから問われてくるのだと思います。
おとといエントリーしたマーケットサイドですが、ホームページがオープンしました。
このサイトで求人を開始していて、来週の月曜日からインタビューを始めるようです。
現在ネット上で公募しているポジションは4つ、マネジャー(店長)とアシスタント・マネジャー(副店長)というのは、まあ普通なのですが、ミールスペシャリストとパントリーコントローラーというのがおもしろい。
直訳すると、前者が食材専門家、後者は食料在庫管理者、なのですが、職の説明を読むと、前者はフロア担当でお客と接点を持ち、後者は荷受やインボイスなどどちらかというと後方担当、という感じです。
これをサービス担当とか後方担当とか、直接的な表現にせず、専門家やコントローラーのように、働いている人のプライドをくすぐるようなかっこいい名前にしているところがいいですね。
たとえばトレーダージョーズは、店長はCaptain、つまり船長で、以下店員の役職はすべて船乗りの名称なのですが、ウォルマートもその手のおもしろみを求めているのかもしれません。
このように、職位によくある普通の名称をつけない軽妙さが、日本の小売企業には欠けているように感じるのですが、どうでしょう。
それと、ウォルマートであることについていっさい触れてません。プレミアム型になるかもという見方を裏付けるものではあります。
TNS Retail Forwardというシンクタンクによるレポートによると、中国は今後少なくとも5年間は二桁成長を継続する可能性が高く、そうなると2012年には消費市場が1兆4000億ドルとなって日本を抜いてアメリカに次いで2位になるそうです。
日本は人口の伸びも頭打ちですし、遅かれ早かれいずれにしても抜かれることになると言うのは周知の事実なのですが、割と早くそういう時代がやってきそうなんですね。欧米企業にとっては、日本よりも中国市場をどうするかといことのプライオリティがどんどん高くなっています。
デイビッド・ワイルドという人なのですが、イギリスのハルフォーズという小売企業のCEOとして転出してしまうことが分かりました。
この人についてちょっとだけ書いたエントリーがありました。
ウォルマートがコンビニに進出?
このワイルドは元テスコの上級幹部で、その後に独ウォルマートのプレジデントとなり、本社に異動して新フォーマット開発担当となり、そしてステップアップして本国に戻るということですね。
これがマーケットサイドの開発にどう影響を与えるのかはまったく不明。ウォルマートは人材の宝庫ですから、暗礁に乗り上げるということはありえませんが。
ちなみに1号店のオープンは当初夏ごろとなってましたが、いまは秋じゃないかと言われ始めてます。突然オープンしたりするので、アンテナ張ってようと思ってます。
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オフィス用品ディスカウントストア(DS)のステープルズが、コーポレートエクスプレスという法人向けデリバリービジネスを展開する企業を買収する。買収額は現金27億ドル、プラス引き受ける負債が17億ドルなので、総額44億ドル、日本円にすると5000億円近い大きなディールである。
この結果ステープルズの売上高は、2位オフィスデポと3位オフィスマックスの合算を超え、この分野でダントツの首位に立つこととなった。
<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>
第1四半期の業績が当初の予測を超える赤字決算となりました。赤字高は1億6480万ドル、昨年の同時期は5460万ドルの赤字でした。売上高は7%減、既存店成長率は11.3%減で、この既存店の悪化が赤字幅の増大に響いたようです。
先週早々、ベストバイも7%の減益決算を発表したのですが、既存店は3.7%伸びていて、好対照といえます。ちなみに、営業利益高は4%増、売上高は13%増、減益の理由は株の買い戻しへの投資によるもので営業によるものではありません。現在は投資活動をいったん中止しています。
さてサーキットシティですが、今後の見通しも下方修正しており、どんどん悪化している印象です。ブロックバスターによる買収提案も、提案された株価が今後下がる可能性が指摘されてます。つまり、企業価値がますます低下している。運転資金もどんどん低下している模様。
歳末商戦まで持ちこたえるのかどうか、という状況となっているように思います。
'ミールソリューションをお客に提供する'という、ウォルマートがほのめかしているコンセプトと、地元でのリクルート広告の表現、'プレミアムフレッシュ/コンビニエンスなフォーマットで忙しい消費者にユニークなソリューションを提供する'という表現によって、同社が開発する予定である新フォーマットが低価格型ではなく、プレミアム型になるのではないかという見方が浮上してきています。
ふたを開けなければ分かりませんが。
もしプレミアム型だとすると、フレッシュ&イージーよりも、セイフウェイのザ・マーケットとバッティングしそうです。
ウォルマートにプレミアム型は難しいでしょうね。
技術的なことはとりあえずおき、'ウォルマート'というイメージがまったく違う。ウォルマートであることを一切出さなければいいのでしょうが、そうすると知名度の課題が出てくる。ゼロから立ち上げることになるので、売れるようになるまで時間がかかるかもしれない。
ただウォルマートという企業は、とにかく考えるより先にやってみて、改善して、だめならすぐにやめる、という社風を持った会社ですから、本当にやってみるのかもしれないですね。
完全EDLPだったフレッシュ&イージーですが、最近店舗に行くと値下げ商品があり、ひょっとしたら価格戦略を変えたのかなと思っていたら、やはりそうでした。CEOのティム・メイソンが記者の質問にコメントしています。
"スタート当初はハイローはまったくやっていなかったが、アメリカでの知名度がないため消費者が安いという価格イメージを持っていないということが分かった"
現在は30アイテムぐらいを定期的に下げているそうです。
最近店頭で入手したチラシによると、下げているは57アイテム中の8アイテムでした。その8アイテム中にNBは5アイテム、PBの3アイテムは精肉、鮮魚、パックサラダでした。
チラシ配布の期間が2週間ですから、プロモーション価格も2週間と、普通のSMの1週間に比べると長い。
少アイテム数に長めの期間ですから、典型的なハイローではなくて、依然EDLPをベースにしていると考えて問題はありません。
またNBを中心に下げてお客を誘引するという手法は、セブアロットがやってます。
基本はEDLPなんだけど、一部の商品について限定的にハイローやるというのは、ウォルマートだけではなく、バリューDSにもよくあるやりかたです。
ちなみに店頭で値下げしていることに気づいたときの写真はこちらです。ご参考までに。
フレッシュ&イージーの価格戦略
ウォルマートが今年投資する予定だった設備投資予算を下方修正しました。昨年の時点では135億縲鰀152億ドルとしていたものを、130億縲鰀140億ドルとします。
およそ10億ドル程度の下方修正ですね。
スーパーセンターの積極的な出店戦略にブレーキをかけるというのは規定路線となっているので、驚くようなニュースというわけではありません。
この結果余裕が出てくるキャッシュフローをどう使うのかには興味があるところです。
米国事業の責任者ティム・メイソンが、現在集中的に店舗を増やしている西海岸から、出店地域を拡大してゆく可能性を示唆しました。全国紙のインタビューに対して答えたものです。
3月にテスコのタイ事業の責任者ジェフ・アダムスが米国事業のCOOとして異動しましたが、長期的には彼をアメリカの他地域の運営を完全に任せることを目的としているとコメントしてます。アメリカは非常に大きな国なので、他地域に進出する場合すぐに運営責任者が必要となる、だから彼を若干早めに異動させた、その時期は確約できないが、2012年までには実現するとしている。
多店舗可能な儲かるフォーマットに改善できることを前提とし、長期的視点から動いているというわけです。
このコメントを聞いてあのフォーマットが損益分岐点を越えたと短絡することはできないのですが、現時点ですでに版図の拡大を視野に入れているというのはいかにもテスコらしいんじゃないでしょうか。
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昨年初頭、書籍ディスカウンターのボーダーズの赤字決算について書いたことがある。ネット販売をアマゾンに委託してしまい、そのアマゾンにシェアをどんどん奪われてしまって危機に陥っている、というストーリーであった。そのときの経営者は、'これで店舗戦略に集中できる'と喜んでいたのだという。書籍市場の変化を読み取れない経営者の悲劇である。
その後同社の業績は上向いておらず、昨年度も二年連続で赤字を計上した。資金繰りが逼迫し、金融機関から新たな金融調達をして息をつくなど相変わらず厳しい状態が続き、資本の売却も含めた再建策を検討していることも明らかになっている。
この資本の売却先には、業界1位のバーンズ&ノーブルの名前があがっている。デューデリジェンスに入ったという話もあるのだが、仮に両社が合意してもFTC(公正取引委員会)が許可するのかどうかは微妙である。
さてこの売却先として、アマゾンに売ってしまえ、と意見する投資家が出てきているのである。
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業績が落ちて資本売却を検討していたレストレーション・ハードウェアですが、株主が承認し、カッタートン・パートナーズというバイアウト企業が買収することで合意しました。
非上場となる小売企業がまた一つ増えます。
ちなみにレストレーションに対しては、シアーズホールディングが買収しかけて拒否されたいきさつがありました。
マクロな話しで恐縮ですが、株式市場という公開市場からプライベートエクイティという閉鎖的な市場へと、資本のありかが大きくシフトしているように感じます。いいことなのか、悪いことなのか。
ただブラックストーンのようにプライベートエクイティ自体が上場したりして、錯綜している部分もあるんですけどね。
経済ってのは、一点にとどまることなく、どんどん変化していきます。
頭は絶えず柔軟にしておかないと、おいてけぼりくらいます。
投入するのはイーティングライト、名称はイーティングライト・キッズ。朝食、乳製品、スナックといった30カテゴリーに、バッグスバニーやトィーティーといったキャラクターがついた100アイテムを導入することを発表しました。
イーティングライトは機能を追加したヘルシーさをコンセプトとしたPBですので、子供に対してもヘルシーさを前面に出したPBを作り、親にアピールしようという狙いがあるのでしょう。
セイフウェイはベビーカテゴリーにも"Mom to Mom"という名称でPBの導入を発表したばかり、PB攻勢が続いています。
さて4月にエントリーした同社のPBチャネル拡大戦略ですが、すでに市中に流通し始めています。
先日マリオットレジデンスインという長期滞在型のホテルに宿泊しました。部屋にキッチンがあり、電子レンジが備え付けられていまして、簡単な料理ができるようになってます。そのためニーズがあるのか、ホテルのフロント横に冷ケースがあり、電子レンジで温めて食べることのできるような冷凍食品を売っていました。
その中に見つけたのが、写真のイーティングライトでした。一番右の緑のロゴがついたボックスがそれです。
セイフウェイのPBチャネル拡大戦略は、簡単に言えば、メーカーと同じことやろうとしている、と表現することができます。
セイフウェイは非常に強いブランドパワーを持ったPBを作り上げつつあるのです。
コーポレート・エクスプレスはオランダに本社を置く法人向けのオフィス用品サプライヤーです。ヨーロッパを中心にビジネスを展開しているのですが、アメリカでも大きな市場を持っています。
この会社に対してステープルズは2月に買収提案をしたのですが拒否され、買収株価を上げて再提案して再び拒絶されていたのですが、もう一度株価を上げて三回目の提案をし、コーポレートエキスプレスが受け入れたことが発表されました。
買収額は31億ユーロ、約27億ドルという大きなディールです。
この結果、ステープルズ/コーポレート・エクスプレスの売上高は270億ドル超となり、業界二位のオフィスデポと三位のオフィスマックスと合算した246億ドルを上回ることになります。
また現在は消費者向けのリテールが全体の6割を占めているのが、買収によって法人向けが6割となって、ステープルズのビジネスモデルが大きく変化することになります。
この買収、ホームデポがプロ向けビジネスを強化していたときのことをほうふつとさせますが、異なるのはホームデポの場合本体の調子が悪くなってきていたことに対して、ステープルズの業績は非常に良い点にあります。本業がおろそかになるということはなさそうで、とするとこの買収はうまくいくのかもしれません。
買収額が高いのか低いのかは、よく分かりませんが。アナリストによると、予想額範囲の一番高いあたり、だそうです。
オフィス用品市場に巨大なグローバル小売資本が誕生、ということになるわけですねえ。
参考までに、新プロトタイプの動画をこちらにエントリーしてあります。
ステープルズ ボリングブルック店
昨年の7月に就任したグレン・マーフィーが金融機関主催のカンファレンスで新たな再建策を発表したのですが、テーマはダウンサイジングでした。
◆現在の店舗面積のアベレージは12,500sqf(約352坪)だが、これを6,000縲鰀10,000sqfとする。
◆ベビー、キッズ、ギャップボディなど別フォーマットとして展開していたものを、一つにまとめる。
◆平均20,000sqf(約563坪)であるオールドネイビーを、14,000縲鰀15,000sqf(約394縲鰀423坪)とする。
マーフィーは、"我々は不動産をコストとしてみなしてきたが、これは資産である、最大限に現金化する必要がある"とコメントしてます。ここで言う'最大限に現金化'という表現は、適正規模にすることで効率を最大限に上げる、という意味でしょう。
このダウンサイジングのためにかかるコストについての言及はありませんでした。
縮小均衡しようとしているわけです。拡販による再建は難しいと結論したのでしょうかね。
つい最近発表された第1四半期の決算では、売上高5%減に対して、最終利益40%増でした。この増益は在庫コントロールと経費削減によるもので、たぶん小売のプロのマーフィーがどこをいじればすぐに結果が出るかを知っているからこういう結果が出たのでしょう。前任のディズニーから来たプレスラーにはできない芸当というような気がします。
こうやってまず利益を確保することは、再建時には重要なポイントです。
ちなみに既存店成長率はマイナス11%、15四半期連続のマイナスだそうです。ということは、およそ4年間連続で既存店が前年割れしていることになります。
縮小均衡もやむなしなのかもしれません。
グッディズはフロリダやジョージアといった米国南東部を商勢圏とするアパレルチェーンストアです。店舗数は355店舗、非上場なので年商は不明、売上高上位100社に入っていないので、たぶん10億ドルレベルじゃないかなと推測します。
すでに103店舗の閉鎖を決めていて、また2億1000万ドルのDIPファイナスも調達しているので、不採算店舗を閉鎖し営業しながら再建に向けて頑張るようです。
フォーマットは、コミュニティ型のショッピングセンターに出る中価格帯の衣料リテーラー、といったところなのですが、この市場、けっこう競合が多いのですね。ターゲットやウォルマートといったディスカウンター勢、ジュニアデパートメントのコールズ、そしてチャーミングショップやケイトーといった同業態、がひしめいてます。
そして、景気が悪化して、倒産というわけです。
グッディズは3年前にバイアウトされてますので、資本は投資企業が持っています。
リネンズン・シングスと同じですね。
投資企業にとっては、痛い損失でしょう。
倒産ニュースはまだまだ続きそうです。
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WSJが報じたところによると、伝説のロックバンドであるAC/DCの新アルバムをウォルマートが独占販売するようだ。このプランに合わせて、ウォルマートが音楽CDの販売戦略を大幅に変えるのではないかというストーリーが掲載されている。
ウォルマートによる音楽CDの独占販売は増えつつあって、例えば昨年末にイーグルスがLong Road Out of Edenを自身のホームページとウォルマートだけで販売し、一週間で70万枚を売り上げたというニュースをブログに書いた。このアルバムは昨年のベストセラー3位にランキングされている。
その後はジャーニーが同様の販売戦略をとって成功し、今回は'3匹目のどじょう'ということになる。
音楽レーベルがウォルマートに独占販売させる理由は当然ウォルマートの販売シェアが非常に高いというのもあるのだが、一つには音楽の販売市場が大きく変わりつつあって、その中で新しい売り方を模索しているからである。
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恒例のウォルマートによるお祭り型の株主総会が先週の金曜日に開催されました。
今年のトーンは非常に良いものとなっていて、景気悪化が悪化して各社業績を落としている中で、成長率が落ちているとは言うもののプラスをキープしている数少ない企業としての同社の現状を表したものとなっています。
以下、CEOのリー・スコットのコメントから気になるものを4つほど抜粋します。
『"Saving Money"はいつも我々の一部だった、"Living Better"もいまや我々の一部となった』
◆これは、企業文化にまで踏み込もうとした同社の業革シンボルであるブランドマントラの変更が、もうすでに定着したということを言おうとしています。
変えたのは昨年9月、そのときの記事がこれです。
'Always Low Prices'から'Save Money. Live Better.'へ
『ウォルマートのユニークなポジションは、今の経済状態の中だけではなく今の時代の中で成功するものである。多くの小売企業の中で、明日の世界でリードする最も良いポジションにいるのだ』
『世界は変わった。人々の我々に対する期待も変わった。そしてその変化に追いついた。二度と繰り返すことはないだろう』
◆これはたぶんウォルマートたたきで標的にされたことを念頭においているものと思います。
『世界中の政府リーダーと会い、消費者が今直面している問題の解決について話し合っている』
◆政治的なことはあまり前面には出さなかった企業ですが、上手にアピールしています。
また会長のロブ・ウォルトンは、『16年前に父のサム・ウォルトンが目にした最高の時を目前にしたウォルマートと、私がいま目の前にしているウォルマートは何もかわりがない』と言っているのですが、スコットのスピーチのごとく変わったんだけど、でもロブ・ウォルトンは変わっていないという、このあたりが結構深いなと私は個人的に感じてます。
【リー・スコットによる基調スピーチ】
イントロではいまだにサム・ウォルトンを引き合いに出している。人心を結集するという一つの技術として見ることができるのですが、まったくぶれず一貫性を持ち続けている点がすばらしい。
【会長のロブ・ウォルトンによる総会開始宣言】
このロブ・ウォルトンは63歳、義理の息子のグレゴリー・ペンナーを後継にするのではという憶測が流れ始めてます。
大手チェーンストアの5月の業績が出ました。既存店成長率の平均値は、3%増(ICSC調査)、または2.8%増(RetailMetrix)、でした。予測のおおよそ2倍でサプライズ、昨日は株価が上がりました。
ノードストロム:10.9%
コストコ:5.0%
ウォルマート:3.9%
TJマックス:2.0%
ニーマン・マーカス:-0.2%
ターゲット:-0.7%
JCペニー:-4.4%
リミテッド・ブランズ:-6.0%
コールズ:-7.2%
サックス:-8.7%
ギャップ:-14.0%
全体の印象としては4月とそれほど大きく変わっていないような気がします。予測を上回った理由は景気刺激策としてのリベート(税金割戻し)が功を奏したということなんですが、だとしたら一時的でしょう。
今日出た雇用統計によると5月の失業率は5.5%で前月比0.5%増、月次の上昇幅としては22年ぶりの高水準だそう。
で、株価が落ちてます。
まだまだ消費市況はまだら模様ですね。
P&Gがフォルジャーズを中堅食品メーカーのJMスマッカーズに売却することを発表しました。売却額は29億5000万ドル。
知らない方も多いと思うのですが、フォルジャーズは年商16億ドルを売る大きなブランドで、インスタントコーヒーとしては全米最大です。ところが、プレミアムコーヒーのブームでスターバックスなど近年この分野に参入してくるブランドが増えて、成長が頭打ちとなってました。
P&Gは年間4~6%の成長が見込めないブランドの売却を検討していて、フォルジャーズもそのスロー成長ブランドの一つでした。スピンアウトして企業として独立させることを考えていたようですが、買収先が見つかったわけですね。
左の写真はウォルマートのPBサムズチョイスですが、オーガニックとフェアトレード版で、プレミアムクラスとなります。ウォルマートでさえこういうPBを導入しているというわけです。
さて、成長が遅いブランドを売却し、どこにリソースを投入するのかと言うと、HBCということになります。とくにビューティケアとパーソナルケアに成長性を見出していて、ライバルのユニリーバも同様の戦略にシフトし始めています。
ユニリーバによる洗剤事業売却の衝撃
このことはメーカーに限った話ではありません。これから伸びるし、利益も取れますし、小売業界もHBCに成長性を見出し強化している企業が多い。
ターゲットは言わずもがな、例えば最近のウォルマートのビューティケア売場のバージョンアップは驚くべきものがあります。本社近くの店舗では、画期的な売場を実験したりしてます。
クローガーのマーケットプレイス型のプロトタイプもビューティケア売場をかなり強調している。
日本の大手小売企業が食品だけにしか目が行っていないのと対照的なんじゃないでしょうか。
宅配ビジネスで世界最大手のフェデックスが、コピーサービス専門店チェーンのキンコーズを買収したのは04年のことでした。以来わずか3年ほどしかたっていないのですが、店頭からキンコーズの名称を消して、'フェデックスオフィス'に変更することが発表されました。関連コストとして6億9600万ドルを計上します。
現在フェデックス・キンコーズは世界中に1900店舗もあるのですが、昨年12月に出店プランを300店から70店舗に下方修正し、業績がよくないことを印象付けたばかりでした。
フェデックス・キンコーズよりも、フェデックス・オフィスの方がビジネスを正しく表現しているから、だそうです。
さてこの作戦、正しいのでしょうかね。
キンコーズが持っているブランドパワーは、かなりのものがあると思います。街中にいるビジネスマンに、外出中にコピーしなければらない状況になったらまずどこを探すかという質問をしたら、たぶん100%がキンコーズと答えるんじゃないでしょうか。知名度は抜群だし、キンコーズ=コピー&プリンティングという刷り込みも完全に出来上がっています。
このパワーブランドを消しちゃうって言うんですから、大胆な決断をしたもんだなと思います。
フェデックスというブランドイメージと、キンコーズというブランドイメージが、ぶつかりあうとでも考えたのでしょうか。
それとも、長い目で見た場合、ブランド名は一つに統一した方がよいと判断したのでしょうか。
ただフェデックスもパワーブランドです。オフィスという名称を後ろにつけたところで、イメージはそうそう変わらない。フェデックス=宅配というブランドイメージに、コピー&プリンティングを加えてゆく作業って、相当な労力が必要になることでしょう。
ちなみに買収額は24億ドルだったのですが、これが高すぎたようですね。最近店頭でのサービスがけっこう落ちているそうですが、回収を急いでマネジメントに失敗したのかもしれません。
名称変更に6億9600万ドルも使うなら、それをマネジメント強化に振り向けた方がいいようにも思うんですけどねえ・・・。
すでに店頭で、インクジェットカートリッジや携帯電話用のボックスを設置してリサイクルを実施してきたベストバイですが、無料プログラムの拡大に向けて117店舗でテストをすることを発表しました。
対象カテゴリーは、テレビ、32インチ以下のモニター、コンピューター、カメラ、その他のデバイスや周辺機器、となってます。無料の条件は一世帯あたり一日2アイテムまでで、ただしコンソール型テレビ、32インチを超えるモニターやテレビ、エアコン、電子レンジ、アプライアンス、は無料サービスに含みません。
この無料リサイクルに含まれない冷蔵庫などのアプライアンスについては、ベストバイで新商品を購入しデリバリーを選択した場合無料で引き取るプログラムを実施し、また購入せずに引き取りだけの場合は100ドルとする有料サービスも用意します。
また各店舗、リサイクル企業、メーカーと共同で結果を評価し、全店舗に拡大するかどうかを検討するとしています。
日本では家電のリサイクルはすでに法制化されてますから、環境意識の低いアメリカでもようやく動き出したという印象ですね。両者を見比べると、官による法律で秩序を作る日本と、秩序の形成を民間による競争に委ねるアメリカ、という図式がよく見て取れると思います。
こういう取り組みで先駆けるのはいかにも優良企業ベストバイらしいんじゃないでしょうか。
アメリカ流通eニュース
昨年の9月の時点で小型フォーマットの開発を示唆していたセイフウェイが、5月中旬に一号店をオープンさせた。
カリフォルニアにフレッシュ&イージーが侵攻してから即座に対応しようとしているのがウォルマートとセイフウェイだ。ウォルマートはテスコから人材を引き抜いてまでして新フォーマットを開発しようとしているのだが、とにかく業界に先駆けて新しいことにチャレンジして行く同社の社風を象徴しているように思う。
一方スーパーマーケット(以降SM)企業というものは業界が古いだけに保守的で、新しいことに対する対応は比較的遅く、今回のセイフウェイのリアクションの早さはけっこう珍しいのだが、全店舗の34%がカリフォルニアに集中していて、とくにサンフランシスコ近郊は40%近いシェアを握るドミナンス市場で、ここを崩されるのは死活問題だからであろう。
ということでこの新店を見てきたのだが、普通の小型SMの域を出ておらず、やはり大企業というものは冒険できないのだなと実感したのであった。
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ザ・リトル・クリニックというインストアクリニック企業へ出資し、展開を強化することを発表しました。投資額については触れていません。
ザ・リトル・クリニックは現在約60サイトを運営していますが、クローガーだけではなくパブリックス店内でも展開しています。クローガーとパブリックスは競合していまして、これが今後どうなるかは不明です。
ウォルグリーンやCVSなどドラッグストア業界ではインストアクリニックのインハウス化や資本出資はもう既定路線となっていますが、スーパーマーケット業界では珍しいですね。他に思いつきません。
ヘルスケアはスーパーマーケットにとっても強化領域で、包括的な戦略の一環として投資を決めたということでしょう。
食品一辺倒の日本のスーパーマーケットとはパラダイムが異なるという好例のような気がします。
ところでこのインストアクリニック、結構な勢いで増えてきているんですが、増加はスローダウンするだろうという見方が出てきてます。
例えばCVSによるミニットクリニックはは年内に200ヵ所オープンさせる予定でしたが、100ヵ所に下方修正しています。また年初にはチェックアップスというウォルマート店内でクリニックを運営している会社が倒産しています。
理由はどうも、当初は6ヶ月程度で損益分岐点を超えると見積もられていたものが、1年半縲鰀2年間ぐらいかかるということが分かってきたからのようです。また1ヵ所につき50万ドル程度の比較的大きな投資が必要となるため、ある程度の資本が必要であることも影響しているようです。
この必要とされる投資額の大きさが、大手小売企業が資本参入している理由の一つでもあります。ベンチャー企業にテナントとして出てもらうのは良いが、自分たちが考えているようなスピードで増えてくれない。その間に、競合企業がどんどん増やして市場を奪われてしまう。
ならば、自らが資本参加して成長を加速させよう、ということです。
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