ウォルマート2019の最近のブログ記事

2019年10月 7日
ウォルマート、傘下EC企業ののリストラ開始

ウォルマートによるモドクロスの売却が明らかになったのが先週の金曜日のことでしたが、今日はボノボスの人員削減が発表されました。

ECの赤字に対してUSウォルマート責任者のグレッグ・フォランが快く思っていない、内部軋轢が生じている、ということをメディアが書いていたのが確か8月頃だったかと思います。

これに対して、マーク・ロリーもそろそろなんとかしなくてはと思い、一つは売却し、一つは人員削減して赤字を減らす、と手を打ち始めたという説明が一般的でしょう。

モドクロスはビンテージテーマのデジタルネイティブ衣料リテーラーですが、いまだ黒字化できずにいるようです。
今の時代、デジタルネイティブが赤字なのは当たり前化しているので珍しいことではないわけで、分かった上で買収しているはずですね。
おそらく問題は、ウォルマートとのシナジーがないことでしょう。

そもそもウォルマートがデジタルネイティブな小売企業を買収してきた目的は、ロングテールとするためでした。
しかし、確かに形式上はロングテールにはなったのだが、ウォルマートの顧客層は買わなかった。
モドクロスを支持しているミレニアルズもウォルマートで買うことはなかった。

要するに、新規顧客層を開拓するために、既存顧客層にアピールしないブランドを買っても、機能しないよ、が分かったということかと。

モドクロスもそれに近い存在ですが、創業者のアンディ・ダンがECブランド運営開発責任者となってますから、心情的に売りづらいのでしょうね。

ちなみにモドクロスを買うのはゴー・グローバル・リテールという聞いたことのない会社で、調べたら投資企業と言うよりもリストラ専門のコンサルタント企業のようです

鈴木敏仁 (01:00)


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2019年8月 9日
HEB、テクノロジー部門専用のオフィスビルを建設

HEBがサンアントニオの本社のそばに15万スクェアフィート(およそ4,200坪)のテクノロジー専用の5階建てオフィスビルを建設すると発表しました。
来年の夏までに着工し、2022年の夏までに竣工予定。
自社社員だけではなくて、外部のベンダー1,000人も収容予定としています。

このようにデジタル系専用のオフィスビルを作る小売企業が増えています。

自前の比率が高いこと、人員を増やさないと追いつかないこと、が背景にあるのですが、おそらくデジタル系人員を呼び込むためには通り一遍のオフィスデザインでは魅力がないからでしょうね。
ウォルマートはオースチンのダウンタウンに専用オフィスを持っていますが、ウェアハウスを改装した小売企業のオフィスとは思えないアーチスティックなデザインです。

テクノロジー系部門が日本のように組織の中の傍流ではなく、アメリカでは主流になりつつある、ということの象徴だと思っています。

鈴木敏仁 (04:12)


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2019年6月20日
ウォルマート、"ミドルマイル"で無人バンによるデリバリーを実験

ウォルマートが無人で走るバンを使ってのデリバリーの実験を開始したのですが、「店舗やセンターからお客へ」ではなくて、「配送センターから店舗へ」というような自社内の小口物流での利用で、なるほどそういう使い方があるのかと思い共有です。

経路が安定している、届ける場所に人がいるので不在がない、運ぶのはモノなので低セキュリティ、などなど、BtoC利用よりもハードルが低そうです。
こういう使い方から無人自動車は普及していくのでしょう。

ここでアマゾンが実験しているという話は聞いたことがないのですが、店舗が少ないので自社内で小口を移動させるニーズがないのかもしれません。

ちなみにタイトルのミドルマイルは、ラストワンマイルがセンターから消費者宅までを意味し、ラスト50フィートが消費者宅周辺のみを指すのに対して、中間あたりに位置する物流だからミドルマイル、なんですね。
宅配がクローズアップされて、こういう新しい表現がどんどん生まれています。

鈴木敏仁 (10:51)


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2019年6月 7日
ジェット・コム、食品検索でスプーン・グルと提携

ウォルマート傘下のジェット・コムがイギリスのスプーン・グル(Spoon Guru)と提携しました。
スプーン・グルは食品アイテムの検索時に栄養やアレルギーといった食事の嗜好や制限でフィルターをかける機能を提供している企業で、イギリスではテスコが2017年から利用しているそう。

名称はTAGS、AI、アルゴリズム、人間の専門知識、を使い、アイテムの成分や栄養分を解析し適切なタグを付与し・・・などなど説明が書いてあるのですが、長いので省きます。
例えば青果単品なら簡単ですが、加工食品や総菜の場合は製造メーカーの言うことに従うことになるわけですよね。
これを独自の技術で売る側が判断しお客に提供する、ということになるのかなと。

テスコはこの技術の導入でコンバージョンレートが大きく改善した、検索タームによっては420%も上がった、とスプーン・グル社が説明しています。

ウォルマートなら自分で開発できそうな気がしますが、簡単ではないのでしょうね。
こういう技術を、自社開発ではなく他社契約とする判断基準を知りたいところではあります。

鈴木敏仁 (03:17)


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2019年5月28日
ウォルマート、空席だったCTOに外部から人材を招聘

3月にやめたジェレミー・キングCTO(Chief Technology Officer)の後任として、スレシュ・クマールという人が就任するというリリースが発表されました。
経歴はグーグル、マイクロソフト、アマゾン、IBM、と今をときめく有名なテクノロジー企業を斜め上にキャリアアップしながらウォルマートまでやってきた、という人です。

取り上げた理由は2つ。

1つめは、ウォルマートのCTOは組織図上CEOのダグ・マクミロン直下にいるということです。
Eコマースとは横並びで別個に存在している。
もともとCTOはECのマーク・ロリーの下だったのですが、ポジションが変わった模様。
職務内容を確認したわけではないので確実ではないですが、例えば店頭で動く自走ロボットなどEC以外にもテクノロジーは必要ですから、そういう組織構造になるんだろうなと。
ちなみにCIOはまた別個に存在し、こちらはCFO管轄です。
サイバーセキュリティや総務系の情報テクノロジーを統括している。
日本は今もCIOを技術系のトップとして扱いますが、ウォルマートは昔から組織の考え方は柔軟で業界標準には従わない企業です。

2つめはクマールが小売畑の人ではないと言うことです。
マーク・ロリーがECを掌握してから急速に同社のデジタル戦略が進み始めて、やっぱり小売業界の外にいるデジタルな人じゃないと無理なんだねえを実感。
デジタル系部門のトップを社内人材で埋めている日本の小売企業のデジタル変革は、やっぱりなかなか進んでいかないだろうなあ、と思うわけです。

鈴木敏仁 (03:23)


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2019年4月16日
ウォルマートが子供服のサブスクリプションを開始

ウォルマートがキッドボックス(KIDBOX)社と提携し、子供服のサブスクリプションを開始すると発表しました。

キッドボックスは、1箱あたり、新生児~2才までが68ドル(5~6アイテム)、それ以上のサイズ2T ~14までが98ドル(6~7アイテム)で、送料は往復無料。
ただし1箱当たりの価格はすべて買った場合で、返品した場合は買った分だけの請求となります。
それと1箱買った場合は、子供対象のチャリティ団体に寄付をするとしているので、社会貢献をうたっている点が特徴です。

買う義務はないので厳密に言うとサブスクリプションではないかもしれません。

ウォルマートは自社サイト内にKIDBOX用の独立ページを用意しています。
一律48ドルとしているので、おそらく低価格の服を選び提供するのでしょう。

KIDBOX社としては別チャネルとなるので、ブランドイメージを壊さず自社競合せずに拡販できると目論んでいるのだと思います。

鈴木敏仁 (04:31)


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2019年3月15日
ウォルマートがPBタブレットを開発中

ウォルマートが家電カテゴリーのPB、ONNで低価格帯のタブレットを開発中だとメディアが報じました。
ウォルマートは報道を認めていて、しかし売価と時期についてはコメントしていません。
ONNは低価格のベーシックな家電向けのブランドです。

ウォルマートは昨年まで衣料を戦略的強化カテゴリーとしていたのですが、今年から家電を選んでいます。
その新戦略の一環としてタブレットを開発しているのでしょう。

タブレットは市場が伸びていないので、ここに参入するウォルマートPBが売れるのかどうか注目ですね。

鈴木敏仁 (01:49)


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2019年3月11日
ウォルマート、返品プロセスを入り口で処理へ

ウォルマートは出入り口に、"ピープルグリーター"と呼ぶ人を一人立たせています。
基本はご挨拶担当なのですが、本当の役割は万引き防止だということは周知の事実です。
この"ピープルグリーター"を"カスタマーホスト"という名称に変更し、入り口で返品プロセスを処理できるようにするそうです。

返品は対面のカスタマーカウンターに持って行かねばならないのですが、これを入り口で処理できてしまうので、お客にとっては店内まで入っていく必要が無くなるので便利だ、というわけです。

これが可能になったのは商品とレシートとアカウントが紐付き、アプリを利用して返品できるようになったからでしょう。
お客はアプリで返品を選択、おそらくカスタマーホストはそのアプリに表示されるコードをスキャンするだけで、プロセスが終了するのだと思います。

日本では返品はよろしくない行為だと消費者が教育されているのですが、アメリカはわりと普通に返品してしまうので、返品プロセス、さらに少し大きな表現するとリバースロジスティックスは大きな課題で、返品プロセスの最適化や効率化はそうとう昔から取り組まれてきています。
今回の入り口返品もその一環というわけです。

ちなみに店員に決済端末を持たせて、売場で決済が済んでしまうということもウォルマートはすでに始めています。

鈴木敏仁 (01:45)


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2019年2月19日
ウォルマートの2018年度決算はきわめて好調

ウォルマートが昨年度の決算を発表しました。
主要な数字をハイライトします。

【連結】
売上高:5,144億ドル(2.8%増)
営業利益高:220億ドル(7.4%増)

【米国ウォルマート】
売上高:3,317億ドル(4.1%増)
営業利益高:174億ドル(2.3%増)
既存店成長率:3.6%増
EC成長率:40%

【海外】
売上高:120億8,000万ドル(2.3%増)
営業利益高:49億ドル(-6.6%)

EC40%増がウォール街にウケて、ポジティブな見出しが躍ってます。
私としては、米国ウォルマートの既存店3.6%増に目が行ってしまいます。
また儲けは出ていないであろうストアピックアップを強化して、営業利益をプラスで維持している点を評価したい。

以下情報を共有。
グローサリーピックアップ可能店舗は2,100超、今年度末までにピックアップは3,100店舗、デリバリーは1,600店舗へ。

鈴木敏仁 (11:56)


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2019年2月 7日
ウォルマートがスキャン&ゴーをやめた本当の理由

このネタについてはもうすでにエントリーしています。
ウォルマートがスキャン&ゴーをやめた理由

これについて、すでに他社に移ったレジ担当の責任者がメディアの取材に答えているのですが、やはり万引きが理由なのでした。
事例として、100アイテムを買った人が、40アイテムしかスキャンしていなかったことがある、と。

社内会議で、スキャン&ゴーではなくて"ゴー"だけにした方がいいんじゃないかというジョークも出ていたということを言っています。
お客はスキャンしないから、という意味ですね。

ウォルマートは入り口にグリーターという名称の店員を配置しています。
出入店するお客への挨拶が表向きの役割ですが、主目的は万引きを減らすために買い物が終わって出る人のレシートの確認をすることにあります。
でも確認はしますがざっと見るだけなので、100アイテムすべてを確認するということはしませんよね。

同社はそのかわりに、店員に携帯決済端末を持たせるチェックアウト・ウィズ・ミーというプログラムをはじめています。

鈴木敏仁 (11:44)


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