2008年5月30日
[シアーズホールディング] 第1四半期に5600万ドルの赤字を計上

売上高は対前年比で5.8%減、既存店成長率は8.6%減でした。
既存店成長率の内訳は、シアーズが9.8%減、Kマートが7.1%減。

赤字5600万ドルはシアーズとKマートが合併してから最大規模となるそう。
同社による今後の見通しコメントもネガティブで、良くなる雰囲気が感じられません。

ちょうど同じ日に、コストコが32%の増益、ビッグロッツが20%の増益を計上しているのと好対照でした。
ウォルマートもターゲットも景気悪化で落としているとは言うものの増収増益ですし。


フリーキャッシュフローが悪化しており、この傾向がもし続くと来年の初頭ぐらいにはベンダーがなんらかのアクションを起こす可能性がある、と指摘するアナリストが出てきました。そうなると、リネンズン・シングスのように連邦破産法・・・というようなシナリオも考えられないこともないのですが、その前にランパートが不採算店舗の売却などの何らかの手を打つでしょうね。
Kマートとシアーズの不動産価値はバイアウトのリスクヘッジですから。


これからさらにんどん縮小していくんだろうけど、どこで均衡するのかでしょうねえ・・・。

鈴木敏仁 (01:36)


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2008年5月29日
『インベブ、アンハウザーに敵対的買収』を考える

インベブ(InBev)はベルギーベースの飲料メーカーです。これがアメリカを代表する酒メーカーのアンハウザー・ブッシュに敵対的買収を仕掛けるかもしれないそう。
アンハウザーのフラッグシップブランドは、あのバドワイザーです。

インベブって全然知らなかったんですが、2004年にベルギーの企業とブラジルの企業が合併してできた企業なんだそうですね。現在130カ国に200ブランドを展開している世界最大手で、昨年の売上高が144億ユーロなので、2兆円を超える大企業です。


この買収プラン、言ってみれば日本のキリンやアサヒが外国企業によって買収目標にされるようなもんです。
これに対してアメリカが、スチールパートナーズが資本買収を仕かけたときの日本のように全経済界をあげて買収防衛策を弄するのかどうか。

たぶんしないでしょうね。


同じ誌面に武田薬品による米国企業買収の話が出てました。先月ですよね。88億ドル(約1兆円)という大きな案件です。
それと、大塚製薬がフランスの大手ミネラルウォーターメーカーを7億5000万ユーロ(約1,220億円)で買収するというニュースも昨日紙面で報じられました。

日本企業が海外企業を買収するのはOKで、外国企業が日本企業を買収するのは巧妙に阻止するって、どういうことなんでしょう。
閉鎖的というよりも、アンフェアという表現が妥当かなと。

釈然としませんよね。
日本の経済界のお偉方たちって、アンフェアなことをやっていて、これからのグローバル時代を乗り切っていけるとでも思ってるんでしょうか。

誤解無きように付け加えておくと、日本の企業が外国資本に買われることを愉快なこととは僕は思ってません。愛国主義とは言わないけど、やっぱり日本企業には頑張って欲しい。ただアンフェアはよろしくない。


インベブ対アンハウザー案件で、こんなことを考えたのでした。

鈴木敏仁 (10:51)


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2008年5月28日
[ウォルグリーン] 来年中にアラスカに出店、全州カバーへ

ウォルグリーンが来年夏にアラスカに出店するプランをリリースしました。予定地域はアンカレッジ、年度末までにさらに2店舗をオープンさせますが、それ以降のプランについては未定となってます。
これで、全50州に加えて、ワシントンDC、そして自治領プエルトリコと、全米すべての地方行政地域に店舗を持つ文字通りのナショナルチェーンとなります。

全米に店舗展開しているのは他にウォルマートがいますが、ワシントンDCには店がないはずなので、すべてに展開しているという意味においてはウォルグリーンが唯一の企業になると思います。

鈴木敏仁 (01:59)


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2008年5月27日
[RFID] 2013年には97億ドル市場に成長

RFID市場はこれからしばらく年率15%で成長を続け、2013年には97億ドル市場になるだろうというレポートが発表されました。レポートを作成したのはABIリサーチという調査会社です。
ウォルマートのサムズと独メトロによるコミットメントが、成長予測を強気にしているようです。

サムズのコミットメントというのは、これですね。
[ウォルマート] RFIDをアイテムレベルへ

このときの資料だと年内に12億ドルということでしたが、今回のレポートだと5年後には100億ドル近くまで市場が大きくなっているというわけです。
日本円にすると1兆円(1ドル=110円換算)を超えるということになります。


ハードルはまだまだ一杯ありますが、ゆっくりだけど確実に浸透して行くということだと思います。

鈴木敏仁 (11:47)


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2008年5月26日
「ガソリン価格の高騰がアメリカ社会を変えるか」Vol.12,No.22

アメリカ流通eニュース

 ガソリン価格の上昇が続いている。現在アメリカの平均価格は3.90ドル程度なのだが、カリフォルニアでは4ドルを超えている。1ガロン(3.785リットル)あたりなので、1リットル当たりにすると1ドル程度である。私がアメリカに来た20年前は60セントぐらいだったので、6倍以上になったわけだが、このうちの半分ぐらいはこの数年間に集中している。
 さて、もしこの価格がさらに二倍以上の1ガロン当たり10ドルになったらアメリカ経済はどうなるのだろうか。マネーという経済誌のコラムニストが予測を書いているのだが、大多数のトラックビジネスが廃業に追い込まれ、飛行機は飛べず、多くのリテールやレストランがつぶれる一方、カープール(車の乗り合い)、ハイブリッド車、テレコミュート、屋上菜園、家庭内料理、リサイクル、ソーラーパワーに対する需要が急騰するだろう、と書いている。
 10ドルという数値には根拠はないのだが、そういう数値が現実に飛び出てくる時代にとうとう突入したという感を強くしている。

鈴木敏仁 (02:33)


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2008年5月23日
[米アルディ] テキサスに配送センターを建設

テキサス州のデントンで自社配送センターの建設を近日中に開始し、1年から1年半で稼動させると報じました。南西部でのセンター開発は初、設備投資額は4000万ドル、面積は4万6500㎡。
2月にフロリダに配送センターをオープンさせたばかりですから、版図の拡大がスピードアップしてきた印象があります。

ちなみに今年の新店数は100店舗。


現在某社の研修コーディネートの真っ最中で、アルディを数店舗見てきました。新店だったようで、カラースキームやサインが変わり、若干明るくきれいになったように思います。
写真はこちらにアップしてあります。
シカゴからダラスへ

昨年の数値によると、北アルディ傘下のトレーダージョーズと、南アルディ傘下の米アルディの売上高を足すと、米スーパーマーケットランキングで9位となります。アルディ、静かにじわじわアメリカでシェアを拡大してます。

鈴木敏仁 (04:10)


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2008年5月22日
[グーグル] ドラッグストア大手と提携

グーグルがウォルグリーン、CVS、ロングスと提携しました。
グーグルヘルスという新たなツールをグーグルが開発、ドラッグストアでの薬歴やクリニックでの医療ヒストリーのインポートが可能というシステムで、三社でのデータをここに集約することを目的としています。

お客(または患者)が過去の医療行為を一つにまとめて管理できるというわけです。

このコンセプトはすごい。

薬歴ってドラッグストアごとにバラバラにばらけていて、もちろんいつも一箇所で処方してもらっていれば問題ないわけですが、引っ越して近くにいつものドラッグストアがないとか、いろんな事情もあるわけです。
そういうときに、薬歴をひとつにまとめることができれば、便利このうえない。

逆に言うと、薬歴を一箇所にまとめるというモチベーションがなくなるわけですから、ドラッグストアにとっては囲い込みの手段が一つ減るわけです。まだ詳細は分からないのですが、たぶん、患者の視点で考えると、こっちのほうが正しいと判断したんでしょうねえ。

さらに、薬歴だけじゃなくて、医療行為のヒストリーも管理できるところに驚いてます。
ドラッグストア企業のリリースを読むに、今まで分断されていた医療データを統合することが治療にも役立つ、ということを言ってます。


さて、ということで、早速試してみたのですが、グーグルヘルスは英語バージョンに新製品としてリストされていて(日本のサイトには当然ないです)、クリックして入ってみたら、ウォルグリーンやCVSだけじゃなくて、もうすでにいつくかリンク可能な医療組織があるということを知りました。
つまり今回は、すでに稼動しているシステムに、大手ドラッグストアが'とうとう'リンク可能とした、ということなんですね。

ネットファーマシーでアカウントを持っているウォルグリーンをクリックし、あとは画面の指示に従って行って完了、ほんの30秒ぐらいで登録終わりでした。


これは便利かもしれませんねえ。
かかりつけのプライマリードクターが参加してくれるとありがたいなあ。
これからのポテンシャルを感じたのでした。


グーグル恐るべし。

鈴木敏仁 (04:11)


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2008年5月21日
[フレッシュダイレクト] フラットな定額配送料プランを導入

アメリカでは大手スーパーマーケットのほとんどがネット販売を導入しています。一方、ピュアなネットオンリーのスーパーマーケットは一時ブームと化して企業が輩出したのですが、ほとんどが消えてなくなりました。

その中で、ネットオンリーのスーパーマーケットとして唯一成功している企業が、フレッシュダイレクトです。NYを基盤としているのですが、高い人口密集度によるデリバリー効率と、配送料といったエキストラをあまり気にない豊かな層が多いことと、商圏の拡大に慎重な姿勢が、成功へと導きました。ビルひとつ隣にデリバリー範囲を広げるだけでも、綿密な調査分析をするのだそうです。

さてこの企業が、配送料をフラットにする価格体系を導入しました。6ヶ月間で59ドル、12ヶ月で99ドル、これを支払うとその期間中はいくらでも発注できるというシステムです。

食品のように繰り返し買わねばならない商材の場合、こういうインセンティブは機能するかもしれませんね。一回支払ったらその期間中はしばられるわけだから、顧客のロイヤルティに貢献することでしょう。
もちろん、配送料をプロフィットセンターにできなくなるとか、予期できない燃料費の高騰が首を絞めるとか、ネガティブな要素も考えられますが。

鈴木敏仁 (03:20)


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2008年5月20日
[フレッシュ&イージー] プライベートブランドを250アイテム追加

フレッシュ&イージーがプライベートブランドを250アイテム追加すると発表しました。
惣菜、ジュース、紅茶、大豆、ゴートヨーグルト、肉、といったアイテムだそうです。

アイテム数で50%、売り上げ比率で75%、これが同社が公表しているPB比率なのですが、さらに増やそうとしているというわけですね。

それと、店内のサイン等のカラースキームを若干変え、明るい色をプラスするようです。現在研修のコーディネートで店舗視察の真っ最中なので、これについては確認しようと思っています。考えてみると、店内は非常にすっきりしているのですが、若干冷たい感じのする雰囲気だったので、これは正しいかもしれませんね。


そういえば、先日フレッシュ&イージーでクロワッサンを買ったことを記事にしましたね。クロワッサンは味に差が良く出る商材であるため、比較するときによく買いますし、お店の技を判断するときの材料によくします。

で、フレッシュ&イージーのクロワッサンは、決しておいしくはないけどまあまあで、価格を考えるとお値打ちでした。ちょうど同時にボンズのクロワッサンを買ったのですが、こちらは正直言っておいしくなくて、価格はフレッシュ&イージーより高かった。


ピンポイントな比較ですが、フレッシュ&イージー、悪くない印象でした。

鈴木敏仁 (04:15)


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2008年5月19日
「売場のサブブランド化を考える」Vol.12,No.21

アメリカ流通eニュース

 デパートメントストアのメイシーズがFAOシュワルツとのコラボレーションを開始する。メイシーズの売場にFAOシュワルツの専門店売場を作り、'店舗内店舗'として展開を図るという。今年の春までに812店舗中の275店舗に導入し、来年と再来年中に全店舗へ水平展開する。
 FAOシュワルツは高級玩具専門店チェーンとして有名だったが、経営が傾きバイアウトされて縮小、現在はニューヨークとラスベガスの二箇所にしか店舗がない。ただ知名度は相変わらず抜群で、埋もれたブランド価値をメイシーズが利用しようというわけである。FAOシュワルツとしても新たな拡大のチャンスで願ってもないことだろう。
 このように、他企業を店舗内にすっぽりと入れてしまう手法は今に始まったことではなく、アメリカではこの10年ぐらいのトレンドなのだが、目的は部門のディスティネーション化にあり、本質は部門のサブブランド化にあると考えている。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (02:30)


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2008年5月17日
[セイフウェイ] 小型店舗の一号店オープン 名称はザ・マーケット

ザ・マーケットセイフウェイが昨年からほのめかしていた小型フォーマットがオープンしました。
先週の5/15、場所はロングビーチ、もともとあった古いボンズを1月に閉鎖し、改装して再オープン。

名称はザ・マーケット。
後ろに小さく「ボンズ」とついていて、これはボンズの知名度を利用するためですね。

まだメディアに正式発表しておらず詳細は限定的です。

知っている限りの情報と、視察をした感想と、写真は、R2Linkに掲載しておきましたのでご参照下さい。
ザ・マーケット ロングビーチ店

アメリカは長いこと大型化がメインテーマで、こういう小型フォーマットは見過ごされてきました。アメリカの環境では大型店の方がROIが高いので、投資の振り向け先がそちらに行かざるを得なかった、ということだと思います。

もちろん、ダラーゼネラルやトレーダージョーズなどのバリューディスカウントストア群は、小型フォーマットの可能性に気づいてしっかり基盤を築いているわけですが、大手マスリテーラーがようやくこの市場に可能性を見出し始めた。

トレンドが俄然変わってきたわけですが、そのきっかけがフレッシュ&イージーということになります。
まだ全然成功してないんだけど、すでに影響を与えてしまっているという意味では、テスコはやっぱりたいした企業です。

ちなみにこのフォーマット、アップスケールした普通のミニSMという印象で、ユニークさに欠けてます。価格もハイローやってましたし。
もともと古くから客がついている場所でボンズ名をつけて営業するわけだから、まあそこそこいくのでしょうが、爆発するようなポテンシャルはあまり感じないのでした。

鈴木敏仁 (06:25)


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2008年5月16日
[メナード] 店舗周辺の住宅を自ら開発

メナードはウィスコンシン州に本拠を置くリージョナルのホームセンターチェーンです。売上高77億5000万ドルで209店舗、ホームデポとロウズという二大チェーンに次ぐのですが、売上高の差は非常に大きく、アメリカのホームセンター業界は完全に二極化しています。

このメナードが、店舗周辺の住宅を自分の手で開発しているとローカル紙が報じました。他に例を見ない、過去にもほとんど例がない、非常にユニークなプロジェクトです。
目的は当然、開発するときの資材ニーズを店舗が請け負うわけです。建築を請け負う工務店にメナードで購入することを義務付ける。
また開発することで住民が増えれば、DIYニーズもおのずと増える。仮に賃貸住宅でも作って自身で所有し、価値が上がったら売却して儲けることも可能かもしれない。

今のところ2ヵ所ですでに開発が終わり、現在3つ目を計画中で、他にも案件を探しているとしてます。


アメリカでは、例えばウォルマートが良くやりますが大きな土地を自分で買って、スーパーセンターを作り、価値を上げて、余った土地を売って儲けを出すというようなことはよくあります。まあ、小売の規模が大きいですから、こういった利益は雑収入となって損益計算書などには細かく出てきません。
でも基本的に役割分担が出来上がっていて、不動産開発業と小売業は完全に分かれていて、自らの手で開発するということはあまりしない。当然住宅を開発するなんて、ありえないでしょう。

日本では、小売企業がショッピングセンターを開発するというのはよくあることですね。でも、住宅を自ら開発して、言ってみれば周辺市場を自分で作るということは、あまり聞かないですよね。


メナードは一見するとスマートな店作りではなかったりするのですが、アソートメントがけっこう細かくローカライズされていて、けっこう支持されている企業です。

おもしろい話なので、紹介させていただきました。

鈴木敏仁 (01:11)


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2008年5月15日
[テスコ] 韓国のホームエバーを買収

アメリカネタではないのですが、あまり報道されていないようなので、エントリーしておきます。

英テスコが韓国のディスカウントストア、ホームエバーを1兆9500億ウォン(9億5800万ポンド、約2000億円)を買収するそうです。店舗数は36店舗、韓国市場では4位、Eランドグループ傘下ですが、もともとはカルフールが所有していて撤退時に資本が移った企業です。


紙面によると、韓国市場は英テスコにとって英国本土に次いで儲かっている市場なのだそう。
北米とイギリス(つまり広い意味での英語圏)でしか儲かっていないウォルマートと違って、"極東"のアジアで儲けている点に、テスコの凄みを感じてしまうのは私だけでしょうか。
やっぱり、植民地経営の歴史の差、でしょうかねえ。

鈴木敏仁 (03:38)


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2008年5月14日
景気は後退しない?

ウォルマートが第1四半期の業績を発表しました。売上高10%増、最終利益高6.9%増、既存店成長率2.9%増で、決して悪くない数値です。今年の見通しについて、甘くは見ていない的なコメントがあって先行き不透明感は払拭できないものの、第2四半期の既存店成長率の予測は0縲鰀2%程度でマイナスではなく、こちらも決して悪くはありません。

9日にエントリーしたように、大手企業の4月の既存店成長率はプラスが多かったですし、実際、商務省発表による4月の小売売上高(自動車除く)は前月比0.5%プラスで、消費はマイナスというわけではないようです。

一方、WSJ誌の一面にマクロ経済の記事が掲載されているのですが、景気の後退はなさそうだという論調で、トーンが変わってきているのを感じます。
エコノミストの予測によると、第1四半期と第2四半期のGDPは0.6%増、第3四半期と第4四半期は1.2%増で、プラス成長となってます。


日本も含めて悪いところを煽るような記事がマスコミに踊ってますが、考えているほどは悪くないんじゃないでしょうかね。
ただトンネルは長いという印象はすごく強いですが。

鈴木敏仁 (03:08)


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2008年5月13日
[スプラウツ] 2,200万ドルの資金調達で成長に加速

スプラウツ・ファーマーズ・マーケットというスーパーマーケットチェーンがあります。
スプラウツ・ファーマーズ・マーケットが拡大基調に

このエントリーは一昨年の8月で、その時点で18店舗でしたが、現在は25店舗となっています。ダラスフォートワースエリアで店舗を30店舗にすると言っていたのですが、現在5店舗、予定通りに増えていません。詳細は知りませんが資金調達にハードルが発生したのかもしれません。

今回2200万ドルの調達が決まり、年内に15店舗、今後10年間で100店舗を増やすことを発表しました。


実は近所にオープンしたので、買い物に行ってきました。
スプラウツに行ってきました

店舗デザインやマーチャンダイジングに加えて、価格戦略をざっと見るに、ホールフーズと、トレーダージョーズと、普通のマススーパーマーケットを足して3で割ったようなコンセプト、と言えばいいかと思うのですが、こういうニッチ(またはオルタナティブ)フォーマットが出てきて成長するのを見るのは、私のような人間にとってはこの上なく楽しいことです。


参考までに。
現CEOのション・ボニーのおじいさんはヘンリー・ボニーというヘンリーズ・マーケットプレイスを創業した人で、このヘンリーズを買ったのがワイルドオーツで、ワイルドオーツを買ったのがホールフーズ、ということになります。ワイルドオーツとの契約で店舗を作ることができなかったのですが、2001年に契約が切れたため、息子のスタンと孫のションがフェニックスに非常に似通ったフォーマットを創業した。

これがスプラウツです。
そのためか、スプラウツはヘンリーズと非常に似通ったフォーマットを持っています。

鈴木敏仁 (02:08)


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2008年5月12日
「ヨーロッパに進出するベストバイ」Vol.12,No.20

アメリカ流通eニュース

 ベストバイがヨーロッパへ進出する。イギリスに本社を置く携帯ショップチェーン、カーフォン・ウェアハウス社と合弁を設立し、ジョイントベンチャー形式で店舗開発を開始する。また、イギリスのDSGやKESA買収に動いているというニュースが出たのだが、CEOのアンダーソンは否定せず、買収による拡大もありそうだ。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (02:11)


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2008年5月12日
[トイザラス] 最終利益が40%アップ、復活は近い?

バイアウトされたため細かい業績がわからなくなってしまったトイザラスですが、最近入手した情報によるとかなり回復しているようです。
2007年度の売上高は138億ドルで5.3%増、最終利益高は1億5300万ドルで40.4%増、利益の前年比アップがすごいですね。既存店成長率とか、荒利益率とか、細かい数値が分からず確実なことは言えないのですが、とりあえず良い数値なのではないかと思います。

CEOのジェラルド・ストーチに対する業界の評価がけっこういいです。
もともとターゲットにいた人で、1月に後任に決まったステインファフェルとともにウルリッチの後継と目されていた人です。2005年10月にやめて、2006年2月にトイザラスのCEOとなりました。
[ターゲット] CEOウルリッチが引退
ウルリッチの後継決定プロセスは、ストーチがやめた2005年くらいから動きがあったのかもしれませんね。

業績が戻ってくると、再上場ということもあるかもしれません。ストーチは50歳と若いですし、そのままトイザラスを長期に引っ張っていけるかもしれない。
元祖カテゴリーキラーの復活は喜ばしいことじゃないでしょうか。

鈴木敏仁 (10:55)


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2008年5月 9日
小売業の業績悪化は底を打ったか?

大手企業の4月の業績がおおむね出揃い、紙面で記事となってます
以前も書いた気がしますが、マンスリーの業績の変化に私はまったく興味がありません。日本の皆さんの参考となるテーマではないと考えています。
ただ、現在景況の行方がすごく気になってまして、とりあえずしばらく載せます。

4月の既存店成長率の高い順に並べると・・・。

サックス:23.9%
コストコ:8.0%
TJマックス:8.0%
アバクロ:6.0%
ファミリーダラー:4.3%
パシフィックサンウェア:4.0%
ウォルマート:3.8%
コールズ:3.5%
ターゲット:3.1%
JCペニー:-1.7%
ニーマンマーカス:-1.9%
ノードストロム:-3.8%
リミテッドブランズ:-5.0%
ギャップ:-6.0%

以下が3月の数値です。一目で良くなっているのが分かると思います。
市況悪化の深刻化?

論調はミックスです。まだまだ悪くなるという人もいるし、そろそろ上向く、なんてことをいう人もいるし。
まったくの不透明ですね。


相変わらずコストコが強いです。もう、言い飽きました(笑)
それと、相変わらずギャップが悪い。これも、言い飽きました(笑)

ファミリーダラーの数値が良いのですが、総体としてディスカウントストアが上向いてきているような感じで、これはやはり消費者が値段にシビアになってきていることを意味しているのだと思います。

鈴木敏仁 (01:27)


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2008年5月 8日
[ベストバイ] 英カーフォン・ウェハウス社と合弁で欧州進出

ベストバイがヨーロッパに進出します。

英カーフォン・ウェアハウス社はヨーロッパに携帯ショップを2400店舗持つ大手リテーラーです。ベストバイは昨年この企業に出資、3%を所有して資本関係を結んでいるのですが、4年前から共同事業について話し合いを持ってきたようです。
知らなかったのですが、路面店としてのベストバイモバイルはカーフォンとベストバイのジョイントベンチャーが運営していて、またこのJVはヨーロッパではベストバイのギークスクワッドのサービスを販売しているそうで、両社はすでに共同で事業を行っているんですね。

今回ベストバイが投資するのはこのJVのようです。21億ドルを投じ、両社50:50の共同事業とする。増資するということでしょうかね。
このJVがベストバイのヨーロッパ事業を運営して行くことになります。どこにいつ出すのかといった今後のプランは現時点では言明を避けてます。

ベストバイの海外事業は、カナダ、中国に次いで、3カ国目となります。
日本にも興味はあるんでしょうねえ。日本の家電小売企業がベストバイのPBを売ってますので、商品ではすでに日本に入っている。家電業界は二極化し始めてますから、下位企業がてこ入れするためにベストバイと組むなんてことがあってもおかしくないんじゃないでしょうか。

鈴木敏仁 (12:53)


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2008年5月 7日
[R2Link] 小売業界誌『販売革新』とのコラボ企画を実施中

流通業界人をつなぐSNS『R2Link』では、チェーンストア経営専門誌『販売革新』さんとのコラボレーション企画を進めています。
アンケート形式でR2リンクの意見を集約し、ネットの集合知をリアルな雑誌に反映する試みです。

前回は『食品商業』さんと初のコラボを試みたのですが、とても良いものができました。再度チャレンジし、企画を進化させていきたいというのが私の想い。ネットとリアルのコラボで、素晴らしい何かが生まれるだろうと信じています。

ちなみに『食品商業』の記事は、「知ってて良かった!知らなくて赤っ恥?スーパーマーケット用語30」(2008年4月号、P46縲鰀)ですので、お持ちでしたらぜひご参照下さい。


アンケートはR2Link内のコミュニティで実施しています。
【アンケート】「総合業態」再生はあるや?なしや?

総合業態としてのGMSは再生するのか?、それともできないのか?、がテーマです。

ご興味のある方はぜひR2Linkへおこし下さい!!

鈴木敏仁 (11:49)


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2008年5月 6日
[ウォルマート] 薬剤の値下げプログラムを拡大

ウォルマートがジェネリック処方薬を値下げしたのは06年9月のことでした。
ウォルマートがジェネリック処方薬を値下げ

これはかなり大きな影響を及ぼし、直後にターゲットがマッチングさせただけではなく、多くのスーパーマーケットが同様の値下げに踏み切りました。私が住んでいるエリアのスーパーマーケット、調剤に決して力を入れているわけではないラルフスですらいまや4ドルをうたい文句にしているくらいです。

そのウォルマートがプログラムの拡大を発表しました。

300アイテムにつき、90日分の処方を10ドルとする。また乳がんや更年期障害など女性に特有の病気に対するジェネリックの30日分処方を9ドルとする。さらに、1000アイテム以上のOTCを4ドルとする。


この値下げプログラム、他社への影響を見れば分かるように一定の効果を上げています。売上も伸びているのですが、少なくともヘルスケア分野でもプライスリーダーなのだという印象を消費者に与えることには成功している。

今回は時期が良いですよね。インフレが進行し食品の値上げが続いているいま、薬を下げますというメッセージがネガティブに受け取られるわけがない。

それと、今回はOTCを値下げしていますが、これがどう影響するのか、興味がわきます。健康保険に加入している場合いずれにしても患者負担金が発生するためジェネリックの値下げは保険加入者にはメリットが少なく、だからドラッグストア企業のほとんどが追随しなかったのですが、OTCは財布を直撃します。ドラッグストアがどう動くか、動かないのか、興味津々です。


そしておもしろいのは、直後にターゲットがマッチングを発表したことです。
ターゲットはファッション性の高いディスカウンターですが、こういうニーズ商品についてはアグレッシブにウォルマートと価格勝負します。ここに、ターゲットの強さの本質があるのです。

鈴木敏仁 (02:42)


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2008年5月 5日
[リネンズン・シングス] 連邦破産法11条を申請して事実上の倒産

リネンズン・シングスが先週2日に連邦破産法11条を申請して事実上倒産、裁判所の管轄下に入りました。営業は継続、今後120店舗を閉鎖して復活をはかるとのことです。
GEキャピタルから7億ドルのDIPファイナンスを獲得してので、当座の資金繰りに問題はないようです。リストラの専門家をCEOとして雇い入れ、現CEOは会長となって一線から引きます。

破産法11条を申請した直接的な原因は、ベンダー1000社のうちの100社近くがCODを超えて前払い(CBD=Cash before delivery)を要求し始めたからです。リネンズ・シングスの支払いが悪化したのが理由。これによって同社の運転資金がショートし始めて、やむなく倒産、ということです。

このリネンズ・シングス、06年に13億ドルでアポロマネジメントにバイアウトされました。なので昨年の詳細が分からなかったのですが、赤字が2億4910万ドルで、一昨年の1億5440万ドルから膨れ上がってます。既存店成長率は3.4%減、営業成績が非常に悪かった。

業績悪化の理由は、住宅市況の悪化、消費者がファッションアイテムにお金を使わなくなってきた、の2つです。ただこの企業の店舗レベルは直接競合してしているベッド・バス&ビヨンドに比べるとかなり低くて、店舗に魅力がないというのが最も大きな理由でしょうね。


バイアウトされた企業が連邦破産法11条を申請するというのは、過去ちょっと記憶にないんですよね。しかも13億ドルですからけっこう規模が大きい。記録的、かもしれません。

ただこれでアポロの投資が失敗したとするのは早計ですよね。倒産して負債負担がかなり減るる可能性がある。また120店舗の閉鎖でなんらかの利益を獲得する可能性もある。計算ずくの倒産、でしょうねえ。だとすると、破産法管理下から抜け出るのも結構早いかもしれないです。

また発行済みのギフトカードが指摘されてました。4200万ドル分が凍結され40万人が影響を被る可能性がある。まあこれは、企業を清算してしまうなら問題ないのでしょうが、営業を続けるならば倫理的に許されることではないと思うのですが。
ただ少なくとも法的には可能です。


今年に入って、一番最初の大手企業の倒産となりました。
まだあるだろうというのが、業界の見方です。


※ちなみに、同社の英語表記はLinens 'n Things(リネンとその他の商品)なのですが、英語発音に忠実にリネンズン・シングスを私は使っています。

鈴木敏仁 (02:54)


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2008年5月 5日
「リネンズン・シングス倒産、今後に続くプロローグ?」Vol.12,No.19

アメリカ流通eニュース

 リネンズン・シングスが連邦破産法11条の適用を申請し事実上倒産した。非上場企業なので負債総額など詳細は不明、裁判所管理下における運転資金の調達手法であるDIPファイナンスで7億ドルをGEキャピタルから調達しており、営業は継続する。
 景気の悪化懸念で消費意欲が減退、今年は小売企業にとって大きな試練の年となりそうで、かなりの数の店舗閉鎖や倒産が年初から予測され、シャーパーイメージなど中レベルの小売企業にすでに倒産企業が出てきているのだが、大企業としては初のケースとなった。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (02:09)


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2008年5月 2日
[ホームデポ] 不採算15店舗を閉鎖

ホームデポが増床戦略の修正プランをリリースしました。不採算な15店舗を閉鎖し、今後の新規出店数を下方へ下げてゆく。来年度は予定通り55店舗をオープンさせるが、年間50店舗を増やしていくというベースプランには今後固執しないとしています。

ホームデポが採算を理由にして店舗を閉鎖するというのは、史上はじめてのことだそう。4桁店舗を展開している企業にとって、というよりも店舗数スケールが日本に比べると比較的大きいアメリカの場合15店舗ぐらいの閉鎖はよくあることなのですが、過去例にない不採算による閉鎖なのでインパクトが大きいというわけです。


ちなみにロウズは今年120店舗を出す予定で、修正予定は今のところまったくないそうです。
ロウズは1500店舗超、ホームデポは2,250店舗超。この差がどんどん縮まって行きそうなけはいですね。


余談ですが、ディズニーが98店舗を閉鎖することを発表してます。

それと今日、リネンズン・シングスがとうとう倒産しました。こちらも店舗閉鎖があります。この件については、来週月曜日にエントリーするつもりです。

鈴木敏仁 (02:19)


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2008年5月 1日
[ターゲット] 自社デザイナーズブランドをバーニーズで販売

ターゲットがふたたび極めて興味深い販売方法を実施します。自社開発商品としては初となるエコフレンドリーなアパレルラインを、バーニーズニューヨークで先行販売するというのです。

ラインのデザイナーは、エコ商品のデザイン開発で先頭切っている新進気鋭のローガン・グレゴリーという人で、バーニーズやブルーミングデールで商品をもともと販売している。エコ型商品を作りたいターゲットがこの人に目をつけて、売り出し中のデザイナーを定期的に起用し続けるGo Internationalで自社商品を開発し販売する。

まず5/9-11にかけてニューヨークのバーニーズで販売し、次に5/16-18にかけてロサンゼルスのバーニーズで販売し、その後ターゲット店内のGo International売場に並ぶ。
バーニーズは'Rogan for Taget'として売場を残すようで、短期間で売場を作り撤収して、という作業を繰り返すわけではないようです。

ターゲット広報のコメントが、その目的をすべて言い表しています。「我々にとってこれはコレクションに対するクチコミを広げることである。そしてバーニーズのお客がコレクションをプレビューする最高の機会となる」。
クチコミなんですよね。利益ではない。

バーニーズにはメリットがないように見えるのですが、この点については同社のファッションディレクターがこう言ってます。「おもしろいこと、新しいこと、奇抜なことをするが、バーニーズだ。新人デザイナーを発掘するターゲットのGo Internationalに対する感謝の意味もある」。
ターゲットのアパレルプログラムがラグジュアリークラスのデパートメントストアから高い評価を受けているというわけです。


ターゲットのポップアップストア、英国版
これはイギリスの高級デパートメントストア内にポップアップストアを作るというニュースでしたが、Alice Temperley For Targetというコレクションを短期間だけ売ったというのが、このプログラムの中身でした。今回のもこれと同じ枠組みの中にあるようです。


極端な比喩ですが、イオンスタイルを伊勢丹や高島屋で売るようなものと説明すれば、分かりやすいでしょうか。
何度も書いていることですが、ターゲットのファッションマーケティングのレベルは実に高いと思います。


Go Internationalちなみにふと思いついたことですが、自社商品を他社で売るという点において、昨日書いたセイフェイのPB戦略とちょっとだけつながりますね。

写真はGo International売場です。Departing Soon、すぐになくなりますよ、つまり短期間だけですよ、というPOPが見えますね。期間限定でデザイナーを雇ってポンポンと売場を変えて行く手法で、ターゲットなりのファストファッション、というわけです。

ターゲットのファッション戦略やこのGo Internationalについては、短期連載で昨年執筆した「ターゲット ブランディングを売場まで貫徹する」(販売革新2007/03、P120~)をご参照下さい。

鈴木敏仁 (03:57)


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