2006年9月29日
店頭マーケティング・ベンチマークスタディの開始

ウォルマートとP&Gが店頭マーケティングのベンチマークスタディから脱退したと、6月に記事にしました。「ウォルマートとP&Gが店頭メディア実験から脱退」

AdAgeによると、In-Store Marketing Instituteという別の組織を土台として、P&Gが中心となってスタディが復活しました。名称は'In-Store Metrics Consortium'、メンバーはアルバートソンズ、クローガー、ウォルグリーン、ウォルマート、3M、コカコーラ、ウォルト・ディズニー、ケロッグ、ミラー、そしてP&Gとなってます。
メンバーが拠出した予算総額は100万ドル、1年間をかけて10店舗で実験するそうです。

母体が変わったということは、何かトラブルがあったということかな。

この実験、店頭メディアにテレビやラジオと同じような広告基準を持ち込もうとするものです。詳細はまだ不明なのですが、おそらく店頭TVが普及し始めているので、ここで流す広告の効果を測ろうというものだと思ってます。
ただ店頭に広告用テレビを設置していないウォルグリーンが参加しており、例えばPOPやディスプレーも実験対象としている可能性があり、だとしたら実に興味深い試みと言う事ができますね。
店頭テレビ4時間流したらいくら、スペシャルディスプレーを立てたらいくら、というような小売企業が請求する金額が、業界標準で決まるようになるということを意味しているわけです。

コンソーシアムを結成する媒体となった広告エージェンシーのコメントがおもしろい。
「(うまくいけば)他のメディアとミックスしながら計画をたてることができる。今は予算と決定はすべてガッツレベルでしか決められない」。
ガッツレベルで決まっているとはつまり、店頭販促の予算は科学的な数値を土台としたものではなくて根性で決まっている、ということです(笑)

鈴木敏仁 (04:00)


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2006年9月28日
P&GがSureブランドを売却

Sureはデオドラントのブランドです。特徴はユニセックスで無香料。
売却の理由は・・・
●売上高10億ドルを越える22のメガブランドを持つP&Gにとって、デオドラント市場の3%を占めるに過ぎないSureは、利益は出しているが、ポートフォリオ管理上マッチしなくなった。
●デオドラントには、女性用にSecretというナンバー1ブランド、男性用にOld Spiceと強いブランドがあるため、必要なくなった。

とまあ、こんなところです。

おもしろいのは、買った会社。Najafiという投資会社が買ったのですが、Pert Plusというフケ止めシャンプーリンスブランドをP&Gから買ったばかりなんです。

投資会社ですから、持ち続けるのではなくて、いつか売却して益を得ようとしている。

つまり、ブランドのオーバーホールを投資会社がやろうとしている。利益はそこそこ出てるんだけど、ポートフォリオ上合わなくなって手放したい、でも買収に手を上げるメーカーもいない、というようなブランドを投資会社がてこ入れするというわけです。

日本にはないですね、こういうの。いかにもアメリカらしい。
今回のSureが2つ目だそうなので、まだ端緒についたばかりでうまく行くのかどうかは分かりませんが、おもしろいトライアルです。

鈴木敏仁 (01:53)


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2006年9月27日
ウォルマートがジェネリック処方薬を値下げ

アイテム数は291、30日分の処方を4ドルとするそうです。フロリダ州タンパの65店舗で実験し、段階的に店舗を増やして行くとしています。
流通eニュースに書きましたので、詳しくはここではおきます。

この直後に、ターゲットが追随することを発表しました。

一方ウォルグリーンとCVSは、この値下げが自分たちの業績にはまったく影響を及ぼさないことを強調するコメントをリリースしています。かなりベーシックな薬であることと、恩恵を被るのは健康保険を持っていない人たちで、ドラッグストア2社のお客のほとんどは健康保険所持者だから問題ないというわけです。私もたぶん影響はないだろうなと思います。

ただ、勝負あった、じゃないでしょうか。
ディスカウントストア2社は薬の価格を下げるという強力なメッセージを投げかけた。ところがドラッグストア2社は保身型のコメントに終始している。たいして影響無いなら、うちも下げますでいいのに。

アメリカの調剤ビジネスは、ドラッグストア、スーパーマーケット、ディスカウントストア、メンバーシップホールセールクラブと、いわゆる日常の商業に属する業態の間で、極めて激しい競争状態にあります。'業界'や'規制'に守られたビジネスではもはやありません。
その上、健康保険という特有なシステムに縛られるので、実に複雑なビジネスとなっています。

今回の値下げ、一番影響を被るのはインディペンデントの家族経営のファーマシーでしょう。

鈴木敏仁 (03:45)


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2006年9月26日
経営者が売場に立つことの重要性

米国小売業の情報サイトなのに、とお叱りを受けそうですが、またテスコです。CEOのインタビュー記事がCNNのオンライン記事に掲載されてます。
「 Transcript: Terry Leahy, CEO Tesco」

たたき上げなんですね、この人。しかも40歳でCEOですか・・・。

驚いたことは、年に1週間売場に立っていることです。ポイントは、「店に行く」のではなくて、「売場に立っている」こと。文面では、実際に棚をいじり、レジもやる、となってます。

この企業、グローバルランクでは6位、アメリカのクローガーよりも大きく、日本のイオンのおよそ2倍弱の売上高規模の企業なんです。

以前イケアのCEOも年に一週間売場に立っていると記事にしました。
「イケアのアンチビューロクラシーウィーク」

大きくなっても伸び続ける企業って、これなんだと私は思いますよ。
日本にも大企業と言われている小売企業は多いけど、一番大きいイオンでもテスコの半分強。じゃあ、この日本で大企業といわれている会社の経営者が売場に立っているかというと・・・。「店に行く」経営者は多いかもしれないけど、「売場に立つ」経営者は、大手企業にはいないでしょう。
日本だと、取り巻きが余計な心配をしそうだし、社長たるもの売場に立つなんて、なんてことなのかもしれない。しかしながら、小売業というものは売場が原点なんです。
原点に立てない経営者なんて、小売業じゃなくても、成功はおぼつかないと私は思います。

鈴木敏仁 (02:33)


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2006年9月25日
「ウォルマートがジェネリック処方薬を大幅値下げ」Vol.10,No.39

アメリカ流通eニュース

 ウォルマートがジェネリック処方薬の値下げを21日に発表したのだが、多くの全国紙が一面で掲載、ドラッグストア企業や製薬メーカーの株価が大きく下落するなど、非常に大きなインパクトを持って迎えられた。
 ウォルマートは否定しているのだがイメージアップ戦略の一環という見方もあり、そういう意味では大成功だったようだ。このイニシアチブが今後どういう意味を持ってくるのか、考えてみたい。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (03:21)


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2006年9月25日
ウォルマートにとってのダイエー買収

ビジネスウィーク誌のオンライン版がが西友の記事を掲載しました。「Japan: Wal-Mart's Looking for a Partner--Again」
(購読者しか読めない記事だったら、ごめんなさい)

要約すると、ダイエーを買収できるかどうかはウォルマートにとって非常に重要で、できなかったら撤退もある?、というような内容です。アメリカのメディアにこういう記事はずっとなかったので、そろそろ出始めたな、煙が出てきたな、などとちょっと感じました。

文脈の背景にあるのは、規模を拡大するしか西友/ウォルマートに道はないというロジックです。EDLPも規模が必要、としっかり書いてあります。
しかしながら、日本という国の流通業界では、規模があまりモノをいわないんですね。メーカーの取引制度、きわめて優秀な卸ネットワーク、などなど、その原因は多い。
だから、米英のように上位集中がなかなか発生しない。
自分たちの物差しでしかモノが見えない欧米人は、こういう見方をどうしてもしてしまいがちです。

この記事読んで感じたことは、「ダイエー買えなくて規模を大きくできなかったから、日本事業は失敗しました」と、言い訳になってしまい、それをアメリカ人は簡単に納得してしまいそうな点です。いろいろな情報を総合するに、ウォルマート本社、またはリー・スコットは日本の現場のことをあまり知らないようで、「そうか、やっぱりダイエー買えないから失敗だな」と合点してしまいそうな気もしてます。
ウォール街もウォルマートの再建手腕が問題なのではなくて、外部要因だったと、納得してしまいそうな気がする。

しかしながら、しつこいですが、西友の復活は規模じゃなくて、カレジッスキーの再建手腕にかかってるんです。規模が大きくできないから日本では無理でした、という言い訳は、できれば彼からは聞きたくないところです。

テスコは、シーツーネットワークに投資して、水面下にもぐってしまいました(笑)
規模がどうのこうのなんてコメント、この企業からは、またはこの企業に対しては、ぜんぜん出てきません。テスコって、日本の事情を実はよ縲怩ュ知っているような気がしてるのは、私だけでしょうか・・・。
ひょっとするとこの企業、アメリカでやったように、日本人家庭にホームステイして調査したのかもしれないなあ・・・。

鈴木敏仁 (03:14)


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2006年9月22日
デレーズがアホールドを買収?

デレーズはベルギー資本、アホールドはオランダ資本、どちらもアメリカで事業展開している点が共通しています。前者はフードライオン、後者はアホールドUSA(ストップ&ショップ等 )。

双方の状況を簡単にまとめると・・・

アホールドは会計スキャンダル以降業績が良くないようで、アメリカ事業を売却か、または外食卸のUSフードサービスを切り離すか、といった話が出ては消え、ということを繰り返している。

一方のデレーズ、傘下のフードライオンは一時期ずさんな精肉管理がメディアにすっぱ抜かれて業績を落としていたのですが、この数年メキメキ復活してきていて、経営陣に対する評価がすこぶるいい。

可能性は、アホールドと合併か、またはアホールドUSAを買収か、ということだそうです。両社はノーコメント、しかし話し合いは確実に進展している模様。

少なくとも、アホールドは米国事業の売却を株主から迫られていて、両社合併とならなくても、アホールドUSAの売却はありえそうですね。

鈴木敏仁 (04:23)


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2006年9月21日
テスコのアメリカ進出プラン

テスコがロサンゼルスで出店用地を手当てした模様、LAタイムズが報じました。
場所はグラッセルパーク、これはたぶんパサデナ近隣のエリアで、ダウンタウンから南方へ15分くらいの場所です。アルバートソンズが撤退した店舗跡で、面積は3万2,500スクェアフィート、約900坪ですから当初言われていた小型のコンビフォーマットとは様相を異にしてます。
他にも一箇所リース契約を結んだようです。

当初言われていたものとは異なり、随分大きい店舗なのですが、大型店舗と小型店舗の両面戦略で行く可能性が指摘されてます。

すでに本社はエルセグンド(これはロス空港の近く)、配送センターはリバーサイド群に88.4エーカーの用地を手当てした、ということも報じられていて、着々とプランが進んでいることをうかがわせています。

ちなみにテスコはこの件について、出店することは明言していますが、どう出るのかについては当初からまったくコメントしていません。

鈴木敏仁 (01:22)


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2006年9月20日
LAダウンタウンから最も近いウォルマート・スーパーセンター

9月13日に、ロサンゼルスダウンタウンからおよそ10マイル(16キロ)のローズミードという町に、スーパーセンターがオープンしました。DSCF4509.jpg
右の写真は数ヶ月前にチノ・ヒルズという町で開店したスーパーセンターで、こちらはダウンタウンから40マイル(60キロ)くらいの場所にあり、ローズミード店が開店する前はこちらがもっとも中心に近いスーパーセンターでした。

ローズミード店にはまだ行っていないのですが、チノ・ヒルズのほうは新型プロトタイプです。価格帯まで詳しくは調査してませんが、MDをざっと見たところアーバン向けに手を加えている印象が強くする店です。

民主党が強く、組合活動が功を奏した地域では出店が規制されてますが、マジョリティではありません。すでにカリフォルニアには19店舗、徐々に、徐々に、店舗は増えてゆくことでしょう。

鈴木敏仁 (01:01)


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2006年9月19日
社員1.0と2.0

17日、18日と、某大手メーカーさんの研修にアテンドしてきました。業種は家電、グループは40台縲鰀50台の、そろそろ上級管理職になる方たち、といったところです。

さて、夜の会食の席でMixiの話が出たのですが、どういうものなのか知らない方が結構いた。グーグルマップとか、スカイプとか、話がいろいろ広がっていったのですが、で、そういう新しいネット上の世界を知らない人たちのことを、社員1.0と呼ぶ、という話を聞いて、大笑いしてしまいました。
グループは11人、そのうちの10人は社員1.0だった(笑)
その会社の社長さんは、'そのうち、社長1.0なんて言われるのか'とおっしゃっているそうで、これもまた大笑いでした。

このネタ、1.0と2.0を何にかけているのか、皆さん分かりますか?
言っていることが分からない人は、社員1.0です(^^)

鈴木敏仁 (05:37)


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2006年9月19日
エドワード・ランパートの次の一手は?

WSJ誌がエドワード・ランパートの次の一手についてを記事にしています。

実は一週間ほど前にホームデポの株式が高騰したのですが、ランパートが同社に資本参入するという噂が流れたからでした。WSJ誌によると、ギャップを買うという噂もあるらしい。
さらに、すでに5億6500万株を所有しているGMで、これから何をするのかという話題もあるらしい。通常ランパートは短期の売り買いをする人ではないので、これだけ買い増しているということは、何かを目論んでいるからだろうというのが、ウォール街のヨミのようです。

オートゾーンの30%、オートネーションの24%という、その他にも大株主となっている企業があります。

シアーズとKマートをてこにして、ホームデポを傘下に収め、そしてGMを手に入れる、ですか・・・まだ現実化したわけではないですが、こういう話が出てくること自体、たいしたものだなと。
ランパートという人物はやはりとてつもない人です。野次馬として、ほんとうに、次に何をするのか、楽しみです。

鈴木敏仁 (03:32)


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2006年9月18日
「フェデレイテッドが400店舗をメイシーズに大転換」Vol.10,No.38

アメリカ流通eニュース

 フェデレイテッドが117億ドルを投じてメイデパートメントストアを買収したのは、昨年の8月のことであった。以来およそ1年、メイの傘下にあった400店舗を、9月9日をもってすべてメイシーズに転換した。
 シカゴのマーシャルフィールズなど著名な老舗の看板が消えることに対する批判が多く、また一つのモールに二つのメイシーズが入居するケースが増えることによるカニバリズムを懸念する声も多く、その前途は多難のようだ。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (03:18)


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2006年9月17日
消えるレイアウェイ

ウォルマートがレイアウェイ(Layaway)を年内に終了するそうです。

レイアウェイはアメリカ独特のシステムです。頭金の支払いで商品をお取りおきするもので、所得の低い層を対象としてかなり昔から存在してきました。一般的には30日間商品をキープするそうです。
現代はクレジットカードなど様々な支払手段がありますが、昔はなかったので、こういうやり方があったわけです。

手持ちの現金が十分になくて、'頭金置いていくから、今度来るまで取っといて'的なもののチェーンストア版です。日本でもたぶんかなり昔にはあったのでしょうし、顔見知りのご近所の小さなお店では今でも通用しそうな気がしますが、一般的にはとうの昔に消えてなくなってますし、チェーンストアには存在しません。

大手リテーラーだと、ウォルマートとKマートがこのシステムを今まで維持してきました。しかしニーズが減ってきて、人員を置くことのコストがかさばってきたため、とうとうやめることを決めたというわけです。
Kマートは続けるそうです。

アンチウォルマート陣営は、'サム・ウォルトンの伝統が消えた、これが田舎の小さな企業ではなくなってしまった証拠だ'、などと発言してます。でも、こういうシステムを今までチェーンストアが持ってきたこと自体、私には驚きでして、やめるのは当然かなと思います。

ちなみにウォルマートの場合、通常レイアウェイのために1店舗あたり3人を配置するそうで、3,256店舗ですから、1万人近い人がこのために働いている計算になります。

鈴木敏仁 (07:48)


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2006年9月15日
アメリカの中古住宅はすべて家具付き?

あげ足取りはしたくないのだが」・・・の第2弾です。

昨年「楽天とTBS問題で思うこと」でも書きましたが、アメリカのことについて識者でも結構間違うことが多い。
やはり実際に長く住んで、働く、家を買う、子供を育てる、といった普通の生活をしないと分からないことは一杯あるわけで、これはもうしょうがないことだと思います。
ただオピニオンリーダーに間違えられれしまうと、困ってしまうわけです。あの「国家の品格」にも、アメリカについて結構勘違いというか、思い込みがあって、残念に思ったことがあります。

雑誌名と執筆者名は伏せますが、とある日本の業界誌でイケアについての記事を目にしました。
要旨はと言うと...イケアの家具は、長年の使用に耐える高品質なヘビーなものではなく、数年で使い捨てるライトなもので、若年層や新婚夫婦などライトな家具を求める人たちのニーズに応えている。
アメリカにおいては、いつでも簡単に買えて、引っ越すときなど惜しげもなく置いていけるという気軽さで評価されている。

このあたりまでは、正解です。
ただ、引越しなどで実際に置いていってしまう人が多いほどで、「中古で家を買うと、家具が付いている場合がほとんど」とあって、ちょっとがっくり来てしまいました。
・・・そうかなあ(笑)

アパートには以前の住人が置いていった冷蔵庫があるケースがあります。これは例えば遠くへ引っ越すといった理由で持っていくのは重くて面倒というようなときに、家主の了解の下に置いていってしまうようなケースです。定住せずに引越しを繰り返す人たちは、アパートに冷蔵庫があるほうが便利ですから、家主もOKする場合が多い。
ただ中古住宅で家具つきって、聞いたこと無いです。
やっぱりもったいないから持って行くと思うし、置いていったら家の買い手の迷惑にもなりますから、必要なければ捨てて行くと思う。

私はすでに2度中古住宅を買う経験をしているのですが、家具は当然ついていませんでしたよ。

この執筆者は、イケアのビジネスモデルを説明する背景としてアメリカを利用したいたわけですが、ちょっと違ってました。

イケアとは、組み立て家具をショールーム形式で売るという、後にも先にもイケアしか存在しないビジネスモデルで革新をもたらしました企業です。
この企業については、月刊マーチャンダイジング6号をご参照下さい。

鈴木敏仁 (04:14)


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2006年9月14日
ウォルマートがRFID店舗を拡大

年内に500店舗を追加して、トータルで1,000店舗超とするそうです。それとシステムはEPC Global Gen2のタッグに統一して行くそうです。

ウォルマートだけ一生懸命先を走って、あとはなかなかついてこない、という状況ですねえ。
最近おもしろい表現を読みました。「ウォルマートは業界を変えるだけではなくて、世界を変えてしまう」
あまりにもサイズが大きすぎて、イニシアチブが業界内だけにとどまらないということなのですが、だからバッシングの対象となるという文脈で使われていました。
RFIDもウォルマートがこれだけコミットし続けるとなると、他も追随せざるを得なくなってくるのかもしれないですね。でも基本的に、みんないまのところ遠巻きに眺めている印象です。

ついでながら、ウォルマートのGDSについてはあまりニュースになりません。こちらはウェッグマンズが走ってて、「ウェッグマンズによるGDSトライアルの成果」で書きました。8月にもウェッグマンズを主役として、FMI(食品マーケティング協会)とGMA(グローサリーメーカー協会)がからんだパイロットテストの結果が出てます。

RFIDとGDSは車の両輪でして、双方が一緒に進展してはじめて本当の成果が出てくるのです。

鈴木敏仁 (03:22)


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2006年9月13日
セイフウェイV字復活の理由

セイフウェイが業績をV字復活させているんですが、ビジネスウィーク誌がその原因を記事にしていました。
これについては私も書いたり、セミナーで話したりしてますので、おおよそご存知の方も多いと思います。BW誌の内容は基本的には私の分析と同じなのですが、ブランディングについて視点が違っていて興味を引きました。
参考までに2つほど抜粋しておきます。

1つ目は、マーケティングキャンペーンでブランドプロミスを公にする前に、そのプロミスに沿うように店舗内をまずいじっておいた、ということです。お客がメッセージを見て店舗に来て、がっかりして帰る、ということがないように、非常に気をくばった。昨年キャンペーンを開始しているのですが、実際には03年からマーチャンダイジングを変え始めたのだそうです。

2つ目は、行き過ぎないように、気をつけたことですね。ホールフーズにあるような商品を若干増やつつ、いつものお客が期待しているブランドや値引きもちゃんと継続した。半歩だけ先に行った、といった表現でしょうかね。

同社の復活は、対ウォルマート戦略の1つの答えとして注目してよいと思ってますが、たぶん店舗を見ただけじゃ分からないでしょう。マーケティング、マーチャンダイジング、プロトタイプ、この3つに包括的に取り組んだストーリーが参考になると思います。

鈴木敏仁 (02:51)


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2006年9月12日
コールズ・マイヤーがバイアウトオッファーを拒否

先日投稿した、KKRを代表とする金融グループによる豪コールズ・マイヤーに対するバイアウトオッファーが、7日に正式に拒否されました。オッファー金額が低すぎるという理由です。
WSJ紙の文脈からは提案された金額が低すぎるという根拠が薄そうで、あるアナリストは、今後同社は株主に対してその根拠を示さなければならない、これでこの案件が終わりになるということはないだろう、という見方を示していました。

さてここで、欧米で敵対的買収が本当に主流であるならば、KKRグループは勝負をしかけることでしょう。でも力技でねじ伏せるやり方はおそらく、やらないと思います。敵対的買収は、主流じゃないですから。
まず同社のバリュエーションを取締役会が示し、これに対して株主がどう反応するのか、これを見て、KKRは次の手を打つのではないでしょうか。

ちなみに先日の投稿では書きませんでしたが、この案件が出る直前に、ウォルマートがオーストラリアで動いているという噂が流れてます。かなりありえる話じゃないかなと。どこかの時点で、なんらかの形式で、ウォルマートが参戦してくる可能性もあるかなと思ってます。

鈴木敏仁 (03:15)


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2006年9月11日
「シアーズブランドのKマートでの拡販」Vol.10,No.37

アメリカ流通eニュース

 シアーズがハードウェアカテゴリーのプライベートブランド、クラフツマンを全Kマートで販売することを発表した。
 シアーズが持つトップPBをKマートで販売することは、両社合併によるシナジー効果として最も期待されてきたものである。しかしなにかとハードルがあるようで、遅々として進んでこなかった。ようやく実現されようとしているのだが、フラッグシップとも言えるアプライアンスのブランド、ケンモアが拡販する前に苦戦を始めていて、前途は相変わらず多難と言えそうだ。

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鈴木敏仁 (03:16)


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2006年9月11日
ジョン・マッケイのブログ

ホールフーズの創業者ジョン・マッケイが、パブリック向けのブログを作ってます。
John Mackey's Blog
6月から更新がないんで、もう飽きちゃったのかな(笑)、というような状況ではあるのですが、こういうことをトップが率先してやるところがホールフーズならではではないかなと。

ホールフーズについてはここで何度も書いていますし、セミナーでも話してますし、私と何かとお付き合いいただいている方々には私がどう考えているかについてだいたい分かっていただいていると思うのですが、その強さの源泉をここでまた一言で表現すると、伝統的な普通のスーパーマーケットとの決別、にあると思っています。
つまり、価格はEDLPだし、チラシはまかないし、ロイヤルティマーケティングなんてやらないし、店舗主導型のオペレーションだし、普通のスーパーマーマーケット企業が常識的にやっていることをこの企業はまったくやってません。

創業社長自らがブログを開設しちゃうところも、普通なら大企業なんだから何かとリスキーだからやめましょうとなってしまう常識的発想から抜け出していて、やっぱり超越しているなあ、と感じるわけです。

ちなみにホールーフーズに対して批判的なことを書いている書籍の執筆者と、このブログ上で対決してたりしてまして、型破りという点においてマッケイは相当魅力的な人物だと私は見受けました。

鈴木敏仁 (12:33)


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2006年9月 8日
徐々にベールを脱ぐテスコの米国進出プラン

テスコの財務担当役員がゴールドマンサックスのコンファレンスで、米国でのプランを話してます。少しずつ、少しずつ、薄皮をはがすように、何をしようとしているのかが見えてきた、という感じです(笑)

「小さいフォーマットだから競合はまったく発生しない」。
アメリカのコンビニ業界は言ってみれば20年くらい前に革新をやめてしまった業界ですし、セブンイレブンという大手がいるとは言え、ウォルマート、ターゲット、コストコといった超優良企業とぶつかるわけでもないですから、こういう余裕の発言が出てくるわけでしょうね。

「スナックやドリンクだけを買うアメリカのコンビニコンセプトとは異なる」。
日本のマンションの一階にあるような極めて小さなグローサリーストアを作ろうとしているという見方が確認されたように思います。これも、既存のコンビニと競合しないだろうとする根拠でしょう。

「短期的には何があるか分からないが、消費者が裕福で新しいアイディアにオープンで、不動産市場が健全という観点から、長期的にはアメリカは実に魅力的な市場だ」。
だからみんなアメリカを目指すわけですが、テスコのように10年以上の年月かけ、ホームステイまでしてFSする執念深い緻密なアプローチが、外資成功の基本でしょう。

鈴木敏仁 (02:49)


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2006年9月 7日
好調小売企業、ウォルマート、アルディ、テスコに共通するのは・・・

先日ヨーロッパに詳しい矢矧晴彦さんと議論する機会があり、好調なウォルマート、アルディ、そしてテスコに共通点が意外に多いということが分かりました。

細かい点はここではおいて、ざっくりと、この三者がゲルマン民族圏の企業であるという点に私は興味を持ってます。

アメリカに最初にわたってきた移民はイギリス人でしたが、その後に大量に渡ってきたのはドイツ人でした。ですから、米国白人の多くがイギリス系かドイツ系という特徴がある。

さて、イギリス人がアングロサクソンと呼ばれているのはご存知だと思いますが、これは二つの言葉の集合体で、もともとはアングル人とサクソン人という民族名から来ていて、この2つの民族はドイツの片田舎からイギリスに移民した人たちなんですね。
(西暦499年と言われている)

つまりおよそ1500年前のイギリス人とは、ドイツ人だったわけです。

ウォルマート、アルディ、テスコと、グローバルで業績のいい小売企業がすべてゲルマン民族というのは、どうしてなんだろう、何か理由があるのだろうか、といま私は考えているんです。

文化的な共通点をあえてあげれば、質素なところかな。アメリカ人をして質素と言うことに対して反論のある人もいるでしょうが(笑)、都会のアメリカ人は別にして、大多数を占める田舎人たちの生活は質素そのものではあります。
その象徴が、食、でしょう。
食に関して、この三国のひとたちが総体的にあまりこだわりを持たない人たちであることについては、異論はないでしょう。

質素を旨とする文化が、すべてをシンプルに、という企業文化というか、運営哲学というか、ビジネスモデルにも表現されている、のかもしれないなどと考えてます。

鈴木敏仁 (03:40)


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2006年9月 6日
リワードカードを導入するホームデポ

リワードカードとはポイント制でキックバックする仕組みを持ったクレジットカードのことで、マスターカードとの提携で開始するそうです。
1000ポイントで10ドルのようですね。

ホームデポの創業時のコンセプトは、飾りのないウェアハウス型店舗での低価格大量販売で、これで旧来のハードウェアストア業界に革新をもたらしたのでした。
価格戦略はほぼEDLP。チラシは発行しますし、値下げによる目玉もありますが、基本はEDLPです。

今回導入するリワードカードとは多様化したハイロー戦略の一つでして・・・同社の成長を引っ張ってきたスキームが少しずつ壊れてきているのかもしれない、そういう気がしました。
ホームデポもすでに大企業、マクネア理論が実証される日は遠くないのかもしれません。

鈴木敏仁 (02:53)


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2006年9月 5日
ホームステイで市場調査

イギリスのサンデータイムズが報じたところによると、テスコは米国進出を決める前に、50人の管理職を2週間、アメリカの普通の家庭にホームステイさせて市場調査をしたのだそうです。買い物に一緒に行くだけではなく、一緒にレジャーを楽しんだり、ぶらぶら散歩したり、といったことまで一緒に行動した。
テスコから来たということは秘密にしたそうなので、イギリスの某社の市場調査、くらいの理由にしたんでしょうね。

さらに、サンタモニカ近辺の倉庫内に、実際の店舗を建設までしているのだそうです。

これにはまいりました。まあ、店舗の実験はいいとして、ホームステイはたいしたものです。これはもう、本気としかいいようがないわけだけど、ここまで念入りにやるところが実にテスコらしい。
私は最近、グローバルリテーラーとして、ウォルマート、アルディ、コストコ、そしてテスコが図抜けていると思っているんですが、ことグローバル戦略について言うならば、テスコはウォルマート以上に優れた企業という気がします。

いまアメリカで苦闘している日本のリテーラーとしてメジャーなところをあげると、ファミリーマートとユニクロとなるのでしょうが、彼らがここまでしたという話はまだ聞いてません。

海外で成功するには、このくらいの事前準備が必要なのだと、私は思います。

話はそれますが、日本の某有名新興地方リテーラーの創業者が、ローカルMDをぜんぜん理解していない某大手GMSを評して、「アメリカに視察なんて行ってないで、田舎の農家にホームステイしたほうがよほど勉強になるんじゃないの」と言ったそう。
ふと思い出しました(笑)

鈴木敏仁 (04:49)


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2006年9月 4日
「ショッピングセンターデベロッパーの泥仕合」Vol.10,No.36

アメリカ流通eニュース

 ロサンゼルスにはザ・グローブというオープンモールがある。ファーマーズマーケットという観光地の横にオープンした再開発型のショッピングセンターなのだが、いろいろな意味でなかなかユニークな存在である。ライフスタイルセンターの先駆けのような存在だし、このライフスタイルセンターをもっとも先鋭化しハイエンドにしたらこうなるというサンプルのようだし、そして再開発型としての成功例でもある。
 開発したのはカルーソー・アフィリエイトというSCデベロッパー業界ではほとんど無名の企業である。リック・カルーソーというもともと弁護士だった人物が起こした会社だが、グローブの成功で一躍表舞台に飛び出たと言ってよいだろう。カルーソーは今や知る人ぞ知るという存在となっている。
 さて、グローブの成功を背景として、この人物は同じタイプのSCを増やそうとしていて、ロス郊外のグレンデールですでに認可を受けて着手しているのだが、さらにアーケディアという町にも作ろうとし、近隣に存在するSCオーナーからの反撃を受け、市議会をも巻き込んでの建設認可をめぐって泥仕合となっている。

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鈴木敏仁 (03:15)


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2006年9月 1日
ウォルマート店舗に認証済みシーフードが登場

同社がオーガニック商品を品揃えし始めたことは、何回か記事にしました。ウォルマートのオーガニックアパレルでは、オーガニックをイメージアップに使おうとしている、というような意見を載せたのですが、その後いろいろな資料を入手するにつけ、ウォルマートは環境問題に本気で取り組み始めたような印象を持っています。
まあ確かに、小手先のことをやったところで、アンチ陣営の矛先をかわすことなどできませんしね。

認証済みシーフードの仕組みとは、MSCという持続可能(サステナビリティ)な方法で水揚げされた魚介類を認証するNGO組織があり、この組織がスタンダードを満たしている水産会社にお墨付きを与え、この水産会社が卸すシーフードには認証シールが貼られ、消費者が認知する、ということになります。
ここで言うスタンダードとは、取り過ぎない、海洋環境にダメージを与えない手法を使っている、といったことだそうです。

ウォルマートは今後3縲鰀5年以内に、取り扱っている北米産のシーフードについてはすべて認証済みにするとしています。

この取り組みが注目されている理由は、ウォルマートは単に市場に出回っている認証済みシーフードを買うのではなくて、MSCによる認証水産会社を増やす努力を自身がしている点にあります。つまり他のシーフードサプライヤーに対して、MSCの認証を取るよう薦めているわけです。または取れない水産会社は使わない、ということになるのでしょう。

最終的には200縲鰀500アイテムを認証済みにし、これはホールフーズが現在揃えている18を大きく上回るそうです。またホールフーズはサプライヤーに対して認証を取るよう薦めるという取り組みはしていません。

MSCの最終目標は、農産物のオーガニック基準の水産バージョンにすることにあるそうで、ウォルマートはその支援をしていると表現することもできます。

ちなみにMSC(Marine Stewardship Counsil、海洋管理協議会)とは、World Wildlife Fundという自然保護団体と、このページをスポンサーしていただいているユニリーバさんとのジョイントベンチャーで、97年の設立、ロンドンに本拠があるのだそうです。

鈴木敏仁 (03:48)


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