7月に連邦破産法11条を申請して倒産したマービンズが、自社を所有するサーベラス・キャピタル・マネジメントとサン・キャピタル・パートナーズ、および元の親会社であるターゲットを提訴しました。
理由は、バイアウト企業が設定したスキームが倒産の遠因になったというもので、売却したターゲットもひとまとめにして提訴されてます。
バイアウト企業二社は買収後、マービンズをリテールと不動産の2つに分離し、マービンズが不動産会社に家賃を支払うという形式にしました。この家賃を二倍に高騰させ、また不動産会社とバイアウト企業の了承なしに立ち退くこともできなくしてしまいました。さらに不動産会社へ特別な配当の支払いを義務付けました。
これが倒産の遠因になったとマービンズは主張しています。
この手の訴訟は債権者によって起こされるのが常で、企業が主体となって提訴するというのは珍しいのだそうです。またバイアウト傘下企業の倒産が結構多く、今後同じような訴訟が増えるだろうと見られています。
バイアウトはレバレッジをかけますので、買収後は負債の比率が高くなります。これをいかに早く減らすかが勝負で、早く減らすためのネタを最初から見込んで買収する必要がある。なんとなくですが、マービンズの場合、これがなかったような気がしますね。
だから事業体を二つに分けて、家賃を上げるということをした。
最悪の場合、マービンズがつぶれても、不動産事業体が生き残れば良い、ということを想定していたような気がする。
このあたりが、日本でハゲタカなんて呼ばれてしまう所以です。マービンズからおいしいところをチューチュー吸い上げて、最後は倒産して全部チャラで終わりです。
まあしかし、そういうもんだという冷めた認識が必要なんですよね。
例えばすかいらーくのMBOも、金融グループが本来的に持っているこういうロジックを、経営陣が冷めた目できっちりと理解していなかったような気がしています。
ついでながら、アメリカではMBOという言葉をほとんど目にしません。専門的な世界ではどうだか知りませんが。LBOという短縮語もほとんど目にしません。バイアウトという表現だけで済ますことがほとんどです。MBOってのはLBOの一形態なのですが、これが日本では珍しく注目を浴びているからあえて使われているんでしょうね。
アメリカでは誰が買おうと、ひとくくりでバイアウトです。
もひとつちなみにここでは分かりやすくバイアウト企業と表現してますが、正式にはPE(Private Equity)ファンドと表現されます。
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