イケアがタスクラビットというスタートアップ企業を買収すると発表しました。
タスクラビットは家事を有料で誰かにやって欲しい人と、やる暇がある人をつなげるマーケットプレイスを運営している企業です。
クラウド型代行業、ギグエコノミーといった言葉で表現されるビジネスで、インスタカートやウーバーの家事代行版です。
おそらくニーズはあるんですよね。
ただ認知度がまだ低い。
だから先行企業と比較すると認知度が低くて、業績も振るっていなかったようです。
イケアが買う目的は組み立て家具の組み立て代行です。
知っている人は知っていると思いますが、ベッド等の大きめのイケアの家具は組み立てるのにけっこう力と時間が必要なんですよね。
女性や高齢者にはけっこうきついでしょう。
これを廉価に代行するサービスをイケアがこれからクラウド型サービスで提供するというわけです。
アプリがいつ統合されるかといった詳細は不明。
イケアはARを利用したデザイン機能をアプリに組み込んだりして、デジタル化を急いでいます。
先週、ホールフーズがサプライヤーによる店舗営業を禁止する御触れをだしたことをメディアが報じました。メーカーや卸が店舗に行って商品を直接売り込むのを禁止して、すべて本社扱いにするというわけですね。
ホールフーズはチェーンストアの中でも大きな店舗裁量を特徴とするビジネスモデルを持っています。
ローカル商材の仕入れを店舗が決めることができる。
これを中央に集めるということは、効率化を優先するということを意味します。
経費削減です。
一方、クローガーが今日、ローカルサプライヤーが売り込みやすいように専用のポータルサイトを開設したと発表しました。
コメントを読むに明らかにホールフーズを意識しています。
サプライヤーが直接店舗で売り込むことはできないようですが、簡単に入れる入り口を作ったぞと言ってるわけですね。
チェーンストアにはいろいろなタイプがあります。
日本では、中央集権型がチェーンストアだと思い込んでいる人が非常に多いのですが、そうではない。
例えばトレーダージョーズには棚割というものが存在せず、店舗が自由に決めています。
アソートメントもプラノグラムも店が決める。
発注も端末を使わず、店頭在庫量を目視で確認しながら、昔ながらのやり方で発注してます。
このやり方で、400店舗を超えて、年商は100億ドル(日本円換算で1兆円超)を超えています。
チェーンストアというものには、ローカライズする方向と、セントラライズする方向と、2つの方向性があり、それぞれの度合いをどうするかはその企業の戦略が決めることです。
別に中央集権型だけがチェーンストアではない。
メディアが勘違いするのは良いとして、小売業界人にも勘違いしている人がいるのが日本の問題だと思っています。
ちなみにホールフーズはやりすぎると失敗するでしょう。
マススーパーではないんだから、店舗が好き勝手にマーチャンダイジングするのり代を残しておかないと、つまらない店になってしまいます。
ウォルマートが、スマートロックを販売するオーガスト・ホームと組んで面白い実験をはじめました。
一回だけしか使えないパスコードを宅配人に渡し、宅配人がこのコードを使ってお客の家のスマートロックを解錠、ドアを開けて商品を家の中まで配達するという試みです。
"冷蔵庫までストレートに配達"とうたっていて、つまり宅配人は要冷蔵品商品は冷蔵庫まで持って行くというわけです。
シリコンバレー商圏でオーガストのスマートロックをすでに使っている顧客を対象にすでに実験しているそうです。
ジェット・コムがアパートのメインエントランスでスマートロックを使う実験をNYではじめていて、今回のプログラムはこれを一歩進めて一般住宅に広げたコンセプトと言うことができます。
当然セキュリティが心配になるわけですが、屋内の防犯カメラで宅配人の動きを監視することで解決というわけです。
メインエントランスの場合はドアを開けてもまだ公共な空間なわけで、私的な空間に入るのはやはり難しい。
このハードルを越えるために防犯カメラをカメラを使うと。
これは思いつきませんでした。
それでも見知らぬ人に家に入られるのは嫌だと言う人の方が多いと思うのですが、割り切ってしまう人も一定数いることでしょう。
配達先として車のトランクを使うという話が以前ありましたがまったく進んでおらず、車を飛び越してとうとう留守宅への配達の実験が始まりました。
成否が気になる実験ですね。
クローガーがレストランをオープンさせます。名称はキッチン1883、オープンは10月後半、場所はケンタッキー州、マーケットプレイスの新店に作るようです。
ファザードの写真を見る限り店内ではなくて横にくっついている感じで、おそらく店内から出入りもできるレイアウトになっているのでしょう。
提供するのはランチとディナー。
ちなみに1883は創業年だそうです。
グローサラントという表現がありますが、イータリーのように渾然一体とさせているわけではなく、"レストラン併設'という表現が良いようですね。
スーパーマーケットがレストランを開発するのは、最近ではハイヴィーが作ってます。
たしかHEBもやっていたような。
これから増えていくように感じています。
開発責任者がこんなことを言っています。
"Our goal is to create a gathering place that offers a genuinely delicious place to relax and experience our food,"(vice president of culinary development and new business)
"我々の目的は、リラックスし、我々の料理を経験できる、ほんとうに美味しい場所を提供し、人が集まる場を創造することにある"
キーワードは2つ。
"gathering place(人が集まる場)"と"experience our food(食の経験)"
日本でのセミナーでお話ししたこととシンクしてます。
ECと戦っていくためには、徹底的なディスカウントか、人が集まる場所を作るか、2つしかない。
人が集まる場を作るとは何なのか、その答えの一つが、レストラン、というわけです。
Eコマースを含む小売分野の人工知能に関するパテントはグローバルで2012年から5年間で1,200ほど出願されていて、多くがアマゾン、Eベイ、フェースブック、マイクロソフト、IBMの5社が占めているそうです。
Netscribesという調査分析会社が明らかにしました。
国別では、アメリカ、中国、インド、ヨーロッパ諸国、の順番とのこと。
日本は上位になく、日本企業も上位にない。
この分野、日本は負けみたいな感じがしますね。
日本の小売業界は気づいてもいない感じですし。
資料にはアマゾンがリアル店舗の顧客監視システムやレコメンデーションシステムでパテント申請しているという記述があり、おそらく前者は例のレジなし店舗に関わるパテントのことだろうと思うのですが、後者のようにその他の領域でも申請していて、つまりECだけじゃなくてリアル店舗でも考えられる人工知能はどんどんパテントを取ってしまおうということをやっているんですね。
おそらくホールフーズで活用していくことになるのでしょうし、今後さらに買収するであろうリアル小売企業や、アマゾンゴーのような自ら開発するフォーマットでも使っていくのでしょう。
日本の遅れを考えると、暗澹とした気分になります。
先週9月6日に開催したセミナーには100人を超える皆様のご出席を賜りました。
遅くなりましたが厚く御礼申し上げます。
さてセミナーで、アマゾンのコアコンピタンスはネット通販ではなく、ましてや日本でよく言われているロジスティックスでもないという話をしました。
今回は補足です。
アレクサが人工知能を使っていることは簡単に分かりますが、他に確実に使用されている分野を2つお伝えしておきます。
1つめは商品レコメンデーション、ホールフーズの買収で新たに手に入るリアル店舗のデータでこれからさらに鍛えられることになります。
2つめはロジスティックス、フルフィルメントや配達スケジュールの決定から調整など、かなりの領域でヘビーに使われているようです。
この技術はおそらくホールフーズのロジスティックスに活用されて効率化に貢献することになるのでしょう。
他にも使われている分野はかなりあると思いますよ。
日本の小売業界、勘違いしているとアマゾンにやられっぱなしになってしまうと危惧してます。
なおこういうことを言っている日本人は今のところ私以外にいません。
これから見方に修正がかかって流れが変わると良いなと思っています。
ところで、ウォルマートのデジタル実験店について、写真つきの説明資料を有料公開してみました。
ご参照下さい。
ウォルマートが実験中のデジタル強化フォーマット
なお来年は9/06に開催するつもりでいます。
ダイヤモンドさんと組むかどうかは未定なので、このブログかTwitterでの告知に注目して下さい。
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