グローバルの最近のブログ記事

2015年7月31日
イケアによる森林の買収

イケアが森林の買収を進めているという記事がWSJ誌に掲載されました。
自らが生産してる商品に使われている木材を自分でコントロールすることが目的、別の言葉で言うとリスクをヘッジするためということになるのですが、そのリスクとはどうやら価格だけではなく環境保護団体との軋轢も背景にあるようですね。

サプライチェーン全体を包括的にカバーする小売による全体最適化、またはモジュラー型のビジネスモデルを小売が追い求めていくと、原料の産地を自らがコントロールするところまで行くののだなということを、この記事を読んで改めて思ったのでした。

スーパーマーケットや外食企業が農地に関与すると言う話はよくありますけどね。
ホームファニッシング企業が森林に関与するという話は珍しく目を引いたのでした。

鈴木敏仁 (01:01)


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2014年11月12日
[アリババ] 一日で93億ドルを売り上げ

アリババが毎年11月11日に実施するイベント、アリババグループ・11.11ショッピングフェスティバルで、一日に93億ドルを売り上げた、というニュースをご覧になった方もいることでしょう。
日本円にすると驚きの1兆円を超えます。

こういう販促イベントやるとしばらく売上は落ちるので、冷めた目で見てしまうのですが、ただ何をやったにせよ90億ドルを一日で取り扱うというのは凄いことではあります。

ただこれをアマゾンと比較する記事が多いのですが、ちょっと違うんですよね。
この93億ドルは流通総額で、売上高ではない。
アマゾンはマーケットプレスを含めた総額を開示していませんので、一概には比較できないのです。
それとアリババの流通総額には自動車も含まれていて(今回のイベントでは5万台を売ったそう)、これが金額を押し上げてます。

アリババは世界最大の流通プラットフォーム企業ですが、商品を自ら仕入れ自ら販売する小売企業ではありません。

ちなみに私の概算では、マーケットプレイスを含めたアマゾンの流通総額は1,000億ドル(日本円で10兆)を超えている可能性があり、そうするとクローガーやコストコを軽く超えてしまうことになります。

鈴木敏仁 (11:26)


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2014年11月 3日
[英プライマーク] シアーズの店舗内リースでアメリカ進出

イギリスのアパレル専門店チェーン、プライマークがシアーズ店舗内のスペースをリースする形式でアメリカに出店するそうです。
場所はアメリカの北東部地域で、7店舗を来年末までに出店するとしています。
これとは別にボストンにも店を作る予定があるので、トータル8店舗ということになります。

イギリスでの価格調査をベースにしていますが、資料によるとプライマークはH&Mやユニクロよりも安く、ファストファッションでは最低価格帯の企業なんですね。
ユニクロが店をちょうど増やしはじめたところなのですが、ここに強敵が現れる、といったところでしょうか。

ちなみに完全に場所貸しでシアーズとは入り口も別にするようで、テナント扱いということになるのでしょう。
かなり安いリース条件なのでしょうね。
シアーズは店舗を切り売りするだけじゃなくて、スペースを貸し出すということもしはじめたということになりますが、運転資金が厳しい状況ですからこういう案件はこれからも出てくるのかもしれません。

鈴木敏仁 (03:25)


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2014年7月21日
[英テスコ] CEOのフィリップ・クラークが辞任、後任はメーカーから

今日はイギリスのニュースを。
テスコのCEOフィリップ・クラークが辞任し、ユニリーバのパーソナルケア部門トップのデイビッド・ルイスが後任となる人事が発表されました。
ルイスの着任は10月で、それ以降来年の1月までクラークはアドバイザーとして残るとのこと。
社外からCEOを雇うのは最初のことだそうです。

クラークがテリー・リーヒーの後を継いだのは3年半前のことでした。
ちょうどこの頃からテスコの業績が悪化しはじめたのですが、たぶん分かっていて経営交替したんでしょうね。
自分の能力ではここまで、とリーヒーが見切りを付けて、将来を後任に託したということだと思います。

でもクラークはそれに応えることができなかった。
リーヒーの後任として荷が重すぎたと言うことなんでしょうかね。

興味深いのは、小売業界ではなくメーカーから経営者を持ってくる点。
ホームデポがGEから経営者を持ってきて失敗した事実を思い出してしまいます。
小売とメーカーはビジネスの基本的な部分がかなり異なるので、簡単ではないです。

よくアメリカ的な"経営のプロ"が日本にも必要、なんて言葉をよく聞きますが、そんな甘いもんじゃないです。
レイバーの横の移動が激しいアメリカでさえも、どこに行っても経営できちゃうような専門家なんて、ほとんどいません。

ちなみにリーヒーがテスコを去ってから、リーヒーを支えた経営層のほとんどがやめちゃっているそうなので、人材的にテスコはけっこう厳しい状況にあるようです。

鈴木敏仁 (02:17)


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2014年6月30日
[ウォルグリーン] 節税目的で本社の海外移転を検討中

ウォルグリーンによるアライアンス・ブーツとのディールは、最初は45%の株式取得による投資で、その後残りの55%を2015年までに買い進めることができるというオプション付きでした。今年の2月からオプションの行使が可能となり、ウォルグリーンが全株買収の意思を表示したことをメディアが報じています。

この報道に付随して出てきたのが、法人税の節約のために本社をアライアン・スブーツ側にしてしまうことを同社が検討しているニュースでした。
要するにアライアンス・ブーツを親会社にしてしまうわけですね。
アライアンス・ブーツはスイスに本社を置いているそうで、かなり節約できるそうです。

気になって調べてみたのですが、アライアンス・ブーツは登記上はスイスで、経営本社はイギリス、とありました。
そもそもアライアンス・ブーツ自体がおそらく節税目的でスイス法人にしてしまっているんでしょうね。

これに対して、ウォルグリーンの愛国精神うんぬんをメディアが論じています。
個人ではできないことを法人がやるというのは不公平だという議論も出ている。

ウォルグリーンは検討しているということを明言していて、いまのところ否定していません。

グローバル大手企業のほとんどが税法上の抜け穴をついて目立たないようにいろんなことをやっているようなので、ウォルグリーンもそれに参加してしまうのかどうかに過ぎないでしょう。
経済とはそういうもので、嫌なら法律を変えるしかないというのが実際のところでしょう。

鈴木敏仁 (02:26)


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2014年1月14日
[英ウェイトローズ] ポイントシステムは過去の遺物

イギリスネタなのですがおもしろい記事を見つけたので共有します。先月のテレグラフ紙です。
Waitrose boss attacks 'meaningless' loyalty cards

ウェイトローズが店舗カードの利用者に毎日無料コーヒー(または無料ティー)の提供を始めたところ大ヒットし、コーヒーのボリュームがマクドナルドに次いで2番目になってしまった。
またカードを使って5ポンド以上買うと新聞紙が一つ無料になるというサービスも提供している。

経営幹部のマーク・プライスのコメントを抄訳します。

「無料コーヒーや無料の新聞提供は市場にとっては迷惑なことだろうが、これがお客が欲していることだ。彼らがポイントを必要としているとは思えない。ポイントシステムっていったい何だろう?意味がないと思ってる。」

「これは今の時代に消費者が何に価値を見い出しているかに対応したもので、過去の価値に対するものではない。グリーンスタンプやポイントは戦前に起こったことへの対応だ...今いるこの時代のものではないと思う」

またこの記事に対する感想を求められたコンサルタントがアドバタイジングエイジ誌でこんなコメントもしています。
「ウェイトローズは先端を行っている。いまのジェネレーションの興味を引いた。消費者は(ポイントが溜まるまで)待つことに疲れ、毎日のリワードを欲している。ポイントはデータを収集するためのものだが、お客への見返りは多くない」

私はポイントシステムについてはネガティブで全くの同意見です。

ロイヤルティマーケティングとはカード使用者のデータを分析してその結果を販促に生かす仕組みで、カード使用を促すためにポイントを利用するわけです。
このポイントシステムは価格販促の一手法に過ぎないのですが、販促の資源をお客が持ってしまうことでやめることが難しくなります。
最も麻薬性の高い販促システムですね。

これが戦前のものだ、古い、という説明は腑に落ちました。

いまは即応性が求められている。
今もポイントを溜めている人がいるじゃないかという反論が聞こえてきそうですが、他に選択肢がないからですよね。ウェイトローズのようなスピード感ある何かを提供したらあっという間に受け入れられるんじゃないでしょうか。

ちなみにこのコメントは、シティのアナリストがテスコに対してカードをやめてその分を値下げに回した方が良いとどこかで言ったようで、それに対する意見を求められてのもののようです。
有名なテスコのロイヤルティマーケティングですが、そろそろほころんできたのかもしれないという印象を持ったのでした。

鈴木敏仁 (03:11)


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2013年10月21日
Aki-Home:ニトリのアメリカ進出

先週は一週間小売企業の研修コーディネートで記事を書いている時間が取れず、エントリーができませんでした。
言い訳がましいですが、一日店を見て歩くと体力をかなり消耗し、エントリーする気力がなくなってしまうのですね。
申し訳ありません。

さてこの店舗視察中に、ニトリの米国進出1号店(店舗名はAki-Home、2店舗同時オープン)を見てきました。
ちょうど行く予定だった著名なショッピングセンターへの進出で、行程を無理に変えることもなく行くことができたのですが、ということはこれから日本の流通視察グループがどんどん行くことになるのでしょうね。

ユニクロもそうですが、このアメリカで日本企業には頑張って欲しいと強く思います。


いろいろ考えることがあったのですが、ここでは3つだけ。

1つめはPBを売るという茨の道。
ざっと見る限りPB比率が非常に高い。
売上を伸ばすにはNBメーカーの力を借りるのが王道なのですが、それをしないということは自らがPBをマーケティングしなければならず、ハードルは高いと言わざるを得ない。
当然のことながらAki-Homeもニトリもアメリカでは知名度ゼロ。
フレッシュ&イージーはPB比率50%強で、200店舗まで増やして、でもだめだった。
あのテスコでさえ挫折したわけで...
ゼロからブランドを売って行くには、有能なマーケティング担当者を雇い、広告代理店を上手に利用して、相当インパクトのあるブランディング活動を継続する必要があるでしょうね。
既存の店舗がすでにブランディング活動となっている日本とは状況が違いますから。

2つめは日本語パッケージの日本の商品が置かれていること(一番下の写真)。
アメリカ向け商品がこの大切なグランドオープニングに間に合わなかったのだとしたら、担当者は切腹ものかと。
もしあれをアメリカ人に売るというのなら、それはそれで凄いことではあります。

3つめは撤退戦略を決めているのかどうか。
テスコはアメリカ進出前に総投資額を決め、これを公言し、その額に達する前に撤退を決めました。
いわば、事前に決めたことに則って、粛々と撤退する、ということになります。
このあたりは証券アナリストや機関投資家に確認して欲しい事項ですね。


海外事業を成功させるというのは極めて難しいことで、ファミマやオートバックスといった日本企業に限らず、カルフール、テスコ、ベストバイ、ホールフーズ等々、大多数の企業が成功させていません。
ましてや今回のニトリのように買収ではなくゼロからとなると、コストコやイケアなどごくわずかしかいません。
その間に、星の数ほどの企業が失敗しているわけです。
確率から言うならば、ここでニトリが成功すると言うことは宝くじがあたると公言するようなもので、私にはとても言い切る勇気はない。

ですからもしニトリが米国事業を成功させることができたらなら、歴史に残る金字塔になることでしょう。

日本人の大好きな「おもてなしの精神で」という数値化できない抽象的な表現を米国戦略で使わないことを祈っています。

ニトリ

ご飯関連商材

鈴木敏仁 (12:19)


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2013年9月30日
[フレッシュ&イージー] 連邦破産法11条の適用を申請

フレッシュ&イージーが連邦破産法11条の適用を申請しました。
ユカイパへの売却を円滑に進めるためにリースをすっきりさせることが目的だそうです。
倒産すればリースをチャラにすることが可能になりますからね。

裁判所に提出された書類にいろいろ情報が書かれているようでメディアが報じています。

・ローンによって発生するテスコへの負債は7億3800万ドルで、テスコが最大の債権者となる
・ベンダーへの負債は1840万ドル
・年間リースは7200万ドル、全167店舗中、25ヶ所は所有、50ヶ所は土地リース、92ヶ所は店舗リース
・営業されていない店舗が61ヶ所
・カードメンバーは260万人
・直近の営業赤字は月に2200万ドル
・売却交渉を持った相手は16社、そのうち全社丸ごとの買収に興味を持っていたのは4社

カード会員数が意外と多いのに驚きました。

鈴木敏仁 (04:14)


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2013年7月31日
[ハドソンズベイ] サックスを24億ドルで買収

デパートメントストアチェーンのハドソンズベイがサックスを24億ドルで買収するというニュースが発表されました。
ハドソンズベイはもともとカナダの企業ですが、ロード&テーラーを所有するアメリカの投資会社(NRDCエクィティパートナーズ)に2008年に買収されています。
なので正確にはアメリカの投資会社が買収したのですが、メディアがハドソンズベイが買収と表現しているので、私も分かりやすいのでメディアの表現に従っています。

NRDCのCEOリチャード・ベイカーはファッションビジネスに注力していて、2006年のロード&テーラー買収後、2008年にはフォーチュノフ(ジュエリー)を買収、同年にハドソンズベイと、ポートフォリオを拡充してきました。
ロード&テーラーもハドソンズベイもよく知られた老舗でして、サックスも同じく老舗、古くからある有名企業を集中におさめてきた、という印象ですね。

ちなみにサックスはニーマン・マーカスとくっつくのではないかと噂されていたので、ハドソンズベイというのは意外でした。

この買収で何が起きるのかというと、カナダにサックスがお目見えするというわけです。
ノードストロムが来年末頃をめどに進出しますから、これと競合することになります。

カナダのデパートメントストアはながらく動きが全くないダメダメ業界だったのですが、いきなり揺れ始めましたね。
ロブロウがショッパーズ・ドラッグ・マートを買い、ソベイズがセイフウェイのカナダ事業を買い、ターゲットが急速に店舗を増やし、とカナダの小売業界が突然賑やかになってきました。

鈴木敏仁 (07:32)


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2013年7月19日
[ジャン・クトゥ] ライトエイド株をすべて売却

カナダのドラッグストアチェーン、ジャン・クトゥが所有しているライトエイドの株をすべて売却する予定であることが分かりました。
同社による当局への報告で判明したものですね。

ジャン・クトゥはカナダで3番目のドラッグストアチェーンですが、2位のカッツが小型のファーマシーなので、ドラッグストアとしては2位と考えて良いのかもしれません。
本拠はモントリオール。

2000年代初頭に、エッカード、レブコ、ブルックスといった企業の買収に絡んでアメリカに進出したのですが、2006年にライトエイドに売却、このディールによってライトエイドの株を所有していたものです。
当時の所有比率は32%でしたね。
このままひょっとするとライトエイドと何かあるのかと思っていたのですが、結局何もせずに撤退となったわけです。

カナダのメディアは、この売却はカナダ国内でのディールに備えるものじゃないかと憶測を立ててます。
ロブロウによるショッパーズ・ドラッグ・マートの買収がきっかけと考えると、あながちただの憶測でもないような気がしますね。

米国企業による侵攻がカナダの小売企業を動かしています。


<追記>
来週末まで出張となるのでこれからエントリーが減りますがご容赦ください。

鈴木敏仁 (01:41)


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