2006年2月28日
日米中間流通機能革新セミナー、ネットインタビュー第2弾

今回は昨日に引き続き、ネットインタビューの第2弾、セミナーの主賓でもあります、NARMS最高経営責任者のダニエル・ボルシュキさんです。

Q:NARMSという協会を簡単にご紹介ください。

A:NARMSはおよそ500社のメンバーを抱える非営利型の協会です。マイクロソフト、任天堂、キャンベルスープといった大手グローバル企業から、地域に根ざした小さなマーチャンダイジング企業やイベントマーケティング企業まで、大小さまざまなメンバーがいます。NARMSの役割は、交流の機会の提供、教育目的のカンファレンスの開催などに加えて、メンバー企業で働く9万人の個人をリストして、いっせいに通知しなければならないときなどに利用する、というような機能も担っています。

Q:昨年私はボルシュキさんの紹介で、新店のセットアップを専門に行う企業の社長にお会いしました(米国ではInstallation Serviceと呼ばれ、什器や看板の設置といった大工仕事から、陳列まで、トータルサービスを提供する)。新店セットアップという作業自体は日本にもあるものの、これを専門とするサービスプロバイダーは日本には存在しないでしょう。このようなビジネスはアメリカではポピュラーなのですか?

A:サードパーティ(アウトソーサー)として店頭においてサービスを提供するプロバイダーは、アメリカでは非常にポピュラーなのですが、その理由は人的問題なしでサービスが提供されるからです。店頭サービスプロバイダーを雇うメーカーやリテーラーは、経費なし、インフラなし、そして人事問題とも無関係です。つまり、雇われたプロバイダーは彼らの社員ではなく、いつもで必要に応じて仕事からはずすことができるからです。

Q:店頭マーチャンダイジングというサービスビジネスがなぜいま重要なのでしょうか。

A:広告の効果が薄れてきたからです。たとえばみんながTVOing(Tivoはハードディスクに録画する米国で売れているレコーダーで、ボルシュキさんはこれにingをつけて動詞化してます。おもしろいですね。)してコマーシャルをスキップしてしまいます。またエンターテイメントにお金をかけるとき、アメリカ人には多くのオプションがありすぎます。そこで、商品やサービスを消費者に露出する新たな道をアドバタイザーは探そうとしているわけです。調査によると食品購買の70%は購買する時点で決定されていて、そしてわが協会のメンバーはこの購買決定の最後の6フィートを、よりポジティブな買い物経験にすることができるというわけです。

鈴木敏仁 (08:02)


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2006年2月27日
「業績悪化と学歴詐称スキャンダル、苦難が続くラジオシャック」Vol.10,No.09

アメリカ流通eニュース

 このレポートで取り上げるのはひょっとしたら初めてかもしれないが、今回はラジオシャックを俎上に上げる。
 17日に、第4四半期の大幅な減益と、最大で700店舗のクローズと言う大型リストラプランを発表したのだが、今この企業に耳目が集まっているのは、昨年CEOとなった人物の学歴詐称問題である。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (06:25)


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2006年2月27日
日米中間流通機能革新セミナー、ネットインタビュー

すでに先週アップしましたが、3月16日に財団法人流通経済研究所の主催で表記のセミナーが開催されます。
コーディネーターで、目白大学経営学部助教授の菊池宏之先生との、ネットインタビューです。

Q:今回のセミナーの目的は何でしょうか?

A:本セミナーは、メーカーや卸売業が小売業に評価されるようになるために、サプライチェーンの構築が求められていることが前提です。小売業に評価されるためには、小売店頭での需要創造提案とその実現化の両面を確実に推進することが求められます。
言い換えれば、中間流通機能の再構築を的確に確実に推進することが、評価を高める上で不可欠です。そこで、中間流通機能の先行企業の事例分析をすることで、メーカーと卸売業の付加価値向上戦略に貢献することを目的としております。

Q:なぜ我が国において店売りが不振なのでしょうか?

A:現在ほとんどの小売店舗の既存店売上が対前年比でマイナスです。理由は個別で多様ですが、ポイントは①消費者ニーズに合致した店頭需要創造を実現するための知恵が無い②もし知恵があっても、それらを店頭で確実に遂行できていないこと、のいずれかあるいは両方の理由につきると思います。

Q:なぜ店頭の活性化に中間流通業者の力が不可欠なのでしょうか?

A:店頭での販売促進を実現するには、①のためには、店舗クラスター毎に標的消費者に合致したカテゴリーマネジメントの提案があれば店頭活性化の必要条件が満たされます。②は、それら提案を確実に推進出来る体制があれば、店頭活性化の十分条件が満たされます。
それら両面を的確に推進できる企業を確保することが最も求められております。
そこで、メーカーを見ると、自社商品を主体にした提案になるのが一つの限界です。一方、小売業のバイヤーなどは業務が複雑多様化する中で、新商品の売行きを分析し販促対象商品を選択し、店頭カットする商品を決定し、結果を検証することを、数千の新製品が出る担当カテゴリーにおいて確実に対応できません。
その一方で、中間流通企業はそれら両面を実施するのがミッションですし、それら機能を専門的に対応するので、相対的に中間流通企業にそれら機能を担わせることが最も効果的・効率的です。

鈴木敏仁 (01:57)


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2006年2月24日
リー・スコットの社内ウェッブサイト、'Lee's Garage'

ウォルマートのCEOリー・スコットは、店長を中心とした管理職クラス以上を対象として、社外秘で社内向けの個人サイトをもっているのだそうです。

社員の質問に対して社長が直接答える、ということを目的としている。

名称が良い。
Lee's Garage。
ガレージという語感は、リラックスしてごちゃごちゃした雰囲気;つまりどんなことでもどんどん質問していいよ、というイメージです。
こういう英語感覚は、アメリカに長年住んでいても、出てこないです。

さて、ネットは人と人とのコミュニケーションを革新しましたが、このLee's Garageはその典型ではないかなと。

世界最大の小売企業の社長と店長クラスが、ダイレクトにコミュニケートする場を作るというところが、とても良い。
ビューロクラシー化を防ぐ一つの有効な手段だと思います。

最近日航で内紛が起きてますが、こういうことをしていれば、造反もなかったのかもしれないな、などとふと思いました。

鈴木敏仁 (09:44)


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2006年2月23日
店頭活動をテーマに講演します

流通経済研究所主催で来月の16日に、フィールド活動をテーマにしたセミナーが開催されます。
http://www.dei.or.jp/seminar/seminar_060316.html

メインゲストはNARMS(National Association of Retail Marketing Services)会長の、ダニエル・ボルシュキさんです。
http://www.narms.com/

この協会は店頭で活動しているアウトソーサーすべてを会員としていて、フィールド組織を筆頭に、例えば新店や改装店の什器やサインなどを取り付けることだけを専門にやっている会社など、アメリカ的な面白い会社が一杯入っています。
日本にはこのタイプの協会は存在しません。
というよりも、業界として認識がないと思う。

私の講演は午前中の2番目です。

私のコンテンツは、米国中間流通ビジネスの革新を軸として、どうしてブローカーやサードパーティマーチャンダイザーが活躍しているのか、彼らはいったいどういう機能を果たしているのか、そして我が国のメーカーや卸は、この米国の現状からなにを学ぶべきなのか、です。
菱食 流通本部 流通開発部部長兼e機能推進チームリーダーの原正浩さん、スパー・エフエム・ジャパン 代表取締役社長の霜田清隆さん、による現場のお話しも聞けます。

ちなみに、サードパーティマーチャンダイジングの本質は、フィールド組織による店頭活動の・・・にあります。
さて、・・・は何でしょう?
知りたい方はぜひご出席下さい(^^)

皆さんのご光臨をお待ち申し上げます。

鈴木敏仁 (11:28)


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2006年2月23日
シアーズエッセンシャルズの店名変更

シアーズが新フォーマットとして実験し、ほとんど失敗しているシアーズエッセンシャルズですが、シアーズグランドに店名変更されることが明らかになりました。
シアーズグランドとの境界線がないからという理由でして、つまりエッセンシャルズの基本コンセプトはグランドの縮小版なわけですね。
異なる店舗名を使うよりも、同じにしてしまったほうが、マーケティングやプロモーションの観点からはコストが低く済みます。

それと、5月を目途に14店舗を改装しててこ入れするそうです。

最近エドワード・ランパートの記事がフォーチュン誌に掲載されました。
Kマートとシアーズを合併させた若き投資家です;たぶん彼は今43歳、すでにビリオネアで桁外れの資産をすでに持ってます。

詳細は省きますが、再建に対する彼の考え方を誤解を恐れずにごく簡単にまとめると、売れなくても利益が出る仕組みを作ろうとしている、ということになります。
縮小均衡など意に介していない。

日本の場合、売上最優先ですから、彼のような発想はなかなか馴染まないだろうなと感じたのですが、過去のような右肩上がりの市場拡大がなくなった今、そういう発想が実は日本でも求められているのではないかと、思ったわけです。
日本の小売業は利益率が低すぎます。

投資家ランパートは、旧来の小売業が持っている常識論からまったく異なる視点でアプローチをかけている。
その成否は別として、こういう若い人がいて、巨大な小売企業の業務改革を引っ張っていることも、米国小売業界のダイナミズムの一つであると私は思っています。

鈴木敏仁 (02:58)


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2006年2月21日
ラジオシャックCEOの学歴詐称スキャンダル

ラジオシャックとは7,000店舗近くを展開する家電チェーンです。
平均140坪程度の店舗面積に、約3,600アイテムを揃えるフォーマットで、簡単に言うと、ご近所の家電屋さんのチェーンバージョン、といったところでしょうか。

ネイバーフッドショッピングセンターの例えばスーパーマーケットの横に出店したり、核店舗のないストリップセンターに出店したり、モール内にあったりと、あまり出店場所を選ばないフォーマットと言えるかもしれません。

例えばボタン電池の品揃えは、たぶんどのリテーラーよりも豊富だと思います。
ドラッグストアでもライトエイドあたりはけっこう揃えているんですが、ラジオシャックには勝てない。
で、この電池が安くない;荒利益率はかなり高いと思われる。

小商圏型のビジネスとして食品やドラッグが注目を浴びがちですが、家電にもこういうニーズがあるわけです。
日本だと、メーカー系列の○○ショップとか、パパママストアが、このニーズを満たしているんでしょう。

さてこの企業、昨年CEOが変わり、体制が一新されたのですが、この新CEO、履歴書には学位を持っていると記してあったのですが、実は大学を卒業していなくて持っていないということを、ローカル紙がすっぱ抜いたんですね。
さらに、酒酔い運転で2度も捕まった経歴まで暴露されてしまった。

間が悪いことに、業績が大幅減益で、最大で700店舗閉鎖というリストラプランに取り組もうとしているときと重なってしまい、求心力が疑問視されてしまった。

結局、辞任しました。

10年前に前CEOにスカウトされて入社したそうですが、まさか公衆にさらされる公開企業のトップになるなんて思っていなかったんだろうなあ。
軽い気持ちで、履歴書を書いてしまったに相違ない。

ほんとうにつまらない詐称で、大きなチャンスを棒に振ってしまいました。
正直に生きたいものですね(^^)

鈴木敏仁 (04:59)


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2006年2月20日
「ウォルマートとテスコの攻防」Vol.10,No.08

アメリカ流通eニュース

 前回テスコによる米国進出をテーマに書いたばかりだが、今度はアズダが英国で小型フォーマットを開発することを発表、ウォルマートとテスコの戦いがエスカレートしている。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (06:23)


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2006年2月20日
ウェストフィールドがフェデレイテッドから15店舗を獲得

ウェストフィールドというのは世界最大手のモールデベロッパーです。
この企業が、フェデレイテッドから15店舗を獲得するそうです。

なぜモールデベロッパーが店舗を買うのか?
壊して、新しく作り直すためです。

どう作り直すか?
オープンスペースを作るためです。

つまり、全天候型のエンクローズドモールの一部を壊して、オープンとして、いま流行のライフスタイルセンター形式を取り入れたいわけです。
ウェストフィールドは所有するモールの多くを、この形式に変えつつあります。

ライフスタイルセンターは、日本でちょっと騒がれすぎているなと思い、昨年チェーンストアエイジ誌(2005/9/15、米国SC新トレンド'ライフスタイルセンター'を解剖)で、わざわざ水を差す記事を書きました(笑)

端的に言うと、ライフスタイルセンターは立地と消費者を選ぶタイプであるため、大量に作ることは不可能な、いわばニッチ型です。
従来型を凌駕することはないでしょう。

ただウェストフィールドのような、ミックス型は増えるかもしれないなあ・・・。

ちなみにウェストフィールドはオーストラリア資本。
こんなところにも、グローバル資本が存在するんです。

鈴木敏仁 (05:57)


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2006年2月16日
ミルズ売却?

大手ショッピングセンターデベロッパーでREITのミルズが売却を検討しているというニュースを、WSJ誌が報じました;検討している内容は、全資産の売却、またはモールの切り売りの2つのどちらかとのこと。
これは驚きのニュースです。

ミルズと言えば、ショッパテイメント型の、ユニークなオフプライスモールで有名です。
この地、ロサンゼルスにはオンタリオミルズがあります縲怩アのタイプにはすべて地名の後に'ミルズ'という名称がつくので、知っている方も多いでしょう。
全米に全部で22ヶ所、所有しているようです。
一方普通のモールも18ヶ所持っています。

実はこの1年くらいこの企業は決算報告のミスのトラブルが相次ぎ、株主を代表した団体訴訟が起こったり、証券取引所による調査が入ったりと、コーポレートガバナンスに疑問が持たれてきました。

株価もこの1年くらいに40%近く落ち込んでいます。

ただ赤字になったわけでもなく、株価はまだ40ドル台をつけていますし、売却してしまうほど悪いとは思えない。
ここで売却を考えてしまうところに私は驚いているわけです。
いかにもアメリカ的ダイナミズムというか・・・。

ちなみに普通のモール18箇所のほうが、ミルズ22箇所よりも価値が高いのだそうです。
理由は、ミルズはユニークすぎて、買収対象として逆に魅力がないからだそうで。
なるほど、言われてみればそうだろうなあ・・・。

鈴木敏仁 (06:36)


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2006年2月14日
ホームデポが中国企業買収か

ホームデポが中国最大のホームセンター企業、オリエントホーム買収で動いているというニュースをファイナンシャルタイムズが報じました。
株の49%を2億ドルで買うという内容のようです。

親会社のオリエントグループと交渉の真っ最中で、決裂することもあるとのこと。
ホームデポはノーコメントです。

ホームデポの中国進出のプライオリティは高く、ソーシングも兼ねてすでにオフィスを開いていますし、進出はありえるのかという問題ではなく、いつどういう形式で、という問題なんです。

つい先日も大きなディールを発表したばかりですし、ホームデポは買収モードです。

鈴木敏仁 (09:14)


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2006年2月13日
「テスコが米国進出を発表、その勝算は・・・?」Vol.10,No.07

アメリカ流通eニュース

 英国最大のSMチェーン、テスコがコンビニエンスストア業態による米国進出を発表した。テスコにとって米国進出は念願で、やっと決めたかという印象が強いのだが、一方買収で出るだろうと思っていたので、独自進出するという点については意外であった。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (06:18)


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2006年2月13日
テスコのアメリカ進出に勝機は?

テスコがアメリカに進出すると発表しました。

昨年9月にこのブログにも載せましたが、アルバートソンズが売却の意図を明らかにしたときに、真っ先に出てきたのがテスコでした。
マイヤー買収という噂も立ってます。

テスコは英国で30%超のシェアを持っていて、もうこれ以上国内成長は不可能と言われています。
不可能どころか、分割案まで出ている。

ですから海外を強化するしかないという状況であるわけです。

さてでは彼らにとっての米国市場ですが、同じ言語とはいえ、文化が異なり、簡単ではないことは過去が物語ってます。マークス&スペンサー、セインズバリーと、米国に買収で進出していますが、すべてすでに撤退してます。

日本市場特殊論についての無意味さについては先日書きました。
英国企業でさえ米国で失敗しているわけで、日本市場特殊論をぶつ人には、'米国市場だって特殊論'を説明してあげて欲しい(笑)
どの国も、それぞれ特殊なんです。

しかもテスコは買収ではなくて、コンビニエンスストアを独自に作ることで進出するそうですね。
たしかに小型店舗へのニーズは顕在化してはいるんですが・・・

ちなみに本国英国ではこのニュース直後に同社株は大きく下落しているようで、市場の評価は低いようです。

この件は、流通eニュースで詳しく考えてみようと思っています。

鈴木敏仁 (03:36)


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2006年2月11日
タルボットがJジルを買収

アパレル専門店チェーンのタルボットが6日、同業態のJジルを買収することで合意したと発表しました。
買収総額は5億1700万ドル。

昨年の11月21日付で、アパレルメーカー兼専門店チェーンのリズ・クレイボーンがJジルにUnsolicited Offer(求められていない買収オッファー、Hostileつまり敵対的ではない)を提案しているということを書きましたが、タルボットがホワイトナイトとして現れたということになります。

どうやらJジルとタルボットはリズ・クレイボーンによる一回目の買収オッファーの後に、M&Aについての交渉を開始したようです。タルボットの意向でJジルは話し合いの事実についてだんまりを決め込んでいたということで、リズ・クレイボーンは知らずに二度目の買収オッファーをかけていたことになります。

タルボットとJジルは狙っている市場が同じであること、本社が近くて幹部の交流があることなどから、良いマッチングという評価がもっぱらです。

市場とは35歳以上のミドルインカム以上の女性。
この市場、ここにきて急にスポットライトが当てられ始めてます。
この点について、流通eニュースにまとめてみました。

鈴木敏仁 (04:03)


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2006年2月10日
ウォルマート、今後数年間で1,500店舗を上乗せ

2月7日にウォルマートが新店プランを明らかにしたのですが、現在持ってるトータル約3,200店舗に加えて、1,500店舗以上を今後数年間で追加するという、かなり強気の数字です。

以下まとめます。

  • 今年度の新店予定数335縲怩R70店舗(全フォーマットを含む)はほぼ達成する見込み
  • 先月は一ヶ月の新規オープン数として過去最大の69店舗をオープンした(全フォーマット)。
  • 今後18ヶ月でスーパーセンター1,800店舗をリモデルする。
    (たぶん昨年オープンさせた最新プロトにするものと思われる)
  • 複数階、地下、屋上パーキングなど、敷地に限りある地域用のスーパーセンター用フォーマットの実験を開始する。

この1,500店舗の内訳は明確にしていません。
ネイバーフッドマーケットの比率が高い可能性もありまして、だとすると売り上げの伸びにはそれほど大きな貢献はないかもしれません。

ただピュアなディスカウントストアフォーマット以外はすべて食品を含みますから、スーパーマーケット業界に与える影響は小さくないです。

鈴木敏仁 (02:40)


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2006年2月 9日
ユークロップスの新価格プログラム

ユークロップスがConsistent Low Price(略称CLP)と称する新しい価格プログラムを導入しました。
sku数は8,000、値下げ期間は最低13週、合わせてチラシもオーバーホールするようです。

CLPという名称はウェッグマンズも使ってます。
ただウェッグマンズの方はアイテム数を限定して年間価格を固定するEDLP、一方のユークロップスは最低13週間という長期値下げですから、中身はちょっと違いますね。

値下げとチラシを併用した典型的なハイロー戦略はおおよそ80年代頃から行き詰まっていて、アンチテーゼとして登場したのがEDLPです。
ウォルマート、ホームデポ、コストコ、トレーダージョーズ、バリューディスカウンター企業群、など、現在好調企業のほとんどがEDLP戦略を取ってます。
例えばホールフーズはロープライスではないので厳密にはEDLPではありませんが、、チラシは使わず価格は固定していますので、基本的な考え方は一緒です。

ウェッグマンズ、ジャイアントイーグル、レイリーズ等、一部商品群をEDLPとしてしまうスーパーマーケット企業は徐々に増えているというのが、米国の今の現状です。

鈴木敏仁 (05:39)


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2006年2月 8日
ウォルマートが銀行をもちたい理由

ウォルマートはかなり以前から銀行を持ちたがっていて、連邦保険預金公社(FDIC)に設立申請をしているのですが、このFDICが設立申請に対するものとしては史上初の公聴会を開くかもしれないと発表しました。

ウォルマートが銀行を持ちたい最大のモチベーションは、電子決済を自分でコントロールしたいからです。
つまり、他社に任せて取られている手数料は馬鹿らしい、ということですね。
可能な限り中間業者は排除しようとする、いかにもウォルマートらしい動きです。

この背景には、ビザとマスターカードによる独占問題もあると思います。
この2社は独占状態を利用して手数料をコントロールしているという批判があり、大手小売企業数社が団体訴訟を起こしてたりして、問題化しているのです。

ただ一般企業が銀行業を行うには、規制の壁があります。
というよりも、特定の規制がかからない一般企業が、規制の枠内にあるべき銀行業務を行うことは、まかりならない、ということです。

なぜ銀行業務が規制されなければならないのかという詳しい話は、金融のプロじゃないのでここでは避けますが、例えば一人の顧客の利益を犠牲にして別の顧客の利益を捻出する、または自身の利益を優先するといった利益相反的な問題があるというのが、一つの理由でしょう。

とりわけグラススティーガル法が撤廃されて金融サービスが自由化されたアメリカでは、よけいに別な意味での規制が必要となっているんじゃないでしょうか。

この自由化された状況下で、ウォルマートみたいな大企業に金融業やらせたら、何が起こるかわかったもんじゃない、ということかもしれない。

ちなみに日本では、例えばIYバンクは融資業務は行っていないようです。
ウィキペディア(Wikipedia)によると・・・
「通常の銀行では収益源となるはずの事業会社向けの融資業務は一切行わず、預金から得られる資金は、国債・政府保証債など信用リスクの低い運用に限定している」そうです。
収益源はATMの使用手数料なんですね。
つまり利益相反といった問題が発生しない程度の業務に限定している。
バンクではなく、本質は決済代行業です。

実はウォルマートもこれをやりたいだけなんですが、アメリカではダメ、なんですねえ。
市場原理主義で、'基本的に規制はかけない'が米国経済の運営基本原理なのですが、こういう逆の例もあるという話でした。

鈴木敏仁 (12:25)


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2006年2月 6日
「タルボットがJジルを買収、顕在化する中年女性市場」Vol.10,No.06

アメリカ流通eニュース

 アパレル専門店チェーンのタルボットが6日、Jジルを買収することで合意に達したと発表した。タルボットはJジルの発行済み株式を現金で獲得する。総額は5億1700万ドル程度となる見込みだ。
 このJジルは業績が悪化していて建て直しが急務となっている企業。昨年初頭にリズクレイボーンからの買収オッファーがあり、一度断り、しかし年末に再び買収を持ちかけられたという経緯があり、タルボットはホワイトナイトとして登場したことになる。
 この分野、実はあまり目立たないのだが大きな変化が生じている。

<これ以降の内容に興味のある方は、アメリカ流通eニュース(有料)をご購読下さい。>

鈴木敏仁 (06:15)


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2006年2月 6日
日本市場は特殊なのか?

昨年末に、IYがミレニアムの買収を発表しました。
そのニュースを米系のメディアがいくつか報じていたのですが、ロイターがIYの鈴木さんのインビューを中心に据えて記事としていました。

その中で、グローバルプレーヤーについての質問に対して、鈴木さんは、「日本は完全に特殊な市場である。成功するためには市場についての徹底的な知識が必要である」と語っていました。
(日本語のインタビューが英語になって、それをまた日本語に直しているのでニュアンスが違うかもしれませんが・・・)

こういう表現の裏側には、「日本ってのはお前らとは違うんだ、なめんなよ」みたいな感情が流れているような気がするのは、私だけでしょうか(笑)
カルフールが失敗して、「ほらみたことか、外人には日本市場なんて分かるわけねーだろ」的な意識は、確かに顕在化したかなとは思います。

ただ日本だけ特殊って事はありえないということを、皆さんには知っておいて欲しい。

カルフールはアメリカに単独出店して、失敗して撤退しています。
セフォラも単独出店して失敗して、縮小しました。
H&Mやザラは単独出店して、欧米間のアパレル文化の違いにものすごくびっくりしたという記事を読んだことがあります。
そう、ヨーロッパ人にとってのアメリカ市場でさえ、まったく異なる世界なのです。

アホールドはアメリカに進出して成功してますが、資本進出に過ぎず、オペレーションはCEO以下全員アメリカ人。
デルヘイズも同様、ベルギー人は経営陣に一人もいない。

つまりアメリカにおいて成功している外資とは、オペレーションを丸ごと現地化している企業です。
例えばユニリーバやP&Gなど日本で成功している外資も、オペレーションは丸まる現地です。

日本だけ特殊なのではなく各国それぞれが特殊であり、したがって成功の要諦はいかにオペレーションをローカライズさせられるかにあるのです。

本国のやり方は、外国では通じない、などということは、グローバル企業はよく分かっていて、今さら日本人に言われる筋合いなどないんじゃないのかな(笑)
カルフールは分かってないじゃん、という声が聞こえてきそうですが、彼らは日本進出の際、パートナーを探していたことはよく知られています。
結局見つからなかったので、しかたなく直営としたというのが真相という気がします。

逆にグローバル化が遅い日本の流通業界が、そういう説教に耳を傾ける必要があるように私は思うんですけどね。
例えばファミリーマートがアメリカに進出しましたが、ローカライズせず、日本人が店を作っている・・・。

そういうことで、日本市場特殊論をぶつ人がいたら、ああまたか、と思っていただいてよろいいかなと。

鈴木敏仁 (03:28)


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2006年2月 3日
トーマス・コグリン、有罪を認める

トーマス・コグリンとはウォルマートの取締役前副会長で、米国流通業界では知らない人はいないと思われる有名な人です。
サム・ウォルトンの直下で長く働いた人で、サム・ウォルトン亡き後はデイビッド・グラスをヘルプして成長を支えました。
ウォルマートストアズやサムズのトップも勤めてきています。
体の大きな人で、アクティブなリーダー型の人でした。

この人が会社のお金を違法に着服したとする社内告発を受けて、役職を辞任したのが昨年の3月のこと。
コグリンは一貫して容疑を否認してきたのですが、およそ1年弱を経た1月31日、とうとう法定で有罪を認めました。
日本で言うところの、業務上横領、でしょう。

最高で禁固28年、罰金が135万ドルだそうです。

しかし横領した額が小さい・・・
出張費として申請した700ドルが自分が飼っている狩猟用の犬のためだった。
個人的な狩猟用途に6500ドルを使った。
自分の車の修理代として2695ドルを使った。
等々・・・

小さいという意味はですね、彼の収入と資産との比較でです。
公表数値によると、昨年の年俸が103万ドル、ボーナスが309万ドルです。
さらにウォルマートの株は時価で2000万ドル相当を所有している。

これだけ持っている人が、トータルしたら数万ドル程度の横領で、これからの人生を棒に振ってしまった。
有罪を認めたので減刑されるようですが、最長28年塀の向こうにいなけりゃならないなんて。

魔が差した、ということなんですかねえ。

またこの程度の額ならば、ひょっとして日本ならば、彼の輝かしい功績を考えたら、内部で極秘に処理してしまう可能性もありますね。
それを表に出してしまうところが、ウォルマートたるゆえんといったところでしょうか。
一罰百戒、かな。

ちなみにホワイトカラーによる犯罪に対して米国は非常に厳しい姿勢をとってます。
エンロンに代表される諸々の事件後、大きく変わった。

ライブドアが米国企業だったら・・・。

鈴木敏仁 (08:52)


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2006年2月 2日
世界最大のマタニティショップがオープン

1万スクェアフィート(約280坪)のマタニティ専門ショップが、マンハッタンのマジソンアベニューに2月1日にオープンしました。店舗名はディスティネーション・マタニティ。

わざわざ記事として乗っけた理由は、これを運営している会社(マザーズ・ワークス)が、1600店舗を持っている上場チェーンストアであるということに驚いたからです。

マタニティというくくりで、1600という専門店チェーンが存在するということを、私は知りませんでした。

アメリカの奥は深いのです。

鈴木敏仁 (04:49)


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2006年2月 1日
[月刊MD]複雑にせず、すべてをシンプルにしてみよう!

 先日ウォルマートOBの○○氏とベントンビルで再会する機会があった。某メーカーの営業マン研修の講師として来てもらったのである。この人物、実は拙著「ウォルマートの流通革命」の'おわりに'に既述してある元マーチャンダイジング副社長で、執筆にあたって非常に多くの示唆をもらった恩人でもある。
 拙著で名前を公表していないのは、現在ベンダーとしてウォルマート周辺で働いていて、彼が名前を出すのを嫌ったからである。日本の本に名前が出たところで何の問題も無いだろうとそのとき私は思ったものだが、慎重を期してリクエストに従った。

鈴木敏仁 (09:04)


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2006年2月 1日
[販売革新]あまたの米国型と比べても「日本型コングロ」評価これから

 米国において、異業種異業態企業を持ち株会社の傘下に複数糾合させる経営形態であるコングロマリット(以降コングロ)がブームとなったのは、60年代後半のことであった。同業種内のM&Aに対して独占禁止法上の制約があるのに対し、異業種異業態であればたやすく吸収して企業サイズを大きくすることができたからである。

鈴木敏仁 (10:41)


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