2006年2月 8日
ウォルマートが銀行をもちたい理由

ウォルマートはかなり以前から銀行を持ちたがっていて、連邦保険預金公社(FDIC)に設立申請をしているのですが、このFDICが設立申請に対するものとしては史上初の公聴会を開くかもしれないと発表しました。

ウォルマートが銀行を持ちたい最大のモチベーションは、電子決済を自分でコントロールしたいからです。
つまり、他社に任せて取られている手数料は馬鹿らしい、ということですね。
可能な限り中間業者は排除しようとする、いかにもウォルマートらしい動きです。

この背景には、ビザとマスターカードによる独占問題もあると思います。
この2社は独占状態を利用して手数料をコントロールしているという批判があり、大手小売企業数社が団体訴訟を起こしてたりして、問題化しているのです。

ただ一般企業が銀行業を行うには、規制の壁があります。
というよりも、特定の規制がかからない一般企業が、規制の枠内にあるべき銀行業務を行うことは、まかりならない、ということです。

なぜ銀行業務が規制されなければならないのかという詳しい話は、金融のプロじゃないのでここでは避けますが、例えば一人の顧客の利益を犠牲にして別の顧客の利益を捻出する、または自身の利益を優先するといった利益相反的な問題があるというのが、一つの理由でしょう。

とりわけグラススティーガル法が撤廃されて金融サービスが自由化されたアメリカでは、よけいに別な意味での規制が必要となっているんじゃないでしょうか。

この自由化された状況下で、ウォルマートみたいな大企業に金融業やらせたら、何が起こるかわかったもんじゃない、ということかもしれない。

ちなみに日本では、例えばIYバンクは融資業務は行っていないようです。
ウィキペディア(Wikipedia)によると・・・
「通常の銀行では収益源となるはずの事業会社向けの融資業務は一切行わず、預金から得られる資金は、国債・政府保証債など信用リスクの低い運用に限定している」そうです。
収益源はATMの使用手数料なんですね。
つまり利益相反といった問題が発生しない程度の業務に限定している。
バンクではなく、本質は決済代行業です。

実はウォルマートもこれをやりたいだけなんですが、アメリカではダメ、なんですねえ。
市場原理主義で、'基本的に規制はかけない'が米国経済の運営基本原理なのですが、こういう逆の例もあるという話でした。

鈴木敏仁 (12:25)

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