2006年7月11日
スーパーマーケットでの商品の価格

アメリカのスーパーマーケットで売っているティッシュペーパーは、日本と比較するとかなり高いようです。研修で来られる多くの方が指摘されます。しかしながら、これによって、「日本も商品の価格が安くなったなあ、アメリカの物価高いじゃん」と断じてしまうので短絡かなと。

アメリカのスーパーマーケットにとって、紙製品はロスリーダーになりえません。たぶん昔はそうだったでしょうが、今は少しぐらい安くしたところで、それを目当てにお客が来る確率は非常に低い。
理由はメンバーシップホールセールクラブ(MWC)の存在です。例えば我が家の場合、洗剤や紙製品がなくなると、じゃあそろそろコストコに行こう!となるのですが、これはどこで買うかということを考える以前の決定行動となってしまっていて、スーパーマーケットやドラッグストアのプロモーションを見比べるということすらしません。それだけMWCでのコモディティ価格が安いことに対する強い信頼感があるということになります。

この状況で、スーパーマーケットがロスリーダーとして紙製品を使うということは、まずありえないわけです。食品の買い物中に、「あっ、そう言えばティッシュがなかったな、しばらくコストコに行く用事はないし、面倒だからちょっと高いけど買っちゃえ」的なついで買いニーズとなる。ですから、むやみな値下げは無駄だからしないし、粗利益率も高めに設定してしまう。

もちろん、P&Gとキンバリークラークの2大メーカーが独占している市場ですから、価格の下落を意図的に抑制している可能性もあるでしょう。

アメリカに進出して失敗した日本の紙メーカーが存在するのですが、進出を検討した際の大前提が、'アメリカの紙製品は高い、日本は安い'というものでした。その通りなのではありますが、そうなる理由があった、という点についての洞察が足りなかった。
こういう話は、米国の流通を生活視点にまで掘り下げて考えてみないと見えてこないものではあります。

鈴木敏仁 (06:01)
ペプシネックス



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