2006年12月19日
CVSによるケアマーク買収プランに暗雲

CVSがPBM大手のケアマークを買収するというニュースはすでに2度記事にしましたが、PBM業界3位のエクスプレス・スクリプトがケアマークに対して敵対的買収を実施することを発表し、波紋を呼んでます。

CVSのオッファーは総額210億ドルでしたが、エキスプレス・スクリプトは260億ドルで、現在の株価に約22%プレミアムがついた金額です。
買収方式はキャッシュと株式交換の混合で、キャッシュは金融グループからの借入金でまかなうことになります。05年度末の時点で、自己資本147億ドルに対して長期借入金140億ドル、もともとレバレッジド比率の高い企業であり、ここでさらに借入してまで買収をしかけると言うことは、CVSのディールに対してよほどの危機感を持っているものと推測できます。

もともと200億ドルというCVSのオッファー金額は低いと言われていて、ケアマークの思惑については記事にした通り、政治問題が絡んでいるのではという指摘もあって、この安いオッファーに対して競合企業が待ったをかけた、ということのようにも見受けます。

もしエキスプレス・スクリプトによるLBOが成立すると、全調剤市場の26%を占めることとなり、メドコの16%を大きく引き離すのだそうです。

CVSはまだ反応してませんが、ケアマーク買収によるメリットを考えると、対抗するだろうというのが大方の見方です。

実は大手PBM企業に対しては、極めてグレーな医薬品業界の取引慣行の中、儲けすぎているんじゃないかという批判も多く、CVSにしろ、エキスプレス・スクリプトにしろ、FTCだけではなくて政治も含めた厳しい査定があるものと推測され、このM&Aディールはまだまだ予断を許しません。

鈴木敏仁 (04:04)
ペプシネックス



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