アメリカ流通eニュース
ネット販売が注目され始めたのはネットバブルの時代で、バブルがはじけた後はスポットライトがすっかりあたらなくなってしまったが、ピュアなネット企業も、リアルとネットを持つデュアル企業も、それぞれがますますネットを強化して売上を伸ばしているというのが現状である。
さてこのネット販売、ひとつハードルを越えて今は次の次元へと進み始めている。アマゾン形式の商品レーティングを取り入れて、いわば双方向形式として成功する企業が増えてきているのである。ネット販売2.0、といったところだろう。
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調査会社(MarketingSherpa)によると、個々の商品にカスタマーレビューやレーティングを可能としているサイトは昨年末で全体の43%、05年末に23%だったので一年間で20%も増えたのだという。もともとはアマゾンなど技術的に優れた企業だけが取り入れることの可能なものだったのが、技術が普及して広く浸透し始めたのである。
一方コメントをつける側、つまり消費者側も変わりつつある。1300人を対象とした同じ会社の調査によると、18縲鰀34歳までの50%が、買った、または使った商品についてコメントをつけたことがあると回答している。音楽をダウンロードしたことがあるという人が34%なので、この比率は非常に高い、とこの会社はコメントしている。
そしてこの高さの要因は、MySpaceやFacebookといったソーシャルネットワーキングサイトの普及によって、ネット上でアイディアを披露し交換することに、とりわけ若年層が慣れてきていることにあるという。
このことは、アメリカでは一般的にも言われ始めていることだ。不特定多数を相手にしてネット上で行動するコツを若年層はすべからく身につけているのだという。
さてこれが小売業にどういう影響を与えるのかというと、今まで得ることかなわなかったフィードバックがマーチャンダイジングに生かせるのである。
例をいくつか挙げる。
バスプロというフィッシングに特化したスポーツ専門店では、釣り針を入れるホルダーを4つ3.99ドルでながらく売っていたのだが、コメント可能としたとたんに大量のクレームが掲載された。構造上の問題で1週間足らずで壊れてしまうという問題なのだが、価格が安く面倒なのでお客は今まで黙っていたというわけである。即座にメーカーに通知し、まもなく改良版が出るのだという。
デパートメントストアのメイシーズは、歯ブラシスタンドがすぐに錆びてカウンタートップが汚れるという問題をコメントで見つけ、店頭からすぐにこの商品を撤去した。
以上はネガティブなフィードバックをMDに生かした例だが、ポジティブなコメントが売上を上昇させるという効果もある。ペット用品専門チェーンのペトコでは、最も高いレートがつく商品をクリックした人は何かを買う確率が平均よりも49%高いのだという。
これはネット上での売り上げ増だが、リアル店舗に利用している企業もすでに存在する。カナダのスーパーマーケットのロブローは、PBの野菜ラザニアが冷凍食品部門中もっともレートが高いため、これを店頭POPに使用して効果を上げているそうだ。
★ネット販売も次世代へ★
ネガティブなレビューを恐れて踏み切れない小売企業が多いと思うのだが、おおよそ80%がポジティブなコメントだという調査結果もあり、気にする必要はなさそうだ。
以前P&GのLet Goコンセプトについて書いたが、消費者自身が評判を作り上げてゆく時代になりつつあるわけで、恐れたりコントロールしようとせず、投げ出してしまうのがいいのだろう。
私の造語だが、ネット販売2.0の時代の到来というわけだ。非常に高い確率でこの傾向は日本でも強まってゆくものと思っている。
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