2008年2月11日
「アーバンアウトフィッターズによるガーデンビジネスへの挑戦」Vol.12,No.07

アメリカ流通eニュース

 アーバンアウトフィッターズというアパレル専門店チェーンがある。ギャップのようなメインストリームファッションとは異なるテイストを訴える非常にユニークなマーチャンダイジングで人気がある企業だ。06年度の年商は12億2471万ドル、ユースアパレルセグメントでは6位にランクされる。
 このファッション企業が、本社があるフィラデルフィアのローカルナーセリー(ガーデンセンター)を買収することを発表している。
 この企業のコンセプトと同じようにこの買収戦略もユニークだ。

 まずはプロフィールから。現在3つのフォーマットを持っていて、一つが企業名ともなっているアーバンアウトフィッターズ、一つがアンソロポロジー、一つがフリーピープルである。
 コンセプトを簡単に言うと、今流行のファッションの中でもギャップのようなマスではなく、もっとエッジが立ったものが欲しいという人たち向けのマーチャンダイジングということになる。ただしヒップ過ぎない。これをピンポイントのようにMDできたことがこの企業の成功要因だと言われている。対象とする年齢層は18縲鰀30歳。
 平均店舗面積は270坪と大きいのだが、最大の特徴は衣料だけではなく、ホームファッションもかなり幅広くMDしている点にある。これを同社は、‘アパートメントウェア’と呼んでいる。持ち家に住まない、アーバンに住む若いアパートの住民をイメージしているというわけである。
 アーバンアウトフィッターズがメンズも扱うのに対して、アンソロポロジーはレディースのみ、そして対象年齢が30縲鰀45歳とミドルを狙っている。エッジのたったファッションセンスを売り物としている点は同じである。
 フリーピープルはアーバンアウトフィッターズの廉価バージョンで、02年に開発され、昨年の時点で3店舗というレベルである。
 ちなみにアーバンアウトフィッターズは106店舗、アンソロポロジーは93店舗だ。
 この企業、決算報告書で自社のビジネスを説明する冒頭で、‘革新的なライフスタイル・マーチャンダイジング企業’という表現を使っている。そのあとに、アパレル、アクセサリー、ホームグッズと続いていて、衣料が先頭に立っているわけではない。
 ファッションという大きなくくりの中で、ソフトとハードを同等に扱う専門店コンセプト、と考えると分かりやすいのだろう。エッジの立ったファッションコンセプトだけではなく、アパレル専業ではないという意味でも非常にユニークなのである。他に同じコンセプトを持った企業が見当たらない。
 今回の買収はこのハード部分の延長である。もともとガーデンセンターを開発するプランを持っていて、これを買収予定のガーデンセンター企業、フランクリン・スタイヤーにまかせるというわけである。名称もテライン・アット・スタイヤーズと、すでに決まっているのである。
 アウトドアやインドア商品を扱うのだが、造園などのサービスも始めるとしている。

★他に例がない発想の斬新さ★
 リリースにあるコンセプトを直訳するとこうなる。
「テラインのゴールは、コンテンポラリーな顧客のために、ガーデンに触発された折衷主義的な商品ミックスを提供しつつ、ローカルガーデンセンターを美と自然を祝する経験の場とすることにある」。
 他にもビューティとかコンテンポラリーといった言葉が並んでいるのだが、ガーデン分野に‘ビューティ’という表現を持ち込むというのは、実に新鮮ではないだろうか。ファッション系チェーンストアによるガーデンビジネスという発想は、アメリカで他に聞いたことがないし、日本でもないだろう。
 アパレルを扱っているわけではないのだが、フランフランがアウトドア商品と造園までやってしまうようなものだ、といったところだろうか。ガテン系のイメージしか思い浮かべることのできないこの分野に、‘美’を持ち込むという大胆な試みが日本でもあっていいのではないだろうか。
 成否に大注目の新フォーマットである。

鈴木敏仁 (01:06)
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