2010年8月 4日
[バーンズ&ノーブル] 資本売却の可能性を示唆

バーンズ&ノーブルが資本売却の可能性に言及しました。現在取締役会が複数の選択肢について検討中で、その中の一つに、創業者のレオナルド・リッジオを含む金融グループへの売却が含まれているとしています。

同社の株価は業績の悪化に比例して6月以来落ちていて、資本売却の理由は株主への価値を上げるためということになるのですが、ここでいきなりというのは、理由として今ひとつです。

あくまでも表向きの理由で、本当の理由は創業者のリッジオが会社を支配下においておきたいということなんだろうと考えています。

バイアウト企業が急接近、その意図は?
ここでエントリーしましたが、ロン・バークルが18%の株を買って、30%を所有するリッジオに次ぐ大株主になったのが昨年のことで、その後バークルが取締役の席を要求、リッジオがポイゾンピルを導入し、両者がバトルモードに入っているんですね。
確かバークルは訴訟を起こしていると思います。

バークルが何をしたいのかは分からない。
業界2位のボーダーズとくっつけることを考えているんじゃないかと思うんですが、この点についてバークルは当然のことながら語っていません。
ちなみにボーダーズの大株主はあのアックマンです。


ついでながら、日本のメディアは「バーンズ・アンド・ノーブルが身売り検討、電子書籍市場で苦戦」(ロイターズ)なんて言う書き方をしてるんですが、「身売り」ってのは変な表現ですよね。
上場して市場に出回っている株式を一つの機関が買いまとめるだけのことで、正確な表現は資本売却、でもほんとうは売却という表現もしっくり来ませんよね。資本という観点から見た場合、資本の所有者(つまり株主)が変わるだけですから。バイアウト、と英語表現するのが一番なんじゃないかな。

しかもこういう書き方をすると、売却を検討する理由が市場での苦戦のみと取られてしまう。英語のメディアの文章をよく読めば分かりますが、業績の悪化も書きつつ、リッジオとバークルの確執も書いて、バランスをちゃんと取ってる。

たぶん英語メディアが「up for sale」と表現しているのでそのまま身売りとしてるんでしょうけど、確かに業績は悪化してますが「身売り」と表現するほど悪いわけではありませんよね。
浅はかな記事だなと思います。

鈴木敏仁 (01:37)

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