ニューヨーク市の年金ファンドが、6月に開催されるウォルマートの株主総会で、今期に改選される予定の取締役6人に対して反対票を投じることを明らかにしました。理由はメキシコでの贈賄スキャンダル、ウォルマート取締役が監督責任を果たしていないという理由ですね。
このニュース、考えさせられるポイントは2つ。
まず1つ目。
ウォルマートは数年前のアンチ運動に懲りてイメージ向上に力を入れて来ているのですが、この成果が試されるときが来たようです。
すでにあちこちで反ウォルマートのデモや署名運動が実施されているのですが、おそらく背景には食品労働組合がいます。この機に乗じてウォルマートを叩こうというわけですが、今まで磨いてきたイメージがこれに耐えられるのかどうか。
またあちこちの団体への献金もイメージアップには不可欠で、ウォルマートはかなりの金額をばらまいてきているそうなのですが、メキシコでの事件によって今後受け手側にアレルギーが発生する可能性があり、スムーズな出店が難しくなるのではないかという指摘があります。これ、メキシコではなくて、アメリカ国内の話です。
資料によると、ウォルマートの連邦政府に対するロビー活動費は780万ドルで、自社ロビイストを雇って活動にあてているそう。これにも支障が出てくるのではないかという指摘もあります。
2つ目は、年金ファンドが企業の取締役会に対してノーをつきつける欧米の株主資本主義。
ニューヨーク市年金ファンドは以前からウォルマートに対して法的コンプライアンスの監視体制強化を求めてきていて、しかしウォルマートの反応が悪かったため、今回は取締役改選に反対票を投じることにしたとのことです。
ガバナンスの強化を株主が強く求め、場合によっては解雇をはっきりと要求する。
さらに動いているのは年金ファンドである。
日本にはないですよね、これ。
アメリカにはあって日本にはなぜないのか、日本にもあるべきなのか等々、いろいろ考えさせられます。
ちなみにNY市年金ファンドは、市役所職員、先生、警察、消防、といった組織の年金運営母体です。
ウォルマートはいまこの危機をどう乗り越えるか、一生懸命シミュレーションしているところでしょう。
これからどうなるか、注目に値します。
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