2012年11月19日
ホステス・ブランズの破綻とアメリカの労働組合

ホステス・ブランズとういう菓子メーカーが破綻しました。再建を前提とした破産法の申請ではなく営業をやめてしまう企業精算で、全米の33工場が閉鎖され、1万8500人が解雇されるそう。

ホステス・ブランズは1930年の創業で、トウィンキーというアメリカでは誰もが知っているような定番商品を作っているメーカーです。グロサリーストア、ドラッグストア、コンビニ、などなど置いていない店舗を探すほうが難しいと言って良いほど有名だと思います。

ところが近年の健康志向の高まりでジャンクフードへの風当たりが強くなり、このトレンドに対応できず売上を落とし、2004年に破産法を申請していったんは再生、しかし今年の1月に再び破産法を申請、労使の話し合いが決裂して精算の道を選ばざるを得なくなった、というストーリーです。


私が興味を持ったのは、組合が決裂の道を選択したという点。

Bakery, Confectionery, Tobacco Workers and Grain Millers Unionという工場労働者の組合とTeamstersというトラックドライバーの組合があって、双方別々に交渉、後者は妥協したのですが前者が妥協しませんでした。
企業の再生に投資企業が絡んでいるのですが、経営幹部も含めて高い報酬を取り搾取しているから妥協はできないという主張でして、アメリカの経営層の報酬の異常な高さを考えると間違ってはいないとは思うのですが、しかし企業がなくなってしまう道を選択するというのは強いなあと。
妥協の道を選択したTeamstersを巻き添えにするというのもなかなか激しいです。

サルベージ企業がブランドを買収し生産が再開される可能性に賭けているようなのですが、先行きはまったく不透明、うまくいけば...という表現を組合も使っていてなんの保証もありません。

アメリカの労使関係というものを考えさせられるニュースでした。

ちなみにホステス・ブランズはベーカリーもやっていて、スーパーバリュのPBを作っているそう。痛い目にあっている小売企業は他にもいるのかもしれませんね。

鈴木敏仁 (08:24)

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