先週は一週間小売企業の研修コーディネートで記事を書いている時間が取れず、エントリーができませんでした。
言い訳がましいですが、一日店を見て歩くと体力をかなり消耗し、エントリーする気力がなくなってしまうのですね。
申し訳ありません。
さてこの店舗視察中に、ニトリの米国進出1号店(店舗名はAki-Home、2店舗同時オープン)を見てきました。
ちょうど行く予定だった著名なショッピングセンターへの進出で、行程を無理に変えることもなく行くことができたのですが、ということはこれから日本の流通視察グループがどんどん行くことになるのでしょうね。
ユニクロもそうですが、このアメリカで日本企業には頑張って欲しいと強く思います。
いろいろ考えることがあったのですが、ここでは3つだけ。
1つめはPBを売るという茨の道。
ざっと見る限りPB比率が非常に高い。
売上を伸ばすにはNBメーカーの力を借りるのが王道なのですが、それをしないということは自らがPBをマーケティングしなければならず、ハードルは高いと言わざるを得ない。
当然のことながらAki-Homeもニトリもアメリカでは知名度ゼロ。
フレッシュ&イージーはPB比率50%強で、200店舗まで増やして、でもだめだった。
あのテスコでさえ挫折したわけで...
ゼロからブランドを売って行くには、有能なマーケティング担当者を雇い、広告代理店を上手に利用して、相当インパクトのあるブランディング活動を継続する必要があるでしょうね。
既存の店舗がすでにブランディング活動となっている日本とは状況が違いますから。
2つめは日本語パッケージの日本の商品が置かれていること(一番下の写真)。
アメリカ向け商品がこの大切なグランドオープニングに間に合わなかったのだとしたら、担当者は切腹ものかと。
もしあれをアメリカ人に売るというのなら、それはそれで凄いことではあります。
3つめは撤退戦略を決めているのかどうか。
テスコはアメリカ進出前に総投資額を決め、これを公言し、その額に達する前に撤退を決めました。
いわば、事前に決めたことに則って、粛々と撤退する、ということになります。
このあたりは証券アナリストや機関投資家に確認して欲しい事項ですね。
海外事業を成功させるというのは極めて難しいことで、ファミマやオートバックスといった日本企業に限らず、カルフール、テスコ、ベストバイ、ホールフーズ等々、大多数の企業が成功させていません。
ましてや今回のニトリのように買収ではなくゼロからとなると、コストコやイケアなどごくわずかしかいません。
その間に、星の数ほどの企業が失敗しているわけです。
確率から言うならば、ここでニトリが成功すると言うことは宝くじがあたると公言するようなもので、私にはとても言い切る勇気はない。
ですからもしニトリが米国事業を成功させることができたらなら、歴史に残る金字塔になることでしょう。
日本人の大好きな「おもてなしの精神で」という数値化できない抽象的な表現を米国戦略で使わないことを祈っています。
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