アマゾンによるホールフーズ買収は、規模が大きいことと、アマゾンというネット企業がリアルな大企業を買うと言うことで、相当な注目を浴びてます。
アメリカでもそうなのですが、日本のNHKがテレビのニューでも取り上げているのを見て、日本でもかなりなのだなと実感しました。
ということで多くのメディが取り上げているし、まだディールは確定していないので一波乱はありそうなのでこれからも取り上げられることになるでしょうが、たぶん日本の誰も書かないだろう視点で大切なことを書いておきます。
ホールフーズは赤字を出していません。
既存店がマイナス圏に入ってしまっただけです。
総資本営業利益率は13.3%、最終利益率は3.2%、自己資本比率は51%、キャッシュフローはポジティブで期末の現金及び現金等価物は増えている。
運転資金がどうのこうのというレベルではまったくなくて、逆に財務的には問題ない。
日本なら優秀な企業の部類です。
私はホールフーズを食品リテールのトレンドセッターだとみなしているのですが、これは今もまったく変わっていません。
売場を見れば、まったく劣化していないということがよく分かります。
なので、もしホールフーズが日本の企業ならば、ちょっとスローダウンしたけど優良企業、として存続していることでしょう。
で、今回のディールは、いま流行の言葉で言うと、相当なディスラプティブです。
アメリカの食品リテールを破壊的に変えるポテンシャルを持っている。
だからみんな騒いでいるわけです。
つまり、赤字も出していないのに、ケツを叩かれて、破壊的なディールへとホールフーズは突き進んだのです。
では誰がケツを叩いたのかというと、アクティビスト型インベスターです。
日本人が嫌うハゲタカですよ。
要するに、アクティビスト型インベスターが変革の触媒として機能していると見ることができる。
例えばもし、その昔日本でダイエーが傾いたときにアクティビスト型インベスターが出てきて突っついていたら、あそこまで悪化することなく変革への舵を切ることになったのではないか、そうすれば今も存続していたのではないか、などと夢想するわけです。
米流通業界の変化が速いのはそういう要素が一因となっていて、一方日本が遅いのはそういう触媒を企業や経済界が受け付けないからとも言える。
変化は面倒で殻に閉じこもっているのは楽ですが、そのままでは茹でガエルになってしまう。
それで日本の既存の小売業界は良いのだろうか。
そんなことを今回のディールで考えているのです。
2017年6月19日
優良企業ホールフーズが買われることを選択した意義
鈴木敏仁 (07:29)
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