ウォルマートが中古衣料ECのスレッドアップ(ThredUp)と提携しました。
ウォルマートのサイト内にスレッドアップのページが作られています。
35ドルの買い物で送料無料、店頭で返品可能、なのでウォルマートのECポリシーに準じていますね。
マーケットプレイス扱いとのことなので、売れたら手数料を引いてスレッドアップに返すという契約かと思います。
スレッドアップはギャップやメイシーズなど複数の衣料リテーラーとも提携していますが、ECサイトに独立ページを作るというやり方ははじめてです。
双方の思惑は、スレッドアップにとってはウォルマートの集客力による拡販、ウォルマートにとっては若年層を中心とした新しい客層の取り込み、といったところでしょう。
アマゾンが自前で運営しているラストマイル(宅配)事業が個数ベースの推定シェアでアメリカ4位だというレポートを証券会社が公開しました。
FedEx:34.6%
UPS:26.3%
USPS:17.3%
アマゾン:12.8%
その他:8.9%
我が家のまわりにも絶えずアマゾンのバンが走っているので、これは腑に落ちる数字です。
アマゾンはFedExやUPSがピーク時に対応できないことに業を煮やして自前化の強化をはじめたという経緯があるのですが、それをどんどん拡大し、ついでに他社に売り始めています。
ラストマイルのAWS化、新たなアマゾン経済圏の形成へ、といったところですね。
この数字を見るに、USPSを抜くのは時間の問題でしょう。
大手2社に肉薄するにはまだ時間がかかるだろうがいつか必ず手が届くだろう、というのが業界で言われていることですが、意外と早くそういうときが来てしまうのかもしれません。
おもしろい比較記事があったので、それをそのまま共有します。
ホームデポとロウズの第1四半期決算の結果。
既存店成長率
ホームデポ:7.5%増
ロウズ:12.3%増
売上高成長率
ホームデポ:7.2%増
ロウズ:11.3%増
最終利益高成長率
ホームデポ:10.6%減
ロウズ:27.8%増
EC成長率
ホームデポ:79%増
ロウズ:80%増
ホームセンターはエッセンシャルなビジネスとみなされて営業継続してきて、人が家にこもったことでDIY需要が急増したことが売上高増につながっています。
食品業界と同様の業績アップなのですが、ホームデポは利益のみマイナスで、リリースを読むに特別ボーナスなどの社員に対する還元でマイナスとなっているようです。
ホームデポはトータル8億5,000万ドルを投じ、一方のロウズは3億4,000万ドルで、両社に大きな差があります。
総体としてロウズに軍配が上がる結果ですが、福利厚生の考え方で両社若干の温度差が表面化、といったところかなと思います。
TJマックスが第1四半期決算を発表したのですが想定通りの減収減益でした。
売上高19.2%減、最終利益高は8億8,750万ドルの赤字。
この企業、というよりもオフプライスストアというビジネスモデルは宝探しにあって、それをネット上では再現できないとしてネット通販をやっていないため、店が営業できないとまったく売れません。
なので減収と大幅な赤字は必然と言えます。
ただもともと業績の良い企業ですから強気ですね。
「営業が再開しつつあるのでまずは閉店したため積み上がった現在の在庫を大幅な値引きでクリアにする」
「それが終わったらフレッシュな商品がフローし始める」
おそらくフレッシュな商品とはこの数ヶ月に工場や問屋に積み上がっている過剰在庫で、これを大幅な底値で仕入れて売るということでしょう。
というか今まさに仕入れているところかなと。
こういう不透明なときにディスカウント業態は強いのです。
2月に破綻し投資企業も含めて買収相手を探していたピアワンインポーツが、断念して清算すると発表しました。
在庫や知的財産を競売して終わりとなります。
スケジュールは、7/1が登録締め切り、7/8が競売、7/15が公聴会。
コロナに時期がぶつかってしまったと言う不運はもちろんありましたが、コロナがなくても買収相手を見つけるのは難しかったことでしょう。
この会社も一時期はよく知られた企業だったんですけどね。
日本に進出を企てたこともありました。
おそらくこのニュースは日本ではスルーだろうと思い、鎮魂の意味を込めて取り上げておきました。
ウォルマートが3度目の現金ボーナスの支給を発表しました。
フルタイムの時給ワーカーが300ドル、パートタイムと臨時雇用の時給ワーカーが150ドル、6月5日の時点で働いている店員が対象で支払日は6月26日だそうです。
今回の予算は3億9,000万ドル。
4月初旬のボーナスがトータル3億6,500万ドル、4月下旬の別枠のボーナスが1億8,000万ドルで、今回の3回目も加えて現時点での総額は9億3,500万ドルとなります。
キャッシュレスの時代に現金支給という点がとても良い。
アマゾンは一部の従業員との確執が報じられていますが、ウォルマートにはその手のネガティブなニュースは小さいのは除いて今のところありません。
一部の店舗で店員の集団感染出したりしているんですけどね。
オペレーションの上手さが抜きん出ていて、この非常時に明らかな勝ち組となっています。
モール運営企業のブルックフィールドが、営業停止で資金繰りが逼迫しているテナント救済に向けて50億ドルを用意する計画を明らかにしました。
非支配株主持分の株式を取得して運営資金を提供するとしています。
対象となる企業の最低売上高は2億5000万ドルとなっているので中堅以上の企業となりますね。
複数の機関投資企業が参加する模様。
フォーエバー21を救済したのはサイモンとこのブルックフィールドとABG社(ブランド管理企業)でした。
アメリカの大手モール運営企業には弱くなったテナントに投資して支えるという動きがもともとあって、今回の計画もその延長線と言うことができそうです
アメリカの小売業界では店の現場の実行力のことをエクセキューションと言います。
本部からこれをやってくれという指示がきて、それを指示通りにきっちり実行する能力のことです。
もちろん指示を出しすぎる、指示が難しい、といったことも問題で、本部が指示を単純化したり標準化したりする能力も不可欠です。
とある企業からのご依頼で、アメリカの各食品リテーラーが感染防止でいま何をやっているのかを調べる機会がありました。
州当局からの公的なガイドラインを主軸にして、企業が出しているガイドライン、それと店頭に行ってフィールド調査をやってきました。
ウォルマート、ターゲット、ラルフス(クローガー傘下)、ボンズ(アルバートソンズ傘下)、トレーダージョーズの5社で、ほんとうはウェッグマンズやHEBも見たいのですが今回は車で行ける範囲で我慢ですね。
さてこの5社を比較して驚いたのは、ウォルマートの標準化する能力とエクセキューションレベルの高さでした。
短期間にも関わらず、標準化されたサインをたくさん用意し、それを必要とされる場所に置き、または貼り、それが必要とされるところにきっちり展開されている。
どういうサインが必要なのかを考え、デザインし、4,000店舗分を発注し、指示書つきで全店舗に配布し、その通りに店舗がエクセキュートする、という一連の流れがきわめて短期間に行われているわけです。
ウォルマートのオペレーションに改めて圧倒されました。
ちなみにHEBは1月の2週目から中国の動きを見ながら机上のシミュレーションをはじめ、2月2日から中国のリテーラーやサプライヤーから情報を収集しながら緊急事態に向けての本格的な準備を始めたと言っています。
おそらくウォルマートも似たようなものでしょう。
アメリカの大手小売企業のレベルは非常に高いということをいまさらながら実感しています。
Jクルーとゴールドジムが連邦破産法11条の適用を申請して破綻しました。
両社ともに負債の整理を進めていて、清算ではなくて営業停止の解除後は店舗をオープンします。
また後者は700ヶ所中の90%がフランチャイジングで、ジーについては破綻は無関係としています。
現在、破綻することが前提で語られているのが、ニーマン・マーカスとJCペニー。
その他、Jジルやパーティシティなど赤信号がともっている企業は10社を超えているのですが、大量の失業者が出てしまっている中、店の営業を再開させたところで消費が元に戻るには時間がかかるので、これから破綻企業が続々出るであろうことは容易に想像がつきます。
ということで、これから続々と破綻する企業が出てくることでしょう。
Jクルーとゴールドジムは幕開けに過ぎません。
ちなみにこれは大企業なので、中小規模ではすでに大量の破綻が出ていることと推測できます。
政府の支援では足りないということです。
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